トムプロジェクト

2015/11/04
【第747回】

昨日、「南阿佐ヶ谷の母」東京公演、無事に新宿紀伊國屋ホールで初日を迎えることが出来ました。いやいや、芝居の中身より幾多の波乱のドラマを抱えての初日でした。先月の沖縄公演の二日目の朝に、出演者の木の実ナナさんが大腿部を骨折。おいらが、ホテル近くの読谷の綺麗な浜辺を散策し帰ってくると、なんと木の実さんが、今まさに救急車で運ばれてる最中、タンカに横たわってるナナさんを見て、おいらは顔面蒼白。沖縄北谷公演の開演を3時間後に差し迫ったこのタイミング、そりゃ覚悟しました。公演中止!この日を楽しみにしていた沖縄の人達のことを思うと身が引き裂かれる思いがしました。500人のホールのチケットは既に完売しており、公演関係者にも多大な迷惑を掛けることになり、おいらの心中穏やかではありません...早速、演出家水谷氏と二人で病院に向かう、車中、水谷氏と中止になったときの策を考えるのだが、やはり最悪でも車椅子で公演できるナナさんの状態を願うばかり。病院に着くと開演二時間前、診断した先生に病状を聞くと大腿部骨折、車椅子でやれないことはないが、悪化すると、その後の処置が大変だとのこと。こちらはやって欲しいとの意志を伝える。あとはナナさんの判断。ナナさんは車椅子でやりたい!との意志を医師に告げる。早速、応急措置をして頂き介護タクシーを呼んで会場に向かう。開演まで1時間半前、早速、車椅子による場当たりをやり、30分開演時間を延ばして貰って上演。ナナさんの痛みを堪えながらの女優魂、共演者の見事なフォロー、スタッフの迅速な対応により公演は見事成功。ほんまに涙がちょちょぎれました。

翌日、ナナさんは帰京し手術。手術の結果次第では、またしても東京公演、地方公演の中止もあったのだが、無事成功。あとはリハビリと術後の経過を見ながらも、なんとか初日を乗り切りました。

今回の総力戦、あらためて芝居は誰ひとり欠けても出来ないし、なんとかいい芝居を創り、来て頂いたお客様に見て貰いたい!そんな気持ちがひとつになった初日でした。

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シーサーに守られました

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