トムプロジェクト

2016/08/03
【第849回】

この暑さの中、週末から2本の芝居観てきました。おいらも長年芝居創ってはいるんですが、芝居の持つ曖昧さに戸惑っている次第です。おいらがなんと安易に創ってんの?と思って居ても客席は結構楽しんでいたり、これぞ演劇なんていたく感心した芝居が意外に不評だったり...観る人の気持ち感覚は千差万別、そんななか何処に照準を見定めて企画制作していけばいいのか日々頭を悩ませているのでございます。ここはおいらの感ピューターを信じるしかありませんな...でも基本はひとつ。舞台に上がっている人間に血が通っているかどうかに尽きますな。戯曲が書き込まれてないと台詞が宙づり状態で客席まで届かないし、演出が未整理だと辻褄が合わないし、下手な役者の演技じゃ嘘くさいし、やはり作、演出、役者の三位一体があっての演劇でございます。そんな願ったり叶ったりなんて芝居を生涯何本創れるか?毎回そうありたいと思って創ってはいるものの、冒頭に述べましたように人の受け取り方は様々、この正解のない演劇という大海を彷徨っているのが本音でしょうかね...昨日観た芝居なんぞは別な意味で嬉しかったな。トム・プロジェクトの新人公演に出演した男が一念発起、自分でプロデュースしたんですから。一人の子供を抱え、バイトして貯めたお金を一本の芝居につぎ込むんですから見上げたもんでございます。まあ、ある意味で芝居は人の人生を狂わせてしまう魔性の産物ですな。おいらも、この芝居の劇薬に酔い痴れ紆余曲折の人生を歩んできた人をたくさん見てきましたよ...でも、いいじゃん!一度きりの人生、好きなことに没頭し夢中になれたんだから...生活のためといいながら、我慢して愚痴をこぼし後ろ向きに歩く人生よりも、とっても素敵でございますよ。

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夏の雲2

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