トムプロジェクト

2016/04/11
【第805回】

先週の土曜日に懐かしいメンバー17名と久々に逢ってきました。嘗て劇団GMGで全国を飛び回っていた人達です。この劇団は、40年近く前においらの友人であったK氏が若い人たちを集めて、どうしても芝居で食っていける劇団を作りたいのでチカラを貸してくれ!てなところから始まりました...K氏は個性的な有能な役者さんでした。民芸、三十人会という劇団に所属しながら名優三國連太郎さんの弟子でもありました。自分で詩集を創り大道芸をやりながら、それはそれはユニークな人物でした。その彼が、何故かおいらを気に入り夜毎新宿の夜を二人で徘徊しとりました。時には危ない仕事もしましたな...そんな彼がおいらに泣きついてきたもんだから、おいらK氏に再三確認したことを覚えています。「本当に覚悟を決めてやるんですね!(それまでにK氏の奇行、悪行、珍癖などたくさん知っとりますんで)」大きな目ん球が、少年のような純な瞳に変化した瞬間、おいらは手伝うことにしました。東京でおんぼろレンターカーを借り九州に飛びました。それはそれは大変な営業の旅でした。芝居の演目は竹山道雄原作の「ビルマの竪琴」。学校で上演するための営業なのだが、なにせ無名の劇団なので先生に話してもぴーんときませんこと多多。そんな逆境になればなるほど面白がり燃え楽しむおいらでございます。持ち前のキャラで先生をくどき九州の二ヶ月間のスケジュールを全て埋めてしまいました。K氏の人生一度あるかないかの決意、その周りに集まってきた若者の顔が浮かぶたび「何とかしてあげたい!」おいらも久しぶりにハッスルいたしました...

そんな若者も歳月を重ね親となり、それぞれの道を歩んで今日、何十年ぶりに会った者もいました。あの日、あの時に演劇に心血を注いだことに皆、誇りに持っていました。人生やっぱりやりたいことはやっとかんと悔いが残りますばい...この日集まった17人の面がそう言っとりました。

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花筏

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