トムプロジェクト

2019/03/22
【第1201回】

「黄色い叫び」20日に幕を開け今日が3日目です...若い人たちが真剣に舞台に向き合う姿がいいですね。おいらも遙か昔、ぶきっちょな身体をさらけ出し、あーでもないこーでもないと悪戦苦闘した日々を想い出します。芝居という麻薬に取り憑かれ青春を捧げた思いと時間、ものになるならないを超越して貴重な体験でございました。おいらなんかがやれなかったことを、ひょいと飛び越え簡単にクリアしていく若き演技者にただただ感心するばかり。震災がテーマだけにいい加減な芝居できないという覚悟に、なんとなくひりひりしてしまいます。芝居観た人の感想にこんな言葉がありました。「日本のおエライさんを招待して無理やりにでも見せた方がいい。見せても分かんないかもですが。」その通りですな!被災地の現状、被災者の気持ち、日本の天災に関する事前予防などなど、芝居の中で問題提起してはいるのですが今の政治、行政の中ではなんだか鈍感にしか感じていないような気がしてなりません。そして期待しても無駄なような気がしてならないのが現状。要するに個々人が意識改革をして己自身で身を守るしかないと言うこと...またまたチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られないようにいたしましょうね皆の衆。

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桜開花

2019/03/18
【第1200回】

先週の週末もバタバタしてました...土曜、日曜は今年の夏の公演する「A列車に乗っていこう」のチラシポスターに向けての撮影。今回、トムの芝居初登場の石田ひかりさん、今春高校を卒業し大学に進学した松風理咲さん。この二人が北村想さんのシュールで幻想的な世界を演じてくれます。いやいや、手強い戯曲です。想さんとは1997年に、戸川純ひとり芝居「マリィヴォロン」を依頼してから22年振りの新作です。今でも戸川純さんの魅惑的なステージが目に浮かぶくらいの素敵な作品でした。この人以外にこの作品は書けないなんてものを持ってる作家はそうそういるもんじゃございません。今回の作品を渡されたときも、正直言ってキャスティング迷っちゃいました。この世界を演じる女優さんは果たしているんだろうか?いろいろと熟考したうえでの二人です。今からわくわくしちゃいます。

撮影が終わった後、西荻窪にあるロマンスミュージックカフェ・JUHA(ユハ)に行きました。ここもおいらが愛するjazz喫茶のひとつです。お店の拘り、センスなどに満ち溢れた空間に居るだけで幸せになっちゃいます。だって若い頃考えていたことは、おいらがこの歳になったときは、jazzを聴きながら昼は珈琲、夜は酒なんて飲みながらの店をやろうなんて思ってたもんだから、こんな店についつい足が向いちゃうんですね。アナログのレコードを聴きながらもの思いに耽ったり読書したり、なんと贅沢な時間でしょう。ここのトーストに粒あんのあんこがのっかってるのは、今は無き下北沢のjazz喫茶「マサコ」の名物メニューの継承。昔バイトしていた人達が夢の空間を再び立ち上げていく姿においらも応援したくなります。音と空間を味あえるお店探しも楽しいものでございます。

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JUHAの人気メニュー

2019/03/15
【第1199回】

昨日、来週20日から上演する「黄色い叫び」の通し稽古を観に行きました...この芝居2011年に起きた東日本大震災の年に上演した作品です。トラッシュマスターズの主宰者である中津留章仁が、稽古中であった作品を書き改めて、果敢に攻めの姿勢で震災に向き合った画期的な作品です。あの震災を前にして、ほとんどの人が茫然自失の状態に陥ったのは確かです...芝居なんて、この大惨事の前ではクソの役にもたたないじゃないか?芝居だけではなく、表現そのものが絵空事にしか見えないくらい自然が繰り出す強烈なパンチでございました...こんな時に中津留章仁は、この作品も含め2011年に震災に関する作品を2本書き上げ公演したんですから大した男です。この事だけで世界の演劇史に名を残してもおかしくないと思います。表現者は何時如何なるときでも、時代に対峙しなければならないと思います。震災後も日本のみならず世界各地で数々の災害が頻繁に起きてます。この作品は、まさにその後の世界情勢を予見させる物語であり、人の在り方を地方の青年団という設定で描いたものだと思います。

ところで、4度目の今回の芝居の仕上がり具合は?昨日観た範囲では、又新しいドラマが進行してるなと言う感想かな...トム・プロジェクトでは珍しい10人の群像劇。皆、中津留君の厳しいダメ出しを浴びながらいい汗かいていました。若者が真摯に芝居に向き合ってる姿、おいら好きです。しらけないで、内向しないで、ましてや人騙しなんかの稼業に足踏み入れないで、いい汗かいておくんなせい!と若者に言いたいのでございます。

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稽古場に行く途中

2019/03/13
【第1198回】

来ました待ってました?...杉並区の職員を名乗り、過去5年分の医療費の還付金がもらえるので手続きをして欲しいとの電話。おいらもこんな話は千載一隅のチャンス?とばかりに年金老人暇人を装い偽職員に真面目に対応していました。この詐欺請負人もなかなかの役者じゃのう...田舎から出てきた素朴な青年を演じていました。半分ボケ風に受け答えしていると、相手もこりゃいけると思ったんでしょうな、銀行口座の話をしだしました。ここでおいらも、なんのこっちゃと不安な素振りを見せると、この偽職員、またもや丁寧に説明を始めました。おいらその後は、間を置きながら「はい」を繰り返すのみだったので相手は、こりゃ手ごわい年寄りと感じたのか慌てて電話を切りました。おいらの感想、こりゃ、暇なお年寄りは騙されるなと思いました。事務的ではなく、優し気な語り口で語られると、ついつい聞いちゃいますがな...お年寄りは寂しいんです。若い素朴な青年であればあるほど愛おしくなり、その深い闇に飲み込まれて行ってしまうんですな。それにしても、こんな仕事を請け負い飯のタネにしてるなんて、この青年の心の深い闇はいかほどのものか...想像しただけでもいたたまれない気持ちになってしまいます。なんて考えるおいらは旧い人間でしょうかね?以外と割り切って楽しくやってるのかもしれないのが当世流なのかも...嗚呼おそるべし!当世風流儀に活路を見出す新人類。

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沈丁花

2019/03/11
【第1197回】

8年前と同じ時間、北品川で芝居を観劇中に起きた地震を思い出しながら書いています。まさかです...災害が起きる瞬間の前まで、さりげなく日常が続いていたのに...この時期になると、いつものようにメディアが一斉に東日本大震災のことを取り上げます。取り上げないよりはましなんでしょうが、なにせ健忘症大国日本ですから必要不可欠なことでしょう。メルトダウンした核デブリはどうするんでしょうか?核廃棄物は廃村になった地に置いたまま永久に住めない土地になるんでしょうか?再度、地震が起きた時は完全にアウトです。そして、いつまでも消えることのない心の傷。昨日もテレビでやるせない気持ちで訴えていました。二階建ての家で一階部分が全壊した人は最高200万円の保障しかないとのこと。朽ち果てた部屋を見ながら「死んだ方がまし...」と諦め顔。禁止地区が解除になり我が家に帰っても、以前は畑があったところに除染した土の山。窓からの眺めがこれじゃいたたまれない気持ちになってしまいます。来年のくそ暑いオリンピック何ぞ中止にして、これらの人たちを救え!って話だろうにと思いますが...景色ぶち壊しの防波堤、本当に役に立つんだろうか?なんだかこの国の政治、行政の過去の在り方みてると、ゼネコン含め大企業を潤わせるための手立てとしかみえません。そうやって疑いたくなることの連続でしか見れないこの国の貧困なシステム。と、ボヤいていても前には進みません。ここは心ある人たちが、無償の行為で被災地に出向き心のケアをしています。そして、忘れてならないことは、この震災の記憶をいつも留め置き、次なる災難に備える想像力を働かせることが肝心なことだと思います。こんなことを体験していながら、いまだに原発再稼働なんてこと言ってるやつはホンマにアホですな!

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2019年3月11日 穏やかな新宿

2019/03/07
【第1196回】

一昨日、「芸人と兵隊」兵庫県立芸術文化センターでの公演に行ってきました。この劇場は指揮者で有名な佐渡裕芸術監督のもと「劇場はみんなの広場」という言葉を合言葉に素敵な演目を並べ、年間、主催・貸館事業あわせて600公演を実施し、毎年約50万人の観客を集め、我々舞台人にとっても頼りになる劇場です。トムの公演も数多く呼んでいただいています。おいらも久しぶりに芝居観たのだが、この劇場に集まる質の良いお客様にも後押しされ上々の出来でございました。村井さんが冒頭の漫才シーンで飛び上がったり、髙橋洋介が乗りの良い観客についつい台詞が止まったりと、相変わらず生の芝居だからこそ起きるハプニングはありましたが、お客様の終演後の拍手の熱さが十分に芝居の出来を証明していました。

終演後は北新地にある隠れ家的なイタリアレストランでお疲れ会をしました。ワインも上々、料理もとても手が込んだもので、役者の皆さんにはとても喜んでいただいておいらもほっこり。

翌日は、大阪でおいらが一番好きなディープな街新世界に行ってまいりました。大阪からこの地が無くなるときは大阪らしさが消える時だとは思っているのですが、この地も明らかに中国、韓国観光客に占領されつつありますな...じゃんじゃん横丁に数軒あった将棋会館も今では一軒だけ。ちょいと覗いてみましたが坂田三吉らしきおっちゃんは居ませんでした。でも、昔ながらゆったりと一日将棋に興じる姿はほっとしますな...ここ来て串カツ、どて焼き、お好み焼き食べへんかったら、ええ加減にしぃや!と言われること間違いなし...勿論、食べて帰京しましたがな。

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ディープな街

2019/03/04
【第1195回】

先週の週末にはトラッシュマスターズ「オルタリティ」を観劇...この劇団も来年で20周年目を迎えるとのこと。主宰者である中津留章仁君と出会ったのが1998年だから21年になるんだな。感慨深いものがあります。スタジオで勉強してないで演劇界に殴り込みを掛けるくらいの気概で打って出なさい!と中津留君にけしかけたことをよく覚えています。その言葉通りに若き演劇人を代表する劇団、作・演出家になりました。がしかし、この芝居の世界ここからが大変なのであります。一度認知されると、周囲はより以上の成果を求めるし、劇団内でもマンネリにならないようにあらゆる手立てをしながら創作活動に勤しまなければなりません。加齢と共に周辺にも様々な変化がおこり、なかなか事はスムーズには運びません事よ...今回のトラッシュマスターズの公演、今までで一番少ない6名の出演者でした。この日も2時間半の芝居を2ステージこなし飲み会では、さすがにお疲れのようでした。でも、芝居が好きだからやるんです!意地でも自分たちのスタイルの演劇を公演し続けるんです!歳喰ったといっても、まだまだ40歳代じゃございませんか...おいらなんかは40歳前半まではふらふらしてたんですから、人生も演劇もこれからでございますよ。

仕事もプライベートもちょいとした変化で気分が変わります。この気分って奴がネガをポジに変えちゃうんですな。おいらはJAZZが流れる喫茶店で、深煎りの珈琲を飲みながらぼんやりしたり本読んだり過ごすことで、気分のチェンジを図ってます。この日も下北沢の素敵なJAZZ喫茶で囃子ライスと珈琲を頂きました。

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Jazzと喫茶 囃子

2019/03/01
【第1194回】

昨日は第26回読売演劇大賞の授賞式に、投票委員の一人として会場である帝国ホテルに行って来ました...今回の優秀作品賞の中に劇団チョコレートケーキ「遺産」が受賞したことは大変喜ばしいことでありました。いつものように作、演出家、出演者が顔をそろえ宴席に設けられた出前寿司なんぞを飲食する姿が微笑ましい。寝食を忘れ経済的にも決して恵まれない中、芝居に命を注いだ青春を思うと、おいらも何とかしてあげたいと思いますがな。芝居やるなんて親に話したら「そんな河原乞食みたいなもん許せん!」と鬼のような顔をして怒られたもんでございます。ましてや、親がせっせっと働いて大学まで入れてあげたのに、なんで見世物芸人になるんやなんて話です。おいらは子供のころから風来坊ですからそんな経験はありませんがね。普通の家庭のシステムであれば当たり前の話、昨日の受賞者の一人岡本健一さんが話してました。初めて芝居の世界に入った時に周囲の役者が皆キチガイに見えたとのことでした。そして、今回、芸術栄誉賞受賞者である87歳の演出家・木村光一さんも、唯々貧乏の連続でした。演劇に関わる人達がお金持ちになれれば嬉しいな~なんて本音の話をしていました。そんな世界の人達が表彰される会、この世知辛い世の中で26年も続けてる讀賣グループも粋じゃありませんか...あのなんとかツネさんはなんとかなりませんかなとは思っていますがね。

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おめでとう!劇団チョコレートケーキ

2019/02/27
【第1193回】

この国に民意なんてあるのかしら...沖縄で辺野古移設に関しての県民投票が実施され72パーセントの人達が反対と言ってるのに、政府は耳を貸さず辺野古の海に土砂を放り続ける始末。アメリカに対して対等にもの申せない人達に、この国を統治させていいものだろううか?多くの国民がそう思ってるはずなのに、口ごもってしまう日米の防衛問題はすべてアメリカ任せ、敗戦後アメリカがこの国を占領して以来、この構図は変わることがない。今日は米朝の会談、韓国との関係も悪化、ロシアとの北方領土問題も進展なし...一体全体、この国の外交はどうなっとるんじゃ!もしロシアが2島返還に応じたとしても、この基地にアメリカ軍が駐留するなんてことになったらてんやわんやの大騒ぎ。あっちもこっちも八方ふさがりのお手上げ状態が長いこと続いているのに手の打ちようがないニッポン。

そうなんです...この国は選挙しても民意が正確に伝わらない不条理な国と思えば納得がいくのかな?建前の民主主義クソ喰らえ!と言い放ちアナキストになりたい気分ですな。アナキズムなんて言うとテロリストみたいに勘違いされがちなんだが、アナキズムは、語源的にはギリシア語のアナルコス、つまり支配者がいないということばに由来し、権力的支配や国家、政府のような権力機関の存在を極端に嫌い、人間の自由に最高の価値を置く思想として位置づけられているんですよ。今の政治屋さんの集まりで、日毎税金無駄遣いの議会なんぞであれば要らんですバイ!と、愚痴零していてもしよんなかですばい...芝居創って形にして、この国に真の民意を届けねばと思っとります。

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如月の公園

2019/02/25
【第1192回】

「芸人と兵隊」東京公演無事終了しました...土曜日のマチネーの回、芝居が始まるやいなや照明のトラブルで舞台監督が登場し「トラブル発生、申し訳ありません、しばらくお待ちください。」との挨拶がありました。おいらとしては最悪のケースも考え、その後の対応におつむが回転し始めたときに、村井、柴田の夫婦漫才コンビが登場し即興の漫才を始めました。さすがベテランのお二人、この緊急事態にお客の不安を解消するどころか、このピンチをお笑いに変え拍手喝采。この日の観客は、夫婦漫才をプラスワン楽しめて大満足ではなかったかと思います。これが、まさしくライブですね...なにが起こるか分からないのが面白く怖いところです。本番中に役者が倒れ、そのまま救急車に運ばれ亡くなったこともあり、今回みたいに舞台機構の不備により中止になったことも当然あります。生身の人間が織りなす舞台であるからして、いろんなことを予測し想像しながら日々創っているのでございます。

東京公演が終わる間もなく、今日は横浜で公演し3月10日まで地方公演が続きます。何事もないようにと芝居の神さんに祈るのみ。

そして、今日から、3月20日から上演する「黄色い叫び」の稽古が始まります。今日の会社でのミーティング、皆さすがに疲れは見えるのだが元気でありました。こうやって日々演劇に夢中になれることに感謝です...そして、公演を楽しみにしているお客様の顔が見えるからこそのことですな。

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東京芸術劇場前の広場

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