初演: 1998年9月8日〜9月13日 
シアタートップス

ルー大柴の魅力は、日本人離れした破天荒な演技ではなかろうか。そのルーツは、高校卒業後にヨーロッパ、アメリカをヒッチハイクした経験から来ているのであろう。路上で馬の釘を加工して、アクセサリーを売りながらの生活はどんな役者修業よりも貴重な体験だったに違いない。帰国後、役者を志し勝新太郎が主宰する勝アカデミー第一期生として小堺一機らと一緒に勉強をする。
その後、アンダーグランド劇等を経て、関根勤の「カンコンキンシアター」出演後、脚光を浴びる。その後の活躍は誰しもが知るところである。今回の一人芝居は、ルー大柴のこれまでの芸人としての音楽、役者、DJ司会業すべてを盛り込んだ、まさしく集大成となる作品になるはずである。平成のあばれ馬"ルー大柴"を調教するのが鳳いく太。1980年に結成された劇団游劇社の代表者として、ブラックユーモア溢れるお茶の間不条理劇を数多く、作・演出した鬼才である。1996年には「家族の神話」で第一回アリス演劇賞を授賞。ルー大柴の知られざる魅力を引き出してくれる調教師としてはうってつけの人選である。
これまで企画制作してきたトム・プロジェクトの一人芝居とは、一味も二味も違う型破りな一人芝居の誕生を予感させるに十分な組み合わせである。1998年に初演した時には、劇作家・シナリオライターである三谷幸喜氏が観劇し、開口一番「今年私が見た芝居の中で一番面白かった!」との評。劇中で作ったライスカレーを奥様である小林聡美さんともども試食して劇場を後にしたというエピソードがあるように、世界演劇史上、類を見ない、舞台上で実際ライスカレーを作りながらドラマが進行していく仕掛けになっている。
終幕には場内にカレーのルーの香りが漂い、人生の哀歓を感じさせてくれる内容とあいまって、ほのぼのとした気分にさせてくれる。ルー大柴、秘伝・極上の「ライスカレー」あなたも試食して見ませんか?

作・演出 鳳いく太
美術 加藤ちか
照明 加藤 学
音響 半田 充 
舞台監督 土居三郎・小林潤史
宣伝美術 本田博通
レイアウト 企画ケイエス
プロデューサー 岡田 潔
協力 浅井企画 




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