トムプロジェクト

2024/04/26
【第1885回】

東京の街は異国の人で溢れかえっています...世界一の乗降客を誇る新宿の街も相変わらず多民族の人たちでラッシュ状態です。新宿で最もディープな場所である西口の「思い出横丁」歌舞伎町の「新宿ゴールデン街」なんかはカメラを手にして、戦後闇市そのままを残した風景を我先にと撮りまくっています。勿論、お店の中も外人だらけ、埃にまみれた焼き鳥をおいしそうに食べていました。何せ円安ですから、この時ばかりと...ニューヨークではラーメン¥3000するんですから、彼らにとっては食の天国に来たようなもんです。新宿に店舗を構えるあの天然とんこつラーメン「一蘭」の前には長蛇の列。おいらはあの値段と食感がどうしても納得できず駄目ですな。「一風堂」然り、博多で生まれ育った者としては、ラーメンブームの便乗した商売のやり方に大いに不満でございます。博多に帰って食べるラーメンは「膳」に決めています。豪快でありながらも滑らかな風味、麺は小麦の美味しさを活かしたオリジナル、タレ、チャーシューは自家製。そのうえゴマはかけ放題、にんにくも丸ごと潰し放題、それでなんと¥320!物価高で悲鳴をあげている昨今、ラーメンの神様が降臨した思いです。やればできるじゃないですか...2050年には日本の人口なんと3300万人減少するそうです。その先はと考えると、この国、もしかすると異国の人たちに雇われる形態になっているかもしれません。目先のことばかり考えないで将来を見据えた商いしないととんでもないことになっちゃうかもしれませんね。

新宿南口駅前の通路は、ストリートミュージシャンで溢れかえっています。何故か外国人旅行客は立ち止まりません。そういえば、外国ではごく自然な風景ですから...

明日からGW、どこに行っても人の波。近場でのんびりするに限ります。

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明日を夢見て

2024/04/24
【第1884回】

やれ桜だ、それに便乗しての酒宴。なにかと春のこの時期は喧噪の日々である。そんななか、今日みたいにしとしとと雨降る日が訪れると心和いでしまいます。そんな日は、家に閉じこもり好きな曲を流し読書三昧なんてのがピッタリでございます。

トルド・グフタフセン、ノルウェー生まれのピアニストで、瞬時に落ち着きと満足感をもたらす効果があります。沈黙から北欧の風景を連想させる音の連続は、何もありそうもない別の空間に連れて行かれそうな時間を生み出し、読書の程よい味付けをしてくれます。

日本にもファンが多いピアニスト、キース・ジャレットにも通じるものがあるのだが、やはり生まれ育った北欧の音色を強烈に感じます。彼のタッチ、鋭い旋律センス、そして彼の惜しみない美学は、ともにプレーしている仲間にもしっかりと共有されており、ベースとドラムの刻む時間が彼の世界を一段とスケールアップさせています。

それにしても最近はアマゾン、スポティファイなんかで良質な音楽を聞いちゃうと、ついついCDを買おうかなんて良からぬ欲望が頭をもたげます。もうこの歳になると断捨離を考えなきゃいけないのに困ったもんでございます。モノを増やすな!出来るだけ捨てろ!と常日頃こんなお題目を唱えながらも、やはり手元のジャケットからCDを取り出し音を呼び込む儀式があってこそのマイソングだと頑なな心情が邪魔しちゃいます...でも、やはりほどほどにしないと後始末が大変ですから。

明日から猛暑の始まりとか、どんな未来が待ち受けていることやら全く予測不能でございます。

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どこに巣を作ろうかな?

2024/04/22
【第1883回】

先週の土曜日、中野テアトルBONBONで「明日になれば」を観劇。トムでもお馴染みの、ふたくちつよしさんの作品です。桐朋学園で同級生だった俳優、磯部勉さんの家族のためにと心温まる芝居に仕上がっていました。劇中でも磯部さん夫婦、そして一人娘さんがそのまま家族役で出演しているのですから、そのまま実生活を覗き見している感じがしました。

ふたくち作品らしく、劇中お茶を差し出すタイミングが実に微妙且つ適格、こんなところなんぞは映画界の名匠小津安二郎の世界を彷彿とさせてくれます。

芝居は前半から笑いの連続、ギャグで笑いを取るのではなく、役者同士の台詞のやり取り芝居の内容での笑いなので心地よい。芝居での笑いの質はとても大切であり、作品のクオリティーにおおいに関係してきます。笑いほど難しいジャンルはないと思います。品のないギャグ連発の芝居を観せられた苦い経験も多々あります。喜劇を演じられる役者はリアルな芝居もものの見事にこなしてくれます。今は亡き名喜劇役者伴淳三郎さんが内田吐夢監督の映画「飢餓海峡」で演じた刑事のシリアスな役は今でも記憶に残っています。笑いの中に潜む人の悲しさ苦悩を、実人生の中で獲得したに違いありません。主演の三国連太郎さんの名演技も彼の波乱万丈の生き方がそのまま白いスクリーンに映し出されているようでした。

厚生労働省は、新型コロナウイルスのワクチン約2億4000万回分を廃棄、金額にすると約6653億円。アベノマスクといいこの政府のやることだからなんとも納得できないのでは。未だ水が使えない能登半島の人達...もう4か月というのにほんまにあきまへんな。

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シャクナゲ

2024/04/19
【第1882回】

新国立劇場小劇場で「デカローグ」観劇。この作品は1988年にポーランドで放映された映像作品が基になっています。デカローグとは、旧約聖書に登場するモーゼの十戒を意味するそうです。今回の芝居に登場する人物は、この十戒を守るべき道徳ではなく、これを破ってしまう人間たちの葛藤を描いた物語でした。世界のどこにでもある団地に住む人達の、何気ない誤解や誘惑で悲劇を生み出すのだが、その背後には人としての弱さや過ちをしっかりと受け止める愛情もバランス良く描かれています。

今回観劇した作品は全10編で成り立っており、おいらが観たのは1と3、残りの8編を7月15日まで上演することができるのも新国立劇場だからだと思います。

この新国立劇場が併せて創設したのが演劇研修所。今年で第20期生を迎えるそうだが、3年間の研修を経てこの世界で生きていくのも至難の業である。トムにも修了生を今年の新人2人を加えて5人在籍。トムの芝居にも出演してもらい一日も早く役者で生計を立てられるように後押しはしていますが...いつも新国立劇場で芝居を観劇するたびに思うことは、研修所で3年間しっかりと鍛えた後に、なぜ修了生たちを大きな役に抜擢して公演をしないのか?勿論、興行的な面からも厳しい面があるのは理解できるのだが、ここは国が本腰を入れて創設した俳優養成所なんですから、何とか実現して欲しいと思います。

又もや、中東で物騒な小競り合いが勃発。石油の8割近くを中東からの輸入に依存してきた日本にとっては死活問題。そして四国、大分での地震、地球の未来が本当に危うい!こんな時こそ、地に足が着いた生き方をしましょう皆の衆。

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新緑のメタセコイア

2024/04/17
【第1881回】

プロ野球開幕したばかりなのにライオンズはや終戦...昨日のロッテ戦に負けて6連敗、最下位に転落してしまいました。延長戦11回まで戦ってライオンズ僅か2安打。これじゃ勝てません、いや先発投手が可哀想でなりません。必死こいて投げても味方が点取らなきゃ空しいものでございます。誰が悪いのか?誰の責任なのか?ハッキリ言って監督、コーチの責任でしょうね。先週のソフトバンク戦の試合前の光景を見て驚きました。ライオンズに対し、後ろ足で砂をかけるようにして出て行った山川選手とニコニコ顔で話をしている監督や、ハグしている選手を観客の前で見せつけられてガックシ...案の定、そのあとの試合で2打席連続満塁ホームランを打たれ無様な敗戦。週末多くのファンが集まったホームゲームでソフトバンクに1勝もできない有様。悔しいと思わんかい!お客は高い銭と時間をかけて遠い所沢まで来ているのに...球場を後にするファンの気持ち少しは分かって欲しいですな。

ハッキリ言って、松井監督、平石ヘッドコーチのPLコンビ、もう勘弁してくださいと言いたくなります。それに昨年から打てない打者を指導している嶋、高山打撃コーチ、自ら退陣して欲しい。そこまで大胆に刷新しないと、このままライオンズは長期間まちがいなく暗黒の時代が続くと思います。だって、テレビで試合観ていてもこんなにワクワクしないことは珍しいくらいです。昨日のロッテ戦でも、ライオンズ炭谷捕手がファールフライを取りそこねたのを見てニヤニヤ笑ってる監督、なんと緊張感のない人だろうと思ってしまいました。勝負師としては失格もんです!

と言いながら、これからもライオンズの試合は見ると思います。こればかりは少年の頃からの野球に対する熱い思いが、おいらの身体にメラメラと燃え続けているからでしょうね。

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もうちょっと楽しんでネ

2024/04/15
【第1880回】

先週の週末、高円寺にあるタブラオ・エスペランサに出かける。長年の友人であるグラシアス小林のフラメンコを堪能してきました。彼とはかれこれ45年の付き合いになります。おいらが単独でスペインに飛んで行って初めて会った日本人でもありました。おいらも気負うことなく大道芸やったりしながらスペインの空気になれようとした時でもあり、彼のアドバイスでずいぶん助けられもしました。マドリッド・マジョール広場で大道芸やったときには当時3歳であった息子、海来(みらい)君に投げ銭集めをさせてしまい迷惑もかけましたね。二人してシナリオ書いたり、キャンプに行ったりと楽しいスペイン生活を過ごすこともできたのも小林ファミリーが居たおかげかな。

彼が日本に戻ってからも交流は続きました。波乱万丈の人生を経て、最後はフラメンコに戻りスタジオを持ちながら彼独自のフラメンコ道を追求してきました...自分はどこまで行ってもスペイン人には成れないんだから、自分の生き方を通しての踊りをしたい...この日も、舞台に凛々しく立つ姿は彼の生きてきた75年が見事に凝縮されていました。表現とは己の生きざまを曝け出す場でもありウソをつくことも出来ません。普段、一緒に酒飲んでるときは難しい芸術論なんかは交わさない分、舞台上のグラシアス小林はサムライのようでもありました。そしてフラメンコには欠かせない、野卑の中にも色気と品格。この日の踊りはまさしくMaravilloso(素晴らしい!)に尽きます。

フラメンコという激しい踊りに、今尚チャレンジ精神で挑むグラシアス小林に拍手を送りたい。

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オレ!

2024/04/12
【第1879回】

昨日、今年アカデミー賞作品賞や監督賞など7部門を受賞した「オッペンハイマー」を鑑賞。第二次世界大戦当時、ヒトラー率いるナチス・ドイツは原発の開発を進めており、それを恐れたアメリカのルーズベルト大統領は、原爆開発に着手しマンハッタン計画を設立。その化学部門リーダーとして開発チームを主導し、のちに原爆の父として呼ばれたオッペンハイマーのお話でした。世界では昨年7月に公開され大ヒットしたのに、被爆国の日本での公開は、さすがに慎重に検討したうえアカデミー賞受賞ということもあって3月29日上映に踏み切りました。

いや3時間の尺の中を、3つの時間軸が行ったり来たり、それを追うだけで動体視力が相当疲れてきます。この映画自体はアメリカ人の視点で描かれており、折に触れた会話としては出てきますが、広島、長崎での原爆投下のシーンは全く出てこない。被災国日本人の心情としては複雑極まりない。しかし原爆投下がなければ、この国は焦土と化し戦勝国の占領地になり今の日本国ではない気もしてくる...でも、広島、長崎で被爆した当事者の方々は果たしてどんな気持ちで対することが出来るのか?いまだ無くならないどころか、核の脅威は以前にも増している現状を考えると、巨悪の根源としてのオッペンハイマーに違いない。

この映画が長時間何とか緊張を強いられながらも耐えられるのは、監督の理念、俳優の演技に拠るところが大きいと思う。特に主役を務めた舞台俳優出身キリアン・マーフィーの繊細な演技は秀逸。

よりによって、アメリカ訪問中の日本の失速寸前トップが、又してもアメリカのおじいちゃんに武器を買わされ、軍縮どころか軍拡に突き進む姿がなんともおかしくもあり悲しくなる現実でもございます。

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早くも新緑

2024/04/10
【第1878回】

昨日の雨と強風で満開の桜もヒラヒラと舞い散っていました。いつの世も、サクラは春の季節と相まって人の感情を異常に掻き立てソワソワさせます。中でも京都の人出は半端じゃありません。外国からの観光客、そして日本全国から集まっての騒乱状態。京都市民は迷惑千万でしょうが、観光で生活している人たちも居るので仕方がないところもありますね。おいらが大好きな、東山の麓を流れる琵琶湖疏水分線のうち、若王子橋から白川通りの浄土寺橋に至る疏水両岸の小道「哲学の道」も「騒がしい道」に変貌していました。やはり、こんな時期を避けて行きたいなと思っていても、そんな時期もなかなか見つけにくい京都になってしまったのかな...

それにしても、又しても国会議員、そして知事の横暴な立ち振る舞いがニュースになっていますね。吉幾三さんの動画サイトニュースから拡散していった北海道選出の自民党議員、航空機内ばかりではなく道庁の職員にも偉そうな態度で接していたそうな...来年の大阪万博開催に疑問を投げかけたコメンテーターに、万博出入り禁止を言い放った大阪知事。そういえば、どちらも横柄なツラしてますな。なんか勘違いしているというか自分の立場を理解していないですね...議員も市長も公僕であることを忘れ、特権階級丸出しのダメな人だと思います。税金、物価ばかり上がって冗談じゃありません...裏金も未だ不明、一刻も早く国会議員削減に踏み切って欲しいものです!

もう少し、春の微妙な季節感を楽しみたいのですが、明後日あたりから気温上昇で一気に夏の装いになるみたい...なんとも身体が付いていけなくなった地球環境になっちまいましたね。

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散る桜 残る桜も 散る桜

2024/04/08
【第1877回】

昨日、新宿歌舞伎町に昨年オープンしたシアターミラノ座で「ハザカイキ」を観劇。作・演出の三浦大輔の作品は久しぶりに拝見。この作家との出逢いは衝撃でした。17年前くらいかな、新宿シアタートップスで当時主宰していたポツドール公演「愛の渦」。台詞なしはいいとしても、男優は全員下半身丸出しで女優とSEXシーンのオンパレード。観客の誰かが通報すれば一発でわいせつ罪に問われ公演中止。この大胆な演劇公演でありながら、退屈させないどころか文学の匂いを醸し出す演出力に脱帽した次第。その後、映画の世界にも進出し演劇・映画界の鬼才と呼ばれるようになりました。

さて今回の芝居、芸能界、マスコミを舞台に時代に振り回されながらもがき続ける群像劇。終局は謝罪の連続、人が人に謝り、人が人を赦すことの物語。タイトルの意味が、ドラマの進行とともに理解できました。昭和の古い価値観とこれからの新しい価値観が交代しつつある、まだ中途半端な「端境期」だという事を言いたかったわけですね。

元関ジャニのメンバーが主役ということもあり、会場は相変わらずの旧ジャニーズの女性ファンで満席。そんな雰囲気の中でただ一人堂々たる演技をしていたのが風間杜夫さん。いや、表情、声、佇まいが他を圧倒してましたね。若い俳優さんは勉強になったことだと思います。この芝居のラストに作家の主張が凝縮されてました...26人のエキストラが場内から出現してのヒロインの記者会見、そして雨を降らしての抒情的なシーン。終わりよければすべて良し!魅せることを理解しての演出でございました。

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今日のサクラ

2024/04/05
【第1876回】

やっと出ましたホームラン!日本のみならず、世界の野球ファンが待ちに待った大谷さん。

精神的なプレッシャーは相当あったに違いない。ベンチに居るときの表情も何故か寂しそう、いつもは一平さんと一緒にニコニコしていたシーンが懐かしい。人生、魔が差すときは誰しもあるし、一刻も早く全てをさらけ出し残りの人生を再スタートして欲しいものですね一平さん。

そして裏金問題の処分、裁く方も裁かれる方も共に茶番ですね。肝心な裏金の実態はなんら解明されず一体全体なにを基準にして処分したのかさっぱり分からない。国民のほとんどの人が呆れているのに、感覚がずれている人にはなんら響いていないに違いない。なんとかちんたらちんたら動き回っている内閣総理大臣、ここは身を棄てるくらいの気持で解散に踏み切れば少しは見直しますがね...所詮、自民党猿山での権力闘争。国民なんかに顔を向けて発言してないのは相変わらず。自民若手もだらしないに尽きる。

昨日、知人が入院している病院にお見舞いに行きました。おいら78年の人生で入院したのは3度あります。最初の入院は21歳の時、劇団養成所の卒業公演終演後に急性盲腸炎で救急車に運ばれ即手術、そして入院。破裂寸前、間一髪で救われました。2度目は35歳の時、インドの旅から帰国後に急遽保健所の方が訪れ、そのまま車に乗せられ板橋の伝染病病院へ、検査の結果赤痢、2週間なんの痛みの症状もないのに強制的に入院させられました。検査した医者が驚いていました。悪質な赤痢菌が3種見つかったのに、このけろっとした健康体はなんじゃろかいなと...そして直近は61歳の時、右膝が痛くなり手術した方が良いと言われ入院。これも大したことないのに何故かしら?思えば、この医者ギラギラした目ん玉で切りたくて仕方ないという風貌についつい便乗してしまいました。

てなわけで、病院とはあまり縁なく過ごしてきました。改めて健康であることに感謝でございます。

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今日の神田川

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