トムプロジェクト

2019/12/11
【第1287回】

ペシャワールの会の中村哲さんの遺体が故郷福岡に戻ってきました...「困った人を見て、手を貸してあげるのが人として当たり前のことでしょうが...」この当たり前のことがなかなか出来ないのが人間なんです。寝食を忘れ、無償の行為を生涯アフガニスタンで全うした哲さん、本当に貴男は高大です。国民栄誉賞、ノーベル平和賞などなどと取りざたされてますが、哲さんはそんなもんはちっとも欲しくないと思います。世界のあちこちで中村さんを偲んでごく普通の人達が蝋燭を掲げている姿が一番嬉しいと思います。彼は生前、人が出来ないことに挑戦し行動に移し弱者が救われ、大地が生き返る行為が営々と引き継ぐ人間がいる限り地球も健康ですよ...なんてことを屈託の無い笑顔で語っていました。

それに比して、この国の政治家の無様な姿は呆れてしまいます。都合の悪いことは全て改ざん、廃棄、削除などなど、犯罪に等しい行為であるにも関わらず堂々と世間をあざ笑うかのようにまかり通ってしまうんだから怒髪天。しかも、まだ内閣支持率が45%あるんですから、この国一体全体どなんなってんのと物申したい。

師走というのに晩秋なのか初冬なのか、何ともはっきりしない天気が続いています。街ゆく人の服装もばらばら、今日びっくりしたのは新宿の街を短パン、Tシャツ1枚で颯爽と歩いている外人...彼にしてみれば季節は晩夏辺りではなかろうか。きっと食べてるもんが違うんだろうな。ついつい、わらじみたいな肉を平らげてる姿を想像しちゃいました。

1287.jpg

師走の公園2

2019/12/09
【第1286回】

先週土曜日、劇団桟敷童子「獣唄」観劇...75歳になる村井國夫さんが、すみだパークスタジオに大掛かりなセットを立て込んだ劇団桟敷童子に客演ということで話題になっている芝居だ。トム・プロジェクトでもお馴染みの東憲司さんの新作だ。先ずは、商業演劇とは違ってすべて劇団員による手作りの芝居に出演する村井さんの役者魂が素晴らしい...まだまだ枯れてたまるもんか!若い人たちに自ら身を投じ、新しいエネルギーを吸収しようとする姿勢に拍手。日頃は、ダジャレを飛ばしながらリラックススタイルの村井さんも、舞台に上がれば息子、孫にもあたる役者さんと火花を散らしておりました。複雑に組み込まれたセットの中を這いずり回り、時には罵声を飛ばし村井さんの心身は躍動しとりました。若い役者さんも村井さんに学ぶ点多々あると思います。村井さんに立ち向かう姿に鬼気迫るものがありました。と言っても、村井さん、どこの劇団にも出演するってことはありません。この劇団桟敷童子の芝居に対する姿勢、そしてこの劇団の主宰者・東憲司さんの描く世界に惚れ込んでの出演だと思います。2時間の芝居、圧倒的な村井さんの存在感、桟敷童子の役者さんの真摯な演技が相まって期待通りの作品に仕上がっていました。

今朝、村井國夫さんが軽い心筋梗塞で舞台降板のニュースが入ってきました。終演後もあんなに元気だったのに...信じられませんでした。役者さんは観客の前でいい芝居するために、命をすり減らしているんだなと改めて思った次第です。そして明日まで休演して11日から原口健太郎さんを代役に立て公演再開するそうです。村井さんのためにも更なるレベルアップの芝居を期待してます。そして村井さん、しばし身体を休めてください。村井さんが学んだ俳優座養成所15期生の方々才気溢れた方ばかりでしたが、早くして亡くなっていますので、是非とも彼らの分までいつまでも舞台に立って欲しい!というのが、おいらの切なる願いです。

1286.jpg

師走の公園

2019/12/05
【第1285回】

中村哲さんが亡くなりました...おいらは中村さんの活動に賛同し十数年ペシャワールの会の会員でもありました。アフガニスタンで医師として、又、干ばつに苦しむ住民のために潅漑を造り、自らショベルカーを運転し現地の人たちとアフガニスタンの人たちと国づくりに奮闘した日本が誇る人物の一人です。世界の警察官?を自負するアメリカから医薬品の提供があっても、政治的に中立でありたいという立場から断った方です。ペシャワール会から送られてくる会報にも哲さんが元気に地元の人たちと汗を流している写真を見るたびに、おいらも世の中人のために汗を流さねばと背中を押されたことも度々でした。

こんな人がノーベル平和賞を受賞すべきだし、彼こそが桜を見る会に呼ばれるべき...いや呼ばれても哲さんは行かないと思いますが。こんな時こそ、この腐りきった政府が己の負の部分も含めて何らかの発言でもすればいいものの何も喋りません。

哲さんの出身校である福岡高校でも今朝全校で黙祷がありました。在校生が一様に、哲さんの生き方に深い感銘を覚えた談話が報じられていました。こんな若者が哲さんの志を引き継ぎ少しでも日本、世界のために何かをしてくれれば、きっと哲さんも喜んでくれるでしょう。荒れ果てた大地と疲れ果てた人たちを前にして、緑豊かな大地、そしてアフガニスタン人の笑顔を夢見て、朝早くから夜遅くまで走り回った哲さんこそ夢とロマンと冒険心に満ち溢れたほんまもんの九州男児であったばい!

1285.jpg

まっきっき

2019/12/03
【第1284回】

先週は俳優・鳥山昌克さんが主宰する芝居を観てきました。鳥山さんは唐十郎さんの劇団唐組に20年ほど在籍した根っからの演劇人です。唐十郎の文脈を具現化することは演劇の世界では至難の業です。まず言葉に対するイメージにどれほど身体が拮抗できるか?唐さんの言葉は万華鏡のようであり、台詞の手がかりを捕まえようとしてもままならないものがあります。唐十郎と寝起きを共にし、彼の見知らぬ闇を、こっそりとのぞき込み、聖と俗の谷間に暫し身を横たえるなんてことをしない限り埒があかないのではないか...

11月27日~12月1日まで池袋のシアターグリーンで上演された「唐十郎 楼閣興信所通信」には、まさしく唐ワールドが展開されていました。今や商業演劇的な興行にも唐さんの芝居は人気があるのですが、原点は何といってもテントです。テントの中に息づく特権的な役者の肉体、そして舞台上に散りばめられた数々の大道具、小道具...そのどれもが街のあちこちに捨てられた廃材であったり日常の小物、そして衣装...これらが放つ生活感たっぷりの懐かしい匂い...これらが見事に絡み合いながら果てしないロマンの世界に突き進むジャンプ力こそ唐芝居の魅力だと思います。

鳥山昌克さんの芝居には、確かに唐十郎が描きたかった世界が存在していました。すべてがデジタル化された昨今、芝居こそがアナログ継承芸能ではなかろうか...そんなことをふと思った一夜でもありました。

1284.jpg

窓越しの紅葉

2019/11/28
【第1283回】

秋の余韻を楽しみたいのだが、ここ数年、春と秋という一年で一番気持ちがよい季節が消えつつあります。数十年後には、暑いか寒いかのなんとも味気ないシーズンになってしまいますね。そして、予想を超える災害が世界を襲い人類はあたふたとするのみなんてことになっちゃいそう...それを少しでも防ごうと、環境問題に取り組んでいる人たちが日本にも居ることが少しは救いです。新宿の街にも毎週月曜日の朝、会社あげての街の清掃に励んでいる集団を見るにつけ頭が下がる思いです。道路に捨てられたたばこの吸い殻を、草の根をかきわけながら拾う若者の姿に希望を感じます。最初はたぶん社長の指示で仕方なくやっていたのが、次第に喜びを感じながらの姿勢においらも嬉しくなってしまいます。思わず「ごくろうさん!」と声をかけると何とも言えない笑顔で頭を下げていました。

今の若者は?なんて批判するオッサンがたくさんいるのだが、そんな世の中にしたのもこのオッサンたちです。団塊の世代、確かに面白い時代であったのだが、青春が瞬く間に去っていった瞬間に、現実社会に飲み込まれお金の亡者になった多くの人達。その代償として学歴、利益優先、排除などなど格差社会を増長していくシステムを生み出していった結果、その綻びが随所に露呈していった事実。オッサンたち、その反省を踏まえ残り少ない人生、若者たちに人生で一番大切なものは何かを教えてあげねばなりません...人それぞれ、できることからやりましょう!おいらは、とりあえず芝居を通じて、平和・家族・環境という三本柱を軸に据え創作していくことで、なんとか少しでも喜びを持てる社会にならんかと精を出してやっとります。しかも、教条的にならずエンタメ要素もプラスしておもろい芝居にしてまっせ!

1283.jpg

燃えてます!

2019/11/25
【第1282回】

「ジョーカー」観てきました...おいらが今年観た映画のベストワンかな。なんたって主演のホアキン・フェニックスが素晴らしい。登場するなりおいらの心を鷲づかみ、あとは彼の表情、アクションに瞬きする暇がないくらい魅了されてしまいました。改めて、異国の俳優の演技すなわち生き方に厚みを感じます...役になりきると言うより憑依の仕方が尋常ではない。時折踊る姿は、暗黒舞踏の土方巽を彷彿とさせてくれる。歩く姿、静止したときの表情には果てしない想像力を喚起させてくれる。社会の底辺に蠢く人物の、格差社会への鬱憤晴らしの映画とも受け取られないかも知れない映画なのだが、そんな図式を大胆にぶち壊し深く思考せざるを得ない人間ドラマに仕立てる監督トッド・フィリップスの手腕もたいしたものだ。この殺人者に次第に感情移入していく自分が怖いなんて人も随分居るだろうな。

おいらが最近読んだ大正時代のアナキストに通じるものがある。「難波大介・虎ノ門事件」金子文子を扱った「何が私をこうさせたかー獄中記」「久さん伝」に登場する和田久之助、「パンとペン」の堺利彦、社会の不正に憤りを感じ、テロに走る過程に相通じるものがある。

この映画が何故生まれたのか?自国でポピュリズムを標榜するトランプの登場、そして世界の社会不安がこの映画誕生の背景にあることは間違いない。いや、そんな分析を必要としないホアキン・フェニックスの存在そのものに圧倒された幸せな一日でありました。

1282.jpg

今年も魅せます

2019/11/22
【第1281回】

今日は寒い!一気に冬将軍が参上いたしました...雨の中、道行く人達も身を固くして歩いておりました。新宿のホームレスの人たちもこれからが厳しい季節です。少しでも暖かい場所取り争いが始まります。でも、春になるといつものメンバーが元気な姿で現れるので、彼らなりの身の守り方があるんでしょうな。むしろ、一般の人たちの方がひ弱な感じではなかろうか?ここまでくれば捨てるものなんかあるもんか!開き直った生き方で颯爽と生きてる人たちも見受けられます。まあ、いずれにしても誰のせいでもありゃしない...今ある姿は、これまで生きてきた結果のなにものでもないのですから自分で引き受けるしかありませんな。

それにしても、桜を見る会、サクラばっかり集めて何やってるんでしょうね。モリカケ問題に引き続き、すべてシュレッダーで消去、時間がたって忘れ去ることを待つ政府の常套手段。これに慣れ諦めてる国民。おいら今、大正時代のアナキスト関連の本を何冊も読んでいるのだが、時代の閉塞感に死を恐れず立ち上がった若者の純粋さに心打たれます。テロ行為に対しては賛同しかねますが、差別、不正に対してわがことのように思う彼らの気持ち、今の若者はどう感じるのでしょうか?これからの時代は、その若者が背負って立たなきゃならんのに、ひたすら内向き志向で思考し行動する多くの若者になんだか歯がゆい思いです。いや、若者だけではありません。夢も希望もロマンも無くなり、安酒場で愚痴ってるオッサンたちも情けない。一度きりの人生じゃないか!キラキラした生き方せんともったいなかですばい。

1281.jpg

雨にも負けず...

2019/11/20
【第1280回】

昨日横浜、県民共済みらいホールで「風を打つ」最終公演をやってきました。このホールには毎年トムの作品を呼んで頂いているのですが、今回の作品、支配人のS氏に大変ありがたい言葉を頂きました。「この作品こそ、今の時代、多くの人が観るべきである...」日頃は手厳しいコメントを出されるS氏も、今回ばかりはひとつのダメ出しもなく諸手を挙げての讃辞。俳優座劇場の公演でも多くの方の素晴らしい評価を頂きましたが、嘗て俳優座の演出部にも所属されたこともある辛口S氏の言葉はおいらもとても嬉しかった。来年も3本呼んで頂いているので今回以上の作品を創らねばと今から気が引き締まる思いです...今年ラストの公演、事故もなく見事に責務を果たしたキャスト、スタッフ、そしてトムの制作の皆さん本当にありがとう。感謝感謝!

芝居を観る前に久しぶりに野毛にあるJAZZ喫茶「ちぐさ」に足を運びました。相変わらず半ばボランティアに近い従業員の方が、店内に置いてある名盤レコードを取り出しターンテーブルに置き丁寧に針を落としていました。このアナログな一連の動作がたまらなく愛おしいのでございます。今やなかなか手に入らないレコードばかりで、貴重なレコード鑑賞タイムです。こんな喫茶店が無くなるときこそが、いよいよ日本の終わりかな?なんて思わせてくれるお店です。JAZZの曲に酔いしれ読書するのが、おいらの至福に時間でございます。疲れた心身に心地よい風が吹き抜けていきます...

1280-1.jpg

1280-2.jpg

みなとみらい・野毛

2019/11/18
【第1279回】

昨日で「風を打つ」無事に東京公演千秋楽を迎えることが出来ました。大いに笑い、泣き、感動してくださったお客様本当にありがとうございました。そして、5人のキャストと多くのスタッフよくやりました。まさしく「ONE TEAM」、家族の芝居だからこそ、この言葉は重みがあります。家族の再生はもちろん、国の再生、教育の再生などなど全てが問われてる昨今、この芝居が問いかけるテーマは果てしなく拡がっていく感じです。ラストに男聚3人が打ち鳴らす太鼓、そして魚の気持ちを代弁して語り掛ける音無さんの方言こそが、時代に翻弄され国から捨てられた人達に届ける痛切な叫びと哀悼に通じます。おいらは、弱者の視線で芝居を創りたいと常々思っています。市井の息遣いが感じられる芝居創りこそが、今一番必要なのではなかろうか...勿論、そんなことにお構いなく創ったとしても、血の通わない芝居なんぞは観客に伝わらないと思いますがね。

日毎、街中にも秋の気配が、いや、もはや冬の到来かも?なんて季節になりました。この季節の青空、移りゆく雲の表情、木々の紅葉、愚かなニンゲンを優しく包んでくれる自然界の大きさを改めて感じます。飽きることなく傲慢な手法で世の中を蹂躙しようとする権力者の皆さん、他人の目ばかり気にせんで、深く深呼吸しながら、自然の織りなす大パノラマに暫し目を向けてちょうだいな...心眼なるものに少しは近づけるかもしれません事よ。

1279.jpg

また一段と色づいて...

2019/11/14
【第1278回】

今日また大嘗祭、先日に続き国費が費やされます。全国の被災地、その他もろもろ救済しなければならないお金が必要なのに、陛下も心苦しく思ってるんではないでしょうか?秋篠宮様が質素にやればといった発言も完全無視。そして今度は、能天気な花見に税金を私的に使う政治屋さんたち。少しは国民の皆様怒ってくださいませ!日本伝統の文化はわからないでもないが、こんな体たらくなこの国のシステムでは納得できませんがな。そして先日の式場でも「天皇陛下万歳!」の大合唱、先の大戦で300万人の戦死者は、どんな思いで聞いたのであろうか?少しの想像力を持てる人であっても、あの万歳三唱はやはり無神経な叫びと聞こえるのではなかろうか...おいらは左翼でも右翼でもありませんぞ。

「風を打つ」今日入れて残すところ4ステージ。またまた、演劇関係のページにこんな書き込みがありました。

 

俳優座劇場にてトム・プロジェクト『風を打つ』を観劇。
1993年の熊本・水俣を舞台とした家族のお話。3年前に拝見した同団体の『静かな海へ―MINAMATA―』で、それまであまり詳しい知識を持ち合わせていなかった水俣病という公害問題について様々な学びを得られた中で、今回はそんな水俣に住むとある家族の物語ということもあり、個人的にとても興味のあるテーマの作品でした。
水俣病は高度経済成長期にあった1956年に熊本県と新潟県において発生・発見が認められた公害ですが、今回の作品はその公害発見から37年後の1993年を舞台としたもの。その間に公害自体は改善が図れたものの、40年近い月日が流れているのにも関わらず、尚様々な問題を抱え、水俣地区の人々にのし掛かっている様子が随所に垣間見れて、やはりこの手の大きな公害問題は一度起きるとその完全解決にはとてつもない年月、そこに暮らす人々の苦悩・努力などが伴うという何とも言えない重みのようなものを痛感させられました。しかし、この作品はそのような社会派の内容であると同時に、決してその悲観的・マイナス的な要素だけでなく、むしろ水俣公害を乗り越え、バラバラになりかけていた家族の希望溢れる再生の物語であったようにも感じます。家族の愛情、家族の素晴らしさを感じました。
トム・プロジェクトさんの作品は今年2月の『芸人と兵隊』以来9ヶ月ぶりでしたが、毎度のことながら自分自身の知識アップになるとともに、心地よい笑いシーンも盛り込みながらテーマに沿って丁寧に描かれている印象を受けるので見応えがあるし、とにかく色々と考えさせられます。『萩咲く頃に』『にっぽん男女騒乱記』で拝見した音無美紀子さんは今回は肝っ玉母さんのような役。相変わらず好演が印象的だと感じました。また、個人的にテレビの旅番組のイメージが強い太川陽介さんのお芝居は初めて拝見させて頂きましたが、何となく普段から印象の強い笑顔の中に、九州男児の役らしい強さのようなものも感じました。他の3名の演者さん含め熊本弁も違和感なく使いこなされていたと思います。やはり今回もトム・プロジェクトさんの作品は"当たり"でした。

トム・プロジェクトの作品が"当たり"てのが嬉しいですね。貴重なお金と時間を敢えてトム・プロジェクトに割いてくれたんだもん、きっちりとお返ししないと罰があたるってもんでございます。この芝居、今週の17日が俳優座千秋楽です。この芝居観ずして今年の芝居のこと語れませんことよ皆の衆。

1278.jpg

少しづつ...

1