トムプロジェクト

2018/04/11
【第1077回】

昨日「砦」の東京公演の初日を迎えることが出来ました。先月より北海道、四国を巡演してからの公演です。この国では現在、公共事業を含め様々な問題をめぐり大変な騒ぎになっており、今回の上演はタイムリーな作品になっているのではなかろうか...それにしても主人公である実在の人物室原知幸さんのダム建設に対し、徹底的反対する様は尋常ではない。今の政治、行政、司法の歪みに対し敢然と闘う市井の人たちと何故か重なる。そしてその夫に従順に寄り添った奥さんの心情が、夫婦の深い情愛へと繋がっていく。二人だけの旗を作っていく過程に中に、夫婦の得もいえぬ葛藤が観客の心を捉えて放さない。

僅か5人の登場人物でこの壮大なドラマを創りあげた東憲司さんの筆力、演出力はただものではない。東さんの描く世界には、常に弱者に対する慈しみが満ちあふれている。演劇も様々なジャンルがあって当然なのだが、おいらにとっての芝居は常に名も無き市井の人たちの目線で創りたいと願っている。なにもプロパガンダ劇を創ろうとは思っていないし、警鐘劇なんて考えても居ない。唯々、ささやかながら懸命に生きている人たちの貴重な汗に通じるドラマを産み出していきたいと思っているだけだ...

4月15日(日)までの公演です。今この時期、観て損はさせない芝居ですぞ!

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ビルの春

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