トムプロジェクト

2019/01/18
【第1178回】

「萩咲く頃に」東京公演2ステージ無事終えることが出来ました...場所は両国、大相撲初場所開催中で、大銀杏に付けるびん付け油の匂いがなんとも色っぽい。この地には多くの相撲部屋があり、関取の歩く姿だけでレトロな町に一変しちゃいます。あのゆったりとした存在感も、この世知辛い世の中を和らげてくれる感じがしてホッとしちゃいます。稀勢の里の引退もあり、寂しいかなと思いきや、多くの人達が国技館の周辺集っています。このスポーツ、いや国技はモンゴルだろうがどこだろうが関係ありませんな。あの小さな丸い土俵上での肉弾戦は、他のどんな競技より特殊性を秘めており、飽きさせない魅力を持っているんでしょう。力士の鍛えられた肉体と大銀杏、まわし、異国の人が初めて目にしたときはなんじゃこれ?なんて思ったことでしょう。おいらが初めて子供の頃に博多で見た力士は、巨人の国から来た異人さんに見えました。12月の寒い季節なのに裸であることも驚きでした。新聞配達の後、櫛田神社近くの万行寺で見学した二所一門の激しいぶつかり稽古には身震いしまともに凝視することが出来ませんでした。そして改めて、こりゃやっぱり異人さんに間違いないと確信した次第です。

ところで、芝居は上々の出来でキャストの皆さんと、ちゃんこを食べに行きました。両国に来てちゃんこを食べないで帰るなんて失礼な気がします。これからの東北の旅の無事を祈ってちゃんこちゃんこした次第でございます。

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睦月の空

2019/01/15
【第1177回】

昨日の昼間は、明日から始まる「萩咲く頃に」の最終稽古に行ってきました。稽古を観て感心したのは、キャストの皆さんがシーン毎、時には繊細に、時には大胆に過去の表現とは違う方法で役に対する新たな挑戦をしていたこと。これは、新たな芝居を創ろうという意欲が並々ならないものだと嬉しくなっちゃいました。役者はこうじゃなきゃいけませんな!同じ事なぞってやるなんてもはや死に体でございます。なんとか役に新たな命を吹き込み、相手役に刺激を与え、より高いレベルで競い合う。プロデューサーにとっては願ったり叶ったりであります。今回は8年目を迎える東日本大震災の被災地で公演することも俳優陣も期するものがあると思います。12日、93歳で亡くなった哲学者梅原猛さんもおっしゃっていましたよ。東日本大震災については「文明災の面もある」と持論を展開、脱原発の文明論を掲げていました。脱原発社会の実現を主張し、「技術が進歩すれば自然は奴隷のごとく利用できるという近代哲学が問われている」「和の文明、利他の文明に変わらなければならない」と訴えておられました。誰かが言い続けねば、すんなりと風化してしまいこの時代。だからこそ、この芝居もやり続けます!

夜は錦糸町に「芸人と兵隊」の稽古場を覗いてみました。こちらも来月、博多での初日に向けて熱が入っていました。稽古終了後、この日誕生日でもあり還暦を迎えた柴田理恵さんのお祝いを近くのイタリアレストランでやりました。60歳とは思えない柴田さんのパワーに圧倒されながらキャスト、スタッフの和気あいあいの祝福に柴田さん本当に嬉しそうでした。

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昨日のスカイツリー

2019/01/10
【第1176回】

新しい年も始まったばかりというのに、今日、井の頭線で不満爆発のおばちゃんに遭遇しちゃいました。「若い娘に偉そうに言いやがって...あの親父」「ネチネチしてるんじゃないよ...言いたいことあったらはっきり言えよ」「孫にでれっとして...そんな気持ちあったら私にも優しくして」いやいや、ブツブツおいらの隣で喋っておりました。前の席、隣の席の人も席を移動したので仕方なくおいらは聞き役になっちゃいました。おいらも席替えすると、このおばちゃん喋るのやめるのかしら?いや、きっと寂しいんだね。おいらが受け止めてあげないと、このおばちゃん発狂しちゃうんじゃないかしらと思ってしまいました。ふと、おいらがなだめたり質問ぶつけたら、このおばちゃんどんな反応するのかしら?なんてこと考えながら7、8分は聞いていたかな。この時代、老若男女、年齢に関係なく悩み苦しんでいるんですな。おいらなんて経済的にも物質的にも決して豊かではなかったけれど、昭和平成と心豊かに活かさせていただきました。ことに戦後の昭和は面白おかしく過ごしました。そうなんですね、ものを持たない、ものがないからこそ、人は想像力をバネにして自分なりの創造物を創り出すんじゃないかしら。悩んでる暇なんてございませんことよ...その貴重な体験があったからこそ、今なお好奇心キンキラしながら日々楽しく生きてます。時代が勝手に向かって来ようと、要は己の思索に基づいて、己の心身に揺るぎ無いなにものかを持ち得ないと、この時代を乗り越えていくのは厳しいかなと思う次第でございます。

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寒い今日の空

2019/01/08
【第1175回】

「芸人と兵隊」も本格的に始動...年初から事務所フル回転でございます。稽古場は一つしかないので他の稽古場を借りて二か所での稽古。どちらもベストな芝居を創ろう!と気合十分です。まさしく人力に拠る細かく積み上げていく手法なので、役者の心身の強靭さが頼り。貰った役に如何に憑依していくか?この憑依こそが役者のレベルそのものだと思います。

ということで、「アリー/スター誕生」に続いて、「ボヘミアン・ラプソディ」を鑑賞。クイーンのボーカルだったフレディ・マーキュリーにどこまで肉薄できるか...演じたラミ・マレック見事でした。エジプト系の顔つきと目の表情が伝説のフレディを彷彿とさせてくれました。IMAXという画像、音響をアップした劇場システムで観てるとライブのシーンでは、さながら会場にいる気分にさせてくれます。これは映画館に誘い込む大きな武器になりますな。家のテレビでは味わえない臨場感は、お金を払うに十分な満足感を得ることができます。

椅子も立派だし、昔の小便臭い映画館も懐かしいけど、今の時代は残念だが付加価値を感じさせてくれないと映画館、劇場には来てくれないのかもね...それにしてもハリウッドの役者の裾野は計り知れない。探せばいくらでも居るんでしょうな実力、魅力兼ね備えた憑依者どもが...それに比べるとこの国はいかがなものかと、つい考えてしまう。でも、嘆いている場合じゃございませんことよ。おいらが信じた役者が魂込めた芝居やってくれると期待してまっせ!

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初春の新宿

2019/01/04
【第1174回】

あけましておめでとうございます。

 

今日から仕事始めです...早速、今日から「萩咲く頃に」の稽古が始まり、明日は「芸人と兵隊」の稽古が開始されます。新年早々、大忙しのトム・プロジェクトでございます。それだけ多くのお客様が期待して待ってると言うことだから、年明け早々嬉しい悲鳴でございます。とにかく3月まで3本立て続けに公演を控えているので、キャスト、スタッフ何事もなく乗り切って欲しいと願うのみです。

おいらは、年末年始のんびりと過ごしました、大晦日には近場の高井戸天然温泉(井の頭線高井戸駅にある美しの湯)でのんびり、酒を飲みながらサスケと格闘技観てました。紅白はもういいでしょう?なぜって?おいらに響く唄がないってことかな...元日は大宮八幡宮にご挨拶、2日は近くに住む妹夫婦の家でご馳走になりました。3日は「アリー/スター誕生」鑑賞。レディ・ガガの存在感に圧倒されました。話はよくある話でどうってことないのだが、ガガの魂込めた歌と演技に唯々スクリーンに釘付け状態。おいらこの映画観て確信しました。現在の世界の歌手のナンバーワンであることを...表現者としてではなく一人の人間として社会に対峙している姿、そして行動、その哲学・美学が彼女の身体を通して感じられる凄さは半端じゃありません。全てが過酷な状況の中で、彼女が手にしたものと思えます...やはり表現は生き方そのものです。新年早々、ガガの凄さに魅せられ、改めて気を引き締めて芝居創らんといかんなと思った次第でございます。

 

今年も何卒よろしくお願いいたします。

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元旦の夕暮れ

2018/12/27
【第1173回】

今日でトム・プロジェクトも仕事納めです...今年も怒涛のような一年でした。芝居に関わったすべての方々に感謝です。このハイテクに時代に、ローテクな芝居をこつこつと創り上げ観客に届けることの意義を改めて考えさせてくれる年でもありました。少数精鋭のトムの社員が何とか頑張れたのも、楽しみに待ってる全国の観客の顔が日々立ち顕れたからこそだと思っています。芝居から人の体温、匂いが感じられなくなったらアウトです。この感覚こそが、芝居がこの社会で果たす使命であり生き残っていく根幹だと肝に銘じています。

今年も大切な友を何人か見送りました...さぞかし無念であったろうと思う反面、己の責務を果たし旅立ったのかも知れません。人の命なんて所詮限られたものだし、あれこれと詮索しても仕方がありませんね。おいらも含めてこうやって生きてる者が、少しでも社会が弱者にとっても生きやすい世の中、自然環境に優しく出来る思いなどなど負の遺産を増やさないことに邁進せねばと思う次第でございます。いつものように今年も残り僅かになりましたが、こうやって何事もなく無事に終えていく何気ない日常に改めて感謝です。

おいらのコラムも年明けの4日までお休みです。皆さんも2019年が素敵な年でありますように!

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12月27日の空

2018/12/25
【第1172回】

いやいやお寒うなりました...先週の金曜から「芸人と兵隊」の稽古が始まりました。芸人と兵隊なにやら意味深なタイトルですな。ここは観てからの楽しみです...笑いを追求してきた柴田理恵さんと、ミュージカルから現代劇までなんでもござれのベテラン村井國夫さん、そして小劇場で活躍している3人の若手俳優が乱入し予想外の展開になるんじゃないかしらと思っとります。芝居は稽古を重ねるごとに変化してきますし、台本も削除、追加などの書き直しもございます。同じことはありませんことよ...日々新鮮、日々発見を経て進化していきます。これもすべて貴重な時間とお金をかけて来ていただくお客様に最高のプレーを観て頂くための産みの苦しみでございますよ。昨日も今年亡くなった劇団四季の浅利慶太さんの特集をTVでやってました。おいらとは方向性は違ってはいますが、お客に喜んでいただける芝居創り、俳優が芝居で食べていけるシステムの確立などなど確かに演劇のイメージを変えた人であることは間違いありませんね。先人が成しえなかったことに挑戦する人はどんな人であろうと敬意を表しますな...生ある限り、驕ることなく精進したいもんですな。

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今日はクリスマス

2018/12/20
【第1171回】

昨日、東日本大震災を題材にした「萩咲く頃に」の本読みをしました...来年の1月~2月にかけて東北の演劇鑑賞会で公演します。その前に東京で2ステージ。来年で東日本大震災が発生して8年、未だ避難生活を強いられてる人たちが7万5千人。様々な補償も2020年に打ち切りが検討されている。国が力を入れてるのがオリンピック、そのための工事の人員、工具などなどが東京に奪われ復興も遅れているらしい...なんと弱者に冷たい国なんだろう!辺野古然り、数のチカラでなんでんかんでん国会の論議無しで決めてしまう政治ってなんなんだろう?世論はどことなく見て見ぬ振り、メディアも政治の話はスポンサーの圧力でどことなく及び腰になり、どうでもいいことをだらだらと垂れ流してる。それをちんたら観させられてる能天気な人たち。おいらホンマにこの国の未来悲観してまっせ。どうにもならんです!アクションを起こしてるのは老人部隊、新宿駅で寒風に晒されながら悪法反対のゼッケンを身に付け抗議しとります。孫の時代が暗黒の世にならないように体張ってやっとります。

今回の4度目の公演になる「萩咲く頃に」が、東北の人たちに優しく届くことを願って稽古に入ります。悲観はしているが諦めてはいけませんね...どんな戦略、戦術であろうが弱者を労る社会でなければと思います。街に流れるジングルベルがどんな人にも楽しく温かく聞こえる国であればいいな...

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街はクリスマス一色

2018/12/17
【第1170回】

先週土曜日、毎年恒例のトム☆トム倶楽部会員さんとの交流会を開催しました...今年は2018忘年会。多くの会員さんと所属俳優そしてトムの社員と3時間楽しい時間を過ごすことが出来ました。今年も6本の作品を事故もなく、全国各地で上演することが出来ました。これは奇跡に近いことでございます。地方に行けば朝舞台を仕込み、終演後にはバラシを終え次の公演地に向かう。舞台の設営は危険を伴う仕事であり、役者にしても健康を損なえば公演中止に繋がることになりかねない状況のなか何事もなく全ステージを完遂、ほんまに芝居の神さんに守られてますな...今年も残すところ約2週間やれやれと、ホッと一息ついているところでございます。

それにしてもトムの芝居を毎回欠かさず観劇してくれる会員さんには唯々感謝です。娯楽情報氾濫のなか、これは大正解でございますよ。だって、おいらも仕事柄舞台はよく行きますけど、トムの芝居は品質良好、価格破壊などなど損してお客を帰しませんことよ。土曜日の会員さんの意見もほとんど異議なし!中には、入場料を上げてもいいんじゃないか?とプロの税理士さんに強く意見された次第でございます。消費税にも屈することなく、未だにこの業界の中では良心のトムで通ってます。5000円以上の入場料は忍びない...来年10月には消費税がアップ、さてどうなることやらどころか、トム・プロジェクト2019年は8本もの公演が待ち受けてます...なんでそうなるの?観たいお客様が居る限り、どこまでも続きますがな。皆さん期待して待っておくんなせい!

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師走の空

2018/12/12
【第1169回】

劇団桟敷童子公演「その恋、覚え無し」を観劇...作・演出の東憲司さんの少年時代に過ごした福岡の神隠しの話だ。チラシのコピーにこんなことが書かれていた。

朦朧とした意識の中でわらべうたが聞こえてきた。

幼い頃に遊んだあの子を想い出す。

名前も知らない女の子だ。顔も思い出せない。

死ぬ間際にその子の顔を思い出そうと苦笑する。

 

曇天の向こうに、彼岸花が揺れている。

そして遠くに赤く燃える紅葉の群れ...。

凍てついた身体がぎくしゃくと動き出す。

あそこに行けば、あの子の顔が思い出せそうな気がした。

あの子の名前が思い出せそうな気がした。

 

いや、もしかしたらあの子は、

年をとらずそのままで、

あの紅葉の中で笑っているかもしれない。

きっと全裸で眩しくて、

秘めたる輝きに満ち...。

 

東君はいつも少年の面影を残しつつ、見事な劇空間を創り出してくれる才気溢れた演劇人だ。おいらは大好きだ...だからこそ何本もの作品を依頼してきた。一本の作品を世に出すために命を削りながら机に向かっている。この劇団の演劇に向かう姿も謙虚で大好きだ。

この日の芝居の最後に魅せてくれる見事な紅葉の一群...いつの日か、東君が大劇場で思い描く東ワールドを観たいものだ。

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そろそろ魅せじまい...

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