トムプロジェクト

2017/05/10
【第949回】

GW中に観た芝居の白眉は劇団桟敷童子「蝉の詩」でしょう...おいら号泣してしまいました。この劇団の主宰者であり作、演出、美術、音の選曲の全てをこなす東憲司さんは無類の演劇小僧(年はとってもこの言葉がピッタリです)。トム・プロジェクトでも、これまで7本の芝居を依頼しました。同じ福岡の出身であり、芝居に対する姿勢に共感するものがあり毎回楽しみに観ている劇団の芝居...今回の「蝉の詩」はこれまでの劇団の集大成ではなかろうかという程の仕上がりでございました。東さんが育った遠賀川で運送業を営む父親と、その確執から争いが絶えない四姉妹の話を軸に、昭和30年代の光と陰を見事な美術、照明、音楽、そしていつもながらの役者陣が繰り出す丁々発止の演技で描き出しました。これがまたテンポが良く小気味が良いくらいの展開。笑いあり、涙ありの、まさしく演劇のエッセンスがてんこ盛りでござんした。江東区にある倉庫を劇団員が一体となって手作りで見事な劇場に創りあげるんですから涙がちょちょぎれます。芝居作りの原点はここにあり!芝居の中で、西鉄ライオンズが出てきたのもよござんした。姉妹の一人が西鉄ライオンズの帽子を被り「稲尾投手好いとう...」なんて台詞を喋ると、おいらもついついにやけてしまいますばい。そして、この芝居のテーマ曲である「アルハンブラの思い出」がとても効果的でした。スペインと福岡が見えない糸で繋がってるんじゃないかしら?いや、おいらの中では40年前から繋がってるんで、これまた東さんのドラマツルギーはおいらと一緒やないかと嬉しくなった次第です。こんな芝居観ると、芝居稼業からなかなか抜け出すことができませんがな...困った困った。

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久し振りに男泣き

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