トムプロジェクト

2017/11/08
【第1020回】

表参道も随分様変わりしました...嘗ては日本の典型的な長屋を思わせる、日本初期の近代的な鉄筋コンクリート造の耐火アパートとして、関東大震災後に復興住宅として建設された同潤会アパートが参道の一角を占め、お洒落な街並みと程よくマッチした風景を醸し出していました。ところが、11年前に安藤忠雄設計による表参道ヒルズが完成すると一気に世界のブランド館が建ち並び、アジアを含めたお上りさんが散策する街に変貌いたしました。でも、あのケヤキ並木は、時代の流れをものともせず道行く人達を和ませてくれます。おいらのスペイン時代の友人は、この通りを根城にして指輪、ネックレスなんぞをタイから仕入れて一財産を築きました。今はのんびり南の島で優雅に好きな絵を画いて暮らしてます。昨年、八重洲の画廊で個展を開いたので久しぶりに会ったんだが、少しもぶれることなくスペイン人を貫いておりました。この参道は夜になると大人の街にチェンジします...それを見越して異国の楽士がロマンチックな音色を奏でてくれてます。おいらもしばし耳を傾け、前に置かれたカンパ箱に気持ちをチャリン。さあ帰ろうと、地下鉄表参道の駅に向かおうとしたときに、なんと財布が落ちてるではないかいな。かなり膨らんでいる中身、側に交番があったので即届け、立ち去ろうとすると若いお巡りさん「すみません、書類にサインお願いします」おいら一瞬いろんなことが頭を巡りました。一番イヤだなと思ったのは、お金だけ抜いて届けたんじゃないか?なんてこと思いました。これは、良くあるケースですな、おいらも経験があります。見事に現金だけ抜かれカードだけ戻ってきました...落とし主からの連絡も要りまっせん!ということでなんとか交番から逃れることが出来ました。それにしても親切心と疑心が背中合わせになってるなんて、なんともおかしな話しですな。

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今宵もロマンチックな夜を...

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