トムプロジェクト

2017/08/18
【第988回】

今年の芥川賞受賞作である沼田真佑さんの「影裏(えいり)」を読了...審査員賛否両論の作品。おいらは思ったさ、アート全般に言えることだが、表現の原点は、この世界に向かって何が言いたいか!と言う一点に尽きる。言葉はまさしく言霊、言葉を弄んでテクニックに走るのが一番アカンと思います。要するに奇を衒うってやつですね...作者は震災とLGBTというテーマを使っているのだが、必然性も感じられず、巧みな語彙の構成に自己陶酔しているのでは?なんて見方もされかねない作品かも知れない。でも、まだまだ若い作家でもあり、時折光るフレーズの新鮮さ、そして最初の作品で文学界新人賞も受賞した逸材ですから今後に期待したいものです。
風間杜夫ひとり芝居「ピース」の稽古も始まりました。来年のNHK大河ドラマ、10月から始まる日テレ新番組の収録、そして映画、その合間を縫いながらの稽古。いやいや、ひとり芝居ですから当然のことながら台詞は全てひとりで覚えねばなりません、1時間20分の膨大なる台詞、おいらなんて考えただけでぞっとしますがな...ところが役者になるべくしてなった杜夫ちゃんは違うんですな。台詞を読み込みながら自分のリズムを上手く取り込み形にしてしまうんですね。落語も一流、ひとり遊びはお手のものかも知れませんね、稽古の過程を観てるだけでも一本の芝居を鑑賞してるぐらいの面白さです。来月9月3日、俳優座劇場の初日が待ち遠しいです。残りチケットも僅かになりました...これ見逃すと後悔してしまいますぞなもし。

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あの夏はどこに行ったんでしょうか...

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