【第503回】
カルロス・サウラ監督が2012年に創った「フラメンコ・フラメンコ」を観る。この監督1983年作「カルメン」以来、フラメンコ映画の巨匠とも言われている。フラメンコが持つ土着性をアートの位置に高めた功績は認めるが、流浪の民ジプシーの生活感が失われる感は否めない…フラメンコの魅力は、何と言っても定住地を持たず、差別を受けながらも逞しく生活し続けるヒターノの哀感…これが聴く人、観る人を釘付けにするのでございます。
おいらがスペインに住んでるときに良く目にした光景。鉄道での移動中、意味なく停車時間が長いときが頻繁にありました。なんでやろ?ホームに降りてみると、なんとヒターノ一家が家財道具を一式降ろしているではありませんか!鍋、ベッドのクッション、椅子、大きな物から小さな物まで、よくまあ積み込んだものと感心すると同時に、これを許すスペイン鉄道の寛容さにも驚いた次第です。そして何よりも、この状況にいらいらすることもなく我関せず状態で気長に待っている乗客にも唖然といたしました。この世知辛いニッポンではありえないシーンでありました。
そんなことを想い出しながら「フラメンコ・フラメンコ」観てたんですが、カンテがたまらんですばい!あの唄声聴いてると、おいらにとっての第二の故郷アンダルシアに行きとうなります…
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