トムプロジェクト

2018/01/26
【第1048回】

東京芸術劇場で和製ミュージカルと銘打った「写楽」を観劇...あの浮世絵師写楽の絵、実は影武者の女性が描いていたという設定で進んでいくドラマ。この芝居で版元、蔦屋重三郎を演じる村井國夫さんがとっても素敵でした。御年74歳、色気もあり、重厚な演技にしびれる歌声。若い俳優にとって、こんな魅力あるベテランが居るだけで、とてつもない勉強になると思います。トム・プロジェクトでは2012年に上演した「満月の人よ」での、だらしなく飄々とした佇まいで演技する村井さんには本当にびっくりしました。それまでの村井さんのイメージは、ニヒルで威風堂々としたミュージカル俳優という認識でしかありませんでした。ところがどっこい、田舎の駄目親父を何の違和感もなく自然体で表現していく姿に唯々感動。それだけではとどまりません...2016年での「砦」の芝居では、権力に対峙する老人を、まさしく骨太で心情溢れる表現力で演じて頂きました。舞台に立つ役者の姿には、その人の過ごしてきた人生が重なります。試行錯誤の中、己の感性で何を掴み取ってきたのか?どのような人間関係を培ってきたのか?役者の一挙手一投足ですべてが視えてきます。そこが生の舞台の面白いところです。普段は、物静かで淡々と話される村井さん。舞台に上がると、74年間生きてきたエッセンスを要所要所に散りばめていく演技力は、これぞ役者。

その「砦」、今年の春、再演します。これを見逃しちゃ、芝居の話は語れませんぞなもし...

1048.jpg

まだまだ雪国です

<<次の記事 前の記事>>