2025/07/09
【第2058回】
いやいや連日大変な暑さである。昨日も散歩に行こうと一歩外に出るとサウナ状態でさすがに躊躇致しました。後期高齢者にもなると感覚も鈍くなり、疲れなのかそれとも暑さのせいなのか判別しづらい困った状況です...お歳を召した方々油断してはなりませんぞ!
最近懐かしい映画を観ています。大映で製作された「悪名」、1961年~1969年まで15作品創られました。八尾の朝吉親分演じる勝新太郎と弟分役の田宮二郎のコンビが最高です。勝新太郎の風貌、芝居は勿論だが、田宮二郎のテンポとリズム感溢れた演技は絶品です。彼の代表作と言われている「白い巨塔」の下地もこの作品で培われていたのではなかろうか。停滞しそうな画面を彼の登場によって一気に活性化させる稀有なる才能を感じる。そして豪華な共演者、浪花千恵子、ミヤコ蝶々、中村雁治郎、上田吉次郎などなど癖のある役者を見事に操りB級娯楽映画の傑作に仕立てています。東映の仁侠映画も然り、勿論、高倉健あっての映画なのだが、存在感ある共演者があってこその健さんである。
一見華やかな役者稼業、実は実生活も含めて壮絶極まる人生である。田宮二郎も最後には43歳という若さで猟銃自殺。大映映画社長と喧嘩別れしたり、怪しい商売に手を出したり、心穏やかな日々はなく鬱病になったり、心乱れる心身だからこそあの名演技が出来たのかもしれない。今も昔も、親が「役者だけにはならないで...」なんてことをお願いするのも分かる気がしますね...それを振り切ってでもその道に進むこの稼業には不思議な魔物が潜んでいるのかもしれませんね。
猛暑の中で咲く薔薇