トムプロジェクト

2016/10/21
【第880回】

昨日で「静かな海へ~MINAMATA~」東京公演無事千秋楽を迎えることが出来ました。
この水俣をなんとか作品として舞台化できたこと本当に嬉しいです...誰かがやるだろうではなく、生きてる人が、こうやって世の中に指し示す責任があると思います。そして、今回も観てくださった人から一通の葉書が届きました。葉書にびっしりと書き込まれた文面には、この舞台が、しっかりと観客の心の襞まで届いた感がして、ひとり安堵の胸をなで下ろした次第でございます。以下、葉書の文面です。

拝啓 「静かな海へ」は重く悲しい話ですが同時に逞しい話であると思います。正しいと思うことも独りでは世間に通用させるのは至難の業です。卑怯と自分を責めながらも、長い年月をかけやはり正しく世に問うべき事象を訴えかけた心の逞しさです。胸に抱いた正義感は少しばかりの格好付けではなく、本物の力となって世の中を動かします。ある意味期待されることを主旨としない、無欲の行動が、人の心を熱くします。大変なことが起きていると子供心にも不安を覚えた水俣病の実態。何故か知らされているようで、全体を掴みきれていなかったその真実が、この演劇を通して目の前に拡げられた感があります。思いを同じくした出演者と作りあげた作品とパンフレットにも記されていますが、正面からこの時代の巨悪に向き合ったひとつの答えが、この芝居に結実しています。日頃世の中のやっかい事には腹を立てながらも見て見ぬふりをすることが多い自分自身の行動に喝を入れられたひとときでした。立派な演劇という行動に拍手。また次回。 敬具

このO氏の言葉を肝に銘じ、次回作「挽歌」は東日本大震災がテーマの芝居です。もっと楽しい面白い芝居創ってや!そんなお声も聞いておりますがな...でもでも世の中は安閑としている場合じゃございませんことよ。微力ながらも、弱者の立場になった視点からなにかを発信し続けないと、この社会ほんまにフニャフニャ、コンニャク、沈没列島になっちまいますがな...喝!

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葉書原文

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