トムプロジェクト

2016/09/05
【第862回】

ここんところ何故かしら、おいら劇場より飯田橋の名画館に足が向いとりますな...「リリーのすべて」1926年のデンマークが舞台、肖像画家の妻に女性モデルの代役を頼まれた風景画家の夫が、これを機に自分の内面に潜む女性の存在に気づき性転換までしちゃう性同一障害を扱った実在の話。夫役を演じたエディ・レッドメインが素晴らしい!この俳優は、役柄を貰った時点で役のエッセンスが降り憑依してしまう神がかり的な表現者でありますな。ひとつひとつの表情に、揺れ動く内面を見事に演じきってる姿に鳥肌が立ってしまう。しかも男と女のエロスが交互にうねり瞬きひとつ許さない緊張感を強いる連続...妻を演じた北欧美人女優アリシア・ヴィキャンデルもなかなかのもんでございます。ことし2月のアカデミー賞で初ノミネートながら、この作品で助演女優賞のオスカーを手にしとります。この二人の壮絶な愛のドラマを支えているのがデンマークコペンハーゲンの美しい風景と、街並み。カメラワークといい、美術のセンスがたまらんですばい。
2作目は「キャロル」1952年の古き良き時代のニューヨーク。デパートでアルバイトしている日々満たされない娘さんが、娘のクリスマスプレゼントを買いに来た魅力的でエレガントな婦人キャロルに激しく惹かれ、同性愛まで発展しちゃう話。まあ、話としてはどうってことないんだが、キャロルを演じるあのケイト・ブランシェットがたまりませんばい。
貫禄のある美しさに、知的なエロスを存分に演じきっている。こちらも1950年代の音楽、小物、衣裳、セットが、あの時代を呼び起こしてくれる。
この2本の映画を観て改めて感じたこと...俳優が身体で、そして表情で説明していないことが、観客にどれほどの想像する欣躍と感銘を与えてくれるかということでございます。
昨日は、演劇鑑賞会の首都圏ブロック総会に出席するために赤羽に行ってきました。首都圏の12地域の人達が集まり熱い議論がなされておりました。トム・プロジェクトも来年「萩咲く頃に」が呼ばれておりまして、おいらが作品紹介をしたってわけなのさ。幸いにしてトムの作品は好評が続いており、あちこちの会員さんから声を掛けられおいらも勇気百倍でございました。上演した作品が、皆さんに何かを残せたことが次ぎに繋がる世界でございます。総会が終わり赤羽の居酒屋で美味しいお酒を飲みながら、日頃なかなかゆっくりと話すことがない会員さんと楽しい時間を過ごすことが出来、昨日も満喫な締めでございました。

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赤羽公園

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