初演: 1996年7月5日〜7月6日
三鷹市芸術文化センター
7月8日〜7月10日 近鉄アート館
7月12日 メディアシティ静岡
7月15日〜7月21日 シアターX

今、舞台上に一人の女優がいる。彼女は才能と美貌に恵まれ、女優としてのあらゆる栄光を手に入れた。しかし、それと同時に恋に破れ、あまたのスキャンダルにも塗れ、この世の孤独も思い知った。まさに、彼女の生き様のすべてが女優なのである。
その女優が、今、一世一代の舞台をつとめようとしている。彼女の半生を綴った自伝的な芝居である。だが、彼女は悩んでいる。狂った昔の恋人に胸を刺されて死ぬときの、今はの際の台詞がイマイチしっくりこないのだ。波乱万丈の半生のラストシーンにふさわしい台詞が欲しい。私の人生そのもののような美しく、悲しく、りりしい言葉が……。
そして、彼女は言葉を捜し続ける。深い致命傷を負いながら、まるで死ぬことを忘れた魔女のように、スポットライトを浴びながら、延々としゃべり続けて。
人は死の間際、その人生のすべてを走馬灯のように見るという。彼女の場合は、そこで、人生のすべてを語り尽くしてしまうかもしれない。胸にナイフが突き刺さったままで、ランボーでも即死しそうな大怪我なのに……。

作・演出 横内謙介
美術 島川とおる
照明 塚本 悟
音響 藤田赤目
作曲 佐藤容子
衣裳 阿部珠美
舞台監督 上野博志
演出助手 山越正樹
写真 宮内 勝
プロデューサー 岡田 潔
協力 花組芝居・扉座



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