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【第327回】

 厳寒の中、たわわに実った見事な蜜柑を眺めていると何故か心が安らぐ…蜜柑は今でも庶民の果物の王様だ。手軽な値段で気安く口にすることが出来る。年末のスーパーで若い店員が声を張り上げ「年末年始はテレビを見ながら欠かせないのがみかんです…」そうだな、昔は皆こたつに入りテーブルの真ん中に鎮座しておったのはみかんでございました。大きさも手頃で、誰彼と奪いあいも起きず、ごく自然に手が出る果物でした。たまに、なかなか手に入らない高価なものになると、おいらなんか兄弟5人、母が五等分した高価な逸品に気もそぞろ。一番大きなものはどれやろか?目ん玉キョロキョロさせながら手を出すチャンスを覗ったもんでございます。隙あらばの精神は、こうやって養われたのかもしれまっせん。喰うか喰われるかの時代、悠長なこと言ってたら生き残れない時代の出来事でございます。おいらの弟はのんびりしていて、いつも最後の残り物の小さなものしか手にすることが出来なかったので背が伸びなかったのかな?ごめんちゃいな愛おしき弟よ…今は、博多でもうすぐ94才になる母の面倒を見ています。
昨日も、事務所に下條アトムさんから蜜柑の差し入れがありました。あの色といい、庶民性といい、程よい口当たりといい、やはり身近な果物の王様です。

 





冬の蜜柑


 

2012/2/3    岡田潔



 
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