トムプロジェクト

2020/02/21
【第1311回】

いよいよ花粉の季節が到来しました。おいらもマスクに花粉用メガネで防戦一方、なんとかこの季節を乗り越えようと頑張っておりますばい。新宿伊勢丹の店員さんが皆マスクしているのには驚きました。おいらも半世紀にわたって伊勢丹を覗いてますが、こんな事態は初めてでございます。今の伊勢丹の主流のお客は中国、韓国の富裕層、このマスクの姿が何となく今の伊勢丹の姿を象徴してますな。これを機に、あんまり高い品ばっかり置かないで、百貨店の原点に戻ることをお勧めします。おいらの子供の頃は、デパートは格好の遊び場であり夢が広がる場所だったんですからね。成金がうろうろしている今の現状はあまり好ましくありませんな。

それにしても腹が立ちますな。森友問題で籠池氏5年の実刑判決、一方、公文書改ざんした方にはお咎めなしどころか、あの眼鏡かけたおっさん忖度出世でめでたしめでたしあ~こりゃこりゃ暮らしをなさっております。森加計そして又しても桜で追及されたトップのお方はヤジでうっぷん晴らしたあげくに謝るわ。この国どうなっちゃうんだろうね?次の首相候補と期待された若きプリンスも調子に乗りすぎて化けの皮が剥がれてきたし、残念ながらこの国を救うお方が見当たりませんな。とすれば、消去法で仕方なく選ぶしかないという低調な状況であるこの国の政治体制、いかがなものかと憂慮しております。

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冬の空に映える梅

2020/02/19
【第1310回】

昨日、「Sing a Song」再演の顔合わせ、本読みがありました。2018年2月に上演し、大変な評判を呼び、戸田恵子さんもこの年の第43回菊田一夫演劇賞を受賞しました。この芝居が再演になった理由は、日本そして世界が負に傾きがちなポピュリズムの台頭により混迷を極めていること。一番恐れている戦争への道に進むのではないかという危機を回避するためにも、この芝居は有効な手立てであると言うこと。しかも歌という表現手段として最もわかりやすいことで観客の心情に届き、より表現の自由の大切さを再度認識して頂きたい...どんな高邁な言葉を羅列しても、3分間の歌のチカラの前には足元にも及ばないなんて事は何度も目にしたことがあります。勿論、歌い手の人間性、表現力があってのことですが...そして、台本、演出、キャストのチームワーク、スタッフの支えがあってこその今回の再演であります。再演は同じ事を繰り返しても意味がありません。2年の歳月のなかに当然のことながら社会の状況も、キャスト自身の中に流れる人生観も変化しています。その諸々を糧にしながら新作を創り出してこその再演だと思っています。

世の中、新型コロナウイルスでてんやわんやの大騒ぎ。いろんなイベントが中止になり劇場公演もどうなることやら...その前に、キャスト・スタッフさんが感染してしまったらお話しなりませんことよ。

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梅をみつけた2

2020/02/17
【第1309回】

先週土曜日、上野東京文化会館小ホールで歌劇「400歳のカストラート」を鑑賞。カウンターテナーの藤木大地さんのコンサート。女性ような声で歌うカウンターテナーと言えば米良さんの「もののけ姫」が知られたところですね。この藤木さんもなかなかのものでした。今回は創作劇、劇は17世紀から始まりカストラート(変声期前に去勢された男性歌手)として活躍するダイチは永遠の命を手にし、あらゆる出逢い、歓び、葛藤、苦悩を経ながら今に至る。その400年を音楽史を辿りながらの歴史物語。いやはや、一人で2時間、歌曲の原曲、そして日本語も交えながらの独唱。見事でございました。役者の世界も大変ですが、この歌の世界も苦難苦行の世界でございますな。声が命、ましてこの声の中に見えざる人生が写しだされるんですから怖いもんですね。まして洋楽となると姿形も見せるうえで重要な要素なってきます。日本人にとってはこれも越えなきゃならない壁ですな...そんな困難にチャレンジし、2017年4月、オペラの殿堂・ウイーン国立歌劇場のライマン「メデア」へロルド役でデビューして現地で絶賛を浴びたってんだから大したもんでございます。

あまりにも心地よい歌声に、うっとりしてしまいコックリさんに何度かなりそうになりました。(これはおいらにとっての誉め言葉ですぞ)それにしても、人間の身体ってまさしく楽器ですね。いや、楽器を超越して天まで届く歌声です。おいおい、そこらで愚痴ばっかりいって怠けている輩、この世に奇跡のように与えられた五体を磨かんと罰が当たりますよ!なんて警告を与えられてるような公演でもありました。

この日、朗読として出演された大和田獏さん、大和田美帆さんのお二人が見事に藤木さんをサポートしておりました。そして5人の演奏者も一流の音を奏でていました...会場を出ると久しぶりの上野公園が清々しく感じられたのも公演のお陰かな。

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梅をみつけた

2020/02/14
【第1308回】

昨日、令和元年度(第74回)文化庁芸術祭賞贈呈式が早稲田のリーガルロイヤルホテルでありました。昨年、トム・プロジェクトで上演した「風を打つ」に出演した音無美紀子さんが演劇部門で優秀賞を受賞しました。長い芸歴で初めての受賞、とっても喜んでおられました。作・演出のふたくちさん、共演者の太川陽介さん、村井國夫さんも駆けつけて盛大にお祝いいたしました。全身全霊で打ち込んだ演技の結果としての賞ではありますが、一人で受賞できるわけではありません。しっかりとした戯曲、適格な演出、芝居をきっちりと受け止めることが出来る共演者、もちろん円滑に舞台を進行するスタッフ、制作陣。これらがピタッとはまらないと栄冠は勝ち取ることはできないということです。それにしても「風を打つ」の音無さんの演技は絶品もんでございました。テーマが水俣ですから、それなりの覚悟で挑まないと大変なことになる...何事もそうですが、事実の重さにフィクションが勝てるわけがありません。がしかし、事実を踏まえて出来上がった創造物には違うニュアンスを醸しだすチカラがあります。今回の芝居が成功したのも、水俣病を受け入れながら生きることの意味を緊密な家族劇に仕立て上げ、出演者が一つになって表現したことに尽きるでしょう。

贈呈式の後は、共演者の高橋洋介、岸田茜さんも参加し改めて祝杯をあげました。それにしても、夫の村井國夫さんは始終満面笑みのお顔でございました。そりゃそうでしょう、先の村井さんの紀伊国屋演劇賞の受賞に続いての美紀子さんの受賞という夫婦そろってのW受賞、「こいつは春から縁起がいいわい」あの歌舞伎お嬢吉三の名セリフがぴったりの一日でございました。

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おめでとう!

2020/02/12
【第1307回】

一昨日、横浜県民共済みらいホールで「沖縄世」の最終公演をやってきました。ひとつの公演が事故もなく無事終えることがどれほど嬉しいことか...世の中が新型コロナウイルスで騒然としている中であり、生で勝負している我々にとってはホットした次第でございます。最終公演とあって、役者も万感胸迫る思いで演じていましたね。長い稽古を経て、いよいよこれが終わりとなると、そりゃ泣けてきますがな。特に終盤に差し掛かると役者も涙を堪えての演技でしたね...役者が泣いちゃったらお客は泣けませんことよ。これは役者の演技禁じ手十箇条のひとつでもありますね。ぐっとこらえて笑みのひとつでも見せれば、お客は涙でくしゃくしゃになること間違いありません。泣かせて、笑わせて、感動させればお客さん「ええ芝居やった!」と時間とお金の倍返しって訳ですな。つくづく芝居って難儀な生業でございます。

そして、いつも千秋楽に思うことは本当にこれが最後かな...再演が無い限り、再び日の目を見ることはありません。この日この時に観た人の記憶の中でしか存在しない希有なる芝居となるでしょう。勿論、駄作であれば記憶すらないモノになってしまうんだと思ったら、やっぱし気合い入れて創らねばと改めて思う次第でございます。

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落陽

2020/02/10
【第1306回】

先週の金曜日、福岡県行橋市での「沖縄世」公演に行ってきました。行橋市のお客様はいつも熱心に観ていただき、キャストも当然ながら熱が入ります。この日も満員の中、魂込めた舞台を上演することが出来ました。沖縄の置かれてる微妙な立場を少しでも理解し、沖縄の人たちに寄り添ってもらえればと思います。この日、トムの芝居でもお世話になっている松下竜一さんの長男、健一さん夫妻、松下竜一さん関連の本を書かれている新木 安利さん夫妻とも会うことが出来ました。こうやってなかなか会えない人たちとも会える機会を持たらしてくれるのも地方公演の良さです。

終演後、いつものように行橋の名店「魚やビストロ遊楽」でキャストの全員でお疲れ会。なんと、この日なかなか水揚げされない、タケノコめばるが入荷したとのことで大喜び。お店に入ったのも一年ぶり、おいらも一昨年の「Sing a Song」以来なので奇跡としかいいようがない。それにしてもこの店のオーナー外屋敷学(ほかやしきという珍しい名前)さんの魚好きには驚いてしまう。店の隣に魚屋さんもオープンしてしまうほどの勢い。テーブルに出てくる新鮮な魚さんに皆感嘆しきりでございました。こうやっておいしい店に出会うのも又、旅公演の楽しみです。

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うまか!

2020/02/07
【第1305回】

福岡県行橋市で本日上演する「沖縄世」、昨日、博多に先乗りしました。博多の上空から見る博多の街は何故かほっとします。何年経っても、やはり生まれ育った土地ですからね。この町でおいらの血と骨、そして絶えることのない好奇心を養ってくれたんだなと思います。夜は久しぶりに春吉にある「女とみそ汁」に行きました。この店の前身は「たらふくまんま」たくさんの弟子を育てた菊池さんは7年前59歳の若さで亡くなった。これから円熟の境地に入るその手前だというのに...博多には、彼の店で修行した人達が多くいてそれぞれ店をオープン。菊地さんの意思(遺伝子)を受け継いで頑張っている。この「女とみそ汁」は菊池さんの奥様とお嬢さん夫妻で、先代の大将のやり方を踏襲し、相変わらずの人気店として繁盛している。毎朝、市場で新鮮な食材を買い込み独特の味付けと、風味あふれる器で来客を歓待している。そういえば菊池さんはいつも言ってたな「料理の基本は素材ですよ...」市場に行っての目利きがすべてであると。それには食材の宝庫である博多は格好の地である。博多の人は幸せばい...安くておいしいものがいつでも手にすることができるんだから。

さあ、今日は「沖縄世」行橋公演、いい芝居して頂戴ね!

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今年初めての博多

2020/02/05
【第1304回】

今日の東京は春みたいな陽気です。このまま春に行っちゃえ!と青空に叫んでしまいました。ヤマザキマリは「テルマエ・ロマエ」の作者でありますが、彼女のお母さんのことを書いた「ヴィオラ母さん」がとっても素敵でした。昭和のシングルマザーの痛快な子育て、アートに対するひたむきさ、生き物に対する愛、人としてこんなに生きられたら申し分ありません。今の時代であれば虐待にも匹敵する行為でも、母と子の信頼、愛情があれば向かうところ敵無しといった感じですな。要は、他人の目を気にせず己の信ずる道を突き進んでいくことの正解さを証明されたと言うこと。ヤマザキマリさんも、単身イタリアに渡り、国際シングルマザーで帰国してもすんなり受け入れる母、見事です。まさしく教育とは親の背中を子に見せ、そして一対一の個性として接していくことなんだろうなと思いますね。ガミガミ怒鳴れば怒鳴るほど子供は離れちゃいますがな...こんな本を学校教育の教材に採用して欲しいな...でも、柔軟性ゼロの今の政治、行政ではまず無理でしょうな。本当に、今の日本の教育では何れ、日本沈没雪やこんこん冷え冷えとした国になっちゃうんだろうなと憂いておりますがな。

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今日の青空

2020/02/03
【第1303回】

「沖縄世」昨日、無事東京公演千秋楽を迎えることが出来ました。日毎、観客が増え続け、これは芝居の評判が良いので口コミで拡がっているんだなと思いました。いい芝居を創れば必ず観客が来てくれる!これは興行の大原則ですな。閑古鳥が鳴いている劇場では役者の気合いも入るはずがありません。役者のカンフル剤は、やっぱりお客の入り次第...勿論、芝居の出来も、それに比例して良くなるって訳ですな。昨日の千秋楽は、おいらが観た中でも最高の出来でした。

先週の金曜日には「男の純情」埼玉県の志木市で幕が開きました。登場人物の一人が朝倉伸二さんに変わっての舞台。劇場は最初から最後まで笑いの渦。この芝居、日本におけるシチュエーション・コメディの傑作だと思っています。いろんな年代、人物でいろんな形でやれる芝居も珍しいので、大切にしたい作品です。2月一杯、北海道をはじめ全国各地で上演します。お近くに来ましたら是非ご覧になってくださいな...損はさせませんぞ。

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千秋楽の東京芸術劇場

2020/01/30
【第1302回】

一昨日、第54回紀伊国屋演劇賞の授賞式が紀伊国屋ホールでありました。トム・プロジェクトでも作、演出、出演をしていただいている劇団桟敷童子が団体賞。これまでに3度、トムの舞台に出演の村井國夫さんが個人賞を受賞。おいらにとっても嬉しい一日になりました。劇団桟敷童子は創立20周年での受賞。劇団員全員で大道具、小道具、衣装を創り上げ、地道に名もなき人たちを軸に据えドラマを紡ぎ、最後の大掛かりな屋台崩し的な仕掛けで観客の心を鷲掴みする稀有な劇団。おいらはすっかりファンになりました。まさしく、演劇の原点を思わせてくれる作り方に魅せられ、応援したくなっちゃいます。主宰者の東憲司さんが「劇団員全員、歳を重ね心身とも疲労困憊...いつまでやれるかなと思ってる矢先の受賞、これを励みになんとか頑張ります!」と受賞の挨拶で述べていました。確かに劇団を維持することは困難を極めますが、この劇団の芝居はいつまでも見続けたいという多くのファンがいるのでなんとか頑張って欲しいと思います。

村井國夫さんは芝居を始めて54年、勿論、ほかの受賞はあるのですがこの歴史ある紀伊国屋演劇賞は本当に嬉しいとのこと。舞台人にとってのこの賞の重みを感じます。今回の受賞は奇しくも劇団桟敷童子「獣唄」出演での受賞。しかも心筋梗塞に襲われ途中降板での受賞だけに本人もびっくりされたのではないかと思います。大ベテランの村井さんも桟敷童子のファンであり初めての参加。ピュアな劇団員に刺激され、新たな役者魂がめらめらと沸き上がったに違いない。

何も賞を目指して芝居やってるわけじゃございませんが、何かの弾みになることは間違いないようです。振り返れば2008年に第43回紀伊国屋演劇賞団体賞を受賞したトム・プロジェクト、よしゃ!もうちょっとやってやろうじゃないか...と思い直して、12年が経ちましたとさ。

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おめでとう

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