トムプロジェクト

2016/03/04
【第791回】

昨日の「砦」の芝居には魂が光り輝いていた...東京公演が始まって3日目、芝居の感想は当然観客の目に委ねることは仕方ないとしても、この芝居を企画したおいらとしては何としてもベストな形として世に送り出し、少しでも多くの人たちに心に残る何ものかをプレゼントしたいことは至極当然のことである。でもね、人はそれぞれの見方があり、中には粗捜しを趣味として劇場に足を運ぶ演劇マニアもいることも確かだ。雑多な人たちが、それぞれの人生を抱え様々な思いを巡らし舞台を凝視しているのだから、それ相当なもん創らんとお客さんに失礼にあたります。ましてや芝居は生もの、いつも同じというわけにはいきません。

そんななか、昨日の公演は五人の役者さんの魂が会場内を生き活きと飛び回っていました。その勢いのある魂は観客の魂と呼応し、まさしくこの芝居に命の息吹を与えた感がありました。村井、藤田さんは当然のことながら、影を演じている浅井、原口、滝沢の三人が素晴らしい。本来ならば20人ばかり出なきゃいけない芝居なんだが、この三人がこの話に登場するであろう幾多の人間模様を見事に演じ切っている。身体を振り絞り名もなき民衆の声を命懸けで表現する姿に、改めて演劇の素晴らしさを実感する。

残すところ今日の公演を入れて4ステージ。こんな時代だからこそ、ほとばしる魂の演劇観なきゃなりまっせんばい!

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春の代々木公園

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