トムプロジェクト

2019/10/31
【第1274回】

昨日、東京亀戸カメリアホールで「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」無事に千秋楽を迎えることが出来ました。9月に始まって二ヶ月にわたる公演でした。おいらも冒頭でヒーローを歌う70歳の杜夫ちゃんを観ながら「よくぞやった!」と声を掛けたくなりました。だって、この日本でいや世界で、誰がこの歳になって3時間もの一人芝居をやれますか?この役者魂に先ずは敬意を表したい。昨日も絶好調、観客の反応を巧みに取り入れ瞬時にギアを入れるところなんぞ天才役者でございます。22年間、彼と一人芝居をやり続けたプロデューサーとして感慨深いものがあります。時には止めたくなったときもあるでしょう、でもこうやって継続できたことは彼との信頼関係があったからだと思っています。役者という生き物、尋常な精神ではやれるものではありません。その微妙な心理、身体を日頃から観察してないとなかなか役者とつき合いきれないのも事実です。特に一人芝居ともなると、一対一のサシの勝負です。逃げも隠れも出来ません、全てをさらけ出すしかありません。この仕事をしてて思うことは、下手な駆け引きは通用しないと言うこと...かといって、こちらのカードを総べてみせるということも違うような気がします...でも、最終的には己が培った人間力に賭けるしかないと言うことですね。

一人芝居を支えるスタッフのチカラも相当のものでした。まさしく、今年の日本ラグビーチームの「ONE TEAM」そのものでした。打ち上げの席でスタッフの一人が作ってくれたくす玉を割ると「祝 千穐楽」の垂れ幕が落ちてきました。こんな所にもスタッフの愛を感じます。スタッフ、観客に愛される杜夫ちゃん幸せもんですな。そして本当にお疲れ様でした!

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おつかれさまでした!

2019/10/28
【第1273回】

先週の週末、金沢に行って来ました...全国演鑑中部・北陸ブロックの例会が金沢であり出席。全国に12ブロックの演劇鑑賞会があり、皆さん演劇を通して民主的な社会創りに邁進している人達ばかりです。土曜日は4時間にわたり様々な苦労話も交えながら真剣な討議が為されていました。最後の方に発言された女性の言葉には身が引き締まる思いがしました。

「私達は、演劇がこの世の中に何故必要なのか...そして演劇の楽しさを伝えることが、仲間が増えることに繋がっていくことだと思います。」しょうもない芝居創ったらいかんですばい!そういわれた感じです。会議の後は懇親会、おいらのテーブルに同席した、いなざわ演劇鑑賞会、岡崎演劇鑑賞会の方々と和気あいあいの中、かなり飲んでしまいましたかな。おいらが芋焼酎好きと分かると、矢継ぎ早に持って来てくれる親切な方々でした。

酔いを醒ますため、ふらりと歩きながらちょいと入った喫茶店が地元でも歴史ある「茶房 犀せい」でした。経営者の方は記者出身で、地元で精神衛生のためと称しライブや舞台などもプロデュースしてるとのこと。東京渋谷にあったサブカルの聖地でもあった「渋谷ジャンジャン」を受け「金沢ジャンジャン」の主宰者でもあった女性である。おいらも我ながらよくぞクンクンと嗅ぎわけながら、こんな店に辿り着いたものである。なにせイヌ歳生まれの習性でござりまする...ホテルに帰りばったんきゅう、金沢の素敵な一日でした。

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2019金沢

2019/10/23
【第1272回】

昨日は、日本全国メディアも含めて皇位継承式典の話題で持ちきりでした。日本古来の儀式でありながらも、とても簡素でよかったと思います。台風の被災者のことも考えパレードを中止したのも賢明でした。経費は160億円だからひとり160円のお祝い金といったところですね。この式典でただ一つ気になったのが、首相の音頭取りで「天皇陛下万歳」を唱和した場面。ふと、戦時中にこの言葉を発して戦死した300万の兵士のことが頭をかすめました。どんな気持ちで、この言葉を発したのであろうか?おいらは個人的にはあまりいい感じがしませんでした...象徴天皇、そして市井の人たちに寄り添うように行動されてる天皇に対して似つかわしくないのではないか...いまだに、この国の天皇制も含めて各界物議を醸しているのだが、要は天皇を政治的に利用してはいけないということだけは間違いない事実だ。

そんななか、又しても演劇群「走狗」の戦友であった伊深宣一の訃報が入ってきました。今年は田島君、島君に続いて3人目。伊深君は、ささくれだったテント芝居の状況の中、いつもヤギのような髭をなでながら「まあまあ...諸君」てな具合で神様みたいな人でした。得意な楽器で疲れた役者の心身を癒してもくれました。劇団解散後は優しい姉さん女房とジーンズ店などをやってました。おいらも、とっておきの一枚を買った覚えがあります。最近は埼玉県富士見市民文化会館キラリふじみのコンサートに参加しながら楽しく過ごしていたのに...71歳まだ若いな。でも好きに生きてきたんだから悔いはなかでしょう宣ちゃん。今日、これからお通夜に行って最後の別れをしてきます。

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いつか来た道

2019/10/21
【第1271回】

今日はやはりラグビーでしょう...日本チーム負けましたがよくぞやりましたね!誰もが夢を見させてもらったという感じです。最初は、異国の人がなんで日本チームの一員なのという疑問も抱いていたと思いますが、これぞ人類皆兄弟!政治の世界では不可能なことをいとも簡単に成就したという感じです。試合前に国歌が流れ「君が代」を共に口ずさむ姿に胸打たれるものがありました。日本選手の中には、対戦チームである南アフリカ出身の選手もいました。あんな激しい戦いをしながら、試合後に共に相手をたたえ合うノーサイドこそラグビーの本質です。おいらも高校の時ラグビーを少しかじり、そこからラグビーファンになりました。大学ラグビーの早明戦、そして日本選手権での釜石、神戸製鋼の強さ、野球のシーズンが終えるとラグビーに夢中になっていました。ラグビーの聖地秩父宮ラクビー場にも良く足を運びました。雨中の中、泥んこになりながら男たちが闘う姿に人生を感じたこともあります。15人が一つになって80分の時間、まさしく「ONE TEAM」。下手なドラマよりいろんなものが見えてくる面白さがありました。

30年前、新宿ゴールデン街の仲間から誘われラグーチームに参加し、久しぶりに楕円形のボールを手にして多摩川のグランドに立ちました。目まぐるしい試合展開の中、おいらにボールが回ってきました。チャンスとばかりおいらはトライを狙いゴールポストの下を狙い猛ダッシュ、あと少しというところでタックルされノーサイド。おいらの後ろの人にパスすればトライに結び付いたのに...この時、おいらはひとつの啓示を受けました。「俺がオレガノ我を捨てて、お蔭オカゲの下で暮らせ」この時の教訓が、今でもおいらの生きる指針になっとります。

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秋の気配

2019/10/18
【第1270回】

昨日は、トム・プロジェクトの芝居でもお馴染みの村井國夫さんのコンサートに行って来ました。75歳になるダンディな村井さんの歌声に痺れました。前半は昭和の懐かしい歌、フォークも交えて語りかけるような唄は村井さん人生そのものの様でもありました。表現はすなわち生き方であることを証明していることを実感した次第でございます。トークも、村井さん特有のユーモアで会場は爆笑の渦。この辺りは百戦錬磨の役者でございます。後半はミュージカル「レ・ミゼラブル」の初演から900ステージ近くをこなしたジャヴェール警部の持ち歌をはじめ、映画の数々の名曲を重厚かつ軽やかに歌いこなすところなんぞはまさしく和製フランク・シナトラ、いやイヴ・モンタンといったところか...考えてみれば、村井さんみたいな役者さん、この日本でもなかなか見あたらない気がします。おいらが先ず驚いたのは、トムの芝居に初めて出演してもらった「満月の人よ」でのだらしない親父さんの役でした。ミュージカルの俳優さんだと思っていたのだが、見事に田舎のダメ親父を肩の力を目一杯抜きながら演じてくれました。村井國夫という役者の底チカラをまざまざと見せつけられた次第です。

来年もトム・プロジェクトの「砦」の再演が決まっています。村井國夫さんが放つ人間臭さと同時に、表現に対する飽くなき探求心にまだまだ目が離せませんですばい。

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東京原宿にて

2019/10/15
【第1269回】

日本沈没を予測させる自然の猛威。年毎にひどくなる自然災害に為すすべもないニッポン。これも、何年も前から言われている地球温暖化による海中の温度の上昇。この問題に対してアメリカ日本は何となく消極的。これじゃ、ちっぽけなこの国は、近い将来間違いなく沈んでしまいます。なのに手早い対策を打ち出せない政治、オリンピックなんてやってる場合じゃないでしょう!と大きな声を上げないこの国の呑気な人たちにはホトホト呆れてしまいます。どうみたって、来年再来年と甚大な被害が持ち受けているのは明らかなのに...もうそろそろ、利便性の追求止めませんか地球の人たち!と一部の人は声を大にしてるのですが、たいして危機感を感じさせないのは、利益に奔走している企業家の巧みな戦術。豊かになりますよ!なんて夢を持たせて時間稼ぎしてるのが見え見えなのに、目の前にニンジンぶら下げられると為す術もなし...

クライマックスシリーズ、ライオンズお疲れさまでした。これはもう諦めるしかありません。だって、4試合で失点が32。1試合で8点取られちゃライオンズの強力打線もどうしようもなかですばい。観てて思うにメンタルが弱すぎ、へっぴり腰弱気の投球じゃ打たれます。

若い投手が多いので、ここは優秀なコーチで鍛えなおしてほしいですな。今年は野球は終わりです。巨人とソフトバンクの金満チームの日本選手権はどうでもよかですばい。それよりも、今は日本チームのラグビーに注目。地湧き肉躍る!これぞ男のスポーツですたい。おいらが野球の次に好きなスポーツが注目されて嬉しゅうございます。

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台風一過、今日の新宿

2019/10/10
【第1268回】

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」九州公演を終え戻ってきました。博多の公演の盛り上がりは大変なものでした。650人の博多の観客の笑いと拍手は、杜夫ちゃんのテンションギアをトップまで上げさせ異常ともいえる状態でした。最後の落語「芝浜」も絶品でした。博多はやっぱりラテンの血が流れているんですね。どんたく山笠、サッカーもいいけど、こんなに芝居を喜んでいらっしゃるんだから、芝居小屋ひとつでも作りなさいって話です。歴代の市長にそんな考えがなかったんでしょう。いや、おいしい食材と温暖な気候、そして災害が少ない土地柄が文化をそれほど必要としなかったかも...博多に来ると、何故かふらりと散策したくなります。おいらを育ててくれた街の変貌に驚くと共に、昔そのままに残った風景を見つけると、思わずタイムマシンに乗っかって昭和の世界を旅してる気分になっちゃいます。中洲、川端、祇園、春吉あたりは基本的に昔の佇まいを残しています。65年前に亡くなった親父が、ふと路上で店を構え商いをしている光景が幻のように現れる気がします。それは何年経っても街の匂いが残っているからだと思います。

東京の家に戻ると、なんとおいらの帰京を待っていたかのように月下美人が三輪も咲き出しました。これは奇跡です!今年はまさしく狂い咲き。一晩の短い時間しか咲かないものがよりによって...残り少ない今年、なにか良いことでもあるのかな?

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miracle

2019/10/08
【第1267回】

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」地方公演スタートです。10月6日長崎公演に行ってきました。おいらも長崎は久しぶりです。20代の頃テント芝居で、テントを担ぎながら神社の長い急坂の階段を息も絶え絶え登った記憶が鮮明です。今回の公演もそうなんですが、今やどこに行っても立派なホールがあり、素敵な環境の中で公演できるのは本当にありがたいことです。この日も杜夫ちゃん絶好調、観客の笑いを芝居のテンポに取り入れながら無事公演を終えることができました。終演後は、博多にある1970年開店のレトロバー『MAD HOUSE ひろ』で出会った原さんに思案橋の小料理屋でご馳走になりました。45年後にこうやって杯を傾けることができることに感謝です。そのあとはスタッフも交えて旅初日のお疲れ会となりました。

昨日は、原さんにいただいた長崎くんち奉納踊りの会場である中央公園に行き、くんちを満喫しました。アンコールを求めて「もってこい!」の掛け声を連発するさまが面白かったですばい。会場を後にして向かったのは平和公園と原爆資料館。改めて、原爆の理不尽さとやり切れなさに唯々立ち尽くすのみ...アメリカとロシアの圧倒的な核の数を見るにつけ、なんと愚かなニンゲンの姿。原爆投下地点から上空を見上げると青い空と夏の名残を残す雲が広がってました。1945年8月9日午前11時02分、あの日あの時空を見上げた人たちのことを思うと涙が出てきました。この亡くなった人たちのためにも、残された人生、平和について思考し行動せねばと思いました。

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2019長崎

2019/10/04
【第1266回】

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」昨日、無事千秋楽を迎えることが出来ました。風間さんはじめスタッフの皆さんの総力戦でいい舞台に仕上がったと思います。稽古中にもいろいろありましたが、さすが千両役者の杜夫ちゃん、多くの観客の声援に後押しされ日毎に舞台の精度が上がっていきました。3時間、演者も観客も充実したひとときではあったと思います。誰があんなことできますか?改めて役者風間杜夫の凄さを感じた次第です。

10月6日から長崎からスタートして地方公演が始まります。10月30日に東京亀戸で最後のステージがあります。東京で見逃した人は最後のチャンスです。三部作一挙上演なんてことはもうないと思いますので是非いらしてくださいな。

10月というのに、今日は猛暑日。いよいよ地球は不完全な様相を呈しています。災害も含め、自分の身は自分で守るしかありません。勿論、生き方も含めて、今問題になっている関西電力然り、何を信じていいのやら?今回の芝居にもこんなセリフがあります。

「この広い宇宙で、青く輝くこの星だけだよ、人が生きてるのは。それなのに、どうして争い、憎しみあうんだ。」

生き物としての自覚と尊厳を持たなきゃ、他の生き物に笑われますよ...

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学園祭

2019/10/02
【第1265回】

昨日から消費税が10%になりました。この影響で街の商店が次々と閉店しています。年金暮らしが多い常連客を思うと値段を上げるのが忍びない、新しいレジの器械を購入するのが困難、そして度重なる災害などなど、街の交流の場であり年配者にとっての憩いの場が消えていく...考えてみれば街の商店街こそが、その街のへそであった気がします。身近な人の情報もお店に来ることによって知らされ、孤独死なんてことも考えられなかった。スーパーは確かに便利ではあるけどすべてが機械的、物を配給されてる感じがしてなりません。商店街に貼りだされた「9月30日にて閉店いたします。長い間の御贔屓ありがとうございました。」こんな告知を見るたびに寂しくなってしまいます。そんな庶民の気持ちも何処吹く風、苦渋の決断どころか簡単に消費税を上げてしまいました。ほんまに将来の社会福祉のためなら理解できるけど、これまでの政治手法ではその恩恵を感じられないのが正直なところです。こんな政治を選択したのも庶民なんだけど...そろそろ気付かないとあきまへんで。

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」東京公演、残り2ステージ。70歳の杜夫ちゃん張り切って演じてます...今一つ覇気がない人、元気になりますから是非劇場へいらしてくださいな。

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硝子越しの秋