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過去の作品 演劇

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【原作】松下竜一「砦に拠る」
【作・演出】東憲司
【出演】村井國夫 藤田弓子 原口健太郎 浅井伸治 滝沢花野

2016年3月1日~3月6日
東京芸術劇場シアターウエスト

 

その夫婦は誰よりも故郷を愛していた。故郷で静かに老いることが幸せだと思っていた。


松下竜一による著書『砦に拠る』(1977年初版発行)は、村の自然と共存する人々を守るため
ダム建設反対を掲げ、時の権力を相手に戦い続けた男とその妻の半生を追ったノンフィクション
です。
松下と同じ九州出身の劇作家・演出家 東憲司がこの作品に描かれた実在の人物をモチーフ
に新たな夫婦の物語を創作しました。
東日本大震災から5年が経ってもなお、遅々として進まぬ復興や人間関係の希薄化が取り沙汰される中、
市民運動の原点と呼ばれる史実を通して描かれる、互いを支え合う夫婦や人々の姿は、現代社会にも一石を投じるものとなるでしょう。

【あらすじ】
「日本は戦争に負けた、それを思えばこれくらいの犠牲がなんです」...ダム建設予定地の住民に投げ掛けた職員の言葉に一人の男が立ち上がった。
犠牲となるのは戸数21戸の小さな集落。男はダム建設予定地に砦を立て、アヒルや牛も反対闘争に参加させた。
機動隊に糞尿を撒き散らし、果ては水中乱闘事件にまで発展してゆく。
闘い続けた男と、それを見守る女。故郷を愛した夫婦の物語!

< 出演者コメント>

murai_profile.jpg   村井國夫(室原知幸役) 
国家権力に徹底的に抵抗し続けた男とその妻の物語です。室原知幸氏は国が、松原、下筌ダムを作る事に十三年に及ぶ長い時間反対します。
公共事業のあり方に疑問を投げかけます。公共事業は、理に叶い、法に叶い、情に叶うものでなければならないと訴えかけます。
誰の為にダムを作るのかと問いかけます。故郷を水没から守る為に「砦」を作ります。それが「蜂の巣城」と呼ばれた稀有な城塞です。
室原氏はあらゆる抵抗を試みます。それは奇想天外なものもあり、理に叶ったものもありました。そして十三年の抵抗の後、落城します。
松下竜一氏は、その室原氏の半生を豊富な資料と丹念な聞き書きをもとに「砦に拠る」をお書きになりました。
今回の舞台はその御本から、東憲司氏が、独自の解釈と室原夫妻への深い愛情の目で、この本を舞台化しました。
東憲司氏の故郷九州への強いこだわりが、この御本に深みを与えています。演出も、東氏があたります。私が、その室原氏を演じる事になります。
室原氏の強い意志力、壮烈さ、執拗さを、どこ迄演じられるかわかりませんが、渾身の力を込めて挑みたいと思います。

fujita_profile.jpg   藤田弓子(室原ヨシ役) 
私は昭和20年9月生まれなので、殊更のように月日の節目を意識させられて来ました。
昨年は戦後70年ということで、世界中で70、70の大合唱。私の年齢です。50年前女優を志し文学座の門を叩きアトリエ公演で初舞台を踏みました。
その頃の演劇界は正に百花繚乱、上等なごった煮状態。
テントや小劇場そして『雲の上団五郎一座』と走り廻って、熱い才能や野心に触れていました。
最高に面白い時代のど真ん中に居るという実感があったのです。
ですから、それからずうっと「現在(いま)の若い人を羨ましいと思ったことはありません」と言い続けてきました。
ところが昨年、突然『羨ましい』という切ない感情が甦ったのです。
「東憲司さんの芝居を観なきゃ駄目だ」と誘われて観た舞台、熱いのに愛おしくて優しい!
『砦』で東さんの至近距離迄行かれます。東さんの全てを浴びて、私も自分の為に旗を振ってやろうと思っています。
舞台のあの日のように胸をときめかせているのです。