トムプロジェクト

2017/12/06
【第1031回】

昨日、久しぶりにニーナシモンのCDを聴いた...14年前に70歳で亡くなったアメリカを代表するジャズシンガーである。「ソウルフル・アンソロジーRCAイヤーズ」の中のwhy?(キング牧師は死んでしまった)はたまりません...この曲を聴く度に当時学生運動に傾倒し挫折していった友人のことを想い出します。新宿のデモの帰りに倒れ込むようにおいらのアパートにきた彼に、僅かな食事と安ウイスキーを提供し慰め励ました記憶があります。その当時、おいらはLPレコードの蒐集をし始めJAZZのLPも数枚持っていました。心身ともに困憊状態である彼に癒しの一曲と言うことで、このwhy?に針を落とした次第です。その当時、人気と実力の絶頂期に、マーティン・ルーサー・キング・Jr.を中心とする黒人公民権運動、さらにより過激なマルコムXやストークリー・カーマイケルらの運動に傾倒していくと同時に、メインストリームの音楽シーンから忌避されていったニーナシモン。彼女の心境と運動に疲れ壊れていく彼の姿が重なったかもしれません...

曲と人生がオーバーラップするほど、一枚のLP、CDは人生の伴走・伴奏者でもあります。数あるなかから、ふと手にしたアルバムから、過去の記憶がまるで走馬燈のように蘇ってくる音楽のチカラは半端じゃありません。確かに、音楽はいつだって世界のあらゆる人々の心に訴える、最も強力な言語かもしれませんね。

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街はクリスマス一色

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