演劇界の重鎮・別役実。近年、新たな視点で見直され、数多くの芝居が作り出されています。その別役実による新作は、TV・映画・舞台で何故か気になる俳優・柄本明のひとり芝居。柄本明は居るだけでニヤリと笑ってしまいます。彼の表情は千変万化。卑屈な人間から政治家、医者まで様々な人物を演じ分ける怪優。柄本明の演技は、どんな役柄も自分自身に引き付けるところに特徴があります。そういう意味では、柄本明を通して役を見るという面白い現象が生じることとなります。彼の笑いのツボにはまると、たちまち柄本ワールドの虜になることは間違いありません。

柄本明 プロフィール

東京都出身。74年「自由劇場」に参加、76年ベンガル、綾田俊樹らと共に「東京乾電池」を結成。既成の演劇の枠を越えたユニークな舞台で圧倒的な人気を博す。外部出演も多く、「浅草パラダイス」では中村勘九郎、藤山直美との三枚看板で主演。映画出演は数多く。「空がこんなに青いわけがない」では初監督も勤めた。97年度カンヌ映画祭グランプリ「うなぎ」に出演後、98年同映画祭招待作「カンゾー先生」に主演し、日本アカデミー賞、キネマ旬報、日刊スポーツ、報知映画賞など各賞の最優秀主演男優賞に輝く。最近の映画出演は「やじきた道中てれすこ」「呉清源」「魍魎の匣」などがある。06年はNHK大河ドラマ「功名が辻」に豊臣秀吉役で出演。

 

別役実 プロフィール

1937年、満洲国特別市生まれ早稲田大学政治経済学部政治学科に入学。鈴木忠志らと出会い、劇団「自由舞台」で演劇と学生運動にのめり込む。その結果、同大学を中退。処女作は『AとBと一人の女』とされているが、正確にはその前の習作として『貸間あり』『ホクロソーセージ』などがあった。1963年、『マッチ売りの少女』『赤い鳥の居る風景』で第13回岸田國士戯曲賞を受賞。1990年代に入ってからは、日本劇作家協会の立ち上げなどに尽力し、現在に至る。2003年からは兵庫県にあるピッコロシアターに併設された兵庫県立ピッコロ劇団の代表を務めている。

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