トムプロジェクト

2026/05/15
【第2180回】

来週の5月20日(水)から上演する「チョークで描く夢」の稽古場に行ってきました。

50年以上も知的障害者雇用を続けてきたチョーク工場の話である。今でこそ、健常者と障害者が共に生きることを普通に考えることが出来る世の中になってきたのだが、50年前に実践した人たちの苦労は並大抵のことではなかったのでは?と容易に推察できる。

今回の芝居も、ナーバスにならざるを得ない部分も多々あったのですが、その点は十分にわきまえながらも表現を通して訴えなければならない部分はやり通したつもりです。

稽古を観ながら感じたことは、現世において健常者と思っていた人が実は深刻極まりない障害者であったり、逆に障害者の方々が実に人としての在り方を指示してくれることが多々あるということ...それだけ世界は複雑怪奇の様相を呈し、健常者と障害者の見分けすら難しくなったと言えるのではないだろうか。

この難しいテーマを背負いながら役者さんたちは七転八倒の稽古の連続であったと思います。勿論、作演出の中津留章仁も以前主催するトラッシュマスターズで公演した作品とはいえかなり大幅に設定も含めて変更したので大変だったのでは。

混迷するこの社会において、この作品が未来へのなにがしかのヒントになればと思っています。演劇だけにしか体験することができない生の感覚を、芝居に最も適した劇場で是非ご賞味ください。

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アンネのバラ三色御揃い

2026/05/13
【第2179回】

東京のいや日本の様々なアートに活を入れ続けたアバンギャルドな街である新宿。そのシンボル的な存在であったジャズ喫茶DUGが来月で閉店します。1961年、写真家・中平穂積さんがジャズへの情熱を起点に新宿でジャズ喫茶「DIG」を開店。1967年には、より自由に会話や酒を楽しめる場として「DUG」へと発展させた店です。おいらは学生の頃「DIG」に入り浸りでした。鰻の寝床みたいな店内で、私語禁止のなか読書しながらいろんなジャズを聴いていました。オーナーの粋な佇まいを見ながら歳を取った暁にはジャズ喫茶をやりたいなと朧気ながら夢見ていました。その備えとして当時高額であった輸入盤のジャズレコードを買いまくっていました。そしてアルバイトと芝居で疲れた身体を癒してくれたのが、これらのレコード盤でした。

ジャズ喫茶の夢は果たせなかったのですが、今でも個性溢れるジャズ喫茶には東京のみならず旅に出たときにも地方の名店には顔を出すようにしています。あまり商売にもならずともこよなくジャズを愛する店主の気骨に惚れ惚れしてしまいます。人生すべて金じゃないよ!おのれの人生哲学を信じ全うするひとたちにどうしてもエールを送りたくなります。

一度きりに人生じゃありませんか...好きなことに徹底的に拘りながら生きていくのも美学だと思います。

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お疲れさま、そしてありがとう!

2026/05/11
【第2178回】

今週も夏日の一週間になりそうな気配です。世界の混乱に寄り添った天候に世間の人達は随分と戸惑っているんではないでしょうか?

それにしてもライオンズ一体どうしたんでしょうか...シーズンが始まったそうそう、打撃陣がさっぱり打てなくて、今年も最下位、良くても5位で終わってしまうと思っていたのに、なんと首位に2・5ゲームまでに迫ってきました。昨日、勝利して4連勝なんて夢のまた夢状態でございます。この第一の要因は故障していた一塁手ネビンの復活、復帰後9試合で打率・485(33打数16安打)、4本塁打、10打点。この驚くべき数字で4番の柱が出来たので周りが一斉に繋がり、チーム打率がリーグワーストだったのが一気にトップになりました。昨日、母の日のヒーローインタビューでは2週間前に来日した母親と夫人、1月上旬に誕生した第1子の長男が球場で観戦していたこともあり「家族は大切な人であり、全員本当に愛しています...」涙ながらに語る彼はほんまにナイスガイです。

この快進撃には、もう一人の野手、平沢大河を忘れてはなりません。仙台育英学園高校での甲子園活躍を評価され2015年ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに鳴り物入りで入団するも8年間今一つの成績。2024年に現役ドラフトでライオンズに入団、今年で2年目になるのだが、まるで別人のような活躍。元々あった才能、環境が変わっただけでこんなに変わるもんだという良い見本です。この世の中、万事塞翁が馬でございます。今不遇の身だと嘆いている方々、決して諦めてはなりませんぞ!あなたのすぐそばに福の神がいるんじゃないかしら?

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暮れ際にオレンジ色の雲の彩

2026/05/08
【第2177回】

昨日は神保町に行って来ました。世界最大の古本屋が軒を並べている風景は昔から変わりません。おいらが学生時代にお世話になったパチンコ店「人生劇場」は無くなっていました。玉が出たときは新刊の文学書と交換できる得難いお店でした。戦利品を手にしながら食する、隣にあった中華屋さん「伊峡」(現在は別の所に移転)の半ちゃんラーメンも絶品でした。最近はこの街も外人客が多数訪れ活気を呈しています。そして街のシンボル的存在であった三省堂書店も今年の3月に「Entrance to World(世界の入り口)」「歩けば、世界がひろがる書店」なんてキャッチフレーズでリニューアルオープンました。従来の棚づくりと違って、店内を歩きながら偶然に出会う本たちとのスリリングな時間は思いのほか楽しゅうございました。

この日は、長年の友人と先ずはシェリー酒とスペイン風おつまみを出すお店で乾杯。10席ほどのカウンターだけの店なのだが、なぜか落ち着くのはカウンターに入っている店主の人柄ではなかろうか。久しぶりのシェリー酒、やはり渋いですな。スペインに暮らしていたときの寝酒がシェリー酒。この酒の良さを知る人達とは相性が良いのかもしれませんね。

第2ラウンドは、ジャズ喫茶「オリンパス」、昨年4月に閉店し残念な思いをしていたのですが再開となりました。この店の名物は「赤いチキンカレー」岩手産の鶏肉がこれまた噛めば噛むほど良い味を出してくれるんです。そのあとはタンカレージンのロックを手にして、マイルス・ディヴィス、キース・ジャレット、セロニアス・モンクのレコードを堪能しました。大音量でジャズを聴く時間はまさしく至福のひとときでした。

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アンネのバラ2

2026/05/07
【第2176回】

長いGWも終わり、5月の仕事の始まりです。それにしても5月2日、東京ドームでのボクシングは見応えがありましたね。世界バンタム級4団体統一王者、井上尚弥と中谷潤人の一戦。共にこれまで32戦全勝同士の見事な試合でした。前半はお互いに探り合いの展開、中盤から井上選手が攻撃を仕掛け中谷選手がカウンターを狙う様相。終盤はお互い隙をみながらの激しい撃ち合い。決定的なパンチが届かなかったのも、両者のボクシングテクニックが並外れたモノを持っていたからだ。観客は本当のところはKOシーンを期待するものだが、これだけの熱量と緊張感の連続を魅せられると大満足。試合の途中、お互いに決定的なパンチを外した後に笑顔で見つめ合うシーンを見たときに、二人のアスリートの人間性が垣間見えた感じがしました。殴り合うという最も激しい格闘技でありながら、感動を与えてくれる試合なんてそうそう目にする機会がないので、ボクシング界にとっても記念すべき日だったに違いない。

おいらも若い頃、真剣にボクサーになろうと思った時がありました。倒すか倒されるか、あの一瞬に賭けたスリリングな場が眩しかったな...その代わりなのか、柔道、空手に夢中になったのは、やはり格闘家の血がどこかに流れていたに違いない...考えてみれば、芝居も似たような匂いがしますね。舞台という名のリングでの丁々発止のやりとりが果たして観客の心を鷲づかみに出来るかどうか...まさしく真剣勝負でございます。

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アンネの薔薇

2026/05/01
【第2175回】

今日は朝から雨が降っています。家のベランダから眺める樹々がなんだか嬉しそうな表情にみえました。いつものように、誰に頼まれることなく決まったように若葉を咲かせてくれる自然界の恵みに感謝です。最近、日本各地で山火事が発生していますが黒焦げになった森林の姿を見るたびに悲しくなってしまいます。一本の木が立派に成長するには50年かかることを思えば、森を大切に守ることがいかに大切だということを今一度肝に銘じたいと思います。森林は二酸化炭素を吸収して気候変動を抑える役割があります。伐採や火災で失われると吸収が減り、逆に蓄えていた二酸化炭素が放出されて温暖化が加速します。地球温暖化による災害、漁獲量の変動、農産物への影響などなど、地球そのものがやせ細っていくイメージしかありません。

話は変わって、最近、国会前でのデモが頻繁に行われるようになりました。その様子を何故かNHKでは報道されないとニュースが流れました。昭和の頃は幾度となくデモを通じて時の政権の不正を追及する姿を度々目にしました。そして時代の流れと共に何だかデモ自体が社会に受け入れられなくなってしまいました。見て見ぬ振りするよりも、自ら行動して権力に対峙する姿勢は大切ことだと思います。その映像を見て、「よし!自分もアクションを起こさねば戦前の日本になってしまう...」なんて人が声を上げるのも確かです。NHK内でなにが起こっているのか分かりませんが、ちゃんと報道してくださいね。

明日から、会社も連休期間に入ります。次回の「夢吐き通信」は5月7日です。皆さんも穏やかで楽しい連休でありますように。

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亀の甲羅干し

2026/04/30
【第2174回】

山岡淳一郎著「炎と水」読了。戦乱と大旱魃のアフガニスタンで90万人以上の命を救い、2019年12月、正体不明の武装集団の凶弾によって命を落とした医師・中村哲。これまでにも中村医師に関する本はたくさん出版されてきました。今回の新本は、医師が過ごした青春も含めて彼がどんな人間だったのか?その生涯にわたり中村が巡り合い、深く関わった様々な人びと100人以上にインタビューした記録である。

おいらも中村哲医師の行動に賛同し、「ペシャワール会」の会員になって20年になる。

医者でありながら、自ら重機を操って干ばつ地帯を緑の地に変えていった行動力にただただ頭が下がる思いがする。彼の行動力とともに、発する言葉が現世に対するおおいなる警句になっている。「正義か不正義かの判断だけでなく、すべてのことを多面的に捉え、よく考えて判断せよ。それでも白黒つけられないこともたくさんある」「他の人の嫌がるところへ行き、嫌がることをなせ」特に、「一隅を照らす」は中村医師の座右の銘として知られています。自分の役割は、世界の諸問題を一気に解決することではなく、それぞれが今いる場所で出来ることを丁寧に行っていけば、それが小さな一歩でもあっても場を明るくすることにより巡り巡って社会全体をよくするという考えです。

「道に倒れている人がいたら、手を差し伸べる――それは普通のことです」この言葉はこの事例を実践した人だからこその重みがあります。

今週の月曜日、新宿にきれいな虹がかかっていました。中村医師がやってきことはまさしく虹の架け橋ですね。

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新宿の虹

2026/04/27
【第2173回】

先週の土曜日は浅草橋にあるルーサイトギャラリーで、語り芝居「海神別荘」を観てきました。このギャラリーは戦後すぐに建てられた民家で、2001年秋、昭和の流行歌手『市丸(江戸小唄の市丸姐さん)』の隅田川沿いの屋敷を改装し、骨董店としてオープンしました。隅田川をバックになかなか趣がある場所です。ここ柳橋は、江戸時代から続く格式の高い花街でしたが、時代の波には逆らえず、街から料亭や芸者が消えていきました。この歴史ある街に文化の匂いを残したいということでいろんな催しをやることになったそうです。

今回の語り芝居は泉鏡花の作品。自分が生きてきた世では必要とされなくなった美女が、海底宮殿の主、公子に請われ、海の中で妃になるというストーリーです。

泉鏡花作品の特徴は、夢と現実、生者と死者、現世と異界の境目がいつも繊細かつ微妙に揺らぎながら進行していきます。その点では語り芝居というところに目を付けた今回の脚色・演出を担当した鳥山昌克の着眼点は良いのでは...物語と一緒に、不思議な体験に巻き込みながら、いつのまにか、これは現実なのか、幻なのか?という感覚に誘い込まれていきます。夢か幻か...唐十郎に長年師事した鳥山昌克だからこそ実現しえた語り芝居かもしれません。

終演後、テラスから眺める隅田川に行き交う屋形船、遠くに見えるスカイツリー、これもまた鏡花の世界に視えてくるのも不思議だ。

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ル―サイトギャラリーのテラスから

2026/04/24
【第2172回】

いやいや、こんなこと許されていいんでしょうかね?殺傷能力がある武器をいよいよ輸出可能になりました。武器輸出の制限は、専守防衛、非核三原則とともに、戦後日本の平和主義の根幹をなしてきました。1967年に武器輸出三原則を打ち出して以降は、事実上の全面禁輸が国是になってきていたのに...1976年の国会審議で、後に首相となる当時の宮沢喜一外相は武器輸出三原則を巡り「わが国は兵器を輸出してカネを稼ぐほど落ちぶれていない」と自民党の中にもまともな人が存在したのだが、今の首相は「時代が変わった」の一言で切り捨ててしまいました。ウクライナ、ガザ、イランなどでの悲惨な光景を日々目にしながら人の命の大切さに鈍感な政治家にNOを突きつけたい。日本は昨年、当時の指針に基づき航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット・ミサイルを米国に輸出しており、米国に再び輸出を求められた場合、国際法に反する戦争に使われる懸念を否定できません。

世界で唯一の被爆国である日本だからこそできることは沢山あるはずです。資源もないこのちっぽけな国が、何とか世界の国々から少なくとも何とか友愛の気持ちを持たれているのも平和外交が基本にあったからです。とにかく、数の論理を盾にしてあのおかしな大統領の「力による平和」なんてものに巻き込まれることだけは絶対に止めて欲しい。

昨日も新宿で市民団体の方々が、戦争を止めて欲しい!との願いから街頭演説とビラまきをやっていたのですが、ほとんどの人達がビラを受け取ることもなく素通りしていました。

ほんまに対岸の火事ではございませんことよ...いつのまにか銃を手にして戦地に行かなきゃならないなんてことも十分あり得ます。

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マルつつじ
道行く人も
なごみ顔

2026/04/22
【第2171回】

昨日は、第7回サポーティングマギーズ・チャリティ―ステージ「ひびけ心に声音と音色」の催しを観に紀尾井町サロンホールに行ってきました。マギーズセンターとは、がんを経験している人とその家族や友人、医療者など、がんに影響を受けた人が戸惑い不安が生じた時に第二の我が家の様に訪れることが出来る居場所として設立されました。運営費は寄付、その他の協力によって無料で運営され、毎月500人~600人が利用されているみたいです。

今回の催しに大和田獏さんも賛同し、この日は小泉八雲作「耳なし芳一」を朗読しました。パーカッションも含め獏さんが楽器を用意し、自らの演奏で八雲の世界を表現しました。

この朗読劇というシロモノ実はなかなか手強いやつなんです。おいらも過去に何度も体験していることなんですが、実際途中から睡魔に襲われクビ落ちしてしまうこと度々。声だけで観客を惹き付ける技がないと惨憺たる結果が待ち受けています。

昨日の獏さんの「耳なし芳一」は絶品でした。登場人物を使い分ける声色、間合い、勿論、声質の心地良さとリズム感、すべてハナマル。場の情景が、聞く側の想像力を喚起して思わずその場に居合わせている臨場感に包まれ大満足の朗読劇でした。

表現者たるもの、やはり芸は大切ですね。シンプルになればなるほど巧緻、緻密な芸が問われます。勿論、人として生きてきた生き方も含めてのことですが。

久しぶりの紀尾井町、東京の中心部でありながら街の佇まいに歴史と文化の香りが漂っていました。道行く人もなんとなくこの街に馴染むかのような姿で歩いていましたね。ノラちゃんのおいらも郷に入れば郷に従えってことでちょいと気取って歩いてみました。

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シャクヤクの
大輪紅き
駅へゆく

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