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文化庁芸術祭 演劇部門大賞!!
読売演劇賞、最優秀男優賞
バッカーズアワード演劇奨励賞
 
子供の頃から時代劇が大好きで、中でも錦之助の大ファン、落語は痴楽、高校時代は演劇部に籍を置き、ヒッチハイクで一人旅もした。そんな男がある日、サウナで記憶をなくす。男は自分の名前すら思い出せない。やがて断片的に甦ってくる青春時代の記憶……。


  男の心意気

 団塊の世代を代表して演じます、歌います、ハジケますとチラシに書いてあるが、昭和22年から24年生まれまで、つまり戦後のベビーブーム時代に生まれた人たちが団塊の世代と呼ばれている。僕は二年ほど後輩だが、団塊の世代の友人・知人は実に多い。放送作家の先輩がほとんどそうだったし、ディレクター、プロデューサー、役者にも多い。その中の一人が風間さんである。97年の『旅の空』に始まり、2000年の『カラオケマン』、そして今回、新作『一人』を加えての三部作一挙上演。『カラオケマン』の冒頭に歌われる三浪春夫の長編歌謡浪曲に匹敵する、風間杜夫の長編一人芝居である。15分の休憩を挟んで三時間、たった一人で演じきる。この無謀とも言える企画を立てたのは誰あろう風間さん本人である。しかし一人として反対はしなかった。観てみたい。それが率直な感想だった。いくら芝居が好きでも、そう簡単に思いつくことではない。正に男の心意気、挑戦である。若い連中から口うるさいオヤジ、スケベなジジイと揶揄される団塊の世代だが、僕に言わせれば夢と情熱を決して捨てないタフでしぶとい世代である。まだ稽古の途中だが、僕は演出も忘れ、ただただ見入っている。粋な啖呵に三度笠、演劇街道一人旅、男風間の心意気。そんな感じだろうか。
作・演出 水谷龍二
平成15年度日本演劇協会賞 受賞(対象作品:『風間杜夫ひとり芝居三部作 一挙上演!!』他)
水谷龍二プロフィール

北海道苫小牧出身。『コント55号のなんでそうなるの!?』で放送作家になり、数々のバラエティ番組を経て、82年からドラマの脚本、芝居の作・演出を始める。94年、星屑の会を結成。主なテレビドラマ『学問ノススメ』『四月の雨』『深夜特急』火曜サスペンス劇場『どうぞ安らかに』など。主な舞台『淋しい都に雪が降る』『星屑の町』『麗しき三兄妹』『次郎長漫遊記』。 2000年夏、中村勘九郎主演の新作歌舞伎『愚図六』、02年、明治座で風間杜夫主演『居残り佐平次』の作・演出。04年、新橋演舞場で中村獅童主演『丹下左膳』の監修・脚本を手掛ける。



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