トムプロジェクト

2016/12/02
【第897回】

「挽歌」東京公演2ステージが終了しました...おいらが最初に観劇した長野県茅野市での公演から格段に良くなっていることは確かだ。まさしく芝居は生き物である、誕生した作品が観客の目に晒されることにより、俳優を多くのことに気づき新たな発見をする。だから役者は止められないのである。観客の声に出さない息遣いを微かに感じながら、表現の奥深さにわななき震え、さらなる表現の高見を目指す。俺は今、舞台で生きてるんだ!こりゃたまりませんばい...こうやって魔物の世界に魅せられ人生を棒に振る人も出る恐ろしい世界でございます。その修羅の世界を見たくてお金と時間を労してお客様はやってくる...

今回の芝居は、東日本大震災に被災した福島県大熊町の人達の物語。あの大変な状況にあった人達の悲しみ、思い、希望、不安、絶望をフィクションの世界でどれだけ現実に肉薄し、現況を変えうるエネルギーを生み出し得るか、そこが作品の正否を決める。

芝居がはね、出口に向かうお客の表情を見るのもプロデューサーの大切な仕事。芝居の温度がそのままお客の温度として、こちらに手に取るように分かるのが面白い。さてさて、明日はどうなることやら...芝居はまさしく博打でございます。

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今年もこれが見納めの彩り

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