トムプロジェクト

2015/08/31
【第726回】

8月も今日で終わり。子どもたち、学生さんにとっては、明日から学校やで...行きたくない人、早く友達に会いたい人、人それぞれだとは思いますが、なにやら自殺者も多い季節らしい。一生バカンスだったらどれほど幸せなことか、いや、どうやって時間費やしたらいいのか困っちゃう人もいるらしいから、この判断は難しいところですな。間違いなく言えることは、このお堅いジャパニーズシステムは、人生にとって一番美味しいところである≪遊び心≫を軽視する傾向にあり、社会と人間関係を、ややこしくしてますな...
遅まきながら、「フォックスキャッチャー」観てきました。この作品は1996年のデイブ・シュルツ殺害事件を題材としており、監督は「カポーティ」や「マネーボール」などの作品で知られるベネット・ミラー。いやいや、アメリカ映画の底力を感じました。三人の主役の役の入れ込み方が半端じゃありません。金メダリストを取った二人のレスラー役、チャニング・テイタムとマーク・ラファロは、誰が見ても本職のレスリングの選手に見えます。あのロバート・デニーロが「レイジング・ブル」で、引退後のシーンのため体重を25キロ増やしてまで破滅型の主人公を演じきったことを思い出しました。ホンマモンの役者はこれですよ。日本の役者は甘いですな...時代にあった服装、ヘアーメイクしてくださいな。戦時中に、あんな頭髪ありますか?あんなおべべありますか?もうそれだけで、観客をなめてかかってるとしか思えませんことよ。
この映画の最高の見所は、アメリカの財閥一員で、殺人を犯すジョン・デュポン役を演じたスティーブ・カレルの演技。無表情の中に人間の嫉妬、憎悪、孤独、悲しみ、喜悦、狂気がまるで万華鏡のごとく見え隠れする様は鳥肌がたつ思いであった。経歴をみると、なんとコメディアン...こりゃ、日本の役者はかないません...

726.jpg最後の夏祭り

2015/08/28
【第725回】

知人の長島晃さんから、核兵器と戦争のない平和な世界の実現を願う2015広島―長崎リレーマラソンの完走便りが送られてきました。8月6日広島原爆ドーム8時15分に黙祷し、9時にスタート。長崎まで423、4㎞を駆け抜けるピースランである。ゴールは8月9日、長崎原爆投下中心地公園に11時まで。11時2秒に黙祷。いやいや、こんな形の平和アピールもあるのでございます。途中、苦しくなったときには、あの日あの時、地獄の時間を彷徨い死んでいった人達のことを思うと、この時間、平和な国で走れる喜びを噛みしめ、自ずから疲れた身体も精気を取り戻すのではないでしょうか...このリレーには、己の身体を駆使し、共に核と戦争のない平和な世界を願う襷をバトンタッチしながら駆け抜けていく行為に、まさしく壮大なアクションを感じます。
長島さんが、このリレーマラソンに、こんな言葉をコメントしています。「走ることが好きです。走ることで少しでも世の中のためにならないかと心のどこかで考えていました。昨年、長崎の山王神社で祈り捧げている年老いた姉妹から当時の悲惨な状況を伺うことが出来ました。そして、この大会に参加してくれたお礼もいただきました。人のために走りたい。私が走ることで、誰かの希望になっているのだと思った。」なんて素晴らしいコメント。人のために走りたい!なかなか言えませんね...世のため人のため、こんな考えの人が段々少なくなった昨今、ほんなごつ貴重、希少な言葉でございます。


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夏も終わりだね...

2015/08/26
【第724回】

昨日、事務所の下にあるファミリーマートの前で、4人の男女が大きな声で話しながら飲み食いしていました。聞こえてくるのは懐かしきスペイン語、早速「どこから?」やはりスペインからの旅行者でした。おいらも3年ばかり住んでた話をすると、彼らのテンションは一気に上がり周囲の人がびっくりするほど、ほんまにスペイン人は陽気でございます。おいらが、アンダルシアの小さな村サロブレーニャに暮らしていたことで彼らは更にヒートアップ。彼らも、アンダルシアの中でも最も西にあるウエルバから15日のバカンスで日本に来たとのこと。東京、京都、大阪を観光し、今から成田空港に向かい帰国するところでした。美人のセニョリータがおいらに「なんで、又スペインで住まないの?おいでよ...」黒い大きな瞳を輝かせながら言い寄ってきました。スペイン人もお調子ものが多いのだが、日本のラテンとも言うべき博多出身のおいらを見抜いてのお誘いだろう。それにしても、スペイン人のおおらかさは得難いものでございます。国の発展なんぞは何処吹く風、その日一日が楽しく愉快であれば、それでよし。快楽天国を十分に味わい尽くそうという精神見事でございます。最後にセニョリータが、お互いの右の頬をくっつけて、口で「チュッ」と音をたてるキスの挨拶ベシートを要求してきました。いやいや、久しぶりのベシート、すっかり興奮してしまい彼らの写真を撮るのも忘れてしまいました...

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スペインアンダルシア


2015/08/24
【第723回】

新宿はゲリラ部隊の戦場です。禁止告知の看板なんかクソ食らえ!夜毎、お巡りさんの目を盗んで路上ライブを決行中。なかなかよござんす、これが許されてはじめて国際都市ってもんです。海外に行きゃ路上ライブは、街を活性化させる風物詩でございます。疲れたおっさん、日常に麻痺した兄ちゃんねえちゃん、いけいけどんどんの若者の叫びを聞きましょう、聴いて、見てれば何か感じるんじゃございません。何かに悩み、言いたいことも言えず我慢してる皆さん、彼らみたいに自己表現すりゃいいんです。そりゃ、なかには、きみきみ人前で歌うレベルじゃないでしょう...なんて若者も居るのだが、許してあげましょう。自死、犯罪の道に走るよりは、どれほど健全なことか。
この日も、可愛い娘さんが可憐な声でセンチな歌をギターの弾き語りで歌っていました。華奢な身体ながら全身を振り絞り、道行く人に程よいアピールが効いたのか、二重の輪が出来ていました。顔ぶれはというと、おっさんがほとんど...おっさんは疲れています、癒されたいんです。職場でも、家庭に帰っても居場所がないおっさんにとっては、路上の歌姫こそ憧れのエンジェルに見えるんでしょうな...エンジェルの最後の曲が終わると、3、4名のおっさんが自主制作のCDを買い、サインをねだっていました。芸能の世界を乗り越え、救済の道に踏み出したこの光景は間違いではありませんことよ...汚辱に満ちた何処ぞの世界より、どれほど美しいことか...

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新宿の歌姫

2015/08/21
【第722回】

テレビでは連日、大阪の中学生の殺人事件をワイドショー、ニュース番組で取り上げている。元刑事、心理学者、コメンテーターなどなどが様々な推理を語り事件の謎を追いかける...確かに痛ましい事件であり、多くの視聴者が真実を知りたいのは判るのだが、こんなに長時間垂れ流す必要があるのだろうか?この大切な時期、報道しなければならない大切な案件があるはずだ。安保法案、オリンピックに関する様々な疑惑、沖縄の辺野古移設、忘却の民がうじゃうじゃ存在する国民には、しつこいくらいに問題提起しないと、後の祭りみたいなことになっちまいますぜ。
新宿は相変わらず異国の人達がふらふら、ぶらぶらしとります。そんな折、珍しくポルトガルから来た10人ほどの、おばちゃん軍団に遭遇しました。なんで、おいらに聞いてきたんだろうか?おいらにイベリア半島の臭いを感じとったのであろう...ポルトガル語で話してきたので、スペイン語で答えると、そこは隣国の民、嬉しそうに話が弾みました。おいらもポルトガルにも行ったことがあり、リスボン、ポルト、コインブラ、ナザレと次から次に名所が登場、新宿地下道はすっかり国際交流の場として盛り上がりました。
国は違えど同じ人間、こんな些細なことの触れ合いから平和への道は築かれるんじゃございませんこと。

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フクロウ一家

2015/08/19
【第721回】

高校野球が盛り上がってます...グランドの温度は40度はあるでしょう、そんな環境の中ぶっ倒れる選手もなく、きびきびとしたプレー見てると人気の所以がわかります。このやり方でやれば、プロ野球も随分と試合時間を短縮出来るだろうな...審判にも異議を唱えることなく、日本人好みのスタイルだからこそ100年も愛されてるんだろうな...おいらも中学2年の中半までは、西鉄ライオンズの選手を目指していたのだが、あの軍隊みたいな理不尽な規律、絶対服従になじめず辞めちまいました。でも、高校野球も一種のショーでしょう。グランドでは清廉潔白を演じているのだが、実態はそうではないことが彼らの表情から読み取れます。中には、無垢なる精神が見え隠れする選手も居るし、まあ、そこんところを想像しながらプレーを楽しんでいます。高校野球の最大の魅力は、なんと言っても最後のどんでん返し。9回に9点リードしていても逆点されるんですから、まさしく筋書きのないドラマでございます。そんじょそこらの柔なテレビドラマなんどぶっ飛んでしまいますね。
今日は準決勝、多くの人が早稲田実業と関東一高の決勝戦を夢見ているとは思いますが、野球の神様はいじわるをしちゃいます。人生と同じですよ...そうそう、うまくはいきませんよね皆の衆。

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八月の雲

2015/08/17
【第720回】

さあ、お盆休みも終わって、今日から仕事再開です。お盆休みは、今年初めての西武ドームで、ライオンズの応援に行ったのですが、案の定、負けちゃいました。今年の初めの勢いは何だったんだろう?短い間だったけれど、いい夢見せてくれたんですね。確かに、魅力ある選手は居るんだが、監督、コーチがあきまへん。頭が固い、悪い、厳しさがありません。プロの世界なんだから、駄目だったら二軍の活きのいい選手と入れ替えしないといけないのに、ほぼ固定、これじゃ流れは作れませんがな...田辺監督、悪い人ではないんだが、所詮、コーチの器。よりによって参謀が最悪、あの悪名高き江川と法政大学時代にバッテリーを組んだ袴田。ガマみたいな顔して声を出してはいるんだが、たいした戦略もたてられず、ただ怒鳴ってるだけの醜態ぶり。来年は、このスタッフを総取っ替えして欲しいですな。といっても親会社にお金が無く、将来を見据えることが出来ないフロントも惨めでございます。いよいよ、身売りするのかな?でも、西武グループの唯一の財産ですから、悩むところでしょうね。
西鉄ライオンズから始まって63年、ライオンズ一筋応援してきたおいらにとっては、ここ数年の体たらくには歯がゆい思いをしとります。この日も負け続けるライオンズに、声を枯らして応援してるファンには頭が下がる思いです。でもね、おいら、鐘に太鼓にラッパに合わせて軍隊みたいに応援する日本の球場好きでありませんことよ。アメリカの球場で見た敵も味方も一緒になって、個人の好き勝手な応援の仕方が、本来の野球場のありかたじゃございません。プレーをしっかりと見ながら野球を楽しむ姿こそが選手のレベルアップにも繋がります。一斉に立って怒声を発する、どこぞやの応援、気色悪いな...おぞましき宗教集団、ないしは軍国主義に染まった悪しき塊にしか見えませんぞ。
あとのお休みは、芝居見物に行きました。オーチャードホールに中野の小劇場、対照的な二つの演劇。この猛暑の中、俳優さん達は稽古を積み重ねてのお披露目。野球場の観客には遠く及びませんが、野球と同じくライブは真剣勝負。キラキラした身体から放たれる激情が、クーラーで冷やされたを劇場を、程よくヒートアップしておりました。

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負けてるのに満員の西武プリンスドーム

2015/08/10
【第719回】

夏祭りの季節...花火大会、おいらは随分と行ってないね。だって花火と言うより人観大会じゃございませんか?隅田川なんぞは歩けないし、暑いし、ただただ疲れに行くようなもの。でも、祭りの輪の中にいるって感覚が嬉しく楽しんだよね。安くて紙みたいな浴衣を着て、きゃぴきゃぴして会場に向かう娘さん見てるだけで、おいらは嬉しくなっちゃうな。平和のありがたさを感じる次第でございます。でも、浴衣に靴はさすがに興ざめですな、男衆もぴしっと決めんとモテませんばい。だらしない着方でアホ面してるのがおりますばい。
おいらの住む杉並地域でも、ちびっこ盆踊り大会やっとりました。大人の盆踊りの定番、東京音頭なんぞは流れず、あんぱんまん音頭で賑わってました。親は、ここぞとばかり、写真、ビデオで我が子を追っていました。焼きそば、焼き鳥、綿菓子売り場も大盛況。こんな子が、明日から戦場へなんて世の中になってしまうかも知れませんぞ...
8月9日は長崎に原爆が投下されて70年。忘れてはいけませんぞ!なのに明日から鹿児島川内原発再稼働。新聞に掲載されてました「今年の猛暑に拘わらず、電力は十分にある」何故、原発に拘るのか...それは、アメリカに気を遣い、企業の利益のための奔走する輩、諸々、いろんな怪しい力が気持ち悪いくらいあっちゃこっちゃで蠢いています。

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ちびっ子盆踊り大会

2015/08/06
【第718回】

今日は広島に原爆が投下されて70年。8時15分に黙祷...それにしても70年前の今日、一日が始まろうとした矢先に、どれほどの驚きであったことだろうか...その3日後には長崎、人類史上2度の阿鼻叫喚の地獄を味わいながら、今月11日以降に鹿児島の川内原発が再稼働される予定。福島の人達は怒っています。こんな体験をさせておきながら、いまや事故がなかったかのような風潮が理解できないどころか、人間として情けなくなりますと...広島の被爆者の人達も、今日の式典の後、首相に、今の政治の進め方に猛抗議をしたみたいです。いつの世も為政者は、己の利益、欲のために、名も無き市井の人達を無視してきました。なんでみんな怒らんのだろう、声をあげんのだろうか...
西武ライオンズ、やっと勝ちました。球団ワーストの13連敗、よくぞ負けたもんだ。このチームのひ弱さが一気に出てしまった感がします。それに球団フロントのやる気なさも気になります。お金の無いのはわかるのだが、チームの未来像が描かれないまま、ここ数年運営したことに問題があります。やる気がなければ売却しなさいってこと...ライオンズの名前が残る限り、何処に行こうともおいらは死ぬまで応援しまっせ。だってライオンズは、おいらにとって少年時代からの永遠のヒーローだもん!

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限定20食 海鮮丼640円
これはいけまっせ!

2015/08/03
【第717回】

先週金曜日、午前10時半から3時間半観た映画「記憶と生きる」に登場した、日本国によって慰安婦にされた6人のハルモニ(おばあさん)の顔がいまだに記憶から消えません。元「慰安婦」たちが肩寄せ合って、死ぬまで暮らした「ナヌム(分かち合い)の家」での日々の暮らしは、唯々、16歳から騙され慰安婦にされた辛い記憶が身体を覆い尽くし、穏やかな時間など持てるはず無く、死を迎えるしか無かった人生に涙さえ出ない...
8月は、いつもながら戦争特集でメディアは一斉に様々な番組、情報を垂れ流す。あたかも、その行為が免罪符と思ってるふしさえある。思いれたっぷりの感情過多の音楽を流し、戦中というのに役者の頭はイマ風(他の仕事のつながりから)、イケメン俳優使っての学芸会。他のメディアも8月定番の薄っぺらな記事。どこまでも能天気な国である...そんななか「記憶と生きる」は1日1回上映、50人の椅子席に20人ほどの目撃者。これが悲しいかな日本の文化レベルであろう。でも、この映画の上映に踏み切った渋谷アップリンクには敬意を表したい。ここでの上映は8月中旬まで延長できたらしい。その後は、地方のミニシアターでも上映するらしい。是非、観て欲しい映画だ!一切の音楽を排し、ハルモニの肉声と自然の音が流れる3時間半。このハルモニと似た境遇の無数の棄民の声が聞こえてくるに違いない。

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8月の新宿御苑