トムプロジェクト

過去の作品 一人芝居

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風間杜夫ひとり芝居

三部作一挙上演!


【作・演出】水谷龍二
【出演】風間杜夫

2003年10月 紀伊國屋ホール

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文化庁芸術祭 演劇部門大賞 読売演劇賞 最優秀男優賞 バッカーズアワード演劇奨励賞

 

一人芝居を創りつづけたトム・プロジェクトが、その集大成としてお贈りする一人芝居のビッグプロジェクト。
平成9年に、人情喜劇の旗手として注目を集めていた水谷龍二に白羽の矢をたて、第一作「旅の空」を上演。
水谷龍二の描くこまやかな人情の機微、温かさ、ユーモアが幾重にも織り込まれ、一人芝居の面白さを十分に堪能させてくれた。
第二作は、平成12年の「カラオケマン」。時代の申し子であるカラオケにスポットをあて、ひとりのサラリーマンが繰り広げる人生の哀歓劇。
歌あり、笑いあり、涙ありの三位一体の傑作エンターテイメントの誕生。世界に通用するとの判断からスペイン、中国公演を敢行。
ヨーロッパそしてアジアの観客も大喝采!あらためて風間杜夫の役者としての力量を他国をも含めて立証した次第である。
と、ここまでくれば第三作が待ち遠しい!今尚、芝居の面白さ、楽しさを追求してやまない水谷龍二に、その完結篇を依頼。
人気、実力併せ持つ風間杜夫の魅力満載の舞台になること間違いなし!
この三部作は、それぞれが独立した作品であるが、主人公は日本のどこにでもいる普通のサラリーマンである。
職場、家庭を軸に汗掻き、恥掻きながらも、夢と浪漫を持ちつづける少年の心を持った男の話である。


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 第 三 部     waku_hitori_01.jpg

       

【 あらすじ 】
職場もリストラや賃金カット、家庭でも居場所のない中年のおじさんには、世間の風は冷たい。
そんな世間の荒波に記憶を失ったままの男は立ち向かう。
自分の名前も、家族も仕事も何一つ思い出せない。ただ、甦った少年時代の楽しかったこと、好きだったことを頼りに第二の人生を歩み出す。
少年の心を持ち続けるおじさんは頑張るのだった......。



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団塊の世代を代表して演じます、歌います、ハジケますとチラシに書いてあるが、昭和22年から24年生まれまで、つまり戦後のベビーブーム時代に生まれた人たちが団塊の世代と呼ばれている。
僕は二年ほど後輩だが、団塊の世代の友人・知人は実に多い。放送作家の先輩がほとんどそうだったし、ディレクター、プロデューサー、役者にも多い。
その中の一人が風間さんである。97年の『旅の空』に始まり、2000年の『カラオケマン』、そして今回、新作『一人』を加えての三部作一挙上演。
『カラオケマン』の冒頭に歌われる三波春夫の長編歌謡浪曲に匹敵する、風間杜夫の長編一人芝居である。
15分の休憩を挟んで三時間、たった一人で演じきる。この無謀とも言える企画を立てたのは誰であろう風間さん本人である。しかし一人として反対はしなかった。観てみたい。それが率直な感想だった。
いくら芝居が好きでも、そう簡単に思いつくことではない。正に男の心意気、挑戦である。
若い連中から口うるさいオヤジ、スケベなジジイと揶揄される団塊の世代だが、僕に言わせれば夢と情熱を決して捨てないタフでしぶとい世代である。
僕は演出も忘れ、ただただ見入っている。
粋な啖呵に三度笠、演劇街道一人旅、男風間の心意気。そんな感じだろうか。

― 作・演出/水谷龍二 ―

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1976年の真夏、新宿花園神社の社務所の一室で物静かに本を読んでいる風間杜夫。
あの日、あの時の佇まいが、今でも僕の脳裏に鮮明に刻み込まれている。
三國連太郎さんを座長とした芝居「からふとの詩・血に咽ぶ霧の伝説」の稽古中での一コマ...。東京公演を終えた後の北海道公演中も、芝居のことより毎夜繰り広げられた宴の日々が懐かしい。
芝居はうまいし、遊びも軽快。その後の銀ちゃんを予感させるに十分であった。それだけではない。この芝居の打ち上げでの出来事は、何事にも媚びない凛とした住田知仁を見た。
一人のスタッフが理不尽な発言をするや否や、突如怒り出し、あの穏やかな風間が!と皆驚きの顔。"男"風間の心意気を見せ付けられた瞬間でもあった。
その後、僕は10年ばかり世界をフラフラと放浪し帰国。日本のメディアは風間杜夫の名前で満ち溢れていた。
あの日、あの時から一段と艶っぽく、男の哀愁が漂っていた。
帰国後、一人芝居を連続してプロデュースしていた僕にとっては、風間杜夫はどうしても演って貰いたい俳優であり、若い時代の熱い思いを共有できる友として、演劇という土俵で汗をかき、悪戦苦闘しながらもクオリティの高い作品を創りたかった。
そして一人芝居の面白さを、作家、役者、観客に堪能して欲しかった。
第一弾は、水谷龍二作・演出を得る事により「旅の空」でスタート。団塊の世代として声高に訴えるのではなく、どこにもいる市井の心情をきめこまやかに吐露していくこの芝居は、試行錯誤しながらもステージを重ねるごとに風間杜夫のものになっていった。
第二弾は、初演をスペインで敢行した「カラオケマン」。
水を得た魚のごとく、舞台で歌い演じる姿に各地の観客は大喝采。
ワールドツアーをもくろんでの中国公演も大成功。そして今回の新作を加えての三部作一挙上演と順風満帆な流れだが、僕としてはこれで満足しているわけではない。
稀代まれなる俳優、風間杜夫の魅力は、まだまだこんなものではないと思っている。今後いろんな仕掛けを考えているので乞うご期待!
舞台、酒宴の席でいろんな顔を見せてくれる風間さん。
でも、僕はあなたの本質は、あの日、あの時の物静かに本を読んでいる姿だと思っているんですが、あなたも一流の役者。
あの花園神社の一コマは、僕の思いを見事に裏切るドンピシャリの演技をしていたのかもしれない...。

― プロデューサー 岡田潔 ―