トムプロジェクト

2018/11/19
【第1160回】

横浜KAAT横浜芸術劇場に「セールスマンの死」を観劇...風間杜夫がアーサーミラーの名作に挑戦。いやいや原作完全ノーカットということで休憩入れて3時間20分の芝居でした。アメリカンドリームのなれの果ての一人の男の話。無駄に自信満々に夢を見続け、大事な言葉を受け止めようともせず、現実を直視するのを避け家族ともうまくいかない男の狂喜寸前の極限状態を杜夫ちゃんが演じてました。彼の一人芝居「カラオケマン」に相通じるものもあるのだが、アーサーミラーの世界はアメリカの戦後すぐに書かれた戯曲なのでより深刻さが際立つ。「カラオケマン」は人情喜劇を書かせればこの人、水谷龍二さんの作だけに笑いたっぷりの作品なのだが、今回は重い空気が一貫している。

終演後、劇場の近くで一杯。ほとんど出ずっぱりの芝居だったはずの杜夫ちゃん開口一番「いや、もう一回やれまっせ!」何ちゅうこと言うのかいなこの人...誰でもそうなんだが、好きなことやってると身体も心も疲れ知らずでいられるんですな...そうですな、おいらも好きなことして活きまっせ!と言っても、一本の芝居創るのにも、あれやこれやと大変ですし人間関係もいろいろと難しいものがありまして、この大海の渦の中で悪戦苦闘する「プロデュサーの死」なんて芝居もありかもね...いやいや、おいらは芝居で死ぬなんて嫌ですがな。人生なにごともケセラセラ♪

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休日

2018/11/14
【第1159回】

劇団チョコレートケーキ第30回公演「遺産」を観劇...第二次世界大戦のさなか、中国の満洲に傀儡国家満州国を建国し、1940年から1945年の間、細菌兵器を作るために中国人を実験台として残虐行為を行った悪名高き731部隊の話である。国という集団と、その中にいる個人の葛藤劇ではあるが、今なお世界で頻発に起きている出来事と相通じるものがあり極めて現代的なテーマである。現代と過去を交互に見せながら、個人の尊厳に加えて、医学者の倫理と言う国を越えた普遍的なテーマを見事な構成で綴ってくれる。舞台上ガラスで作られた試験管を散りばめ、まさしく一触即発状態での役者の演技はスリリングであった。終演後、演出家に聞いたのだが、ガラスが割れた時点でいったん公演は中止するとのことだった。こうやって役者に対して緊張感を強いるのも演出家の狙いだったのかもしれない。それにしても、この劇団、歴史上とても触れない題材を敢えて選び果敢に挑戦していく姿勢に拍手を送りたい。これこそが現代演劇である。多くの賞を受賞した大正天皇を題材にした「治天ノ君」ナチス政権時代を扱った「熱狂」「あの記憶の記録」どれもが現代演劇のトップランナーとしてのポジションンを維持し続けている。

今年の紅葉、なんだかぱっとしない感じだな...色褪せた感じ、これも地球がやせ細った所為なのかな。今日もニュースで流れてました。北京ではマスク無しでは外出できない危険な状態。いくら経済大国になったとしても、これは頂けません。人間ほんとにアホですな...

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カマちゃんも生きてます

2018/11/12
【第1158回】

先週の土曜日、トム・プロジェクトがお世話になっているアルファ税務会計20周年感謝祭に行って来ました...150人ほど集まった会場は熱気に包まれていました。おいらもアルファ税務会計さんには随分とお世話になっています。会社を経営してる人達にとって憂鬱なのは税務調査。細々とやってる中小企業に厳しくしないでちょうだいな!悪の権化の企業たくさんあるんだから、そちらにチカラをいれてちょうだいな!と言いたい。24年ほどで3回入りました。税務調査官は、何を根拠にしているのか嬉々としてやってきます。なにかしら確信があるんでしょうな...おいらのところは不正なんかしてないのに、そりゃ少々のミスはありますがな。その鬼のような税務官に敢然と立ち向かってくれるのが正義の味方アルファ税務会計の皆さんです。あれを出せ、これを見せろなんて高飛車に出てくる税務官にピシャリ苦言を呈します。その表情は、まさしく今年の流行語大賞候補の「ボーっと生きてんじゃねえよ!」のチコちゃんに迫るものがありました。いやいや頼もしい限りです。

何故なのか?おいらが乾杯の挨拶をし、2時間半、楽しいアトラクションも含めて大盛会でございました。世の中本当に厳しい情勢であることに変わりはありません...皆、一様に来年10月からの消費税アップの話で持ちきりでした。すんなり社会保障費に使われるのなら理解できるのだが、これまでの政治家が行ったことを考えると、どうしても納得できないものが多々あるんでございますな。議員の縮小もやらず、不正しっぱなしの政権に誰もが不信感を抱くのは至極当然のことでありんすよ。

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日本のいい塩梅と出会う

2018/11/09
【第1157回】

今日の東京は雨がしとしと降っています...アメリカの中間選挙、アメリカは分断の道を突き進んでいます。世界はポピュリズムが蔓延しつつあります。自国主義第一、これは嘗ての世界が苦い体験をした世界第一次、第二次大戦の再来を予感させるくらいの負のイメージを抱いてしまいます。人は何故歴史に学べないのか、我欲をコントロールできないのか、愚かとしか言えません。連日報道されるアメリカを目指す移民キャラバン、貧しさと暴力から逃れる人たちの表情から希望は見えません。アフリカからヨーロッパに移動する難民も然り、こうやって豊かさと貧しさを日々見せられることによって人は何を考え、行動するのか、何故かほとんどの人が無力感に駆られているのではなかろうか...おいらの人生は残り少ないのだが、死後の世界も何度も何度もこの繰り返しをしながら地球という星は死滅してしまうんではなかろうかという悲観的な観測...ホンマにもったいないことでございます。こんな素敵な星は宇宙のなかで皆無でございます。多様な命が様々な形で共存し助け合いながら生きる星、これにストップをかけてるのがなんと人間、しかも同種の人間が殺し合う滑稽さを何千年行ってきています。

今日、久しぶりに新宿の街を散歩しました。新宿駅の通路を堂々と、しかも誇らしげに自慢のおっぱいを、これみよがしに見せつけるゲイの姿を見ながら、ここ日本国新宿解放区はまだまだ大丈夫かなと思った次第です。

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にゃんこも生きてます

2018/11/07
【第1156回】

月曜日の行橋市での「男の純情」一時間半笑いが絶えない公演でした...今年の3月にも「Sing a Song」で訪れたばかりのコスメイト行橋。お客様が演劇を楽しみにしていることが良くわかります。こうやって良質な作品を持っていけば、確実に芝居好きな観客を増やすことができるのではなかろうか。終演後、地元福岡出身の山崎銀之丞さんが挨拶で話した「お客さんの温かい声援のおかげで背中を押され、最後まで無事務めることが出来ました」

そりゃそうでしょう、あれだけのお客の反応がドッカンドッカン来れば乗りやすい役者さん天まで上るでしょうな。まさしく芝居は生き物です。演者と観客のキャッチボールで場内は幸せな雰囲気に包まれめでたしめでたし。ホールを後にする40歳前後の女性に「いつも素敵な作品ありがとうございます」と声を掛けられ、おいらほんまに嬉しゅうございました。

この日で、今回の九州公演は終わりということで役者、作家と共に「魚やビストロ遊楽」で打ち上げ。この店の大将は魚大好きの料理人、旬の魚を地元漁師と提携してリーズナブルな価格で提供しお客さんに喜んで頂くことが生き甲斐という、お客にとっては神様みたいな経営者。この日は、プロの芝居屋とプロの料理人が相対しての素敵な打ち上げになりました。無事に芝居を務め上げた役者と作家が旨い!を連発しながらの食する顔は、舞台で見せる顔とは一味違う表情でございました。

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お疲れさまでした!

2018/11/05
【第1155回】

昨日は福岡県小郡市での「男の純情」公演に行ってきました。小さな町に500人の人達が来てくれました。ほんなごつありがたいことでございます...芝居創ってるおいらとしては、改めてよか芝居を持ってこんといかんですばいと思った次第でございます。つまらん芝居を観た人は二度と芝居を観ることがありません。時間とお金を奪われた人の悲しみは計り知れないものがあります。そして芝居が悪の権化として語り継がれると思うとぞっとします...昨日のお客さまの笑いと、劇場を後にしていく人たちの満足気な表情を見るにつけプロデューサー冥利に尽きます。

公演終了後、作家の水谷龍二さん、市川猿弥さんと一緒に博多の名店「さきと」でおいしいお酒と魚を食しました。ここはカウンターだけの店でありながら予約なしでは入ることができません。その日の選りすぐった魚と、銘酒が一日に疲れを癒してくれます。博多はどこに行っても美味しいものを安く頂けるというものの、やはりより吟味されたものを出してくれる店が名店と言われる所以です。高くておいしいのは当たり前、ほどほどのお金で鮮度抜群の魚を出してこそ心ある名店ではなかろうか...そして店主の凛とした立ち姿、これがあってこそ画竜点晴ってもんでございます。締めは、やはり中洲屋台のラーメン、夜風に吹かれて今日も一日無事過ごせたことに感謝!

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博多の夜

2018/11/02
【第1154回】

昨日、無事に「男の純情」東京公演千秋楽を迎えることが出来ました...キャスト、スタッフの皆さん事故もなく本当に感謝です。おいらも1ステージを除き日々楽しませて頂きました。jazz好きなおいらはjazzに見立てての観劇。今日はピアノトリオ、さしずめ山崎銀之丞はピアノ、市川猿弥はベース、宇梶剛士はもちろんドラムなんて想像しながら三人の丁々発止のやりとりの1時間半ライブを満喫。ある時は管楽器のトリオ、ある時は弦楽器という具合にjazzと演劇が融合しあう様においら自身新たな発見をした次第でございます。

それにしても、改めて芝居はアンサンブルの良さにかかってます。今回の出演者の三人とも稽古期間も含めて良くお酒を飲んだのだが、芝居は勿論、酒宴の席でも三人の掛け合いが芝居同様面白く、別物の芝居を観ているようでありました。特に宇梶さん、猿弥さんのやりとりは漫才レベルの面白さ。つっこみの宇梶さんに、ぼけの猿弥さん、このコンビの漫才いけまっせ!こうやって無駄な酒は飲んでませんことよ。稽古以外の時間にも次なる戦略を錬ることを怠らないのがプロの役者でございます。

昨日は、新宿花園神社の一の酉の日でもありました。商売繁盛を祈っての熊手を求め沢山の人が集まり賑やかな日々の始まりです。おいらは随分昔から顔を出してるのですが、最近、熊手の売り手の人達の顔が優しくなったのが物足りないですかね?昔は小指を落とした強面の兄さん、オッさんがゴロゴロ居てまして、修羅場を潜った人達から買ってこそ御利益がありそうな気がしてたんですが...こんな見方って変でございましょうかね。

さて、「男の純情」11月4日から旅公演です。こんなご時世ですから、ここは劇場に足を運んで思いっきり笑い転げて明日の糧にしてくださいな皆の衆。

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笑売繁盛

2018/10/29
【第1153回】

先週土曜日、中部・北陸ブロック演劇鑑賞会第28回総会出席のため三重県津市に行って来ました。演劇が大好きだけではなく、人との繋がりを大切により良い社会を目指すことを主旨とする会です。おいらも久しぶりに参加させて頂きました。演劇は観客が居なければ成立しません。1年に6本の作品を観ている演劇通の人達なので、こちらもよりクオリティの高い作品を持って行かないと二度と呼んでもらえない緊張感があります。午後2時~6時まで真剣な討論が続いたあとの交流会。おいらのテーブルには富山、金沢、いなざわ、豊橋、岡崎、尾北、津の事務局の方々と一緒に話をすることが出来ました。会員を維持し増やしていくことがいかに大変かということをじっくりと聞くことが出来ました。ここで又、身が引き締まる思い...二次会は劇団1980の代表であり俳優である柴田氏と談笑。同じ福岡の出身でなにかと話が合うので、ついついお酒飲みすぎたかなと思ったのだが、柴田氏はおいら以上に呑んどりました、戸畑の出身で川筋気質、言いたいことはズバリと言うので人気もんじゃないかしら...この日は全国の各ブロックの総会が重なりトム・プロジェクトのスタッフも各地を飛び回っていました。東京では「男の純情」の本番中、いやいや多忙なことはいいことです。暇でどこからも呼ばれず、芝居もしてないんじゃ、とっくにトムも吐無になってますからね...改めて、気合い入れ直してよか芝居創らんといかんですばい!

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津のホテルからの眺め

2018/10/26
【第1152回】

昨日、「男の純情」無事初日を迎えることが出来ました...冒頭からラストまで笑いが絶えない舞台に仕上がりました。こんな舞台もなかなか珍しいんじゃないかしら?とにかく本が良くできてます。アメリカ、フランスにはこんな喜劇がたくさんあるんですが、こちら島国、湿度が高い日本ではなかなか生れにくい。勤勉、義理人情、とかくべたついた心情がお好きな国に育つと遊び心が無くなってくるのかしら...抱腹絶倒劇でありながら男の哀感がじんわりと滲み出てくるんですから堪りませんな。演劇も多種多様、こんなシチュエーションコメディーを書ける作家はほんまに希少価値です。長年、一緒にやってきた水谷龍二さんにはまだまだ頑張ってもらいたいですね。来年も風間杜夫ひとり芝居の新作を依頼してるんですが、やはり魅力ある役者をイメージするといい本が書けるそうです。

今回も三人三様の魅力ある役者が揃ったこその出来です。まるで当て書きしたかのような設定。芝居を観ながら、そうそうこんな人周りにいるなんて想像を膨らませながら観れるところも楽しみの一つ。笑いってあらためて難しいもんだと思います...ギャグで笑いを取るのではなく、人間の関係性、内面から零れ落ちる笑いこそ観客の心を鷲掴みするんじゃないのかな。おいらがやってるのは演劇ですからね...劇場を出て、男っていくつになっても可愛いね!なんて思ってくれると嬉しいな...なんて感じた初日でした。

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秋の空

2018/10/24
【第1151回】

先日、練馬にあるブレヒトの芝居小屋に行ってきました...ここは1977年に東京練馬区・武蔵関の辺境に on the corner をこころざして劇場を建設し、演出家・広渡常敏を中心とした約70名の劇団員が、常にアクチュアルな演劇を求めつづけた東京演劇アンサンブルの拠点であったが、来年の春には諸事情で閉めるという。芝居創りには拠点なるものがどうしても必要になってくる。じっくりと想を練り、何日もかけて形にしていく作業場に相応しい場を持ちえることは理想だ。しかし、東京の地で維持していくには相当の負担になるので、おのずから辺境の地に構えざるを得ない。でも、共に汗をかき良質なる作品を完成させるためにも、このブレヒトの芝居小屋はベストなのかもしれない。

今回は、温泉ドラゴンの「THE DARK CITY」を観てきました。天井が高い自由な空間を作品に合わせて作り上げた舞台、客席がとても心地良い。芝居の内容とこの空間がなくなることも含めての想いを込めての作・演出のシライケイタの着眼点が素晴らしい。ここ数日報道されてるジャーナリストの怪死、解放など、現代に繋がるジャーナリズムの問いに十分答えうる作品に仕上がっていた。

終演後、今一度芝居小屋を見上げると、都心ではなく辺境の地に掲げられてる演目看板と秋の空が見事に調和していた。こころざしさえあれば芝居はどこだって出来るのだ...

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こころざし

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