トムプロジェクト

2026/06/26
【第2198回】

京王井の頭線での光景...おいらのシルバー席前には20代の若き男性が化粧をしていました。普段女性がする同じ仕草ですが、なんと大きなドライヤーも持参し座席には舞台メークでもするような大掛かりな小道具を持ち込んでのものです。周りの気配を気にすることもなく堂々と、まるで自宅の鏡台前でのアクションさながら。途中、シルバー席を目指して着席しようとする品のいいおばあちゃまも一瞬、彼の佇まいに驚いた様子でしたが、恐る恐るでしたがなんとか着席することが出来ました。さすがに座席に置いてあった荷物は自分の膝上に。誰が来ようが一切関心なし、その心境たるもの聞いて見たいもんですな。目と唇に真っ赤な色を彩り、そして次はヘアースタイルに着手、車内で大きなドライヤーを使うのかな?まさか音出しまではしないのでは?なんて想像しながらおいらは明大前で降りました。

最近では、車内で化粧する女性も随分と見かけるようになりましたが、傍から見ていてもあまり美しい景色ではないと思っています。身だしなみに関する工程は、人には見せない準備のプロセスであり、完成した姿だけが公の場に出るので、一人で楽しむ秘密の行為ではなかろうかと思います...今日の秘密の遊びが、他人にどのように映るのか?これがお洒落の本質ではないでしょうかね。

今朝のW杯、日本とスウェーデンの一戦。やはりそう簡単には勝たせてはくれません。引き分けで次の相手はブラジル、今年はいいとこまで行くのではと思いましたが、世界の壁はまだまだ厚いと感じました。体力的にハンディがあるにも関わらず堂々と戦っている日本選手なかなか立派なもんでございます。

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暫しの休息

2026/06/24
【第2197回】

酒井忠康著「舟越桂―森の声を聴く」読了。2024年3月に72歳で亡くなった彫刻家・舟越桂さんのことを記された本である。彼が樹木を削った彫刻には、いつも遠くを見つめるまなざしを持った静かな人物像が多い。生涯を通じて人間に対する飽くなき探求心が創作意欲をかきたてたのではなかろうか...おいらが舟越さんの存在を知ったのは1999年に出版された天童荒太著「永遠の仔」のブックカバーを飾った木彫刻である。正直言って本の中身より強烈な印象であったのを記憶している。その後、舟越さんの作品を観るたびに彼は彫刻家というジャンルを飛び越え文学者、詩人としての顔を持つ真のアーチストだと確信した。

彼の作品は、いずれもどこかに置き忘れた人間に対する、ある種の感応的なまなざしを感じさせる。いろんなかたちで、記憶の中の人間的な出会いを彷彿とさせる魅力がある。彫刻という既成の概念にとらわれることなく、己のフィーリングを大切にしながらも細かいところも気にせずけろっとした遊び心があるところもなかなか面白い。

彼の四畳半程度の狭いアトリエの壁にはこんな張り紙があったそうだ。

「アトリエは迷いの場であり、迷うから道を探す」「鐘を鳴らせ!俺は生きてるんだ」「芸術は作られるのではなく生まれるものだろう。私たちのやれることなどそう大きなわけがない」「思いよ世界の涯てまで飛んでいけ」

どのことばも深遠で暗示に満ちていて、自らの戒めとして貼っていたに違いない。今日も世界のあちこちで、いろんなアーチストが日々様々な葛藤を抱えながら創作活動に邁進してるんでしょうね。

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舟越桂の作品「書庫の中を飛ぶ」

2026/06/22
【第2196回】

先週の週末、7月22日(水)の1日のみの公演「空飛ぶドンキホーテ」の稽古場に行って来ました。村井國夫さんと山﨑薫さんによる歌唱×朗読という試み。朗読といっても芝居みたいだし、歌唱といってもいきなり歌い出すミュージカルみたいでもないし、おいらもいままで観たことがない不思議なものでした。先ず二人の掛け合いが絶妙だし、ハートで歌っている歌唱に心打たれます。そしてなによりも、台詞と歌の絡みに今まさに世界の置かれている状況に希望を見いだす展開になっているのが嬉しい。

台詞を口にする行為もなかなか難しいものですが、歌うという表現も更に深遠なものがあります。おいらも長年あらゆるジャンルの歌を聴いてきたのですが、やはり歌は究極のところ語りではないかと思います。大きな声で悦に入り気持ちよさそうに唱う歌ほど意外と聴衆に響かないものです。言葉を大切にしながら、メロディとリズムの力をかりて語りかけるように唱ってくれると心にじんわりと染み渡っていきます。

稽古場での二人の語りと歌にはおいらが思い描くものがありました。たった1日だけという公演が実に勿体ない!この現場を日本全国に届けねばと思った次第です。

昨日からメディアはサッカーの話題で持ちきり。そりゃそうだよね、日本の完璧な勝利。それにしても怖いモノ知らずの若い選手の個性溢れたプレーに、暗澹たる未来しか想像できなかったこの国に、少しは明かりを灯した1日だったかも知れませんね...

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京王井の頭線

2026/06/19
【第2195回】

青柳碧人著「乱歩と千畝」読了。久しぶりに一気読みした一冊でした。江戸川乱歩と杉原千畝が若い頃に出会って、お互いに成すべきことをやっていく中に激動の時代背景と歴史上の人物が登場する展開が面白い。江戸川乱歩と杉原千畝、怪奇探偵小説家とユダヤ人救済に尽力した外交官。実際には交流の無かった二人に、もしも交流があったら、というフィクション展開の中で、あとはそれぞれの物語が史実に基づいて描かれている。話の中で程よいタイミングで古関裕而、広田弘毅、川島芳子、松岡洋右、山田風太郎、松本清張、美空ひばりなどなどが登場し彩りを添えてくれました。この作家、なかなかのいい意味での食わせ物じゃないかしら?ミステリー・探偵小説・歴史小説これらが三位一体となりファンタジーの世界に巻き込んでいき最後は感動させるなんていう筆力はただモノではございません。

この混迷の時代こそ、作家は想像力を駆使していろんな形での物語を紡ぎだすことができる可能性を感じさせた作品でした。直木賞候補になったのですが、残念ながらこの年は受賞者なし。選考者の質も低下しているのではないかと思うのだが、ただ一人、選考委員の辻村深月さんが「歴史の世界でここまで奔放に遊んでよいのだと、私も実作者の一人として勇気と活力をもらった。同じように、きっとこの本を読んだ若い世代から、こんな自由な発想で歴史や小説を描きたいと思う人が出てくるのではないか。」唯一、この方だけがハナマルでした。まあ、すべからく好みは人それぞれですから...江戸川乱歩「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」...この本のテーマかな。

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頭と頭がごっつんこ

2026/06/17
【第2194回】

許してちょうだいな!前回に続いて又もや野球の記事、興味のない方はスルーしてくださいね。だってだって、あのライオンズが2005年に始まったセ・パ交流戦で初めて優勝したんですから書かなきゃならんでしょ。こんなことおいらが今後生きているうちにもないかもしれませんからね。2024年に球団ワーストの91敗(49勝3分け)を喫したチームがこげな強いチームになるなんて思わんかったですばい。とにかく弱小ライオンズが選手、コーチともども外部から入団させたことが良かったんですね。それまでは球団にかかわりがあったコーチでのゆるゆる体質、才能がある選手もちんたらちんたら緊張感のないプレーが続いていました。今年は他のチームから、そして海外からガッツ溢れる選手が入団したのをきっかけにようやくお尻に火が点いて必死豆炭にならざるを得ない状況になりました。

最後の2試合共に1対0で勝利、ともに今年他球団から入団した石井、桑原の一打で勝負を決めたことがなんとも印象的です。そして昨年までは出場はしているもののムラがあった長谷川がなんと交流戦の首位打者に輝きました。2020年育成ドラフト2位で入団した24歳の若き獅子がやっと花開いた感じです。なかなかのイケメンで外野手西川共々、女性ファンに大変な人気があります。

さてと、あとはリーグ優勝、そして日本一。勝負はこれからですが、あのサウナ状態のベルーナドームでの試合をどう乗り切るか?勝負事は下駄を履くまでわかりませんことよ。

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紫陽花や 家族団らん いつまでも

2026/06/15
【第2193回】

なんてこった!あのライオンズがパリーグ、交流戦とも首位にいるんじゃないの?嘘か真かこの目で確かめるために今年初めてベルーナドームに行ってまいりました。相手はジャイアンツ、監督が代わっていつのまにかセリーグの首位に躍り出ました。前監督の退任劇もなんだか腑に落ちないですね。考えてみればチームと家族は似たようなもの、家族が上手くいってないのにチームがいい方向にいくわけないよね。なんて考えながら橋上監督代行なってからの戦いぶりを観ていましたが、守りがしっかりしているなと感心しました。ライオンズもなかなか打てず2対1で惜敗。

この日は試合そのものより、おいらの内野席両隣に座った二組の応援ぶりがなかなかのものでした。右側の60代のオッサンの応援声の凄さに参りました。思わず鼓膜が破れてしまうんじゃないかという蛮声。ここまでくると騒音苦情で注意されてもおかしくないくらいの大応援。隣の奥さんは自宅で作ってきたおつまみ、弁当やらをひろげ二人でむしゃむしゃと喰っていました。ポットに酒を入れて来ていたんでしょうね、後半少し静かになったと思いきや鼾をかいて寝ていましたね。球場にきて思い切り発散すれば十分なストレス解消につながること間違いなし。

一方左側の70代前半の夫婦は上品な方でした。おいらの隣の奥さんの遠慮しながらの小声での応援は可愛かったな。「かっ飛ばせ~夏央」ライオンズ身長164センチの小兵、滝沢夏央選手のファンに違いありません。連れの旦那は野球にはあまり興味がないんでしょうか、奥さんの持ってきた弁当を食べている時が一番うれしそうでした。

野球観戦と思いきや、それ以外の様々なドラマを垣間見ることが出来るのがライブの醍醐味です。帰りの電車になかでもライオンズが敗戦して面白くないのか、観戦者同士のちょっとしたいざこざがあったりとか...一歩外に出れば激情が渦巻いています。

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ライオンズのラッキーセブン

2026/06/12
【第2192回】

朝井リョウ著「イン・ザ・メガチャーチ」読了。「Amazonベストセラー1位」「2026年本屋大賞受賞」「50万部突破」「書店の目立つところに山積み」「センセーショナルな宣伝文句の表紙帯」「SNSで話題沸騰」等々いかにも買って読まなきゃ時代に乗り遅れるなんて気分になって購入しました。正直申しましておいらの肌に合いませんでしたね。

チンタラチンタラと破滅に向かっていく過程が並行して描写されるだけ。問題提起はいいとして読者はそれでなんなのと放り出され虚しい感覚が残る気持ち悪さ。流行りの推し活と何かと問題視される信仰を重ねたテーマ性の着眼点は良しとしても、ただそれだけ。それでも救いになると作者は拘るのだけども、作家の真髄が問われるのはそのあとどう締めるのかだと思います。そしてそれが崩壊に繋がると分かっているのならそこから先を描くのが小説家たる所以ではなかろうかと思ってしまいました。

この本屋大賞なるもの過去にも何冊か読んだ体験があるのだが、おいらにとっては大賞以外の本に心揺さぶられる著作が多々あり、この賞を選ぶ方々が新刊書の書店で働く書店員の投票で決まることを知り、何か裏があるんじゃないかしらと思ってしまいました。2025年度末の全国の書店数は9,993店になってしまいました。1990年代には2.4万店あったのが半分以下。確かに時代の流れはあるにしても、出版社、書店の洞察力があってこその有能ある作家の誕生につながるものだと思っています。

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今日は曇天

2026/06/10
【第2191回】

昨日は、杉並区にある座・高円寺で上演されている劇団温泉ドラゴン×劇団58ROUTE日韓共同制作「長正炭鉱―生きたかった」を観劇。このドラマは、1942年2月3日、山口県宇部市の長正炭鉱で水没事故が発生し、183人が犠牲になった事実に基づいて創作。事故直後、坑道はコンクリートで閉鎖され、多くの犠牲者が出たということは80年以上語られることがなかった。浸水しはじめた坑内のエアポケットで生き延びるために息をひそめる坑夫達。そして、海底に沈む坑道の前で遺骨収集と真相究明を求め続けた今を生きる人達。舞台は、過去と現在を行き来しながら進行していきます。

日本と韓国との歴史の間に今尚、隠された出来事が沢山あります。日本と一番近くにありながら喧々諤々、闇の歴史をなかったこととする人があり、一方今回のような事実を郷土史家が記録し世に問う人も居ます。要は、隣国とよりよい関係を持つことが重要なこと。政治のレベルでなかなか解決できない諸問題を演劇という手段を通じて両国の信頼関係を少しでも取り戻せないかという演劇人の心意気を感じました。

今回は韓国の俳優さんも5人参加していました。同じ痛みの前で、言葉も文化も異なる表現者のぶつかり合いはスリリングなものがありました。まさしく舞台は国境を超える。

今尚、争いが続く国々の人たちも、こうした文化交流を通じてなんとか和平への道をこじ開けて欲しいのだが、大国のあの顔ぶれだと残念ながら難しそうですね。

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威風堂々

2026/06/08
【第2190回】

歌手の菅原洋一さんが先日92歳で亡くなりました。1967年「知りたくないの」♪あなたの過去など 知りたくないの
済んでしまったことは
仕方ないじゃないの♪。1970年「今日でお別れは」♪あなたの過去など 知りたくないの
済んでしまったことは
仕方ないじゃないの♪この2曲は当時大ヒットしましたね。おいらが上京して21歳から24歳の多感な時期でもありびんびん響いてきましたね。タンゴ歌手としてスタートした彼の低音を巧みに生かした味わい深い歌唱はいつまでも耳に残りました。ふと思い出し、昨日90歳に残したピアノ演奏だけの歌は枯淡の香りがしました。なんと今年の4月6日には上野のライブ会場で11曲を力強く歌い上げていました。まさしく生涯現役を全うした人生でした。

昨年には役者の仲代達矢さんも、菅原さんと同じ年92歳で最後まで舞台を務め亡くなりました。表現者たるものとしてあっぱれでございます!知名度が高まり楽してお金稼ぎに走る表現者を最近よく見かけますが、一番大変なライブ会場で自らの全てを曝け出し観客に問いかける人こそ真のアーチストだと思います。そのための研鑽は並々ならぬものがあると思いますが、観客として立ち会った時の感銘は、時として己の人生を決めかねない事件にさえなるかもしれません。

こつこつと歩みが遅くとも己が信じた道を切り開いた人生こそ、滋味深く他人の痛みを理解し知足に満ちた生き方ではないでしょうかね皆の衆。

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雨に濡れる紫陽花

2026/06/05
【第2189回】

最近の国会予算委員会のTV中継、緊張感もなく予定調和的に終始していますね。そりゃそうだよね、与党の圧倒的な数の力で全て決まってしまうのですから単なる儀式みたいなもんですね。そんな数の力をバックに、初の女性首相になった方が念願だった法律を次から次にごり押ししている姿に呆れてしまいます。その一つに「国旗損壊罪」、日本の国旗日の丸は実にシンプルで美しい旗だと思います。それをむやみに傷つけたり燃やしたりするのは如何なものかなと感じますが、その前提として国旗が真に愛され、誇りに思う国にすることが政治の仕事ではないかと...嘗て、日の丸を戦意高揚の道具として運用した苦い歴史もあり、人それぞれ国旗の対する感慨は違うのでは...そんな歴史認識も無視し、ただ単に法律で取り締まるなんてことは暴挙だと思います。アスリートが精魂傾けて勝利を手にしたときに上がる日の丸に、誰しもが共感できるように、法で縛るのではなく万人が心底から拍手を送ることが出来る健全な国にすることが肝要でございます。

もう一つ、「皇位継承問題」、日本の伝統から「男系男子に限ることが適切で、自分としても尊重している」と発言している。確かに日本の伝統も大切かも知れませんが世界状勢、そして諸々の価値観は大きく変容しています。自ら初の女性首相になりながら何故ここまで拘るのか理解できません。政治は個人の思いを成就する場所ではありません。より多くの意見に耳を傾け誰しもが納得できる方向に智恵を絞り切磋琢磨することが真の指導者ではなかろうか...あんまり意地になって張り切りすぎると身体に良くないないですよ。

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水が引いた神田川

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