文化庁芸術祭 演劇部門大賞!!
読売演劇賞、最優秀男優賞
バッカーズアワード演劇奨励賞
 

風間杜夫プロフィール

1949年、東京生まれ。59〜66年子役として活動。 早大演劇科、俳小附属養成所を経て、72年「表現劇場」を旗揚げ。 77年よりつかこうへい作品の主軸俳優として人気を博す。 82年映画『蒲田行進曲』で脚光を浴び、83年TV『スチュワーデス物語』でお茶の間に浸透する。以来、その演技力は高い評価を得て、数多くの演劇、映像作品をはじめ、幅広いジャンルで活躍。華のある実力派俳優として、常に第一線を走りつづけている。 主な作品は、映画『異人たちとの夏』『霧の子午線』、主なTV『銭形平次』『スチュワーデス物語』『ゆうれい貸します』『人間の証明』、主な舞台『熱海殺人事件』『人間合格』『日本の面影』『居残り佐平次』『燃えよ剣』『ラストショー』など。

平成15年度(第8回)芸術祭大賞 贈答理由

舞台に登場するやいなや観客の心をワシ掴みにし、虚構の世界へと軽やかに引き込んで行く。なんとも恐るべき力量である。三時間弱の一人芝居『カラオケマン』『旅の空』『一人』の三部作を演じることによって、一人のサラリーマンの心の旅路が完成する。笑いとペーソス。余裕すら感じる個人芸が全開したと言えるだろう。

読売演劇大賞(第11回)最優秀男優賞受賞
審査評 北川 登園


近年、小劇場出身の俳優の活躍が目立つ。風間杜夫はその先駆けと言っていいが、小劇場出身者に散見される特有の“癖”のようなものがない。さまざまな役にさまざまな色を塗り、筋の 通った端正な演技を見せる。1970年代後半から80年代前半にかけて、つかこうへい事務所の 『熱海殺人事件』などで激しい芝居を演じていたが、それを基礎として独自の道を追求した結果が今回の受賞につながった。(中略)一人芝居三部作は、三時間を一人で一挙に演じきった。会社の接待のため派手な衣装でカラオケを歌うサラリーマン。ある日、サウナで記憶を失い交番へ。最後は旅回りの大衆演劇一座に身を寄せ、本当はこういうことがやりたかったのではないか、と考える。笑いと哀愁が程よく混じり、管理社会で元気のないサラリーマンに様々な道を考えさせる。確かな「芸=個性」は、まだ発展するだろう。()
(読売新聞2004年2月4日より抜粋)

一人芝居を創りつづけたトム・プロジェクトが、その集大成としてお贈りする一人芝居のビッグプロジェクト。平成9年に、人情喜劇の旗手として注目を集めていた水谷龍二に白羽の矢をたて、第一作「旅の空」を上演。水谷龍二の描くこまやかな人情の機微、温かさ、ユーモアが幾重にも織り込まれ、一人芝居の面白さを十分に堪能させてくれた。第二作は、平成12年の「カラオケマン」。時代の申し子であるカラオケにスポットをあて、ひとりのサラリーマンが繰り広げる人生の哀歓劇。歌あり、笑いあり、涙ありの三位一体の傑作エンターテイメントの誕生。世界に通用するとの判断からスペイン、中国公演を敢行。ヨーロッパそしてアジアの観客も大喝采!あらためて風間杜夫の役者としての力量を他国をも含めて立証した次第である。と、ここまでくれば第三作が待ち遠しい! 今尚、芝居の面白さ、楽しさを追及してやまない水谷龍二に、その完結篇を依頼。人気、実力併せ持つ風間杜夫の魅力満載の舞台になること間違いなし! この三部作は、それぞれが独立した作品であるが、主人公は日本のどこにでもいる普通のサラリーマンである。職場、家庭を軸に汗掻き、恥掻きながらも、夢と浪漫を持ちつづける少年の心を持った男の話である。

 
 ここに一人の中年男がいる。彼はごく平均的なサラリーマンである。家庭も程々に円満である。妻と二人の子供がいて、五年前にやっと郊外にマンションを買い、車も一台持っている。しかし、当然悩みも人並みに抱えている。仕事、家庭、そして異性問題。そんな彼をいつも救ってくれたのが歌だった。カラオケだった。 そんな彼がある日、仲人を頼まれる。仕事がらみでどうしても断れなかった。嫌がる妻を何とか説得して、式に臨む。ところが急転直下事態は思わぬ方向に。彼は突然アカペラで……
>>二部 旅の空へつづく



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