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借金取りに追われる父と、若いストリッパーが転がり込んだ神戸の街で
震災で心の傷を負った青年の叫びが心に響く。
阪神大震災から10年。廃虚と化した街に高層マンションが立ち並び、表面上は被害のつめ跡が消え去ったようにも見える。しかし、心に深い傷を抱えて生きる人々がいる。そんな被災者の若者が希望を取り戻すまでを、兵庫県生まれの鄭義信が心温まる筆致で描いた。 地震で壊れた屋根がそのまま残る寂れた鉄工所。そこに一人で暮らす徹(岡田義徳)のもとに、借金取りに追われる父(ベンガル)と若いストリッパー(冨樫真)が転がり込んでくる。母が別の男と再婚した後、時々自分に会いに来る父を幼かった徹は「カラフト伯父さん」と呼んで慕っていた。だが、母の死を看取らず、震災の時も何の手助けもしてくれなかった父に対し、やがて激しい憎悪を抱くようになっていた。 手を差し伸べてもらえなかったことへの絶望や怒り。今も生々しく残る地震への恐怖。多くの人が亡くなった中、自分だけが生き残ってしまったという罪悪感…。さまざまな思いに苦しみ、将来への希望も無く生きる徹だが、父たちとの暮らしを通して少しずつ心を開いていく。 いい加減でだらしないが、どことなく憎めない父親役がベンガルにぴったり。底抜けにはじけた冨樫のストリッパー役も楽しい。うっ屈した心情を巧みに表現した岡田との3人だけの芝居だが、息の合ったアンサンブルを形作った。大いに笑えて、最後はしんみりと泣ける。
(2005年6月15日 読売新聞 劇評  多葉田聡)

岡田義徳、ベンガル、冨樫真、このトリオのアンサンブルと白熱の演技がいい。涙と笑い、 エロス、残酷あり、スピーディーな場面処理あり・・・・・・・芝居は見てのお楽しみだ。「これぞ今日の芝居だ」とい好モデルだ。再演ごとに深みをます芝居になるだろう。
(テアトロ 2005年8月号 中本信幸)

場所は神戸。阪神大震災から10年を経過した現在が舞台だが、さびれた町同様に青年はいまだに心の傷を抱えて生きている。途切れてしまった父湖のきずなが震災を契機にさらに深まっていた。意思の疎通のズレが大きな波紋に広がる怖さ、身勝手さの悲しさ三者三様のダメ人間ぶりにはごく普通の人間像でもある。演出は心のヒダを丹念にさぐり当てていく。奔放な冨樫が役得ながら好演だ。
(木村隆 舞台評 スポーツニッポン 2005年6月14日)

岡田義徳 プロフィール

1977年生まれ、岐阜県出身。95年、映画「渚のシンドバット」の好演で人気を博し、 その後も数多くの映画、TVで活躍。初舞台はG2プロデュース「いつわりとクロワッサン」。 NODA MAP第8回公演「カノン」、椿組野外劇「GS近松商店」、「漂う電球」などにも出演している。 また近年では話題の映画「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」、TV「野ブタをプロデュース。」(05)などに出演。 今最も注目される若手俳優の一人である。
冨樫真 プロフィール

仙台市出身。98年、映画「犬、走る」(崔洋一監督)でヒロインを演じ、高崎映画 祭最優秀新人女優賞受賞。「閉る日」(行定勲監督・主演)「マブイの旅」(出馬康 成監督・主演)などにも出演。舞台では、蜷川幸雄演出「十二夜」で主演バイオラ 役、世田谷パブリックシアター「リア王の悲劇」、トム・プロジェクト「子供騙 し」、「カラフト伯父さん」「夕空晴れて」「東おんなに京おんな」「骨唄 〜骨、咲キ乱レテ風車〜」など
ベンガル プロフィール

劇団自由劇場を経て76年に柄本明、綾田俊樹らと「東京乾電池」を結成。主な出演作品には 映画『県庁の星』『ピーナッツ』『男はソレをがまんできない』、テレビ『HERO』『こちら本池上署』などがある。 舞台では主に劇団本公演、ベンガル・綾田俊樹プロデュース公演などに出演。 個性的なキャラクターを活かし、映画、テレビ、舞台など多方面にて活躍中。
映画や舞台にひっぱりだこの 鄭義信の書き下ろし。出演者も異色の顔ぶれがそろった。 TV、映画、舞台で大活躍の若手俳優・岡田義徳、東京乾電池の 創立メンバーで、柄本明と共に怪優の異名をとる ベンガル、そして「子供騙し」でも個性が光った冨樫真。3人が織りなすドラマには、予期せぬ結末が待っているに違いありません。ぜひ、お見逃しなく! 劇作家・演出家の鄭義信は、1987年劇団「新宿梁山泊」の旗揚げに参加。座付き作家として、数々の話題作を発表。1993年には『ザ・寺山』にて岸田戯曲賞を受賞。「梁山泊」退団後は、劇団の戯曲や演出を手がけると共に、多くの映画脚本を執筆。崔洋一監督との共同脚本『月はどっちに出ている』では、日本アカデミー賞などあらゆる映画賞を総なめ。『愛を乞う人』で第1回菊島隆三賞、キネマ旬報脚本などを受賞。今年も話題作ビートたけし主演『血と骨』ほか3本の映画脚本が控えているほどの実力・人気を兼ね備えている作家である。彼の描く世界は、人間の枝葉末節な部分である愚かさ、情けなさにフォーカスを合わせながら、人間の持つ愛おしさ、孤独、痛みをあぶりだしていく。その過程の中に人の心の動きが、実に見事に描き出されている。しかし、どの作品にも陰陰滅滅したものはなく、コミカルで希望の光が灯っている。その原点は、関西育ちで吉本新喜劇で少年時代を過ごしたことに所以がありそうだ。

今回、鄭義信に依頼した作品は男女3人の芝居。鄭ワールドに蠢く3人の男女。
孤独・愛・希望のミステリアス・トライアングル・ストーリーの幕が開く!

鄭 義信(チョン ウイシン)プロフィール

兵庫県姫路市出身。劇作家。舞台作品のみならず、多くの映画、テレビの台本を手掛けている。主な作品に演劇では『ザ寺山』第38回岸田國士戯曲賞を受賞(93)、『杏仁豆腐のココロ』など。映画脚本、『月はどっちに出ている』キネマ旬報脚本賞(93)、毎日映画コンクール脚本賞(93)『岸和田少年愚連隊』『愛を乞うひと』第1回菊島隆三賞、キネマ旬報脚本賞(98)、日本アカデミー賞最優秀脚本賞、アジア太平洋最優秀脚本賞(99)、『OUT』『血と骨』キネマ旬報日本映画脚本賞(04)他。テレビ脚本、『僕はあした十八になる』(NHK)平成13年度文化庁芸術祭賞大賞(01)、『六月のさくら』(北海道テレビ放送)平成16年度文化庁芸術祭賞優秀賞(04)。
 
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