トムプロジェクト

2018/03/12
【第1065回】

先週の土曜日、「砦」の最終稽古に行ってきました。ダムの底に沈む故郷に異議を唱え反対し、最後は敗れ去った室原友幸さん夫婦をベースにした芝居です。奇しくも事故から7年、未だに故郷に戻れない東日本大震災の被災者の人たちのことが重なりました。生まれ育った土地は、その人の人格、品格を育んでいきます。その土地でしか生まれないエキスを存分に吸い込み、たくさんの思い出を身体に染み込ませます。どこに行っても、その思い出は終生忘れることがありません。そんな故郷が見るも無惨な形になるなんて、ましてや帰還困難なんて状態になったときの衝撃は計り知ることができません。いつものことながら、こんなことも急速な時代の流れと共に風化し、過去のこととして忘れられるのが世の常です。

今回の「砦」の実話も、どれだけの人が知ってるんでしょうね...そんな無念の人達の気持ちを掬い上げ、利便性、発展、金儲けに邁進してきたこの時代に一石を投じていくことが、今まさに生きてる人達の責任だと思いますよ。ぼけっとしてたら、今日も話題になってる行政のごまかし、政治家の横暴、司法の権力への癒着みたいな体たらくに、気づくこともなくただただ日常のくだらないテレビのおちゃらけ番組を見ながらの垂れ流し人生になっちゃいますぞなもし...そんな人間をより多くつくり出し、時の権力者、経済優先の企業家の下部にしようとする企みに疑問を抱き、人が人として生きていける社会にせにゃなりませんがな。

と、言うわけで今回の「砦」ご覧になるとその辺のところがよく分かると思いますので、是非ご覧になってくださいませ。

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暮れそうで暮れぬ

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