舞台は田舎のひなびた理髪店。夜の七時過ぎ、営業を終えた店内で、従業員の佳子が店主の倉田の髭を当たっている。佳子がこの店で働くようになって一月半、倉田にとって彼女の存在が密かな喜びとなりつつあった。佳子と二人きりで過ごすひとときに、胸がいっぱいの様子だが、店の外は濃い霧が立ち込め、何かが起こりそうな予感…。
するとそこに、店の扉を開け一人の男が入ってきた。霧が晴れるまで休ませてほしいと言うが、どうも様子がおかしい。普通の勤め人ではなさそうだ。やがて霧が晴れ、男は出て行くが、なぜか怯えている佳子。そして戻ってきた男が語ったのは、意外な事実だった。