トムプロジェクト

2018/06/04
【第1097回】

あの小さな倉庫を劇場にした場所で屋台崩しとは...やりますね!劇団桟敷童子の皆さん。コアなファンを持つこの劇団の新作「翼の卵」を観てきました。今回の公演もチケット完売。嬉しい限り...舞台一面を覆いつくす緑、古めかしい館などなどすべて劇団員の手作り、もちろん衣装もです。セット、衣装すべてが身体にフィットして、まるで九州地元の人たちに見えますばい。九州弁もすっかり板につき、博多出身のおいらもご機嫌です。それにしてもこの劇団の主宰者・東憲司さんは徹底的に九州に拘ります。観客に飽きられようが、憲司少年がかつての福岡で夢見た人間の温かさ愚かさ冷酷さをドラマに仕立て上げていきます。彼の芝居を観ているといつも思います。おいらが住んでた博多の末広長屋にも同じような人たちがたくさん住んでました。まともに生きられない反社会的なワル、いつも騙される心優しき人、貧しくとも夢見る少年少女、頑固おやじに浮気おばさん...などなど、ドラマになる登場人物オールスター勢ぞろいでございました。それだけに人間関係がうるさいほど濃密であり、現代のSNS時代とは真逆の環境の中、皆必死豆炭で命を燃焼しながらも楽しく生きてた気がします。そんな時代を彷彿とさせる劇団桟敷童子の芝居おいらは好きです。

もっとお洒落で、軽くて笑えて面白い芝居もいいでしょう...でも、こんな芝居が上演されなくなった時代こそ無味乾燥、殺伐な時代では無いかと思います...そんな時代にならぬようにと、なんとかブレーキをかけてる気がしてなりません。いつまでも上演し続けて欲しい劇団のひとつです。

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休日の公園

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