トムプロジェクト

2019/12/27
【第1293回】

今日で仕事納め...今年も怒濤の一年でした。7本の芝居を東京はじめ全国で上演しました。そして昨日、嬉しいニュースが飛び込んできました。11月に公演した「風を打つ」に出演した音無美紀子さんが第74回文化庁芸術祭賞演劇部門で優秀賞を受賞しました。下記が受賞理由です。

 

実在の水俣病の家族をモデルにした作品で、世間の差別にもひるむことなく果敢に挑む強い女性、子供にあふれる愛情を注ぐ母親、夫に寄り添い引っ張る妻である杉坂栄美子をきめ細かく演じた。ドラマ、舞台の第一線で50年以上も活躍し、女優として積み重ねた経験が、見事に花開いた。泣き笑いに満ちた、圧巻の演技だった。

 

昨日は音無さんの誕生日(古希)でもあり二重の喜びでした。先に発表された紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した村井國夫さんともども村井家にとっては最高の一年でしたね。こうやって苦労しながら創った作品が評価されることは励みにもなります。この困難な時代、なんとしてもどんな形にしろ、一人一人が楔を打ち込み悪い流れを変えていかないと大変なことになってしまいます。戦後74年戦争に遭遇しなかった日本、憲法九条があったからだと思います。油断してはなりません、ちょっとしたことから忌まわしい悲劇が始まります。

今年一年、トム・プロジェクトを支えてくれた皆さん本当にありがとうございました。勿論、2020年もやりまっせ!皆さんも良い年を迎えてくださいね。

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2019年、おつかれさまでした。
そしてありがとう!

2019/12/25
【第1292回】

昨日はイブ、今日はクリスマス...街ゆく人の顔もなんとなく弛んでいる。この時代、本当に幸せな時代なんだろうか?幸せなんて人それぞれで基準なんて無いに等しいのだが、おいらなんかは本当に息苦しい社会だと思ってしまう。スマホに、耳だれとしか思えないワイヤレスイヤホン、他人なんか関係ないや!なんて空気感がとっても寂しい。すぐ側に人がいるのにその気配さえ感じようとしない人間の未来ほど恐ろしいものはない。そんな人間には弱者の存在なんて無自覚に近い感受性しか持ち合わせていないのではなかろうか...昨日も寒風吹きすさぶなか、ホームレスの人達が薄い毛布にくるまって眠りについていた。勿論、ほとんどの通りすがりの人達は見向きもしない。おいらだってどうすることも出来ない、がしかし、どうか寒さに打ち克って生きて欲しい!という思いをホームレスの人達に抱き無言のメッセージを伝えるだけでもいいのではないか...

株価が上がっていい気になってるんじゃないよ!アベカワモチおじさん。中小企業の皆さん悲鳴を上げてますよ。街の商店街は、老齢化の店主が先行き不安から次から次に店仕舞いしてます。商店街こそ街の声を吸い上げ絶好のコミュニケーションの場であったはずです。人の感情を分断し、一部の強欲亡者だけが徳をする流れが世界に蔓延しつつあります。そんなやつらの企てに与しないためにもしっかりせねばなりませんことよ皆の衆。

今日のクリスマスの日が、全世界の人達に平等に幸せをもたらせる日でありますように!

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2019 X'mas

2019/12/23
【第1291回】

先週、ペシャワールの会から会報が送られてきました。中村哲さんが会報に寄せた最後の言葉です。

川とにらめっこしているうちに寒くなり、河川工事の季節が再び巡ってきました。みなさん、お元気でしょうか...最近の降雨は予測が不可能で、大丈夫と思っていた箇所が鉄砲水で決壊したり、通過水量が予想をはるかに超えたりで、その都度マメに補修しながら守る以外にないのです。普通の国なら行政が責任をもって保全するのでしょうが、まだまだ途上のようです。ここでは安全とはテロ対策のことばかりで、人々の生活の安全が考慮されてきたとは思えません。今は地元民と協力しながら、将来の河川行政の確立を持つ他はないようです。猛烈な勢いの砂漠化に抗して、今はとにかくこの希望を守り育てるべきだと考えています...水の仕事を始めてから十九年、干ばつは動揺しながら確実に進行しているように思われます...温暖化の影響はここアフガニスタンでも凄まじく、急速に国土を破壊しています。それでも依然として、「テロとの戦い」と拳を振り上げ、「経済力さえつけば」と札束が舞う世界は、砂漠以上に危険で面妖なものに映ります。こうして温暖化も進み、世界がゴミの山になり、人の心も荒れていくでしょう。ひとつの時代が終わりました。ともあれ、この仕事が新たな世界に通ずることを祈り、真っ白に砕け散るクナール河の、はつらつたる清流を胸に、来る年も力を尽くしたいと思います。良いクリスマスとお正月をお迎えください。

二〇十九年十二月 ジャララバードにて

12月4日、福岡市にあるペシャワール会も事務局で、この会報の発送作業をしてる最中に中村哲さん死亡の報が届いたそうです。おいらも哲さんの遺志を受け継ぎペシャワールの会を今後とも支援していきたいと思ってます。人の噂も七十五日、この世の記憶もデジタルの波に押され一瞬のうちに忘却の彼方へ...しかし哲さんの弱者に対する思いと行動は、何時までも忘れてはいけないと思ってます。

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今日の空

2019/12/19
【第1290回】

昨日から「沖縄世うちなーゆ」の稽古が始まりました。先月の水俣に続いて来年の初っ端の公演は沖縄です。人間生きてきて、忘れてならないことがいくつかあるはずです。水俣、そして沖縄の問題もその事例だと思います。この世の中、常に刺激的なニュースを流すメディアに踊らされ大切なことを忘却の彼方に葬り去ることがあまりにも多い気がしてなりません。それに輪をかけて、時の権力者による横暴な記録の改ざん廃棄。それに対し諦めにも近い絶望感に見舞われ無抵抗状態に陥ってるこの国の在りよう。ここはなんとしても声をあげねばこの国の未来はありませんぞ!というわけでおいらも芝居やっとります。

今回の沖縄をテーマにした芝居、なかなか手ごわいです。沖縄のどの視点に狙いを定めて進めていくか...今回はアメリカが最も恐れた不屈の人、瀬長亀次郎、そして沖縄独立を唱え女海賊と称された照屋敏子にスポットを当て、今置かれた沖縄の現状にアタックできればと思っています。三十数年前、宜野湾の米軍基地での光景が未だに忘れることが出来ません。基地内に仕事に出かけるお母さんを追っかけ、フェンスを揺すりながら泣き叫ぶ少女...今尚、沖縄には無数のフェンスが存在します。人の往来を断ち切るこのフェンスこそが分断の象徴です。このフェンスを排除したときこそ、真の沖縄の解放があるのではないか...限りなくゼロに近い希望かもしれないけど歩みを止めることは出来ないし、ましてや本土の人間こそ声をあげる責任があると思います。沖縄は決して他人事ではありませんことよ。

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メタセコイヤ兄弟

2019/12/16
【第1289回】

先週の土曜日、トム☆トム倶楽部の会員さんトム・プロジェクト所属の俳優、そして社員と忘年会を新宿で開催しました。今年も12月現在、計7本の芝居を上演しました。強烈な台風時期の地方公演はハラハラドキドキもんでした。公演中止ほど残念なことはありません。一年に一度、ましてや三年に一度なんてところで中止になったら泣くに泣けませんことよ。

今年は、あの前代未聞な台風にも負けず見事に全公演をやりきることが出来ました。なにもかも、スタッフ、キャスト、社員のお陰でございます。ほんとに公演中は生きた心地がしませんことよ。そんなこと思いながらの忘年会。今年は年明け早々に公演する「沖縄世~うちなーゆ」に出演する沖縄出身の女優さん、きゃんひとみさんと三線奏者・迎里計さんによる沖縄の唄が会場を大いに盛り立ててくれました。いつ聴いても沖縄の唄は心に染み入ります...あの透き通るような青い空と海で、住民の四分の一の人たちが亡くなったという沖縄の激戦。そして今なお日本にある基地のうち、その面積の約70%が沖縄に集中しています。いつまでも沖縄の犠牲に甘えている他県の人達なんとかせいや!オスプレイを分散しようとしても反対するばかり、おいらの知人であるNさんは「そりゃおかしいよ...痛みは分かち合わないと」と言ってました。こんな方が少しでも増えれば日本も少しはましになるんですがね。住民の意見を無視して今日も辺野古の埋め立ては進められています。見て見ぬふりはあきまへん!来年年明けに上演する「沖縄世~うちなーゆ」が、そんな沖縄問題に一石投じる芝居になればと思っています。

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師走の公園3

2019/12/13
【第1288回】

村井國夫さんの降板により休演していた劇団桟敷童子「獣唄」が昨日より上演されました。代役は劇団員の原口健太郎さん、トムの芝居でも2度ほど出演している俳優さんです。主宰者である東憲司さんとは清水邦夫さんが女優の松本典子とともに主宰していた演劇企画集団「木冬社」で出逢い、共に劇団桟敷童子を立ち上げた盟友です。厳つい顔に似合わず心根の優しい男です。村井さんが急病で降板された時の劇団員の心境は如何ばかりであったであろうか...素早く対応し、村井さんの分までと3日間で仕上げていった出演者、スタッフの頑張りにただただ頭が下がる思いです。芝居は生ものですから誰一人として欠かせません。中止なんぞになったときのマイナスは計り知れないものがあります。リスクと背中合わせで日々、戦々恐々とした思いで過ごしているのがプロデュサーの心境、ヒヤヒヤもんでございます。下手すれば会社は倒産しちゃいますね...そんな因果な仕事を何故やっているのか?それは無から有を生み出し、成果を出しお客さんの喜ぶ姿を見たいからでしょうね。リスクがあればあるほど燃えるもんでございます。亡くなった中村哲さんの足元にも及ばないですけど、生かされてるんですから、世のため人のためなんかやらんと男じゃなかですばい。いい芝居観たときの感慨は、今でもおいらの身体のポケットに、まるでホッカイロのように温かくホカホカとしています。

「獣唄」明後日の千秋楽まで、師走の寒い日に観に来てくれた人達を温かい気持ちにさせてくれるでしょう...劇団桟敷童子はそんなことが出来る希有な集団です。

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師走のスカイツリー

2019/12/11
【第1287回】

ペシャワールの会の中村哲さんの遺体が故郷福岡に戻ってきました...「困った人を見て、手を貸してあげるのが人として当たり前のことでしょうが...」この当たり前のことがなかなか出来ないのが人間なんです。寝食を忘れ、無償の行為を生涯アフガニスタンで全うした哲さん、本当に貴男は高大です。国民栄誉賞、ノーベル平和賞などなどと取りざたされてますが、哲さんはそんなもんはちっとも欲しくないと思います。世界のあちこちで中村さんを偲んでごく普通の人達が蝋燭を掲げている姿が一番嬉しいと思います。彼は生前、人が出来ないことに挑戦し行動に移し弱者が救われ、大地が生き返る行為が営々と引き継ぐ人間がいる限り地球も健康ですよ...なんてことを屈託の無い笑顔で語っていました。

それに比して、この国の政治家の無様な姿は呆れてしまいます。都合の悪いことは全て改ざん、廃棄、削除などなど、犯罪に等しい行為であるにも関わらず堂々と世間をあざ笑うかのようにまかり通ってしまうんだから怒髪天。しかも、まだ内閣支持率が45%あるんですから、この国一体全体どなんなってんのと物申したい。

師走というのに晩秋なのか初冬なのか、何ともはっきりしない天気が続いています。街ゆく人の服装もばらばら、今日びっくりしたのは新宿の街を短パン、Tシャツ1枚で颯爽と歩いている外人...彼にしてみれば季節は晩夏辺りではなかろうか。きっと食べてるもんが違うんだろうな。ついつい、わらじみたいな肉を平らげてる姿を想像しちゃいました。

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師走の公園2

2019/12/09
【第1286回】

先週土曜日、劇団桟敷童子「獣唄」観劇...75歳になる村井國夫さんが、すみだパークスタジオに大掛かりなセットを立て込んだ劇団桟敷童子に客演ということで話題になっている芝居だ。トム・プロジェクトでもお馴染みの東憲司さんの新作だ。先ずは、商業演劇とは違ってすべて劇団員による手作りの芝居に出演する村井さんの役者魂が素晴らしい...まだまだ枯れてたまるもんか!若い人たちに自ら身を投じ、新しいエネルギーを吸収しようとする姿勢に拍手。日頃は、ダジャレを飛ばしながらリラックススタイルの村井さんも、舞台に上がれば息子、孫にもあたる役者さんと火花を散らしておりました。複雑に組み込まれたセットの中を這いずり回り、時には罵声を飛ばし村井さんの心身は躍動しとりました。若い役者さんも村井さんに学ぶ点多々あると思います。村井さんに立ち向かう姿に鬼気迫るものがありました。と言っても、村井さん、どこの劇団にも出演するってことはありません。この劇団桟敷童子の芝居に対する姿勢、そしてこの劇団の主宰者・東憲司さんの描く世界に惚れ込んでの出演だと思います。2時間の芝居、圧倒的な村井さんの存在感、桟敷童子の役者さんの真摯な演技が相まって期待通りの作品に仕上がっていました。

今朝、村井國夫さんが軽い心筋梗塞で舞台降板のニュースが入ってきました。終演後もあんなに元気だったのに...信じられませんでした。役者さんは観客の前でいい芝居するために、命をすり減らしているんだなと改めて思った次第です。そして明日まで休演して11日から原口健太郎さんを代役に立て公演再開するそうです。村井さんのためにも更なるレベルアップの芝居を期待してます。そして村井さん、しばし身体を休めてください。村井さんが学んだ俳優座養成所15期生の方々才気溢れた方ばかりでしたが、早くして亡くなっていますので、是非とも彼らの分までいつまでも舞台に立って欲しい!というのが、おいらの切なる願いです。

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師走の公園

2019/12/05
【第1285回】

中村哲さんが亡くなりました...おいらは中村さんの活動に賛同し十数年ペシャワールの会の会員でもありました。アフガニスタンで医師として、又、干ばつに苦しむ住民のために潅漑を造り、自らショベルカーを運転し現地の人たちとアフガニスタンの人たちと国づくりに奮闘した日本が誇る人物の一人です。世界の警察官?を自負するアメリカから医薬品の提供があっても、政治的に中立でありたいという立場から断った方です。ペシャワール会から送られてくる会報にも哲さんが元気に地元の人たちと汗を流している写真を見るたびに、おいらも世の中人のために汗を流さねばと背中を押されたことも度々でした。

こんな人がノーベル平和賞を受賞すべきだし、彼こそが桜を見る会に呼ばれるべき...いや呼ばれても哲さんは行かないと思いますが。こんな時こそ、この腐りきった政府が己の負の部分も含めて何らかの発言でもすればいいものの何も喋りません。

哲さんの出身校である福岡高校でも今朝全校で黙祷がありました。在校生が一様に、哲さんの生き方に深い感銘を覚えた談話が報じられていました。こんな若者が哲さんの志を引き継ぎ少しでも日本、世界のために何かをしてくれれば、きっと哲さんも喜んでくれるでしょう。荒れ果てた大地と疲れ果てた人たちを前にして、緑豊かな大地、そしてアフガニスタン人の笑顔を夢見て、朝早くから夜遅くまで走り回った哲さんこそ夢とロマンと冒険心に満ち溢れたほんまもんの九州男児であったばい!

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まっきっき

2019/12/03
【第1284回】

先週は俳優・鳥山昌克さんが主宰する芝居を観てきました。鳥山さんは唐十郎さんの劇団唐組に20年ほど在籍した根っからの演劇人です。唐十郎の文脈を具現化することは演劇の世界では至難の業です。まず言葉に対するイメージにどれほど身体が拮抗できるか?唐さんの言葉は万華鏡のようであり、台詞の手がかりを捕まえようとしてもままならないものがあります。唐十郎と寝起きを共にし、彼の見知らぬ闇を、こっそりとのぞき込み、聖と俗の谷間に暫し身を横たえるなんてことをしない限り埒があかないのではないか...

11月27日~12月1日まで池袋のシアターグリーンで上演された「唐十郎 楼閣興信所通信」には、まさしく唐ワールドが展開されていました。今や商業演劇的な興行にも唐さんの芝居は人気があるのですが、原点は何といってもテントです。テントの中に息づく特権的な役者の肉体、そして舞台上に散りばめられた数々の大道具、小道具...そのどれもが街のあちこちに捨てられた廃材であったり日常の小物、そして衣装...これらが放つ生活感たっぷりの懐かしい匂い...これらが見事に絡み合いながら果てしないロマンの世界に突き進むジャンプ力こそ唐芝居の魅力だと思います。

鳥山昌克さんの芝居には、確かに唐十郎が描きたかった世界が存在していました。すべてがデジタル化された昨今、芝居こそがアナログ継承芸能ではなかろうか...そんなことをふと思った一夜でもありました。

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窓越しの紅葉

2019/11/28
【第1283回】

秋の余韻を楽しみたいのだが、ここ数年、春と秋という一年で一番気持ちがよい季節が消えつつあります。数十年後には、暑いか寒いかのなんとも味気ないシーズンになってしまいますね。そして、予想を超える災害が世界を襲い人類はあたふたとするのみなんてことになっちゃいそう...それを少しでも防ごうと、環境問題に取り組んでいる人たちが日本にも居ることが少しは救いです。新宿の街にも毎週月曜日の朝、会社あげての街の清掃に励んでいる集団を見るにつけ頭が下がる思いです。道路に捨てられたたばこの吸い殻を、草の根をかきわけながら拾う若者の姿に希望を感じます。最初はたぶん社長の指示で仕方なくやっていたのが、次第に喜びを感じながらの姿勢においらも嬉しくなってしまいます。思わず「ごくろうさん!」と声をかけると何とも言えない笑顔で頭を下げていました。

今の若者は?なんて批判するオッサンがたくさんいるのだが、そんな世の中にしたのもこのオッサンたちです。団塊の世代、確かに面白い時代であったのだが、青春が瞬く間に去っていった瞬間に、現実社会に飲み込まれお金の亡者になった多くの人達。その代償として学歴、利益優先、排除などなど格差社会を増長していくシステムを生み出していった結果、その綻びが随所に露呈していった事実。オッサンたち、その反省を踏まえ残り少ない人生、若者たちに人生で一番大切なものは何かを教えてあげねばなりません...人それぞれ、できることからやりましょう!おいらは、とりあえず芝居を通じて、平和・家族・環境という三本柱を軸に据え創作していくことで、なんとか少しでも喜びを持てる社会にならんかと精を出してやっとります。しかも、教条的にならずエンタメ要素もプラスしておもろい芝居にしてまっせ!

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燃えてます!

2019/11/25
【第1282回】

「ジョーカー」観てきました...おいらが今年観た映画のベストワンかな。なんたって主演のホアキン・フェニックスが素晴らしい。登場するなりおいらの心を鷲づかみ、あとは彼の表情、アクションに瞬きする暇がないくらい魅了されてしまいました。改めて、異国の俳優の演技すなわち生き方に厚みを感じます...役になりきると言うより憑依の仕方が尋常ではない。時折踊る姿は、暗黒舞踏の土方巽を彷彿とさせてくれる。歩く姿、静止したときの表情には果てしない想像力を喚起させてくれる。社会の底辺に蠢く人物の、格差社会への鬱憤晴らしの映画とも受け取られないかも知れない映画なのだが、そんな図式を大胆にぶち壊し深く思考せざるを得ない人間ドラマに仕立てる監督トッド・フィリップスの手腕もたいしたものだ。この殺人者に次第に感情移入していく自分が怖いなんて人も随分居るだろうな。

おいらが最近読んだ大正時代のアナキストに通じるものがある。「難波大介・虎ノ門事件」金子文子を扱った「何が私をこうさせたかー獄中記」「久さん伝」に登場する和田久之助、「パンとペン」の堺利彦、社会の不正に憤りを感じ、テロに走る過程に相通じるものがある。

この映画が何故生まれたのか?自国でポピュリズムを標榜するトランプの登場、そして世界の社会不安がこの映画誕生の背景にあることは間違いない。いや、そんな分析を必要としないホアキン・フェニックスの存在そのものに圧倒された幸せな一日でありました。

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今年も魅せます

2019/11/22
【第1281回】

今日は寒い!一気に冬将軍が参上いたしました...雨の中、道行く人達も身を固くして歩いておりました。新宿のホームレスの人たちもこれからが厳しい季節です。少しでも暖かい場所取り争いが始まります。でも、春になるといつものメンバーが元気な姿で現れるので、彼らなりの身の守り方があるんでしょうな。むしろ、一般の人たちの方がひ弱な感じではなかろうか?ここまでくれば捨てるものなんかあるもんか!開き直った生き方で颯爽と生きてる人たちも見受けられます。まあ、いずれにしても誰のせいでもありゃしない...今ある姿は、これまで生きてきた結果のなにものでもないのですから自分で引き受けるしかありませんな。

それにしても、桜を見る会、サクラばっかり集めて何やってるんでしょうね。モリカケ問題に引き続き、すべてシュレッダーで消去、時間がたって忘れ去ることを待つ政府の常套手段。これに慣れ諦めてる国民。おいら今、大正時代のアナキスト関連の本を何冊も読んでいるのだが、時代の閉塞感に死を恐れず立ち上がった若者の純粋さに心打たれます。テロ行為に対しては賛同しかねますが、差別、不正に対してわがことのように思う彼らの気持ち、今の若者はどう感じるのでしょうか?これからの時代は、その若者が背負って立たなきゃならんのに、ひたすら内向き志向で思考し行動する多くの若者になんだか歯がゆい思いです。いや、若者だけではありません。夢も希望もロマンも無くなり、安酒場で愚痴ってるオッサンたちも情けない。一度きりの人生じゃないか!キラキラした生き方せんともったいなかですばい。

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雨にも負けず...

2019/11/20
【第1280回】

昨日横浜、県民共済みらいホールで「風を打つ」最終公演をやってきました。このホールには毎年トムの作品を呼んで頂いているのですが、今回の作品、支配人のS氏に大変ありがたい言葉を頂きました。「この作品こそ、今の時代、多くの人が観るべきである...」日頃は手厳しいコメントを出されるS氏も、今回ばかりはひとつのダメ出しもなく諸手を挙げての讃辞。俳優座劇場の公演でも多くの方の素晴らしい評価を頂きましたが、嘗て俳優座の演出部にも所属されたこともある辛口S氏の言葉はおいらもとても嬉しかった。来年も3本呼んで頂いているので今回以上の作品を創らねばと今から気が引き締まる思いです...今年ラストの公演、事故もなく見事に責務を果たしたキャスト、スタッフ、そしてトムの制作の皆さん本当にありがとう。感謝感謝!

芝居を観る前に久しぶりに野毛にあるJAZZ喫茶「ちぐさ」に足を運びました。相変わらず半ばボランティアに近い従業員の方が、店内に置いてある名盤レコードを取り出しターンテーブルに置き丁寧に針を落としていました。このアナログな一連の動作がたまらなく愛おしいのでございます。今やなかなか手に入らないレコードばかりで、貴重なレコード鑑賞タイムです。こんな喫茶店が無くなるときこそが、いよいよ日本の終わりかな?なんて思わせてくれるお店です。JAZZの曲に酔いしれ読書するのが、おいらの至福に時間でございます。疲れた心身に心地よい風が吹き抜けていきます...

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みなとみらい・野毛

2019/11/18
【第1279回】

昨日で「風を打つ」無事に東京公演千秋楽を迎えることが出来ました。大いに笑い、泣き、感動してくださったお客様本当にありがとうございました。そして、5人のキャストと多くのスタッフよくやりました。まさしく「ONE TEAM」、家族の芝居だからこそ、この言葉は重みがあります。家族の再生はもちろん、国の再生、教育の再生などなど全てが問われてる昨今、この芝居が問いかけるテーマは果てしなく拡がっていく感じです。ラストに男聚3人が打ち鳴らす太鼓、そして魚の気持ちを代弁して語り掛ける音無さんの方言こそが、時代に翻弄され国から捨てられた人達に届ける痛切な叫びと哀悼に通じます。おいらは、弱者の視線で芝居を創りたいと常々思っています。市井の息遣いが感じられる芝居創りこそが、今一番必要なのではなかろうか...勿論、そんなことにお構いなく創ったとしても、血の通わない芝居なんぞは観客に伝わらないと思いますがね。

日毎、街中にも秋の気配が、いや、もはや冬の到来かも?なんて季節になりました。この季節の青空、移りゆく雲の表情、木々の紅葉、愚かなニンゲンを優しく包んでくれる自然界の大きさを改めて感じます。飽きることなく傲慢な手法で世の中を蹂躙しようとする権力者の皆さん、他人の目ばかり気にせんで、深く深呼吸しながら、自然の織りなす大パノラマに暫し目を向けてちょうだいな...心眼なるものに少しは近づけるかもしれません事よ。

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また一段と色づいて...

2019/11/14
【第1278回】

今日また大嘗祭、先日に続き国費が費やされます。全国の被災地、その他もろもろ救済しなければならないお金が必要なのに、陛下も心苦しく思ってるんではないでしょうか?秋篠宮様が質素にやればといった発言も完全無視。そして今度は、能天気な花見に税金を私的に使う政治屋さんたち。少しは国民の皆様怒ってくださいませ!日本伝統の文化はわからないでもないが、こんな体たらくなこの国のシステムでは納得できませんがな。そして先日の式場でも「天皇陛下万歳!」の大合唱、先の大戦で300万人の戦死者は、どんな思いで聞いたのであろうか?少しの想像力を持てる人であっても、あの万歳三唱はやはり無神経な叫びと聞こえるのではなかろうか...おいらは左翼でも右翼でもありませんぞ。

「風を打つ」今日入れて残すところ4ステージ。またまた、演劇関係のページにこんな書き込みがありました。

 

俳優座劇場にてトム・プロジェクト『風を打つ』を観劇。
1993年の熊本・水俣を舞台とした家族のお話。3年前に拝見した同団体の『静かな海へ―MINAMATA―』で、それまであまり詳しい知識を持ち合わせていなかった水俣病という公害問題について様々な学びを得られた中で、今回はそんな水俣に住むとある家族の物語ということもあり、個人的にとても興味のあるテーマの作品でした。
水俣病は高度経済成長期にあった1956年に熊本県と新潟県において発生・発見が認められた公害ですが、今回の作品はその公害発見から37年後の1993年を舞台としたもの。その間に公害自体は改善が図れたものの、40年近い月日が流れているのにも関わらず、尚様々な問題を抱え、水俣地区の人々にのし掛かっている様子が随所に垣間見れて、やはりこの手の大きな公害問題は一度起きるとその完全解決にはとてつもない年月、そこに暮らす人々の苦悩・努力などが伴うという何とも言えない重みのようなものを痛感させられました。しかし、この作品はそのような社会派の内容であると同時に、決してその悲観的・マイナス的な要素だけでなく、むしろ水俣公害を乗り越え、バラバラになりかけていた家族の希望溢れる再生の物語であったようにも感じます。家族の愛情、家族の素晴らしさを感じました。
トム・プロジェクトさんの作品は今年2月の『芸人と兵隊』以来9ヶ月ぶりでしたが、毎度のことながら自分自身の知識アップになるとともに、心地よい笑いシーンも盛り込みながらテーマに沿って丁寧に描かれている印象を受けるので見応えがあるし、とにかく色々と考えさせられます。『萩咲く頃に』『にっぽん男女騒乱記』で拝見した音無美紀子さんは今回は肝っ玉母さんのような役。相変わらず好演が印象的だと感じました。また、個人的にテレビの旅番組のイメージが強い太川陽介さんのお芝居は初めて拝見させて頂きましたが、何となく普段から印象の強い笑顔の中に、九州男児の役らしい強さのようなものも感じました。他の3名の演者さん含め熊本弁も違和感なく使いこなされていたと思います。やはり今回もトム・プロジェクトさんの作品は"当たり"でした。

トム・プロジェクトの作品が"当たり"てのが嬉しいですね。貴重なお金と時間を敢えてトム・プロジェクトに割いてくれたんだもん、きっちりとお返ししないと罰があたるってもんでございます。この芝居、今週の17日が俳優座千秋楽です。この芝居観ずして今年の芝居のこと語れませんことよ皆の衆。

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少しづつ...

2019/11/11
【第1277回】

「風を打つ」昨日で4ステージを終えました。終演後、何人かの人が今年のベストワンとか言ってくれてます。芝居が観客にきちんと届いてることが一番嬉しいです。先日水俣に長年関わってきた水俣フォーラムの方が観に来て、こんなメールが送られてきました。

 

水俣病患者・杉本栄子さん一家をモデルにした舞台「風を打つ」の初日公演を昨晩見てきました。正直、予想外に素晴らしかった。みんな泣きました。一緒に行った4人以外に見覚えのある人に会いませんでしたから、客席は水俣病についてよく知らない人がほとんどだったと思われますが、あちこちからすすり泣きが、時には笑い声が聞こえていたのは、この舞台のメッセージがそんな人にも届いていた証拠でしょう。

杉本さんのお宅を模した舞台には、栄子さん、雄さん、肇さん夫妻、実さんを演じる5人以外は登場しませんし、時代も1990年初頭のある2ヶ月ですから大変シンプルです。悪役もいなければ、思わせぶりな映像も使いません。もちろん、栄子さん役の音無美紀子や雄さん役の太川陽介が水俣病の患者さんに見えたわけではありません。こんなに早くしゃべり動くことは、患者さんにはできないことですから。それでも、あの人たちが言いたかったことを甦らせている。そしてそれは、私たちの日々の喜怒哀楽と同水面でつながっている。だから終演後、拍手が鳴り止まなかったのでしょう。

 水俣病を題材にした近代演劇は10本以上作らていますし、そのほとんどを私は見ました。例えば砂田明の1人芝居「天の魚」があります。それは確かに多くの人の胸を打つものでした。しかし、この作品から原作「苦海浄土」の力と支援者としての砂田さんの存在感を引いてしまえば、オリジナルな舞台表現としての力はどれほどあったかと考えてしまうのです。しかし、今回の舞台は劇作家ふたくちつよしの書き下ろしで自身による演出です。しかもこの脚本のほぼ9割は事実で、構成上付加されたフィクションはまことに僅かなのです。でありながら、これほど私たちの心を揺さぶるのは、見事です。もしかしたら、私がこれまでに見た「水俣病を描いた近代演劇」としてはベストと言い得るかもしれないのです。

しかし大変残念なことに、この舞台は今月17日(日曜日)で終演ですし、今後の公演予定もありません。水俣病の患者たちの訴えに耳を傾けたいと思っていらっしゃる方はもとより、一般の方もこの舞台なら仕事を休んでも六本木・俳優座に駆け付ける価値はあります。そうして特別な地位や学歴、権力金力から遠いところにあって、己が肉体を用いて自然に働きかけ暮らしを紡いできた人びとの悲しみと勇気に触れてもらいたいと願わずにはいられませんでした。

​騙された思って見に行って下さい。よろしくお願いいたします。​


​おいらが語るより、この方の思いがそのものズバリです。本当に騙されたと思って劇場に来てくださいな。家族の、そして日本、世界の、もちろん人間一人一人の再生の物語です。

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ホトトギス
(秘めた意思)

 

2019/11/08
【第1276回】

東京は連日の秋晴れ、気持ちのいい日が続いています。こんな日々であればいいのですが、自然界の神様は、驕れるニンゲンに警鐘を鳴らすかのように災いを引きおこします。早く気付かないと更なる天災が年を追う事にやってくることを覚悟せねばなりません。

昨日、六本木俳優座劇場で「風を打つ」、初日を迎えることが出来ました。3年前に上演した「静かな海へ~MINAMATA」を踏まえ、再度、水俣に挑戦しました。水俣は、まさしく経済優先社会のなかで犯した人災です。人間関係が崩壊し街が荒んでいく様は、東日本大震災の構図と同じです。水俣もわれわれが決して忘れてならない言葉です。さて、今回の芝居、作・演出のふたくちさん、キャストの皆さん、そして舞台を支えるスタッフの総力戦で素敵な芝居が仕上がったと思います。水俣を全面に押し出すのではなく、家族の再生、町の復興に苦悩し尽力する姿を描いた結果として、水俣病なるものが、まるで透かし絵のように浮かび上がってくる戯曲、演出、俳優の演技が功を奏したと言えるのではなかろうか...芝居は生き物です。劇場に溢れる熱を感じたときにこそ、プロデューサー冥利に尽きます。

まだ始まったばかり、この生まれた我が子が順調に育ち、日本各地を旅していろんな人達と出会い、格差無き街や村になれば芝居も捨てたもんじゃございません。

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そろそろ色づき始めました

2019/11/05
【第1275回】

沖縄首里城が炎に包まれ崩れ落ちる姿を見ながら涙が流れてきました...35年前くらいに沖縄に3カ月ばかり滞在し首里城の前に立った時に、琉球王国の歴史を直に感じました。沖縄戦で米軍に焼き尽くされ再建した首里城はキラキラした朱の色が印象的でした。そして今回の火災、辺野古の問題も含めて何故か歴史の節目に沖縄で何かが起こります。今回の火災でいちはやく1億円ものカンパが集まったのは嬉しい限りです。常に日本の犠牲になった沖縄に対する、せめてもの優しさの表れだと思います。沖縄を見捨てるな!何もできない本土の人たちの意思表示にまだまだ、日本人の良心を信じたいと思います。そして、この連休の間に被災地に駆けつける老若男女のボランティアの人たちの姿にも、なんだか未来の明るさを見つけた次第です。この小さな国で、困った人が居たら手を差し伸べようぜ!いつ立場が逆転するか分かりません...だってこの国の政治、行政に頼ってなんとかなりませんこと分かってます。だとすれば、ひとりひとりの善意しかありませんことよ。

まだまだラグビー熱が冷めない日本の繁華街...道行く異国の人たちは皆笑顔、笑顔があれば争いもなし。苦虫を噛み潰したような顔じゃいけませんぜ!どうも笑顔作りが苦手な日本人、こんな時こそ笑顔をじっくり味わってくださいませ。

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今年も我が家に参上

2019/10/31
【第1274回】

昨日、東京亀戸カメリアホールで「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」無事に千秋楽を迎えることが出来ました。9月に始まって二ヶ月にわたる公演でした。おいらも冒頭でヒーローを歌う70歳の杜夫ちゃんを観ながら「よくぞやった!」と声を掛けたくなりました。だって、この日本でいや世界で、誰がこの歳になって3時間もの一人芝居をやれますか?この役者魂に先ずは敬意を表したい。昨日も絶好調、観客の反応を巧みに取り入れ瞬時にギアを入れるところなんぞ天才役者でございます。22年間、彼と一人芝居をやり続けたプロデューサーとして感慨深いものがあります。時には止めたくなったときもあるでしょう、でもこうやって継続できたことは彼との信頼関係があったからだと思っています。役者という生き物、尋常な精神ではやれるものではありません。その微妙な心理、身体を日頃から観察してないとなかなか役者とつき合いきれないのも事実です。特に一人芝居ともなると、一対一のサシの勝負です。逃げも隠れも出来ません、全てをさらけ出すしかありません。この仕事をしてて思うことは、下手な駆け引きは通用しないと言うこと...かといって、こちらのカードを総べてみせるということも違うような気がします...でも、最終的には己が培った人間力に賭けるしかないと言うことですね。

一人芝居を支えるスタッフのチカラも相当のものでした。まさしく、今年の日本ラグビーチームの「ONE TEAM」そのものでした。打ち上げの席でスタッフの一人が作ってくれたくす玉を割ると「祝 千穐楽」の垂れ幕が落ちてきました。こんな所にもスタッフの愛を感じます。スタッフ、観客に愛される杜夫ちゃん幸せもんですな。そして本当にお疲れ様でした!

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おつかれさまでした!

2019/10/28
【第1273回】

先週の週末、金沢に行って来ました...全国演鑑中部・北陸ブロックの例会が金沢であり出席。全国に12ブロックの演劇鑑賞会があり、皆さん演劇を通して民主的な社会創りに邁進している人達ばかりです。土曜日は4時間にわたり様々な苦労話も交えながら真剣な討議が為されていました。最後の方に発言された女性の言葉には身が引き締まる思いがしました。

「私達は、演劇がこの世の中に何故必要なのか...そして演劇の楽しさを伝えることが、仲間が増えることに繋がっていくことだと思います。」しょうもない芝居創ったらいかんですばい!そういわれた感じです。会議の後は懇親会、おいらのテーブルに同席した、いなざわ演劇鑑賞会、岡崎演劇鑑賞会の方々と和気あいあいの中、かなり飲んでしまいましたかな。おいらが芋焼酎好きと分かると、矢継ぎ早に持って来てくれる親切な方々でした。

酔いを醒ますため、ふらりと歩きながらちょいと入った喫茶店が地元でも歴史ある「茶房 犀せい」でした。経営者の方は記者出身で、地元で精神衛生のためと称しライブや舞台などもプロデュースしてるとのこと。東京渋谷にあったサブカルの聖地でもあった「渋谷ジャンジャン」を受け「金沢ジャンジャン」の主宰者でもあった女性である。おいらも我ながらよくぞクンクンと嗅ぎわけながら、こんな店に辿り着いたものである。なにせイヌ歳生まれの習性でござりまする...ホテルに帰りばったんきゅう、金沢の素敵な一日でした。

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2019金沢

2019/10/23
【第1272回】

昨日は、日本全国メディアも含めて皇位継承式典の話題で持ちきりでした。日本古来の儀式でありながらも、とても簡素でよかったと思います。台風の被災者のことも考えパレードを中止したのも賢明でした。経費は160億円だからひとり160円のお祝い金といったところですね。この式典でただ一つ気になったのが、首相の音頭取りで「天皇陛下万歳」を唱和した場面。ふと、戦時中にこの言葉を発して戦死した300万の兵士のことが頭をかすめました。どんな気持ちで、この言葉を発したのであろうか?おいらは個人的にはあまりいい感じがしませんでした...象徴天皇、そして市井の人たちに寄り添うように行動されてる天皇に対して似つかわしくないのではないか...いまだに、この国の天皇制も含めて各界物議を醸しているのだが、要は天皇を政治的に利用してはいけないということだけは間違いない事実だ。

そんななか、又しても演劇群「走狗」の戦友であった伊深宣一の訃報が入ってきました。今年は田島君、島君に続いて3人目。伊深君は、ささくれだったテント芝居の状況の中、いつもヤギのような髭をなでながら「まあまあ...諸君」てな具合で神様みたいな人でした。得意な楽器で疲れた役者の心身を癒してもくれました。劇団解散後は優しい姉さん女房とジーンズ店などをやってました。おいらも、とっておきの一枚を買った覚えがあります。最近は埼玉県富士見市民文化会館キラリふじみのコンサートに参加しながら楽しく過ごしていたのに...71歳まだ若いな。でも好きに生きてきたんだから悔いはなかでしょう宣ちゃん。今日、これからお通夜に行って最後の別れをしてきます。

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いつか来た道

2019/10/21
【第1271回】

今日はやはりラグビーでしょう...日本チーム負けましたがよくぞやりましたね!誰もが夢を見させてもらったという感じです。最初は、異国の人がなんで日本チームの一員なのという疑問も抱いていたと思いますが、これぞ人類皆兄弟!政治の世界では不可能なことをいとも簡単に成就したという感じです。試合前に国歌が流れ「君が代」を共に口ずさむ姿に胸打たれるものがありました。日本選手の中には、対戦チームである南アフリカ出身の選手もいました。あんな激しい戦いをしながら、試合後に共に相手をたたえ合うノーサイドこそラグビーの本質です。おいらも高校の時ラグビーを少しかじり、そこからラグビーファンになりました。大学ラグビーの早明戦、そして日本選手権での釜石、神戸製鋼の強さ、野球のシーズンが終えるとラグビーに夢中になっていました。ラグビーの聖地秩父宮ラクビー場にも良く足を運びました。雨中の中、泥んこになりながら男たちが闘う姿に人生を感じたこともあります。15人が一つになって80分の時間、まさしく「ONE TEAM」。下手なドラマよりいろんなものが見えてくる面白さがありました。

30年前、新宿ゴールデン街の仲間から誘われラグーチームに参加し、久しぶりに楕円形のボールを手にして多摩川のグランドに立ちました。目まぐるしい試合展開の中、おいらにボールが回ってきました。チャンスとばかりおいらはトライを狙いゴールポストの下を狙い猛ダッシュ、あと少しというところでタックルされノーサイド。おいらの後ろの人にパスすればトライに結び付いたのに...この時、おいらはひとつの啓示を受けました。「俺がオレガノ我を捨てて、お蔭オカゲの下で暮らせ」この時の教訓が、今でもおいらの生きる指針になっとります。

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秋の気配

2019/10/18
【第1270回】

昨日は、トム・プロジェクトの芝居でもお馴染みの村井國夫さんのコンサートに行って来ました。75歳になるダンディな村井さんの歌声に痺れました。前半は昭和の懐かしい歌、フォークも交えて語りかけるような唄は村井さん人生そのものの様でもありました。表現はすなわち生き方であることを証明していることを実感した次第でございます。トークも、村井さん特有のユーモアで会場は爆笑の渦。この辺りは百戦錬磨の役者でございます。後半はミュージカル「レ・ミゼラブル」の初演から900ステージ近くをこなしたジャヴェール警部の持ち歌をはじめ、映画の数々の名曲を重厚かつ軽やかに歌いこなすところなんぞはまさしく和製フランク・シナトラ、いやイヴ・モンタンといったところか...考えてみれば、村井さんみたいな役者さん、この日本でもなかなか見あたらない気がします。おいらが先ず驚いたのは、トムの芝居に初めて出演してもらった「満月の人よ」でのだらしない親父さんの役でした。ミュージカルの俳優さんだと思っていたのだが、見事に田舎のダメ親父を肩の力を目一杯抜きながら演じてくれました。村井國夫という役者の底チカラをまざまざと見せつけられた次第です。

来年もトム・プロジェクトの「砦」の再演が決まっています。村井國夫さんが放つ人間臭さと同時に、表現に対する飽くなき探求心にまだまだ目が離せませんですばい。

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東京原宿にて

2019/10/15
【第1269回】

日本沈没を予測させる自然の猛威。年毎にひどくなる自然災害に為すすべもないニッポン。これも、何年も前から言われている地球温暖化による海中の温度の上昇。この問題に対してアメリカ日本は何となく消極的。これじゃ、ちっぽけなこの国は、近い将来間違いなく沈んでしまいます。なのに手早い対策を打ち出せない政治、オリンピックなんてやってる場合じゃないでしょう!と大きな声を上げないこの国の呑気な人たちにはホトホト呆れてしまいます。どうみたって、来年再来年と甚大な被害が持ち受けているのは明らかなのに...もうそろそろ、利便性の追求止めませんか地球の人たち!と一部の人は声を大にしてるのですが、たいして危機感を感じさせないのは、利益に奔走している企業家の巧みな戦術。豊かになりますよ!なんて夢を持たせて時間稼ぎしてるのが見え見えなのに、目の前にニンジンぶら下げられると為す術もなし...

クライマックスシリーズ、ライオンズお疲れさまでした。これはもう諦めるしかありません。だって、4試合で失点が32。1試合で8点取られちゃライオンズの強力打線もどうしようもなかですばい。観てて思うにメンタルが弱すぎ、へっぴり腰弱気の投球じゃ打たれます。

若い投手が多いので、ここは優秀なコーチで鍛えなおしてほしいですな。今年は野球は終わりです。巨人とソフトバンクの金満チームの日本選手権はどうでもよかですばい。それよりも、今は日本チームのラグビーに注目。地湧き肉躍る!これぞ男のスポーツですたい。おいらが野球の次に好きなスポーツが注目されて嬉しゅうございます。

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台風一過、今日の新宿

2019/10/10
【第1268回】

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」九州公演を終え戻ってきました。博多の公演の盛り上がりは大変なものでした。650人の博多の観客の笑いと拍手は、杜夫ちゃんのテンションギアをトップまで上げさせ異常ともいえる状態でした。最後の落語「芝浜」も絶品でした。博多はやっぱりラテンの血が流れているんですね。どんたく山笠、サッカーもいいけど、こんなに芝居を喜んでいらっしゃるんだから、芝居小屋ひとつでも作りなさいって話です。歴代の市長にそんな考えがなかったんでしょう。いや、おいしい食材と温暖な気候、そして災害が少ない土地柄が文化をそれほど必要としなかったかも...博多に来ると、何故かふらりと散策したくなります。おいらを育ててくれた街の変貌に驚くと共に、昔そのままに残った風景を見つけると、思わずタイムマシンに乗っかって昭和の世界を旅してる気分になっちゃいます。中洲、川端、祇園、春吉あたりは基本的に昔の佇まいを残しています。65年前に亡くなった親父が、ふと路上で店を構え商いをしている光景が幻のように現れる気がします。それは何年経っても街の匂いが残っているからだと思います。

東京の家に戻ると、なんとおいらの帰京を待っていたかのように月下美人が三輪も咲き出しました。これは奇跡です!今年はまさしく狂い咲き。一晩の短い時間しか咲かないものがよりによって...残り少ない今年、なにか良いことでもあるのかな?

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miracle

2019/10/08
【第1267回】

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」地方公演スタートです。10月6日長崎公演に行ってきました。おいらも長崎は久しぶりです。20代の頃テント芝居で、テントを担ぎながら神社の長い急坂の階段を息も絶え絶え登った記憶が鮮明です。今回の公演もそうなんですが、今やどこに行っても立派なホールがあり、素敵な環境の中で公演できるのは本当にありがたいことです。この日も杜夫ちゃん絶好調、観客の笑いを芝居のテンポに取り入れながら無事公演を終えることができました。終演後は、博多にある1970年開店のレトロバー『MAD HOUSE ひろ』で出会った原さんに思案橋の小料理屋でご馳走になりました。45年後にこうやって杯を傾けることができることに感謝です。そのあとはスタッフも交えて旅初日のお疲れ会となりました。

昨日は、原さんにいただいた長崎くんち奉納踊りの会場である中央公園に行き、くんちを満喫しました。アンコールを求めて「もってこい!」の掛け声を連発するさまが面白かったですばい。会場を後にして向かったのは平和公園と原爆資料館。改めて、原爆の理不尽さとやり切れなさに唯々立ち尽くすのみ...アメリカとロシアの圧倒的な核の数を見るにつけ、なんと愚かなニンゲンの姿。原爆投下地点から上空を見上げると青い空と夏の名残を残す雲が広がってました。1945年8月9日午前11時02分、あの日あの時空を見上げた人たちのことを思うと涙が出てきました。この亡くなった人たちのためにも、残された人生、平和について思考し行動せねばと思いました。

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2019長崎

2019/10/04
【第1266回】

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」昨日、無事千秋楽を迎えることが出来ました。風間さんはじめスタッフの皆さんの総力戦でいい舞台に仕上がったと思います。稽古中にもいろいろありましたが、さすが千両役者の杜夫ちゃん、多くの観客の声援に後押しされ日毎に舞台の精度が上がっていきました。3時間、演者も観客も充実したひとときではあったと思います。誰があんなことできますか?改めて役者風間杜夫の凄さを感じた次第です。

10月6日から長崎からスタートして地方公演が始まります。10月30日に東京亀戸で最後のステージがあります。東京で見逃した人は最後のチャンスです。三部作一挙上演なんてことはもうないと思いますので是非いらしてくださいな。

10月というのに、今日は猛暑日。いよいよ地球は不完全な様相を呈しています。災害も含め、自分の身は自分で守るしかありません。勿論、生き方も含めて、今問題になっている関西電力然り、何を信じていいのやら?今回の芝居にもこんなセリフがあります。

「この広い宇宙で、青く輝くこの星だけだよ、人が生きてるのは。それなのに、どうして争い、憎しみあうんだ。」

生き物としての自覚と尊厳を持たなきゃ、他の生き物に笑われますよ...

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学園祭

2019/10/02
【第1265回】

昨日から消費税が10%になりました。この影響で街の商店が次々と閉店しています。年金暮らしが多い常連客を思うと値段を上げるのが忍びない、新しいレジの器械を購入するのが困難、そして度重なる災害などなど、街の交流の場であり年配者にとっての憩いの場が消えていく...考えてみれば街の商店街こそが、その街のへそであった気がします。身近な人の情報もお店に来ることによって知らされ、孤独死なんてことも考えられなかった。スーパーは確かに便利ではあるけどすべてが機械的、物を配給されてる感じがしてなりません。商店街に貼りだされた「9月30日にて閉店いたします。長い間の御贔屓ありがとうございました。」こんな告知を見るたびに寂しくなってしまいます。そんな庶民の気持ちも何処吹く風、苦渋の決断どころか簡単に消費税を上げてしまいました。ほんまに将来の社会福祉のためなら理解できるけど、これまでの政治手法ではその恩恵を感じられないのが正直なところです。こんな政治を選択したのも庶民なんだけど...そろそろ気付かないとあきまへんで。

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」東京公演、残り2ステージ。70歳の杜夫ちゃん張り切って演じてます...今一つ覇気がない人、元気になりますから是非劇場へいらしてくださいな。

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硝子越しの秋

2019/09/30
【第1264回】

「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」今日で5ステージを迎えます...いやいや、一人で3時間喋り動き回るんですから、今年4月に古希になった杜夫ちゃん大変です。持ち前のエキセントリックハイテンションを駆使しながら、舞台を所狭しと演ずる姿に唯々感心するばかりです。この年になって、こんなことできる役者どこにも居ないんじゃないかしら?お客が楽しんでくれる姿、そしてそれを成し遂げた後に褒められることのために命を懸ける姿に役者魂を感じます。演者も観客も一つになって、二度と戻らない時間と空間を共有できるなんて、なんて素敵なことでしょう...今回の芝居、普段の芝居より男性客が多いのが嬉しいですね。芝居なんぞより、飲み屋で一杯を選択するオッサンたちが劇場に足を運んでくれるなんて嬉しいじゃありませんか。そして70歳になっても、あんなにエネルギッシュに立ち振る舞ってる杜夫ちゃん観て、こりゃいかんですばい!俺ももうひと踏ん張り社会のために平和のために、そして愛する家族のために生きねばと思ってくれればと思ってます。

おいらの好きなスポーツの一つラグビー、大金星を挙げて盛り上がっています。泥臭く戦う男たちの姿にもドラマを感じます。何事も、いい汗かいての酒の方が、美味いに決まってますよ皆の衆。

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曼珠沙華

2019/09/26
【第1263回】

いや、ライオンズ勝ちましたね...今年は優勝無理だと思ってました。投手の失点、毎試合5点~6点じゃ勝てるわけないというのが常識。その常識を覆す山賊打線が凄いですな。打率、打点、本塁打、そして盗塁まですべてライオンズの選手がトップなんですから、観る方にすれば面白くてしようがないという訳。こんなチームは本当に稀かもしれませんね。打って走ってダイアモンドを駆け巡り、次から次へと点が入るシーンを観るたびに、そりゃ楽しいに違いありません。24日の優勝が決まる日、ライオンズが勝つだけでは駄目なので、同タイムに試合をやっていた楽天対ソフトバンクの試合も同時にテレビで観ていました。この日ばかりは楽天を応援しました。昨年までライオンズに居た浅村がこの日はいい仕事をしてくれました。この浅村、何故かライオンズ戦になると狂ったように打ちやがって、この野郎なんて思ってましたが、やっとこの日、お世話になったライオンズに恩返しができたんじゃなかろうか。短い選手生命、お金のために移籍するのも分かりますがなにか寂しいものがあります。特にライオンズのエース、主力打者として活躍した選手たちが、ここ最近去っていくので複雑な思いです。でも、このライオンズは移籍した選手たちに代わる若手が出てくる伝統があるのも確か。無名の溌溂とした若手のプレーはとても気持ちいい!今年こそクライマックスシリーズを勝ち抜き11年ぶりの日本一を掴んでくださいな。

そんなことよりも、今日は「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」の初日でございます。秋晴れの東京、これから下北沢の本多劇場に向かいます。

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今日の新宿

2019/09/24
【第1262回】

涼しくなったり、暑くなったり、こんな事繰り返しながら秋になるんですね...先週、11月に公演する「風を打つ」の本読みをしました。題材は水俣です。
2016年にも「静かな海へ~MINAMATA~」を創ったんですが、再度の水俣へのチャレンジです。水俣のあの歴史、姿をどう伝えればいいのか?なかなか難しい課題ですが、自然を破壊し、利益追求のための犠牲を強いられた庶民の思いを語り継いで行かねば、この国の未来は無いと思っています。今回も、ふたくちつよしさんに作・演出を依頼しました。彼の作風は家族の在り方を戯曲にしています。水銀を垂れ流した会社、この事実に手ぬるい対応をし続けた国を弾劾するのではなく、水俣病を引き受けざるを得なかった漁師一家の再生の物語です。

昨日は、いよいよ今週26日から始まる「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」の最終稽古でした。一人で3時間喋りっぱなし、いったい全体、彼の頭脳は如何様に組織されているのか?いつも感心を通り越え、ただただ驚嘆するのみ。今年、古希を迎えながら、この無謀なる挑戦に挑む風間杜夫の役者魂炸裂といったところかな。こんなことできる、いや、やろうなんて言う俳優、世界探してもいやしませんがな。この世紀の大一番、見逃す手はないと思うのだが...3時間辛い?そんなこと忘れさせてくれる中身でございます。

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秋の日は釣瓶落とし

2019/09/20
【第1261回】

東京電力前役員全員無罪...文書改ざんの件も含めて、なんだか司法の世界も忖度塗れの気がしてならない。世界のジャーナリストも驚いているそうだ。今回の千葉の停電然り、何の反省もないのではと疑ってしまう。あれだけの事故を起こしておきながら何の罪も問われないなんてありうるのだろうか...来月から消費税もアップ、この国の未来がホンマに心配だ。

新宿の路上で、久しぶりに素敵な音楽に出会った。ディジュリドゥ奏者Chapa。 ディジュリドゥとはオーストラリアの先住民アボリジニの楽器で世界最古の金管楽器と言われている。 その不思議な音色と共に、リズムマシンを駆使して即興のダンスミュージックを奏でていた。これは受けますな。新宿南口はストリートミュージシャンにとっては格好のエリアだ。広々とした歩道に開放感溢れた空間、誰もが夢見ながら音を奏でている。おいらも、時には立ち止まり聴いてはいるのだが様々ですな。この世界も、何か一つ惹きつけるものがないと見向きもしてくれない。そんななか、Chapaの世界は今まで体験したことない音だった。早速、路上で販売していたCDを購入し、我が家で聴いたのだが自然に身体が動き出し、おいらの舞踏まがいの踊りに顔面踊りも加わり、どうにも止まらない事態になっちゃいました。これ、日々の肉錬にいいかもね...

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イカした音

2019/09/17
【第1260回】

千葉の停電の現状を見るにつけ、この国の災害に対する対策があまりにも杜撰な気がしてならない。原発事故での教訓がいかされてないのではないのかと思わずにはいられない東京電力、そして台風直撃だというのに、大した効果がみられない内閣改造を呑気にやっちゃう政府、国も電力会社もどなんなってるの?これじゃ、アメリカから武器をいくら買い込んでも、北朝鮮からミサイル打ち込まれたら一瞬にして日本沈没ありゃりゃんりゃんの世界は現実のものとなってしまうんじゃないかしら...よく分からんことが、現実に起こっていることをしかと受け止めないと、ほんまにえらいことになっちゃいますよ。

9月中旬だというのにまだまだ暑い日が続いています。そんな日に、オリンピックのマラソン選手の代表を決めるレースがありました。東京の名所巡りのコースはなかなかいいのだが、来年の8月にほんとにやるの?というくらい暑さとの戦い大丈夫かなと心配してしまいます。今回のレース、本命では無い選手が優勝しました。マスコミに騒がれることなく、地道にコツコツと練習した人が報われる事例が増えれば社会もきっと良くなるんでしょうね。

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平和なひととき

2019/09/13
【第1259回】

今年も咲きました...去年10年振りに咲いた月下美人、我が家のベランダにて見事に9月11日午後9時半にぱっくりと姿を見せました。初期に垂れ下がっている蕾が開花直前になると自然に上を向いて膨らみ、夕方に芳香を漂わせはじめ、じっくり時間を掛けて一気に咲く。その様は官能的な感じさえしてしまう。もともとサボテン科・クジャクサボテン属に分類される着生サボテンの1種。咲いたときの匂いはジャスミンに似たやわらかい香りで、くらくらと目眩がしてしまい悩殺されちゃいそう(笑)一夜限りってのがいいじゃないですか潔くって...翌朝、閉じてうなだれてる姿を見るにつけ、あの美しい瞬間は幻ではなかったのではなかろうかと思ってしまう。今度はいつ、この不思議な瞬間に出会えるんだろうか?自然が生み出すファンタジー、おいらにもわからない。

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美人薄命

2019/09/11
【第1258回】

「皆さん、自由を謳歌してますか。幸せを当たり前のように感じていませんか。」香港から来た留学生が、ある大学でスピーチしたそうな...香港でいま行われているデモは深刻です。30年後に迫った中国の権力支配化に対する自由民権の戦い。今なお言論統制下に置かれた中国の現状を見るにつけ、自由のありがたさを満喫してきた若者たちが危機感を感じるのは当たり前のことです。30年前に中国の若者たちが立ち上がった天安門事件も権力者によって圧殺されました。それほど怖い中国の権力機構、香港若者の悲痛なる叫びだと思います。さて、これに比して日本の若者の呑気な事といったらありゃしない。選挙にも行かず、アジアの緊張状態にも大した興味も持たず、大企業の就活に勤しみ、唯々スマホに熱中し世界に目を向けようとしません。いやいや、若者ばかりではありませんな。人生をあきらめたオッちゃんたちも酒喰らって愚痴こぼしゲームに興じております。そんな呑気な人たちは権力者にとっては好都合な味方です。そうなんです!自由なる権利、あっという間に不自由なるものに取って代わってしまいますぞ...日本、そして世界の戦争に至る過程が証明しています。

今日、改造内閣がスタートするそうな...相変わらずの論功行賞人事、まさしく忖度国家。大切な文書書き換えても罰せられず、それに対して大規模な抗議デモも起きない国じゃ権力者も枕を高くして寝てられるってなもんですな。

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秋の予感

2019/09/09
【第1257回】

先週の土曜日、横浜演劇鑑賞会での「百枚めの写真」観てきました。いい芝居は何度観てもいい芝居ですな。役者のテンションもかなり高く、そして内に秘めたるものが切々と伝わってくる。回を重ねる事に、キャストの思いが観客に伝わる様を感じられるなんて幸せです。そして、改めて平和の大切さを次の世代に継承しなければいかんなと改めて思う次第でございます。この芝居、このあと長野県で8ステージやって今年は終わりです。こんな芝居こそ毎年やらねばと、芝居に関わった一人として責任を感じます。今回、会場には戦時中に撮られた横浜演劇鑑賞会関係の家族の写真が掲示されていました。あの忌まわしき戦争の記憶を忘れてはならないという決意表明と受け取りました。

終演後の、みなとみらい地区はいつものように穏やかで潮の香りがほんわかと匂っていました。こんな平和な光景が何時までも続きますように...いい芝居と、潮の香り、そしてお酒、戦争が起こればこんな至福の時間も持てませんがな。

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横浜みなとみらい21

2019/09/06
【第1256回】

又、暑さが戻ってきましたね...地球の環境も大きく変わり、災害も含めニンゲンはあたふたとしています。これもニンゲンが招いた人災なんですがね。今年の蝉の声、例年比べ力強さもなくしょぼい感じがしました。炎天下の中、命の限り鳴き続ける蝉があってこその夏でございます。この夏、家族に見守られ笑顔いっぱいの子供もいれば、親の虐待を受け命をなくす子供もいます。この世に奇跡的にニンゲンとして生を受けた尊い命を親が殺めるなんてことが、実際起こるんですから、まさしくこの世の中、今までと違う人種が育ち、親になってるんですね。生き物もモノの一部であり、究極は記号程度にしか考えられなくする、この国の取り巻く環境の諸々に問題があるんでしょうね...文書を改ざんしても罰せられない理不尽、自国の主張を通せない外交、一部の富裕層にのみ優遇される制度...などなど庶民は諦めに転じ、刹那的な思考が蔓延していった結果かな。

でも、生きねばなりません!なんとしても...おいらもここんところ随分と友を見送り、少しばかり弱気になっていますが、残された人生、少しでも充実した時間を過ごしたいものです。今日も青い空のもと、絞るような最後のメッセージを届け地上に舞い降りた蝉を見ながら「あんたの分まで、おいら今日も元気に生きまっせ...」と声をかけました。

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お疲れ様でした!

2019/09/04
【第1255回】

先週、今週と芝居を2本観たのですが...改めて演劇というジャンルの難しさを感じました。先ず演技そのものが日常と相容れないモノになっていないかどうか?もともと芝居が好きな人にとっては既に演劇そのものが、その人の身体にインプットされているので、そのパイのなかで処理出来る。がしかし、この趣味の多様性の現世において、この芝居自体がある特殊性を帯びているのではないかと思うことがある。観客の日々の生活史を余程凌駕することが無い限り、観客に時間とお金を強要するには限界があるのではないか...といっても、ミュージカル、今流行の2.5次元芝居、旬の役者が出演している芝居、いわゆる商業演劇に類するジャンルには相変わらずの集客力。そこなんですね...演劇が娯楽なのか、それとも社会との関わりの中で創られていくモノであるべきなのか...両者が上手く絡み合えば一番いいのだが、そうは簡単にいかないのが世の常。でも、考えてみれば表現自体そのものが千差万別。要は己のやりたいことをやればいいじゃん!と言う答えに落ち着いてしまう。確か昔、劇団のある主宰者が野球場に集まる多くの観客を眺めながら「芝居にも、この何分の一でもお客が来てくれれば嬉しいな...」と呟いたとさ。野球と芝居、所詮、似て非なるものかもしれませんな。

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今日の空

2019/09/02
【第1254回】

いやいや、今年はライオンズ、ダメかなと思いきや盛り返してきましたな...7月にソフトバンクと8.5ゲームあったゲーム差が、昨日の時点で1となりました。こりゃわかりませんぜ。なにせライオンズの打力が凄い、山川、中村、外崎、森、秋山のホームラン。それに加えて金子、源田、木村、外崎、秋山の俊足、こんなチームは両リーグ通じて皆無。試合見ててワクワクしますがな...これに投手のチカラが充実すればダントツ1位のチームなんですが、今年は防御率最悪。1試合平均5点以上は失うんですから打撃陣の負担は半端じゃありません。点を取ったらすぐ取られるゲームを何度目にしたことか。しかも、ピッチングコーチがマウンドにアドバイスした途端に打たれてしまう悲惨な光景に、腹が立つどころか諦めに近い心境でありました。コーチの指導が悪いのか、それに応えられない投手の甘さなのか、とにかくおんぼろ投手の無様な姿にファンのみなさんも呆れかえったことでしょうね。ところが、最近、投手が大崩れしなくなった途端、ゲーム差が縮まった次第でございます。

なにせおいらは、ライオンズ一筋67年に渡るファンであるのは勿論だが、金に糸目をつけず他球団の選手をかっさらうチームが嫌いです。鷹、鷲、巨人、なんてチームが野球界の盟主なんてことになったらベースボールも終わりですたい。なんでんかんでん、この世の中、金でどげんでもなると思ったら大間違いでございます。夢とロマンと冒険は、お金で買えるもんじゃなかとよ...と、少年キヨシは西鉄ライオンズに教えて頂きました。

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9月の空

2019/08/30
【第1253回】

アマゾンが燃えている...みんながよく利用してるあのアマゾンじゃありませんよ。世界最大の熱帯雨林を有するブラジルのアマゾンです。世界の熱帯雨林の60%がブラジルに存在します。しかも、世界の酸素の20%はアマゾンの森林でつくられると言われています。ブラジルのトップは、トランプと結託しなにかと金勘定に思考を巡らし、自国の大切な資源をないがしろにしてます。燃え続ける樹木を見ながら、何故か書物が燃え尽くされてる感じさえしてしまいます。樹木が無くなることはすなわち、この世界から本なるものが消滅してしまうことです。一時、電子ブックなるものが流行駆けたのだが、最近車内でもあまり見かけません。そりゃそうでしょう!書物は自然界で長い時間育まれた樹木から派生し人間の知恵で生まれた貴重な文化資産なんです。ページをめくるあの喜び、しっとりとした紙に印刷された文字に喚起される夢とロマンと冒険心。読書することで、世界のあらゆる人達が、人間形成の一助になったことは紛れもない事実です。

その樹木が燃えていく姿は何とも忍びがたい。でも、世界のトップの連中は、そんなことよりも兵器産業で成立しているアメリカ、そして中国、ソ連の兵器を買い漁ることに夢中になっています。自然環境より武器、なんとも嘆かわしい状況でございます。

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読書の伴侶は美味なる珈琲

2019/08/28
【第1252回】

えらいこっちゃ...「百枚めの写真」の東京公演が終わったと思ったらすぐさま旅公演。「A列車に乗っていこう」も現在旅公演の終盤。そして、月曜日からは「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」の稽古が始まりました。今年70歳の古希を迎えた杜夫ちゃん、満を持しての公演でございます。稽古初日、一気に読み合わせをいたしました。予定通り、休憩15分を挟んで3時間。いやいや、この膨大なセリフを今から覚えていく役者の凄さを今更ながら感じます。なにも、こんなつらいことしなくてもとお思いでしょうが、役者風間杜夫は並みの役者ではございません...子役から始まり、全共闘運動にも遭遇し、アルバイトの日々を乗り越え今の立場を得て、みなさんご存じの一級品の俳優になったのでございます。芝居に対する執着は飲めば飲むほど熱く語りかけてきます。役者さんが良く発する言葉「舞台の上で死ねれば本望...」杜夫ちゃんはどう思ってるか知らんけど、この心情を絶えず持ち続けながら舞台に上がってると思います。

韓国と日本大丈夫かな?なんだか、日本はアジアで孤立してしまうんじゃないかしら。トランプ一辺倒の外交姿勢を改めたいととんでもない事態が起こりますぞ。平和だからこそ芝居もできるってこと、一人一人がもっと政治、行政に目を向けんとえらいことになっちゃいます。

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晴れたり曇ったり

2019/08/26
【第1251回】

先週の週末「百枚めの写真~一銭五厘たちの横丁」の東京公演、両国のシアターXで無事終えることが出来ました。2010年の初演以来4回目の上演です。この芝居が、この時代に必要不可欠な作品である事の証でもあります。赤紙によって戦地に赴いた兵士に届けるために撮られた99枚の写真(戦意高揚のため)と、名もない東京下町の一家族のドラマが観客の心に深く突き刺さる作品です。おいらが原作者である児玉隆也さんの自宅に伺ったのが12年前です。この作品を書き上げ38歳で亡くなった児玉さんの自宅で、奥様とご子息夫婦に熱くこの作品を舞台化したいと語った記憶があります。松下竜一さんの時もそうであったのですが、原作と突然の舞台化の話が遺族の人達には唐突であり、おいらは唯々粘り強く説き伏せるしかありませんでした。芝居なんぞの世界に馴染みのない人達にとっては、おいらなんかインチキ興行師では?なんて思われたかもしれません。でも、おいらの心意は伝わり舞台に上げることが出来ました。そして今年も意義ある8月に上演することが出来感慨深いものがあります。児玉さんが写真を頼りに、留守家族のその後を訪ね歩いた様に、プロデューサーも舞台にしたいという執念から、コツコツとその心を伝える地道な仕事からしか始めるしかありません。そして、こうやって何年も上演できる事で報われた気がします。こんなアナログな作業だからこそ、観客に確かなものを届けられると思っています。

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両国駅前

2019/08/21
【第1250回】

昨日は、10月8日(火曜日)「風間杜夫ひとり芝居平和三部作」博多ももちパレスで公演に向けての宣伝も兼ねて風間杜夫トークショーをやってきました。おいらの故郷でもある博多、自然に恵まれおいしい食べ物と飾り気のない人柄で人気ある街なんだが、アートに関しては行政機関の方々ちょいと無関心かな...だって、これだけの街で芝居に適した劇場がありまっせん。たくさんのアーティストを輩出してるのに、はなはだ恥ずかしい限りであります。そんななか、ここ「ももちパレス」が何とか演劇人口を増やしていこうとする今回の企画に拍手を送りたい。杜夫ちゃんも、この日朝早くから地元のテレビに生出演し少々お疲れ気味にもかかわらず、ジョークも含めて笑いに包まれた和やかなトークショーでありました。

久しぶりの博多、昔よくふらついた中洲近辺を散策したのだが、おいらが日々通っていた映画館も無くなり、昔の面影は影も形もありませんでした。博多の庶民の味でもあった豚骨ラーメン屋が巨大なビルを構え商売するような時代です。しかも高い値段でのラーメン、こんな豚骨に反骨し、おいらは今でも¥320の豚骨ラーメンを食べに行きます。博多が気取ってどげんするとね!博多はいつまでも庶民が真ん中にある街であってほしいですね。

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昨日の博多

2019/08/19
【第1249回】

こんな暑い日は、映画館で過ごすのも一案でしょう...というわけで「ライオンキング」観てきました。長生きしてみるもんですね、技術の進歩に唯々驚くばかりです。これ、本物のライオンじゃん!これだけで感動しちゃいます。話自体は、どこにでもある勧善懲悪、因果応報てきな話なんだが、とにかく引き込まれます。喪失、友情、愛、てんこ盛り、そして過去に向き合わないと幸せな未来はないなんてこともきっちりと描かれています。こんな映画創られると、俳優要らないんじゃないのかななんて、役者にとっては死活問題になっちゃう危機感さえ感じます。アフリカの壮大なサバンナを彷彿とさせる音楽もいいですね。これ、日本語吹き替え版も上映されてるけど、やはり字幕じゃないとこの映画の雰囲気は味わえない気がします。

高校野球はいよいよ、明日準決勝、星稜の奥川投手いいですね。実力もさることながら笑顔が素敵です。笑う門には福来る!こんな猛暑でも笑顔があれば救われますね。

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熱帯夜に咲く花

2019/08/09
【第1248回】

猛暑なんてどこ吹く風...家の近くの広場で、ちびっこ盆踊り大会が催されてました。夜になってもこの暑さ収まりそうもありません。広場もコンクリートで固められ、上から下からの照り返しで、少々の夜風で温度が下がるものでもないのだが、ちびっ子は元気です。汗を拭き拭き、くたびれた表情をしているのは連れ添う親達。可愛い浴衣をはだけながら見よう見まねで踊る姿を見ていると、おいらもほっこりしてしまいます。

おいらの時代は、ガラの広っぱ(石炭のガラを捨てて出来た広場)で毎年盆踊りしてました。おいらの興味は、踊りよりも水飴を舐めること。そして、お目当ての女の子の踊る姿をこっそり眺めること。お目当ての子はお金持ちのお嬢さんで、おいら貧乏人のガキにとっては高嶺の花でありました。きれいな浴衣着て上品に踊ってる様を見ながら、キヨシ少年は何を思ったことでしょう...このガラの広っぱではいろんな催しが開催されました。仮説のスクリーン(白い布きれ)を立てての映画上映会、野球大会などなど。子供にとっては格好の夢場所でもありました。広場があれば何かが起こり、そこから子供の夢は大きく羽ばたいていきました。それは今も昔も変わりません...今尚、世界の各所で内戦が起き広場さえも、がれきで埋まり遊ぶ空間を失ない路頭に迷う子どもたちの報道を見るにつけ、改めて平和の有り難さを思わずには居られません。今日は74回目の長崎原爆忌...今日もこの国のトップの口から核兵器禁止条約に関する言葉はありませんでした。

明日からお盆休み、16日まで夢吐き通信お休みです。

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夢の広場

2019/08/07
【第1247回】

昨日は、広島に原爆が投下されて74年目。74年間この悲劇を伝えようとしても世界は応えてくれません。核を保有している国が、開発途上国に核を持たないように脅しを掛けるのも変な話じゃございません。この正論が世界で通用しないこと自体、おかしな人達のおかしな話です。その点、世界の中でも堂々と正論を展開し核廃棄に向けての行動を出来るのが唯一の被爆国である日本なんです。が、しかし大国に遠慮して口先だけの論調に終始しているのが我が国の現状。今日も確かに暑い、でも1945年8月6日原爆投下時刻の午前8時15分に遭遇した人達の暑さは地獄絵を呈する熱さ。これまでに映画、写真、舞台、絵画で何度も目にしました。こんな酷いことをした米国、その状況を作り出した日本の軍部、更に拡げればこの戦争を生み出した世界の愚か者。なのに、いまだ核を含む軍拡、そしてこれからは宇宙の領域まで拡大しての領土争い...ほんまにアホですな!

昨日、電車の中で二人の幼い兄弟がスマホを見ながら「捕まえた!」なん狂喜の声をあげておりました。何捕まえたが知らんけど、バーチャルの世界でしか体験できないこの子どもたちの環境ほんまに悲しゅうございます。おいらの子供の頃なんか、この夏休み野原を駆けずりまわり、バッタ、ザリガニを捕まえながら生き物の生態から命の在り方を学んだもんでございます。大人はと言えば、だんまりこんでスマホとにらめっこ。こりゃあかんわ...日本未来は、世界の行く末は?おいらはもう死んどりますわ。

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ふたくちつよし作品集

2019/08/05
【第1246回】

いやいや、この暑さ半端じゃございません...そんな中、今年も「百枚めの写真」の稽古が始まりました。この芝居の初演は2010年で、今回が4度目の上演になります。いい作品は、いつどこでも上演される!のいいお手本です。この8月は広島、長崎の原爆、そして8月15日の終戦記念日。戦争を考えさせてくれる月でもあります。おいらは敗戦後、中国朝鮮半島の混乱の中、帰国途上で危機的状況にあった母のおなかにいた時期でもあります。いつも思います...この世に生まれてこなかったことも十分考えられる。生まれ来たからには、戦争のない世界にする一助にならないと、無駄な戦争のために死んでいった人たちに申し訳ない気持ちで一杯です。この芝居もその一つです...稽古初日の本読みでも、なんども、胸迫る台詞がありました。戦地にいる名も無き兵士は家族を思い、どんな気持ちで死んでいったんだろう...天皇陛下万歳なんて思って死んだ人は居るわけ無いでしょう。皆、故国の家族のことを案じながらに決まっています。「百枚めの写真」の芝居には、このことが切実に描かれています。

そして、この作品の作・演出家である、ふたくちつよしさんの作品集が出版されました。彼の代表作が2冊の本に凝縮されています。家族の在り方、平和の尊さ有り難さを今更ながら感じさせてくれます。興味がある方は是非読んでみてくださいね。

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新宿の避暑地

2019/08/02
【第1245回】

猛暑が続いています...熱帯夜で寝苦しい夜もなかなか大変です。おいらは寝る前に読書しながら、ウトウトタイムを待ってます。便利な時代になったもので、枕元に置くライト、ブックスタンドともに安価な値段で売ってます。静かなピアノの音色も眠気を誘います。いやいや大変な時代になったもんでございます。おいらの子供時代は蚊帳を吊り、ぐーすか鼻提灯で、ほんわか気分で寝とりました。でも、あの蚊帳の中から観る風景はなんとも摩訶不思議な世界でした。人の気配、吊るされた蚊帳の形、蚊帳越しに見る人影はまるで幽霊のようでもあり怖かった。蚊帳に入るときは何回か蚊帳を振って入らないと良く叱られたものだ。同じ部屋が異形の空間になり、異次元の世界に居るなんて子供にとっては面白可笑しい世界でした。

今や、クーラーがないと過ごせない時代になっちまいました。そのクーラーの排気と車両の排気、そして照り付ける太陽がアスファルトに反射して街路は地獄の熱さ。道行く人の表情は、寝不足と疲労から、明らかに苦悶に満ちています。そんななか、大道芸人は暫し休息をとばかりに涼風代わりの音色を届けていますが、この暑さでさすがに立ち止まって聴く人は皆無...でも、この心意気がいいじゃありませんか。淡々と流れるアンデスの曲に、あのマチュピチュを想像しました。と、想像した瞬間、アンデスの風がおいらの身体を吹き抜ける感覚に襲われました。

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アンデスの風

2019/07/31
【第1244回】

久しぶりにLPレコードに針を落としました...いいですね!このアナログ感はたまらんですばい。ジャズ、シャンソンそれぞれのジャンルの歌姫の歌声が、まるでその場に居るみたいで幸せな感じです。ビリー・ホリディ、エディット・ピアフと言えば半端じゃない生き方をしてきた歌手。目の前でクルクル回るレコード盤に刻み込まれる針の動きが、まるで彼女たちの壮絶な人生を想像させてくれます。両レコードとも半世紀以上前に吹き込まれたライブ盤。ピアフはパリのオランピア劇場、ビリー・ホリディはカーネギー・ホール、その熱気がレトロな雰囲気で味わうことが出来るのがレコードのいいところです。この感触を知ってしまうと、又再びレコードの世界に回帰してしまいそう...断捨離の世界に差し掛かったおいらとしては、これは苦渋の決断をせざるを得ないですな。今ある貴重なレコードで我慢し、あとはコンパクトなCDで音の世界を楽しむしかありませんな。幸いにして都内にはレコードを掛けているJAZZ喫茶がありますので、ふらりと出かけ珈琲飲みながら読書を兼ねての喫茶店巡りをすれば良し。レコードの素敵なジャケット、レコードを取り出し盤に乗せ、針を落とす、この一連の流れが至福の時間です...なんでんかんでん便利になればいいってことじゃありません。ひとつひとつ手間暇掛けてこそ、そのさきに至上の喜びが待っているってことですな。

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至上の歌声

2019/07/29
【第1243回】

「A列車に乗っていこう」東京公演、昨日無事千秋楽を迎えることが出来ました。この不思議な台本を舞台化してくれたキャスト、スタッフの皆さんに感謝です。勿論、この芝居を観た人たちの感想は様々だと思います。芝居の楽しみ方も又、十人十色。おいらはこの手の作品正直言って好きです。わからないものに対して、とことんのめりこんでいくチャレンジ精神がなくなったらモノを創る人間として失格だと思います。この芝居で好きなセリフがあります。登場人物のそらさんが幕切れ近くに言うこの言葉こそがこの芝居のすべてを語っているのでは...

 

ええ、彼がこんなことをいったんです。自分は星占いは信じないけれど、よく、占星術を否定する人の中に、地球から観ると星座だが、あの星々の一つ一つは、何千光年も離れているんだから、何の結びつきもナイって、そういうひとがいる。でも、ボクは、その意見には反対だ。むしろ、何千光年も離れている星々が、地球から観ると星座になるという、神秘性でではなく、人間の想像力が好きだ。

 

そうなんです。想像力を刺激、喚起させるものに触れた時の喜びはなにものにも代えることが出来ません。知的冒険、感性の錬磨、心身が踊りだす瞬間こそ、極上の快楽ではなかろうか。

この芝居、今日の横浜から始まって9月1日の三重公演まで15ステージの公演があります。地方の皆様、この夏の想い出に是非、A列車に乗ってみませんか?まさしく銀河鉄道の世界が拡がって行くことでしょう...

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夏だ!

2019/07/25
【第1242回】

選挙終わりました...投票率は50%を切り、相変わらず自公政権安泰、既成の政治に嫌気がさすのも分かる気がします。何年経っても変わらない政治屋さんのパフォーマンスに辟易してるのに、一石投じたのがれいわ新撰組の山本太郎。比例区で10%取ったんだから大したもんでございます。ひも付きなし、身体張って辻説法してる姿に庶民は飛びつきますがな。こんなやり方でしかこの国の政治に風穴を開けられないなんて、何とも寂しい限りです。おいらも彼の話を聴き納得できる部分多々あります。しかしながら、政治も数の世界、この現状においてひっくり返すのは並大抵の事じゃございません。でも、本気になってる人間を国会に送り込み、腐敗と馴れ合いに満ち溢れた仕組みをぶっこわすことでしかこの国の未来はないのかもしれませんな...世間の人、山本太郎はただのパフォーマンスだとせせら笑いしてる人が居るのも事実です。でもね、笑ってるうちに、いつのまにかとんでもない国になってるかもしれませんぞ。

今日、新宿の伊勢丹前でイタリア人旅行者家族が大喧嘩していました。母親らしいおばはんに、若い夫婦が泣きながら叫んでおりました。嫁さんが大声でゼスチャーたっぷり振る舞ってるんで、通行人は芝居でもやってるのかと立ち止まり観てました。それにしてもお国柄、ラテンの人は所かまわず己の主張を貫き通すんですね。政治を変えるのもこのエネルギーが必要なんだなと思った次第です。

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梅雨明け

2019/07/22
【第1241回】

「A列車に乗っていこう」先週の土曜日から始まりました...初日は、作家の北村想さんも名古屋から来ていただきました。自分が頭の中で空想した世界がどんな形になるんだろう?書いた人間でしかその気持ちはわかりません。しかし、自分が思い描いたものと違っていても、これは仕方がないことであります。この難攻不落の想作劇、どこから手を付けていったらいいのか本当に至難の業であったと思います。演出の日澤君以下スタッフの総力戦で素敵な舞台に仕上がったと思います。勿論、言葉を舞台で表現する二人の女優さんも大変だったと思います。おいらも久しぶりにドキドキいたしました...そういえば、芝居をやり始めた時は、すべてがアバンギャルドの精神で立ち向かい腹をくくってやったもんでございます。誰しもが経験したことがない、感じたことがない領域を模索しながら、やみくもに突っ走る...なんだか、久しぶりに、こんなことを体験させてくれた今回の芝居でした。

初日の舞台を観ながら、半世紀前に観た唐十郎の状況劇場、早稲田小劇場、ベケット、イヨネスコなんて芝居を思い出してしまいました。モノを創るものはとどまってはいけない!創っては壊し、そしてより新しい刺激的なモノを創る。心身ともに少しは老いを感じ、バタバタと鬼畜に入っていく芝居の戦友を見送っているおいらに「まだまだくたばるわけにはいかんぞなもし...」なんてはっぱをかけられた今回の芝居。

自分の道は、自分しか歩けないし、この果てしない宇宙を、如何様に生きていくのか、そして何が心理なのか...ほんまに芝居は奥が深かくておもろいもんでございます。

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今日もどんより

2019/07/19
【第1240回】

いや、今日は久しぶりに青空を拝むことが出来ましたな...そんな新宿西口歩いていると、向こうから元F1ドライバーという参議院候補者がおいらの顔見てニコニコしながらやって来るではないか。こりゃ困りましたな、おいらこの人、別に応援してるわけじゃないし逃げようと思ったんですが、無理やり握手をしようとするもんですから、またまた困り果ててしまいました。おいら握手したくなかったんで、丁重に断り難を逃れました。一難去ってまた一難。今度は、あの小池東京都知事に反旗を翻し都議会議員を辞し、東京北区の区長選に立候補するも落選、今度は維新から参議院東京地方区から今回立候補したとっちゃん坊やみたいな人が、選挙カーからおいらに向かって猛烈に手を振るではないか...おいら興味ないから無視すると、隣に座ったウグイス嬢がカン高い声で「頑張ってます!温かい応援励みになります!」おいら何も応援した仕草してないのに勝手に言ってんじゃないよ...とほほです。困ったんもんですな。こんな人たちが立候補してるんですから政治良くなるわけないじゃん!と久しぶりの青空の下での心地良さに水を差された気持ちになりました。

それにしても昨日の京都の無差別殺人...世界全体がささくれた感情を生み出す流れになっているのがなんとも絶望的です。何かに急き立てられ心身が歪になるシステムが問題だとわかりながら、人は富を名誉を求め只ひた走る...青空眺めながら、何が本当の幸せなのか?

もう一度考えてほしいなと思います。

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久し振り!

2019/07/17
【第1239回】

小雨続く連休、久しぶりに、ちあきなおみの最後の一曲「紅い花」を聴きました。いや、いいですな...あの独特の声に、語りかけるような歌唱スタイル。まさしくシャンソンですな。本物の歌手は決して歌い上げません。自然な姿で言葉を大切に優しく伝えてくれます。昨今、歌の世界はメロディ中心で進んでいるので、言葉を聴かせてくれる歌は貴重です。

 

紅い花 想いを込めて ささげた恋唄

あの日あの頃は 今どこに いつか消えた 夢ひとつ

 

なんてことのない歌詞なんですが、ちあきなおみが歌いだすと人生、時間が視えてくるんですね。歌はまさしく3分間のドラマ。芝居なんぞは、2時間かけてドラマを創り上げるんだから3分間というのは凄い。歌い手本人の中にも聴き手の人生を凌駕するものがなければ商いになりません。いずれにしても壮絶な人生です...要は、生半可な生き方では人の前には立てないということですな。

 

今日も曇天。東京では7月の日照時間が5.4時間と記録的に少なく、一昨日の海の日も海岸、プールともども閑古鳥状態。この後、一気に猛暑なんてのもたまらんですな...年々、体力落ちてるおいらにとっては体内調整が難しい地球になってしまいました。

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曇天の中での連呼

2019/07/12
【第1238回】

いやいや、お天道様なかなか顔出してくれないな...これは深刻ですぞ!まず野菜類が高騰しています。せんべい屋さんも天日干し出来なくて困っていますし、魚の干物屋さんも大変です。そして、ニンゲンたちもどことなく憂鬱でさえない表情で街を歩いています。サマーセールで盛り上がるはずの衣料品売り場も閑散としています。やはり夏と言えば太陽、キラキラ輝く太陽が主役でございます。去年の異常な暑さもまいりますが、汗が出てこない夏なんて夏じゃございません。青い空、青い海、蝉の声、蚊取り線香の煙と匂い...年々、季節の風物詩がこの国から消えていってる気がします。生き物は人間だけじゃないんだぞ!自然界の生き物の抗議の声が聞こえてきます。昨日もカラスが会議しとりました「人間どもの残飯あさって食べたんだけど、なんだか薬品ぽい味がして腹の調子がおかしくなりやした。ならば虫の方がまだましなんて思ったんだが、虫も栄養失調なんだか、あんまりうまくないな...」てなこと、ぶつぶつかかあかあ囁いておりました。トカゲなんか見つけると頑張れよ!と声を掛けたくなっちゃいます。この地球に生きるすべての生き物に思いを馳せ、四季折々の恵まれた環境の中、すべての生物が平穏無事に過ごせたらいいな...その主役がお天道様です。早く顔出してちょうだいな。

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恋しい太陽

2019/07/10
【第1237回】

昨日、「A列車に乗っていこう」の稽古場を覗いてきました...石田さんと松風さんの自然体の演技が印象的でした。今回の北村想さんの戯曲、とっても不思議です。この不思議な世界を舞台化するには、俳優の透明感が必要であると思いました。手垢が付いた演技術ではとても適わない、いや想さんの世界がどんどん遠くなる...その心配は、昨日の稽古場で完全に払拭されました。透明感なんて、月並みな言葉ではあるんですが表現に携わる者にとっては、この言葉を体現することは至難の業でございます。場数を踏めば踏むほど、思考すればするほど手垢演技の泥沼に陥ってしまうのが俳優業の恐ろしいところ。素人の芝居に、目から鱗なんてことも耳にします。身に付けたものをいかにそぎ落としていくか?と言って下手じゃしょうもないし、とっても難しい修行の過程かもしれませんね。

ハンセン病提訴断念。当たり前のことです...誤ったことをやったんだからできる限りのことを国がするのは当然ですが、お金で今までの虐げられた時間が戻るわけがありません。冤罪も含めて間違った判断でどれだけの人たちが苦難を強いられたか、過去の歴史を紐解けば闇に葬られた案件が多々あります。新聞の片隅の情報から知らされることも多々あります。これらを見逃さず、地道に記事にする記者こそ本物のジャーナリスト。新聞が消える時こそ世界の終わりだ!決してオーバーじゃありませんことよ。

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又、咲きましたアンネのバラ

2019/07/08
【第1236回】

先週の週末は、成瀬己喜男監督の映画を2本鑑賞...1本目は1962年制作の「放浪記」は作家、林芙美子の物語である。菊田一夫の舞台で有名になったが、こちらは高峰秀子が見事な目線演技でドラマを盛り立てている。上目遣いの視線一つで主人公の感情がすべてわかるくらいの演技である。仲谷昇も宝田明も若々しくいい男。そして相変わらずきっちりと脇を固めている加東大介が素晴らしい。この俳優にはずれがない。どんな役をやらしてもハマる。芸人一家で育った血筋と彼の人生観が役者として見事にマッチしているとしか言いようがない。2本目は1943年制作の「歌行燈」泉鏡花の原作である。戦時中、国家総動員体制により、映画界においても当局による統制が図られる中、制作されたものである。芸道ものが国威高揚になったかどうかは定かではないが、国の狙いはわかるような気がする。親から勘当を受ける能楽師を演じる新派の名優、花柳章太郎は色っぽい。そして相手役の山田五十鈴がこれまた奇麗でございます。早朝、松林の中で章太郎が五十鈴に舞を伝授するシーは、これこそ成瀬巳喜男が映像作家と言わしめた名シーンではなかろうか。屋外シーンの光線の美しさ、役者の表情と衣裳に映る木漏れ日の影などは絶品。カラー映画では決して体験できない、まさしく光と影の芸術。
嗚呼、やはり映画が娯楽の王者であった時代の映画は素晴らしい!時間をかけじっくりと創り上げ、役者に余計な演技をさせない演出。映画にかける時間と情熱が湯水のようにあったのだ。残された時間、日本の名作をまだまだ観なきゃと思った週末でした。

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京王線高井戸駅ホームから

2019/07/05
【第1235回】

またまた選挙...この選挙だけでいくらお金がかかると思います?大体600億近いお金が吹っ飛んでしまいます。名前を連呼するだけの選挙カー、党が掻き集めた聴衆の前で絶叫する弁者、おいしい文を並べ街路に張られたポスター、昔ながらの選挙お祭りが今月から17日間繰り広げられます。いいかげんにしなさい!と怒ってる人、もはや諦めに近い心境で傍観してる人、誰に入れても変われへんと棄権を決め込んでる人、昔ながら利益誘導に執心する人などなど、この国の選挙の在り方はこの国に似つかわしい構図で何年もの続いています。香港のような激しいデモなんて、もはや日本では懐かしい昔話です。間違ったことがあれば、若者は声を大にして起ち上がり命を賭けて戦ったもんですが、今の若もんにそんなこと言っちゃったら、なにとち狂ってんこのオッさんなんて嘲笑もんでございます。でも、この国を維持し変革するにも選挙という手段しかないんですから1票を投じなきゃなりません事よ。でも、投票すればいいってもんじゃございませんよ...政治家は嘘つきが多いから、よくよく人相、言動、立ち振る舞いを観察し、己の想像力を駆使しながら選ばなければなりません...と言っても、おいら政治の世界に関してはほぼ絶望の境地だから、結局は消去法でしか選ぶことが出来ませんな。身を捨ててお国のために、弱者のために奉仕しようなんて人が少しでもいればなんて希望的観測ではいるんですがね...

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新宿のウツボ

2019/07/03
【第1234回】

いやいや、今週やっと今日会社に来れました...元気一杯なんて能天気なこと言い続けながらも、やはり体力は確実に落ちていますな。特にこの時期、季節が梅雨と重なり、湿気と何処に行っても容赦なく吹き付けるクーラーの冷気で、おいらのナイーブな身体を痛めつけてしまいます。ことに居酒屋のクーラーはいけませんな。みるからに古そうで汚そうで、出てくる冷気も汚染されてんじゃないかと戦々恐々でございます。電車に乗ると、西瓜冷やしてんじゃないぞ!と怒りたくなるような冷房車。抵抗力がなくなりつつある高齢者にとっては、とっても生きづらい環境になってしまいました。

最近、次々と友人が黄泉の国に旅立ってますんで、おいらも体調崩してしまいますと、ついつい弱気になってしまいます。ついつい、黄泉の国からお使いが来るんじゃないかしらなんて...正直、好きなことやってきた人生だから未練はないんだが、折角この世に貴重な生を受けたんだから少しでも健康で長生きしながら残り少ない人生楽しまなきゃと思います。そして、少しでも社会に恩返ししないと罰が当たりますがな...

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自然に優るものなし

2019/06/26
【第1233回】

新宿の街も随分とおとなしくなったもんだ...カオスが売り物である街がソフィスティケートされたんじゃ話になりまっせんがな。怖いオッさん、無国籍らしき人物、ハイテンションで練り歩く若者などなど、こんな人達が見かけなくなった街は新宿ではありませんな。この季節、新宿花園神社では劇団唐組、新宿梁山泊、椿組といった集団がテント芝居を興行してます。舞台に登場する人物のほとんどがアウトロー、社会からこぼれ落ちた人間の心情をロマンの世界に飛翔させ、観客を魔界の世界に誘ってくれます...昔なんぞは、舞台に登場していた奇人変人がそのまま新宿の街を闊歩していた気がします。そんな彼らを見ながら、決して世の中のお偉いさんが作ろうとしている既存の社会に染まっちゃいかんぞなもし...なんて思っとりました。破壊と創造を繰り返すことによって、新しいアートを生み出すエネルギーが新宿の街には充満していましたね。今は若者のデモもなく、異国の観光客が、かろうじて残っている新宿のディープな場所を物珍しそうに冷やかしてる街に成り下がったのかな?いや、行政側からすれば安全で安心な街になったと宣伝しとります。これも時代の流れ、しかたんなかですばい...変革の意識が薄れ、事なかれ主義の世の中じゃやっぱりおもろくありませんがな。

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あら、お久しぶり!

2019/06/24
【第1232回】

先週の週末も2本の芝居を観てきました...1本目は劇団文化座の「アニマの海」。石牟礼道子さんの「苦海浄土」を基に水俣に暮らす人達を描いた作品です。トムでも水俣の作品を創ったのですがなかなか難しいものがありますね。患者、チッソ工場、自然豊かな水俣の海、そして時代の変遷、これらが絡み合った水俣をどう描くか?説明だけでは物足りないし、公害に晒された人達の苦しみはそう簡単に表現できないし、演劇がどう向き合っていくのか?その難儀なことから逃げるのではなく、この水俣の世界を語り継ぐためにも演劇が果たすべく役割はあると思います。トムでも10月に水俣に再チャレンジ、ふたくしつよし作・演出で「風を打つ」を上演します。

2本目は温泉ドラゴン「渡りきらぬ橋」。大正から昭和初期に掛けて女性の人権向上に奔走した女流作家、長谷川時雨を柱に据え、その当時の樋口一葉、林芙美子などが登場する。この芝居の見所は、なんといっても登場人物全て男優陣でやりきったことではなかろうか。最初は、どうしても違和感があるのは否めないのだが、観ているうちに過去から現代に渡る性の問題、最近急速に叫ばれてるジェンダーなどなど様々なことが浮き彫りにされてくる不思議な感覚に襲われる...これは、例えば歌舞伎なんかの様式美に拘ることではなく、俳優個々の感性を信じ創りあげた演出、シライケイタのチカラに拠るところが大きいと思う。演劇だからこそ出来るもの、敢えて挑戦、冒険、これ無くなっちゃたら演劇も過去の遺産で終わっちゃいますぜよ。

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絶滅危惧種

2019/06/19
【第1231回】

又しても、セメント大臣が連日口をゆがめながらいい訳と言うより、いつものように臭い物には蓋をしての手法で、年金問題をスルーしようとしている。しかし、何年掛けて年金問題やってるの?与野党含めて、この大切な年金問題を政争の具にしているのが許せませんな。この切実な問題はお互いにベストな案を出し合って協議すればいいだけの話じゃないのかしら...ほんまに日本には政治家が存在しない情けない国でございます。

昨日、夜遅く新潟、山形に地震発生。原発は?地震が起きる度に頭を過ぎります。誰しもが、近未来に必ずや大地震が起き、原発の放射能が日本全土を被う様を想像しているのではなかろうか?年金問題一つさえ解決できない政治屋さんが、この非常事態に思いを馳せるなんてことは難しいことかもしれませんな。地元の選挙区のサービスばっかりで、日本の国全体を俯瞰できない人ばかり。来月の参議院選挙、国民の関心も今一つ、いや諦めに近い心情じゃないだろうか...何年か前、新宿西口の街頭を手渡しで己の政治信念を訴えた元俳優、参議員であった中村敦夫氏が、政治の世界に見切りをつけ、自ら福島原発、チェルノブイリに赴き原発廃止に向けた脚本を書き朗読劇を各地で実施している。もはや、この方法しかないのではなかろうか。要は頼りになるものは己しかない...自ら己に出来る範囲でアクションを起こし己を守るしかない。ほんまにあてになりません事よ、この国のお偉いさん方々。

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梅雨に咲く花

2019/06/17
【第1230回】

ライオンズの秋山選手、昨日、ひとり親家庭の親子の前でホームラン...ライオンズの選手の中で一番好きな選手です。この日は父の日、小学6年時に父(享年40)を胃がんで亡くしている秋山は、14組35人のひとり親家庭の親子を招待。この活動を2015年から定期的に続けている。小さい頃から父とキャッチボールをしながら野球選手を夢見ていたそうだ。まじめな性格と、野球に対する謙虚な姿勢、そして俊足、強肩、好打、しかもホームランも打てる選手となるということなし!ウナギフェイスで愛嬌もあるし好感度は抜群である。まじめな選手であるだけに打撃不振になると、ちょいと考えすぎ、ましてや今年からキャップテンも任され責任感が強いのも、彼を悩ませる一因となる。でも、今日の時点で打率.322を維持しているからさすがというしかありません。こんないいお手本がいるのに、木村、金子の両外野手頑張らんかい!レギュラーで我慢して起用されているにもかかわらず打率.200から.215じゃ話になりまっせんばい。二人ともそんなに若くもないしここで結果を残さないと後がありません。そして、相変わらずのライオンズの投手陣、一試合5~6点取られるのは当たり前なんですから打者はたまりません。何度も言いますが補強しないフロントの怠慢ですな。

残すところ交流戦も6試合。現状から3勝3敗がいいところかな?今年はリーグ優勝は難しいと思います。でも、少しずつ若手も育っているのが救いです...筋書きのないドラマ、そして駆け引き、選手個々の個性、多種多様なものが詰まっているベースボール、やっぱり観ちゃいますな。

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梅雨空

2019/06/14
【第1229回】

昨日は、トム・プロジェクトでお馴染みの風間杜夫、村井國夫さん出演の「黒白珠」をシアターコクーンで観てきました。先ず入場料¥10000、芝居を観るのも大変な時代になってきました。勿論、人件費その他諸々お金がかかる時代であることは重々わかっちゃいるけれど、一日働いた賃金そのまま頂くなんて事、おいらは心苦しゅうございます。7、8千は当たり前。トムの入場料¥5000は一杯一杯でございます。税理士さんからも消費税分ぐらいはあげても当然と再三にわたり警告を受けては居るんですが...当然、今のままでの入場料では役者さんのギャラにも影響し、役者さんにも申し訳ない気になってしまいます。なんてこと考えてると憂鬱になっちゃいますので、ケセラセラ精神でやれるとこまでやりまっせ!みたいなことでやるしかないんじゃありません。

芝居は九州長崎が舞台。ベテランのご両人のやりとりが大変面白しゅうございました。共に長い間、舞台をこよなく愛し己に厳しく芸の道を歩まれた二人。達者な二人の応酬に、ドラマの本筋から離れた人間の持つ面白可笑しいものが垣間見れました。ここが、生の芝居の持つ魅力の一つです。この日この時間の瞬間に流れる命の交流、とっても見応えがありました。

街には色とりどりの紫陽花が咲き乱れています。なかでも何故か白い紫陽花に目が惹かれます。白い紫陽花の花言葉は「寛容」、この時代に一番必要な言葉かも知れませんね。

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寛容

2019/06/12
【第1228回】

6月10日、錦糸町すみだパークスタジオで今年の2月27日に73歳で亡くなったベニサン・ピットの支配人であった瀬戸雅壽さんのお別れ会があった。ベニサン・ピットは戦前染色工場を営んでいた株式会社紅三が、1985年に染色工場のボイラー室を改装し江東区にオープンした下町の劇場である。紅三の経理部長であった瀬戸さんが蜷川幸雄さん演出の「タンゴ・冬の終わりに」を観劇し芝居の世界にのめりこむことになる。採算を度外視して自分が気に入った劇団、集団に場所を提供する男気で生きた人であった。蜷川スタジオ、二兎社、TPT、そして亡くなるまでとことん面倒をみた劇団桟敷童子。桟敷童子の人たち全員が、衣装、大道具、小道具をすべて手作りし、役者として演じる姿に瀬戸さんが思いを注ぎ込むのも良くわかる。ひたむきに生きる演劇人に、これだけ愛情を注いだ人は居ないのではないか。トム・プロジェクトも2本の作品を上演。2009年にはベニサン・ピット最後の公演「かもめ来るころ」でフィナーレを飾らせていただいた。公演中に豪華な鮨を何気なく差し入れしてくれた瀬戸さんの笑顔が今でも印象に残っている。

この日に集まった人たちの言葉の端々に、怖い中にも一本筋が通った優しさと気っぷの良さで演劇人を虜にしたことが良く分かった。一人暮らしであることから、死後の始末もすべて指示し迷惑が掛からないようにしていたそうだ...瀬戸さんの人生はあっぱれ!

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京王あじさい電車

2019/06/10
【第1227回】

先週の土曜日、恒例の新宿花園神社、唐組テント芝居観てきました。唐十郎率いる状況劇場のテント初見参から50年になるんだなと、感慨深く薄暮の紅テントを眺めておりました。

半世紀ものテント芝居に拘っている唐十郎の演劇哲学、大したものでございます。演劇双六から言うと、精算性を考えてみても、あるところで資本の波に乗っかってテントはたたんでしまいます。紅テントが持つ計り知れない意味...テントの薄い布切れ一枚で、虚構と現実の狭間で遊べる仕掛けこそがテント芝居の魅力であり、風雨の音に晒されながらも表現しなければならない役者の強靭さ。まさしく、特権的肉体だからこそ人の心を打つのであります。

猥雑さの中にも、果てしないロマンと冒険心をくすぐる唐十郎の台詞。観るものを困惑させあらぬ世界へ誘惑してくれます...いつもの手口だと思いながら癖になる芝居でございます。

今回の「ジャガーの眼」は1985年に花園神社で上演された作品だ。唐十郎のライバルであった寺山修司へのオマージュから創作された作品だそうだ。芝居の冒頭に寺山修司が愛用したサンダルの登場から芝居は始まる...移植された眼の果てしない旅であると同時に、肉体の一部の眼が、脳の束縛から逃れ奇想天外、予測不可能な展開に導いてくれる。いやはや、こんな芝居創ってくれる人は唐十郎以外に居ないのではないか。おいらも生きてる限り唐十郎の世界を満喫したいと再確認した一夜でもありました。

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魅惑の紅テント

2019/06/07
【第1226回】

一昨日、横浜演劇鑑賞会で9月に公演する「百枚めの写真」の説明会に行ってきました。演劇好きの人たちとお話するのは大好きです。この演劇鑑賞会を長いこと支えてきたNさんとは、阿吽の呼吸で楽しくなっちゃいます。だって観てきた演劇体験が、ともに共通した歴史であり、会話しているうちに、あの時代に引き戻される感覚は郷愁に通じるものがあります。様々なジャンルの演劇が乱立し、政治の季節と相まってほんまに楽しい時代でございました。さらりとしていて、猥雑さがほとんど無くなった昨今の演劇事情とはかなり違います。

ところで、今回の「百枚めの写真」の楽しみ方として、芝居で映し出される99枚の写真に役者の表現がどこまで拮抗できるか?ここは本当に見どころです。だって戦時中に写し出される東京下町の家族の写真は真に迫るものがあります。ある者は不安を抱え、ある者は戦地に居る夫、息子を安心させるために精一杯の笑顔をつくる、そして無邪気な子供の表情。はっきり言って、この99枚の写真には観る者の想像力を喚起するチカラがあり過ぎ。それを背負込みながら、なお一層、戦争の虚しさを届けるのが演劇の底力でございます。2010年の初演以来4回目の公演自体が、この芝居に脈々と流れる生命の尊さを感じさせてくれるんです。

昨日は、本多劇場でKAKUTAの芝居を観てきました。この劇団の作・演出家である桑原裕子さんとは2013年に上演した「熱風」を作・演出して頂きました。女性劇作家のなかでも、独特の感性と社会の切り口で演劇界を盛り立てている一人です。女優としてもなかなかいけますな...書いて、演出して、お客を沸かす演技をして、まさに才女ですな。

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この季節になりました

2019/06/05
【第1225回】

いやはや日々、辛いニュースが流れています...東大卒業してエリート官僚まで勤め上げながら、人生の第4コーナーの終盤を歩み続けている最中に、我が息子を殺さなければならないなんて、こんな辛いことありません。40代のひきこもりが多いとのこと...1982年にパーソナルコンピュータが発売されたころに生まれた世代である。と言うことは、あらゆる情報が心身を蝕み始めた時代の子である。ある意味では被害者であるのかもしれない。お金のためならなんでもありの資本主義社会の行くつく先が、心身の破壊であるのは自明の理であるにもかかわらず人は目先の物量の欲に走り心を失ってしまう。

こんな事件が多発しているにもかかわらず、死ぬんだったら一人で死ね...なんて乱暴な言葉が飛び交い、この社会の闇を解明しようとしない刹那的な輩が居るのも嘆かわしい限りだ。殺された息子がゲームにしか拠り所を見いだせなかったことも、川崎で無差別殺人を犯した男の孤独感も、現代社会が生み出した病であることは間違いない。自然界の他の生き物のシンプルな親子の姿を見るにつけ、ニンゲンのなんともあさましい姿か。虐待、いじめ、ひきこもり、無差別殺人などなど...ニンゲンで生まれてきて良かったのかどうか?もっと他の生き物、自然に対し興味を持ち、思いを寄せないと癌が体中(地球)におよび、間違いなく死にいたる。ピコピコしてる場合じゃありませんことよ...

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政治で変わるのかしら?

2019/06/03
【第1224回】

3度目の「海辺のカフカ」観てきました...いや、改めて、蜷川幸雄さんの演劇的才能を再確認できました。演劇でしかできないことを実現するだけでも、大変な労力とお金がかかるのは自明の理。やりたいけどやれないのも事実...美術、音楽、小道具、衣裳、どれをとっても絵描きになりたかった蜷川さんのセンスが光る。おいらが知ってる昔の蜷川さんはアングラ演劇を裏切り資本に魂を売った演劇人というイメージがあった。がしかし、理想の演劇を実現するために資本家を巻き込み次々と斬新な舞台を創っていった彼はまさしくアーチスト。売れっ子タレントにも徹底的にダメをだし、一人前の舞台役者に仕立て上げる手腕もたいしたものだ。これなら少々、お金出しても納得。だって高いお金出してガッカリなんて芝居が多いのにうんざりしているなかで救われる思いだ。ヒロイン役の寺島しのぶさんは健闘してますな。初演は田中裕子、再演は宮沢りえ、今回の寺島さんが一番あってるかな。歌舞伎の血を受け継ぎながらも、映像の世界でも大胆な表現力で観る者を巻き込んでいく女優魂がキラリと光る。様式美を持ちながらも、自分をさらけだしていく表現者の葛藤がこの芝居の資質にも合ってる気がしました。昔からの友人、木場克己も今年古希を迎える年齢ながら若々しくも的確な演技を魅せてくれました。狂気を演じる新川将人も一段とヒートアップ。そしてトム所属の鳥山昌克はカーネル・サンダースを愛嬌たっぷりに演じておりました。蜷川さん描く万華鏡の世界を心地よく遊べる役者と、窮屈に見える役者、舞台に立つ役者は皆横一線。アップなんてありません。役者の演技一つ一つを観客がフォーカスしていくのでございます。舞台の上は、まさしく役者にとって残酷な場所でもあり、脚光を浴びることが出来る絶好のチャンスでもあるのです。

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さてどうしよう...

2019/05/29
【第1223回】

10年ほど前、気になっていたフランスの歌手ZAZ(ザーズ)のコンサートに行ってまいりました...日本では、まだまだオーチャードホールを埋め尽くすまでの人気ではないんですね。でも、モンマルトルの街頭でストリートミュージシャンを始めながら、今やフランスを代表する歌手の一人となりました。オープニングから観客を煽りながらのステージ、観客はスタンディング、おいらの目の前は総立ちした隙間から垣間見るZAZの姿...あちゃ!これが最後まで続くと思っただけで意欲が失せてしまった。じゃあ、みんなと一緒に立ち上がり身体をくねらせ手拍子すればいいじゃんとお思いでしょうが、おいらは音楽なるものじっくりと味わい鑑賞したいのでございます。確かに演者と共に一体化して心地よい時間を過ごす音楽体験もありだとは分かっていますが、お歳を召したおいらは着席し歌い手の表情と、演奏者の音のセンスなどなどをしっかりと楽しみたい!これじゃ野球場に行って、選手の一挙手一投足を観察しながらゲームを楽しむのではなく、鳴り物を交えてジャンプしたり横移動したりして応援しているスタイルと同じじゃありません。さすが、バラード調の曲になると皆さん着席し、しっとりとした雰囲気に浸っていました。やっぱり、おいらはJAZZのライブが好きなんだと改めて思いました...でも、音楽全般好きなんだから、これぞと思ったミュージシャンのコンサートは覗いてみたいとは思っています。その時は、スタンディングしても意欲が失せない席を確保せねばと!一考の余地ありのステージでした。

勿論、ZAZは期待を裏切らない歌い手でありました。何といってもハスキーボイスがたまらんですばい。

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ZAZ

2019/05/27
【第1222回】

メットライフ球場(西武ドーム)今年、初見参...今年のライオンズ相変わらずの投手陣崩壊状態にありながら何となく首位に近づいております。なにせ6点以上取らないと勝利できない体たらく。何年も前から指摘されているのに改善しようとしないフロントの責任かもね。今年のピッチングコーチも昔ながらの精神論をぶちかます能なし軍曹みたいな人だから始末が悪い。鬼瓦せんべいの焼き損ない見たいな面下げて、火事場状態のピッチャーに向かう姿はもう勘弁してくださいな。キャンプ中に何教えとったんや!といいたい。こんなコーチしか呼べないフロントの罪は重うございます。それにアメリカから連れてくるピッチャーがことごとく使いものにならない。金使ってまともな選手連れてこんかいな!全く改善されないのはやはりお金そして肝心要な頭脳がないのかしらと思いたくなりまっせ。打っても打っても、次ぎに点取られてしまうと強力打線もやる気なくしますぜ...所沢という遠方まで出かけて応援してるファンの皆さんの声に耳を傾けるどころか、そのうち何とかしてくれるだろうなんて呑気な事考えてるようじゃ早くしっかりした所に身売りなさいませ。なんて事考えながら観てたんですが、この日は勝ちました。生ビールが半額だった日でもあり売り子の娘さん達は大忙し、勿論、ビールの旨さも勝てば言うこと無し。

帰りの電車の中に、嘗てのおいらを見つけました...この子のためにも、いつまでも魅力溢れるライオンズであって欲しいと願わずにはおられませんでした。フレ!フレ!西鉄ライオンズ!いや、今は西武ライオンズでございました。

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ライオンズ愛66年

2019/05/24
【第1221回】

前反りヘアー大統領とアベカワモチが逢うんだって...いやいや交通規制も大変ですな。ゴルフと大相撲鑑賞、要するに遊びに来るんですな。そしてアベちゃんも見事に令和元年をショータイムにしたいんでしょうな。そしてきな臭いのが、いずも型護衛艦「かが」への乗艦も予定しています。これは明らかに「かが」を空母にしたいという両者の意向が働いていますな。東シナ海、朝鮮半島の有事の際に日本がどれだけアメリカの手助けが出来るか?という相談をアメリカに行ったときに恫喝されたんでしょうね。勿論、空母に搭載される戦闘機も買わないといけませんよ!なんてね。嗚呼、悲しいかな日本はいまだアメリカの属国であります。羽田に発着する飛行機が横田基地の上空を飛んじゃいけないなんて、戦後何年経ってるんやといいたい。確かにアメリカの戦力を盾にして日本が守られてるの事実だが、戦後一貫してアメリカに物言えない政治の貧困が、沖縄も含めて腹立たしい状況を作り出している。そんななか20代から30代の人達は今の安倍政権の支持者が多いという...野党のだらしなさもその一因なのだが、やはり経済の不安が第一らしい。そりゃそうだ、生まれたときから物が溢れ何不自由なく育った世代にとって信じられるのはお金と物。要するに現実主義に基づいた思考...でもね、この先の日本の未来は決して平坦ではありませんがな。現実を見据え、未来社会に想いを馳せるビジョンがないとジ・エンド。おいらはいいとしても、今日も車内で見た赤児のつぶらな瞳を眺めながら、どげんかせんといかんばいとついつい思ってしまいました。

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新宿の夕焼け

2019/05/22
【第1220回】

昨日は大変な雨風でしたね...家のベランダに咲き乱れていた花が無残にも吹き飛ばされ痛々しい感じでございました。その一方、樹木は新緑の葉を揺らしながらも久しぶりの雨シャワーを浴びながら嬉々としておりました。風の音、水の音を聴くと何だか心和らぐのは何なんでしょうね...羊水の中にいた時の胎児の記憶、胎内から世界に初めて触れた風の記憶、長いこと生きていると、ふと胎内回帰なんて郷愁めいたことを考えてしまう。

こんな日は、雨と休日という「穏やかな音楽を集める」というコンセプトのCDショップから購入した音楽に耳を傾ける。これが又、自然が織りなす情景を見事な旋律にした曲ばかりで至福のひとときにしてくれる。人の思いと自然との理想のコラボレーション...これは、これからの地球を防衛するための最大のポイントだと思います。これが叶えば、紛争も戦争も減少していくと思ってます。雨の音、風のささやき、そんなもん聴いてる暇なんかありませんがな...なんて思ってる人はもはや不幸せな旅路を歩き始めてるんじゃありませんかな?世界は、刻一刻テクノロジーの波に飲み込まれ、ナチュラル的なるものを排除しようとしています。そんな鈍感な現代人に警告を発するかのように、自然は猛威を振るい災害を引き起こします。最近、頻繁に起きる悲惨な自動車事故。これも便利社会に対する厳しいお叱りかもしれません...このままだとチコちゃんに叱られますよ!

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雨にも負けず

2019/05/20
【第1219回】

今年も咲きました...紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞して10年。そのときに頂いたお祝い花、今年は駄目かな?なんて思ってたら見事に咲きました。会社のベランダ、おいらの席の後ろにぽつんと置いて、たまに水をあげるだけなのに10年も咲き続けるってことは...まだまだ芝居創り続けなさい!ってことなのかなあ。いやいや四半世紀やっとりますがな!大変ですがな!仕事嫌いなおいらがこんなに一生懸命やれたのも、これ皆、共に創ってきた社員、スタッフ、キャストのお陰でございます。そして何よりも、創った作品を観に来てくれる観客の皆さんが喜んでくれる姿でございます。昨日もこんな便りがありました。

 

日常ではついいい加減に走る私に、常に「誠実に生きること」と正しい方向に導いてくれる舞台があります。
それは「ダモイ」です。四谷の劇場で観た記憶があります。
どんな状況に、または内心は乱れることがあっても、人としての品位を失わず、声高に叫ばずとも、尊いことは何か、羅針盤の狂うことのない生き方を教えていただきました。 平田さん、阿南さん、新納さんもこの作品に心打たれて演じていらっしゃるように感じました。丁度私が観た日に、山本さんのご家族がご覧になっていて、最後にご挨拶なさいました。舞台のお父さんに対面なさった息子さんの発言も、お父さんの意志を継いでいらっしゃる素敵な温かい言葉でした。共有した時間は少なくとも、生き方は脈々と引き継がれる。でもそうなるに当たっては、どれ程の苦労があったのだろう。でもお父さん、息子さんもご立派に生きていらっしゃった!抑留中の山本さんに呼び掛けたい気持ちになりました。その時、平田さんは涙をこらえ、阿南さん、特に新納さんは流れる涙を手でぬぐっていらっしゃった姿が忘れられません。いい方なんだなあと、とても感じ入りました。演劇とは、こんな風に静かに、それだからこそ力強い主張があるべき!生意気ながらそう思いました。そんな場と時間を共有できて、うれしかったです。いつかお伝えしようと思いながら、十数年が過ぎました。しかし、私の心を常に灯し続けてきましたし、これからも忘れないでしょう。  そんなことを今日は強く伝えたくなりました。自分が今萎えているので、カツをいれたいのかもしれません。長々お付き合いいただき、すみません。この舞台の関係者にお礼を言いたいです。ありがとうございました。

 

こんな便りが来ますと、止めるわけにはいきませんがな...生の芝居の持つチカラ。それはそれは計り知れないチカラです。こうやって手作りの作品を、手作りのかたちでお客様に届けられれば舞台に関わる人間は本望でございます。
咲いてくれた花びらのひとつひとつが、感動したお客様の顔の様でもあります...。

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今年もありがとう!

2019/05/17
【第1218回】

「モンテンルパの夜明け」新井恵美子著を読了...太平洋戦争が終わった後もフィリピンの牢獄で生きなければならなかったBC級戦犯日本兵たちの苦難の日々を描いたノンフィクション。加害者である日本兵、そして取り残され戦犯として扱われた不条理のなかで戦争の持つ数々の残虐性が明らかになっていく。14名の戦犯が絞首刑になり、日々次は己というう恐怖心の中、戦後、異国の地で過ごした心境はいかばかりであろうか...戦争は勝者、敗者ともども得るものがないどころか、こんなバカげたことをいまだ無くせない人間を改めて愚かだと思う。アジアの島で追いやられた兵士の心情を思うと、こうやって何事もなく平穏無事に過ごすことのできる戦後生まれのおいらを含めての輩は、ただただ手を合わせるしかない。本の中にも出てくるのだが、食べるものがなく同胞の肉を食するシーンは正誤を判断しがたいほどの極限状態だとしか言えない。

今日も夏を思わせる空。その空に向かって新緑、花々が咲き乱れています...この素晴らしい光景が一日でも長く続きますようにと願わずにはおられません。美しいと思える感情が己のなかにある限り、争いの感情は芽生えません。生きとし生けるものすべて美しいなんてことは理想かもしれないけど、こちらに寄り添うほうが断然いいに決まってますよね皆の衆。

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新緑と花

2019/05/15
【第1217回】

参議院選挙が近づく中、京王線明大前駅前で山本太郎さんが公開討論してました...この人に対する評価は様々だとは思いますが、こうやってラフな姿で政治を語ってるのがいいじゃないですか。古臭いオッサンたちがタスキをかけて口から出まかせ言ってるより身近に感じますな。質問も様々、例えば50過ぎのオッサンがゆとり教育なんてとんでもないとの質問に「ゆとり大いに結構、勉強ばかりしてゆったりと過ごさないからおかしな国になるんですよ...」こんな意見はおいらも大賛成。太郎さん、最初に選挙に立った時は緊張のあまり殺気立った光景を目のあたりにしたとき、頭に目立つ円形脱毛症が彼の状態をものの見事に表していました。でも、一人決然と政治の世界に殴り込みを掛けんばかりのエネルギーは、人の心を鷲掴みにして見事に当選しました。その後の動きは、国会中継なんぞでたまに拝見はしてたのだが、所詮少数派、質問時間が短すぎてほとんどスルー状態。そんな政治家としての経験の中から新党を立ち上げました。その名が「令和新撰組」。なんじゃらほいあまりピンときませんな...新撰組って徳川幕府の用心棒じゃありません?もっと今の時代に即したネーミングあったんじゃございませんかな?

いずれにしても、もう少しみんなが政治に関心寄せなきゃ一部のオッサンのやりたい放題の国になっちまいますぜ皆の衆。ビール箱に立ってみんなと話し合いをしている太郎さん行けるとこまでやっておくんなさい。

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やる気満々太郎ちゃん

2019/05/13
【第1216回】

5月11日(土曜日)新宿で田島恒さんのお別れ会無事終えることが出来ました...40数名が集まり田島さんの思い出を語り合いました。黄泉の国に旅立って40日、まだまだ現世に未練があるんじゃございませんでしょうかね?こっそり会場を覗き見してる感じもしましたね。異論反論もあるかもしれませんが、皆、貴男に対する愛情があってこその発言。許してちょうだいな。この日流した45分のビデオを見ながら、あの日あの時を懐かしく想い出しました。考えてみれば半世紀近くの付き合いだもんね...でも、最後まで好きなことして人生終えることが出きたんだから悔いをないでしょう?いや、一度だけ結婚生活送りたかったんでしょうな...でも、貴男のようにたくさん恋した方が幸せだったかも知れませんよ。フーテンの寅さんじゃないけど愛嬌あって寂しさもあって、皆、貴男の佇まいには一目置いていました。

この日は、おいらも酒に酔いしれ田島恒状態になっておりました...危ない危ない!貴男だったらするりと逃れることが出来るかも知れないけど、呑んでもしゃきっとしているおいらは未知なるゾーン。田島君、おいらを道連れにしないでちょうだいな(笑)おいら、もう少し生きたいですから。まあ、遅かれ早かれそちらにも伺うかとは思いますが、そのときは又、わいわいがやがや酒飲んで、いつものように田島君の理想の女性像の話を聞かせて頂きますから、待っててちょうだいな。いや、あの世で理想の女性が見つかって結婚してるかも...それはそれで、めでたしめでたしですがな。

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田島君に依る自画像
(この日流したDVD)

2019/05/10
【第1215回】

今年もアンネの薔薇が咲き誇っていました...杉並区高井戸中学校の生徒が、第二次世界大戦時にナチスの強制収容所で15歳の若さで命を落としたユダヤ人の少女、アンネ・フランクの「アンネの日記」を読み感動し、アンネの父オットー氏から寄贈された薔薇である。おいらは毎年、この薔薇を見る度にオランダで見たアンネがナチスから逃れるために隠れていた家を想い出します。どんな気持ちで日々を過ごしたであろうか?想像しただけで胸が痛みます。というか、こんな悲劇が起きたのに未だ憎悪の連鎖で戦争、殺戮が継続している世界の現状に呆れるばかりです。歴史に学ばない為政者を、放逐できないニンゲンの怠慢さにただただ呆れかえるばかりです。この薔薇の美しさのなかに、アンネが抱いていたであろう夢と希望を感じ取り、絶対に戦争への道を歩んではいけないことを誓って欲しいと思います。世界はネオナチズムの思想が台頭し、排斥することが正義とばかり一部の指導者が民衆を扇動しています。歴史は繰り返す...日本でも同様な動きがあります。世界で唯一の被爆国であるからこそ、核のない平和を声高々に唱えても良さそうなのにトランプのおっさんの顔色伺いながら外交している今の政府はあきまへんがな...アンネの薔薇見ても想像の翼を持ってませんから何も感じないんじゃないのかな...でも、この薔薇見ながら平和を願っている人も居るから大丈夫ですよアンネちゃん。

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平和を願うバラ

2019/05/07
【第1214回】

GWも終わり、又、日常が戻ってきましたね...10連休の是否が問われてますが、働き過ぎの日本人にはいいことではないでしょうかね。おいらも近くに住む妹家族に誘われて三浦半島に行って来ました。昼のランチはマグロのかぶと焼きに始まってマグロづくしのご馳走でした。沢山の人が三崎港のマグロを目指して名店に集まってました。この店の名物店長がマグロに向かってお祈りしホラ貝吹いて供養しておりました。捌いてくれたマグロのかぶと我々7人が束にかかっても食べ尽くすことが出来ずお持ち帰りになりました。地元の採りたての野菜も新鮮でした。お腹ぱんぷくりんの後はイチゴ狩り。おいらの人生にとっても初めての体験。30分ちぎり食べ放題、といってもそんなに食べられるもんじゃございませんことよ。子どもたちは喜びはしゃいでおりました...平和だからこそ出来ることですね。3日の憲法記念日、5日の子供の日、この二つの意義をしっかりと噛みしめながら楽しみたいものです。マイカーに乗って休日を過ごすなんて、おいらの子供の頃は夢の又夢。当たり前の便利さに甘えることなく、世界を俯瞰し今ある幸せに感謝し、世界の平和に奔走する子どもたちが沢山増えると嬉しいな!なんて事考えながら無邪気に遊ぶ子どもたちの表情を眺めておりました。子供は未来の宝ですからね...ゴミにするのも大人そして社会。頼みますよ皆の衆。

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マグロ供養

2019/04/25
【第1213回】

平成も今日入れてあと6日となりました...色々ありましたね。なんと言っても東日本大震災が脳裏から消えそうもありません。この教訓を生かさずして、これからの日本の国の未来はありません。終戦後、戦争の負の遺産を背負いながら戦後の平和が維持されたように...先ずは、原発の全面廃止。これがやれないようじゃ、この国の世界に対する信用はないでしょうね。次は、オウム真理教事件でしょうね...高学歴の人達がいとも簡単に、あんな男に洗脳されてしまう怖さ、明らかに物質文明の弊害でしょう。人の心はいつ何時にも、思わぬ方向に向かってしまうんです。己の心身をより強固に、そしてしなやかにしておかなければ、これまた思いもよらない人生を歩んでしまいます。

一週間後は令和の始まりです...どんな時代が待ち受けてるんでしょうかね?おいらはそんなに長くは令和タイムを楽しめないけど、未来ある子どもたちのためにも、今生きてる大人達がしっかりとした環境を造って欲しいですね。てめえのことばかり考えてんじゃねえよ!政治家、役人、企業家の皆さん。この世に生まれたことは、この世に恩返しすることなんです皆の衆。

夢吐き通信も5月6日までお休みです。ではでは、皆さん素敵なGWをお過ごしくださいませ。

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平成ありがとう

2019/04/24
【第1212回】

野良猫からお叱りを受けました。

「なんだい!あのお惚け大臣。復興より議員の選挙が大事なんて本当のこと言っちゃってるニャン」

「警視庁の天下り先の運転免許教習所の管理能力の低下で、未来ある子供たちが相次いで亡くなってるニャン」

「AAAのリーダー、いい歳こいて笑って謝罪している場合じゃないニャン」

「辺野古、沖縄の人NOと言ってるのにアメリカに何も言えないこの国トップの人たちどうしようもないニャン」

「愚かなニンゲン、目には目を歯には歯をなんて復讐の連鎖で罪のない人達の命を奪うなんてあんぽんたんニャン」

スマホも、新聞も、テレビも見ないニャンだからこそわかるのでございます。

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お叱りニャン

2019/04/22
【第1211回】

戦士の休息...今年は1月~3月まで三本の芝居が続きバタバタしていました。この4月なんとか一息ついたので温泉地に向かいました。関東近辺での名湯の一つ四万温泉に行ってきました。その中でも室町創業500年の老舗宿「四万たむら」は、まさしく温泉三昧。七つの湯を存分に堪能できます。温泉と言えば、やはり源泉かけ流しに尽きますな。源泉からこんこんとあふれ出すお湯を見ているだけで幸せを感じてしまいます。ふと、この貴重なお湯が出なくなってしまったらと想像しただけでゾッとはしますがな。四万の多くの人たちが生活の場を失い路頭に迷ってしまいます。そんなことを思いながら思わず湧き出る泉に手を合わせてしまいます。この旅館の売りは何といっても蒸風呂、地下から出る源泉からの蒸気を直に浴び汗がたらたらと落ち、鼻の粘膜、喉を心地よく潤してくれるんですから花粉の時期には最高の良薬。サウナと違って肌をしっとりと包んでくれる柔らかさがなんとも言えません。この後のビールがたまらんですばい...生きててよかった!こんなことあと何回繰り返しながらおいらは死んでいくんでしょうかね...世界あちこち周って、行きつくところは、やはり温泉大国ニッポンが最高だということです。地震と温泉は背中合わせですが、これも自然界もたらす掟です。優しさと厳しさ、この定めのなかでひとはどう生きていくか?なんだか温泉談義も哲学的になってしまいましたがな...さてと、週末から10連休、そして令和...どんな時代になるんでしょうかね?

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桃、桜、鯉のぼり

2019/04/18
【第1210回】

新緑のこの時期はおいらが大好きな季節です...新芽が出て瑞々しい葉っぱを見てるだけでおいらは幸せ一杯です。今日も新しい葉っぱが太陽の光を浴びキラキラと輝いていました。誰に指示されることもなく、決まったように芽吹き始める樹木の律儀さと逞しさに唯々感嘆するおいらでございます。こんな当たり前な事も出来ないニンゲンどもはなんと愚かな無様な生き物でしょう...今こそ愚かなニンゲンは、身近な自然な成り立ちから生きるという根源的かつ初歩的なことを学習してちょうだいな!と言いたい。スマホなんて便利なものに寄りかかり思考を停止せざるを得ない不幸せな時代であるからこそ、時には樹木に寄りかかり新しい命の誕生と、移りゆく雲の動きを眺めながら生き物にとっての本当の幸福を思考したらいかがでしょうか...心地よい風に揺れ動く葉っぱが、なんとなくメロディを奏でているようでもあり、軽やかなダンスを舞ってるように見えれば、その日一日が極上な日となること間違い無し。

今週の週末も、芽吹き、目にも鮮やかな新緑を探す小旅行を計画しています。自然が織りなす壮大なドラマから明日の活力を頂いてきます。

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新緑

2019/04/15
【第1209回】

昨日、「走狗」の一員であったTちゃんから電話があった。御年74歳になる彼は新劇の劇団をスタートし、その後「走狗」に入団、解散後もアングラ演劇一筋で役者をやり続けている強者だ。Tちゃんの電話は「今朝、神宮外苑散歩してたら可愛い野花があったので、来月11日の田島のお別れ会には行けそうにもないので、彼が住んでたアパートに花を手向けたい...」とのことであった。田島君と激しい演劇論を闘わせ、到底仲がよいとはいえない二人であったが、Tちゃんの田島君に対する深い愛情を感じた。愛すればこそあんなにきつい言葉を突きつけていたのか...亡き人の思いは、葬儀、お墓に行けばいいというのではない。そんなところに顔を出さなくとも、亡き人をいつも想い続けることが故人にとっての最上の喜びではないだろうか...何人かの故人が「死後、葬式も別れの会も不必要」なんて遺言を残しこの世に別れを告げた心境、おいらはよく分かる。現世の諸々のしきたり、何故かお金がまつわることばかり。お金での戒名のランク付けなんてものなんてその最たるものではないか...人は死んでしまえば皆同じ。

一昨日、沢山の人に見送られ舞台美術家・島次郎、黄泉の国へ旅立ちました。

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春の花

2019/04/12
【第1208回】

こんな残りサクラ好きだな...この異常な寒さでサクラ延命しとります。そんな中、樹木の幹からひっそりと咲いてるやつらおいらとても愛おしくなっちゃいます。豪華絢爛に咲き誇る群れに入るのではなく、我が道を往くなんて心意気が、なんとなくアウトローサクラ野郎みたいでええじゃん!おいら昔から群れるのが大嫌いで、名もなく貧しくとも一匹狼で生きてきたつもりです。勿論、現世において一人では生きられませんがな。いろんな人のお陰でおいらも生活できてるのはわかっちゃいるけど、なるだけ「寄らば大樹の陰」「赤信号みんなで渡れば怖くない」なんてことからは、なるべく遠いところで生きとうございます。孔子の言葉に「中庸の徳たるや、それ至れるかな」なんて言葉がありますが、どちらにも偏らないことは確かに理に適う言葉かもしれないが、この世に生を受けたんだから己しかできないことを七転八倒しながら探し実現に近づけようとすることこそが人生じゃないかしら?この人生も残り少ないが貫き通しまっせ!

明日は島次郎の葬儀、来月は田島恒のお別れの会。ひらひらと優雅に散りゆくサクラを眺めながら二人の懐かしい顔が浮かんできます...

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生きてまっせ!

2019/04/10
【第1207回】

桜散る頃に、またも訃報が...先月、嘗て共にアングラ劇団演劇群「走狗」を共にした田島恒の骨を拾ったばかりだというのに昨日、同じく「走狗」の戦友、島次郎の死を知ることになる。ほんの3日前に次郎ちゃんから送られた「舞台美術1986-2018」の本のお祝いとお礼を兼ねて電話したばかりであった。入院中ではあったが、しっかりとした話しぶりであった。「走狗の写真使わせて頂いて...」なんて恐縮してたので「退院したら出版祝いをやろうよ」と言うと「ケッちゃんいつもありがとう...」それが最後の会話であった。次郎ちゃんは演劇の世界では知らぬ人がいないくらいの大家ではあるが、決して偉ぶることなくどんな人にも優しい男であった。

思えば、今から半世紀近く前に「走狗」で出逢った次郎ちゃん。共に演劇でなんかで飯喰えるわけないんだから多種多様のアルバイトで日々の飲み代を稼いでいた。その頃、次郎ちゃんは古新聞の回収をしていた。回収業者から軽トラックを借りスピーカで回収のお知らせを流しながら古新聞を集めるのである。おいらは見習いとして次郎ちゃんの助手として団地を駆け巡った。次郎ちゃんの人柄であるのか随分と集まり、この日二人で早速居酒屋でご馳走と相成る。これはいいバイトかな?と数日おいらも独立してやったのだが、飽き性のおいら早々と止めちまった。コツコツ、じっくり事を構える次郎ちゃんとはえらい違いである。

アングラ劇団「走狗」の日々はまさに戦いの連続であった。テントを担いで全国の河原、空き地、大学構内、神社と放浪の旅芝居。お金無し、そのため食事もままならず、そして表現を巡っての葛藤、対立。こんな過酷な状況の中でも次郎ちゃんは美術スタッフとして淡々と自分の仕事をこなしていた。役者が足りないときはイヌの役で狂気と愛嬌を振りまいていた。走狗解散後は、才気が見事に開花し舞台美術家として名実共に演劇界でなくてはならない人となる。

次郎ちゃん、まだまだ創りたい舞台あったと思うが、こんなに数多くの作品を提供し関係者に喜んで頂いたんだから悔いは無いはず。ゆっくり、先月逝った田島君と美味しい酒でも飲んでくださいね!

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桜の樹の下には...

2019/04/08
【第1206回】

土曜日、南青山にある銕仙会能楽堂で三島由紀夫の「綾の鼓」「卒塔婆小町」を観劇...観ているうちに1970年11月のことが甦ってきました。今から49年前、おいら池袋の小劇場で「卒塔婆小町」に詩人の役で出演していたんでございます。三島由紀夫が自決した直後の上演のため、一時は中止も考えていました。だって、間接侵略に備えるための民間防衛組織(民兵)として、三島由紀夫が結成した軍隊的な集団「楯の会」の人たちが公演中止を訴え殴りこみに来るなんて噂がたっていたもんでビビりまくりの状態でした。おいらは、こんな時こそやってやろうじゃないか!とスタッフ出演者に檄を飛ばしました。この緊張感があって芝居は無事千秋楽を迎えることが出来ました。その頃は、アングラ演劇が世の中にデビューして脚光を浴びた時期でもあり、楯の会との一悶着があったにしても、この事件が芝居になるような時代でありました。事件を起こすことによって、注目を浴びるなんて理不尽なことが堂々とまかり通るけったいなことがたくさんありました。既成の価値観を打ち砕き新しい価値観を生み出そうとする輩がうじゃうじゃと徘徊していた面白おかしい頃の話です...そんなことを思い出しながら観た芝居なんて初めてでございます。

日曜日は善福寺緑地公園にサクラを観に行ってきました。いつものように、サクラの樹の下に思い思いに集まり宴をやっとりました。このところ、友人たちが次々と亡くなっているので、おいらもこのサクラあと何回観れるんやろか...散りゆくサクラの花びらが川に舞い落ちてゆく様を眺めながら思った次第でございます。

散るサクラ 残るサクラも 散るサクラ こんな心境の昨日でした。

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善福寺緑地公園

2019/04/03
【第1205回】

令和なんですね...響きはいいですね。万葉集もいいですね。この日、この国の首相はいかにも自慢げに各局のテレビに出て話してました...自国を強調するあまり、またもや国際社会からいちゃもんも付いとりました。元号なんか、さりげなく決めてさりげなく新しいスタートをしてもらいたいものです。この国は誰のものでもありません。当たり前のことですが、この国に住んでる人たちのものです...この肝心のことを忘れ、あたかも自分のものと勘違いする人たちがあまりにも多いため、もううんざりしている人たちがたくさんいるはずです。これから地方選挙があちこちで始まります。先日駅に立ち、既成政党に所属せず市民派として演説している女性がいました。おいら、めったに声なんか掛けないんだが、その真摯さに思わず声掛けちゃいました。34歳の市民派女性杉並区会議員が誕生するかどうかはわかりませんが、もはや既成政党には本当にうんざりです。

プロ野球も始まりました...ライオンズいきなり3連敗。ソフトバンクの強さを再認識した次第です。やはりお金のチカラには勝てない!なんて当たり前の壁をどう打ち破っていくかが野球の面白いところです。今年も弱体投手陣、でも打って打って点取りゃ勝てまっせ。これからまた一喜一憂の季節が始まります...思えば子供のころから野球も人生の一部になっちゃいました。宿命として受け入れるしかないんでしょうかね...これも人生あれも人生あ~こりゃこりゃ♪なんといっても今や満開桜の季節でございます。

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饗宴

2019/04/01
【第1204回】

先週の金曜日、土曜日、大阪中之島にある国の重要文化財「大阪市中央公会堂」で「黄色い叫び」を公演してきました...いやいや、立派な公会堂でした。中に入った瞬間、嘗てヨーロッパで観た歴史と伝統を感じさせる劇場を想い出しました。周りの風景ともども、こんなところで芝居をやれる喜びを感じた次第です。メトロ淀屋橋駅を降り、右手に土佐堀川を眺めながら公会堂に向かう道すがらの、何となくワクワク感がいいですね。すでにドラマは始まっているのでございます。さて、肝心の芝居なんですが出演者の一人が風邪で高熱を発しチームに緊張感が走り、スタッフ、出演者が一丸となって気合いの入った2ステージでした。東京公演と違うところは、さすがに笑いの本場でございます。東京では笑いがこなかったところで笑いが来たと言うことは、関西の人のほうが人間の機微に長けてるってことですかね...でも、笑いもなかなか深いものでして声に出さない笑い、内面で笑いを吟味したりと、一概に何を良しと捉えていいのか不可解の部分があるのも確かです。でも、今回はシビアな芝居であるだけに笑いが起こると何だかホッとするのが正直なところかな。笑いは世界を救う!そうですな、笑いが絶えないところには争いがありませんものですね。笑いあり、涙ありなんて演し物は、やはり芝居の王道です。

土曜日に梅田で打ち上げをやりました。食い倒れの街だから呑まなきゃ損、食べなきゃ損、皆さん結構呑んで食べて話し倒れていたようでございます。今回の公演も無事に千秋楽を迎えめでたしめでたし。1月「萩咲く頃に」2月「芸人と兵隊」3月「黄色い叫び」怒濤の三ヶ月、我が愛するトムの社員の皆さんも本当にお疲れ様でした。

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大阪市中央公会堂

2019/03/27
【第1203回】

「黄色い叫び」東京公演、昨日無事千秋楽を迎えることが出来ました。10人の役者さん最後まで気を緩めることなく演じていました。芝居の流れからいってもついつい熱が入ってしまうのだが、おいらはこの熱なんてものあまり信用してません。要するに熱演することによって役を担っているという大きな勘違いが好きでありません。勿論、熱に至る導線がしっかりしていれば熱の持つ意味が理解できるのだが、果たして人は、あんなに熱っぽく語るのであろうか?なんていう素朴な疑問を持つのであります。てなことを考えながら連日芝居を観てました。観客にどう映ったかはわかりませんが?

昨日の東京中日スポーツに劇評が掲載されました。劇評の最後に「これは何も被災地限定の物語ではない。人間の弱さを認め、生きるということ、命があるということの意味を問い直す直球勝負のドラマだ。被災の現場をつぶさにすくいとった異色の作品は、これからも上演されていい。」「生きる」意味を問い直す舞台という見出しに始まるこの劇評家の方には、この時期になんでこの芝居をやらねばならないかという意義を痛感されたに違いない。全てが時流に流され、あらゆるものを風化しようとするチカラを何とか食い止めなければこの国の未来はありません。そのための熱は勿論不可欠です...明後日から大阪公演2ステージ公演してきます。関西の人達に、この直球勝負のドラマがどう映るのか?楽しみでございます。

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22日の桜が今日、こんなに

2019/03/25
【第1202回】

半世紀近くの友人である田島恒さんあの世に逝っちゃいました...あの人のことだから、ありゃどなんなってんの?と未だにあの世とこの世を行ったり来たりしちゃってるんじゃないかしら...いやいや、たくさんお酒飲みました。20代の頃、新宿近くに住んでたおいらのアパートに夜中転がるように入ってきて宿代わりにしてる時期もありました。女性にも惚れっぽくてつき合うと少年のようにウブでした。酔っぱらって何度か死にかけました...生涯、結婚もすることなくマイペースの人生でしたね。でも、気配りは最高で日頃蓄えた知識を偉ぶることなくジョークを交えながら同席した人達を笑いの場に誘い込んでいくテクニックはさすがでしたね。このテクニックを惚れた女性に活かせなかったのが返す返すも残念でなりません。悪戦苦闘のテント芝居の時期も、今にしては懐かしい想い出ですね。貴男とTちゃんが殴り合いの喧嘩寸前までいきながら、いつも止めるのがおいらの役割でした。しかし貴男のテント芝居で演じた昭和天皇役はアングラ演劇史にも残る絶品の演技でした。芸に対する執着は人一倍厳しいものがありました。出来ない役者に対する批判も痛烈でした...へたくそなおいらになんで言わなかったの?...温泉も大好きで那須の北温泉にはよく行きましたね。お湯に浸かって酒飲んでるときが、貴男にとっての至福の時間ではなかったのでは...貴男との想い出は数限りなくあります。最後にあったのが先月の「芸人と兵隊」観劇後での池袋清瀧での飲み会。帰り道、「田島君気楽でいいね...」と声掛けると「俺だって寂しいときもあるよ...」その一瞬の表情は哀感そのものでした。その寂しさを振り払うように彼はポジティブに振る舞っていたんですね。ありがとう!貴男が居るだけで場は盛り上がり、楽しい時間を過ごすことが出来ました...人は何れ死ぬんです。早いか遅いかだけの話です。みんなそのうちそっちに行きますから又、いつものように馬鹿話でもしながら一杯やりましょう!

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本日、新宿駅東南口前

2019/03/22
【第1201回】

「黄色い叫び」20日に幕を開け今日が3日目です...若い人たちが真剣に舞台に向き合う姿がいいですね。おいらも遙か昔、ぶきっちょな身体をさらけ出し、あーでもないこーでもないと悪戦苦闘した日々を想い出します。芝居という麻薬に取り憑かれ青春を捧げた思いと時間、ものになるならないを超越して貴重な体験でございました。おいらなんかがやれなかったことを、ひょいと飛び越え簡単にクリアしていく若き演技者にただただ感心するばかり。震災がテーマだけにいい加減な芝居できないという覚悟に、なんとなくひりひりしてしまいます。芝居観た人の感想にこんな言葉がありました。「日本のおエライさんを招待して無理やりにでも見せた方がいい。見せても分かんないかもですが。」その通りですな!被災地の現状、被災者の気持ち、日本の天災に関する事前予防などなど、芝居の中で問題提起してはいるのですが今の政治、行政の中ではなんだか鈍感にしか感じていないような気がしてなりません。そして期待しても無駄なような気がしてならないのが現状。要するに個々人が意識改革をして己自身で身を守るしかないと言うこと...またまたチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られないようにいたしましょうね皆の衆。

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桜開花

2019/03/18
【第1200回】

先週の週末もバタバタしてました...土曜、日曜は今年の夏の公演する「A列車に乗っていこう」のチラシポスターに向けての撮影。今回、トムの芝居初登場の石田ひかりさん、今春高校を卒業し大学に進学した松風理咲さん。この二人が北村想さんのシュールで幻想的な世界を演じてくれます。いやいや、手強い戯曲です。想さんとは1997年に、戸川純ひとり芝居「マリィヴォロン」を依頼してから22年振りの新作です。今でも戸川純さんの魅惑的なステージが目に浮かぶくらいの素敵な作品でした。この人以外にこの作品は書けないなんてものを持ってる作家はそうそういるもんじゃございません。今回の作品を渡されたときも、正直言ってキャスティング迷っちゃいました。この世界を演じる女優さんは果たしているんだろうか?いろいろと熟考したうえでの二人です。今からわくわくしちゃいます。

撮影が終わった後、西荻窪にあるロマンスミュージックカフェ・JUHA(ユハ)に行きました。ここもおいらが愛するjazz喫茶のひとつです。お店の拘り、センスなどに満ち溢れた空間に居るだけで幸せになっちゃいます。だって若い頃考えていたことは、おいらがこの歳になったときは、jazzを聴きながら昼は珈琲、夜は酒なんて飲みながらの店をやろうなんて思ってたもんだから、こんな店についつい足が向いちゃうんですね。アナログのレコードを聴きながらもの思いに耽ったり読書したり、なんと贅沢な時間でしょう。ここのトーストに粒あんのあんこがのっかってるのは、今は無き下北沢のjazz喫茶「マサコ」の名物メニューの継承。昔バイトしていた人達が夢の空間を再び立ち上げていく姿においらも応援したくなります。音と空間を味あえるお店探しも楽しいものでございます。

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JUHAの人気メニュー

2019/03/15
【第1199回】

昨日、来週20日から上演する「黄色い叫び」の通し稽古を観に行きました...この芝居2011年に起きた東日本大震災の年に上演した作品です。トラッシュマスターズの主宰者である中津留章仁が、稽古中であった作品を書き改めて、果敢に攻めの姿勢で震災に向き合った画期的な作品です。あの震災を前にして、ほとんどの人が茫然自失の状態に陥ったのは確かです...芝居なんて、この大惨事の前ではクソの役にもたたないじゃないか?芝居だけではなく、表現そのものが絵空事にしか見えないくらい自然が繰り出す強烈なパンチでございました...こんな時に中津留章仁は、この作品も含め2011年に震災に関する作品を2本書き上げ公演したんですから大した男です。この事だけで世界の演劇史に名を残してもおかしくないと思います。表現者は何時如何なるときでも、時代に対峙しなければならないと思います。震災後も日本のみならず世界各地で数々の災害が頻繁に起きてます。この作品は、まさにその後の世界情勢を予見させる物語であり、人の在り方を地方の青年団という設定で描いたものだと思います。

ところで、4度目の今回の芝居の仕上がり具合は?昨日観た範囲では、又新しいドラマが進行してるなと言う感想かな...トム・プロジェクトでは珍しい10人の群像劇。皆、中津留君の厳しいダメ出しを浴びながらいい汗かいていました。若者が真摯に芝居に向き合ってる姿、おいら好きです。しらけないで、内向しないで、ましてや人騙しなんかの稼業に足踏み入れないで、いい汗かいておくんなせい!と若者に言いたいのでございます。

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稽古場に行く途中

2019/03/13
【第1198回】

来ました待ってました?...杉並区の職員を名乗り、過去5年分の医療費の還付金がもらえるので手続きをして欲しいとの電話。おいらもこんな話は千載一隅のチャンス?とばかりに年金老人暇人を装い偽職員に真面目に対応していました。この詐欺請負人もなかなかの役者じゃのう...田舎から出てきた素朴な青年を演じていました。半分ボケ風に受け答えしていると、相手もこりゃいけると思ったんでしょうな、銀行口座の話をしだしました。ここでおいらも、なんのこっちゃと不安な素振りを見せると、この偽職員、またもや丁寧に説明を始めました。おいらその後は、間を置きながら「はい」を繰り返すのみだったので相手は、こりゃ手ごわい年寄りと感じたのか慌てて電話を切りました。おいらの感想、こりゃ、暇なお年寄りは騙されるなと思いました。事務的ではなく、優し気な語り口で語られると、ついつい聞いちゃいますがな...お年寄りは寂しいんです。若い素朴な青年であればあるほど愛おしくなり、その深い闇に飲み込まれて行ってしまうんですな。それにしても、こんな仕事を請け負い飯のタネにしてるなんて、この青年の心の深い闇はいかほどのものか...想像しただけでもいたたまれない気持ちになってしまいます。なんて考えるおいらは旧い人間でしょうかね?以外と割り切って楽しくやってるのかもしれないのが当世流なのかも...嗚呼おそるべし!当世風流儀に活路を見出す新人類。

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沈丁花

2019/03/11
【第1197回】

8年前と同じ時間、北品川で芝居を観劇中に起きた地震を思い出しながら書いています。まさかです...災害が起きる瞬間の前まで、さりげなく日常が続いていたのに...この時期になると、いつものようにメディアが一斉に東日本大震災のことを取り上げます。取り上げないよりはましなんでしょうが、なにせ健忘症大国日本ですから必要不可欠なことでしょう。メルトダウンした核デブリはどうするんでしょうか?核廃棄物は廃村になった地に置いたまま永久に住めない土地になるんでしょうか?再度、地震が起きた時は完全にアウトです。そして、いつまでも消えることのない心の傷。昨日もテレビでやるせない気持ちで訴えていました。二階建ての家で一階部分が全壊した人は最高200万円の保障しかないとのこと。朽ち果てた部屋を見ながら「死んだ方がまし...」と諦め顔。禁止地区が解除になり我が家に帰っても、以前は畑があったところに除染した土の山。窓からの眺めがこれじゃいたたまれない気持ちになってしまいます。来年のくそ暑いオリンピック何ぞ中止にして、これらの人たちを救え!って話だろうにと思いますが...景色ぶち壊しの防波堤、本当に役に立つんだろうか?なんだかこの国の政治、行政の過去の在り方みてると、ゼネコン含め大企業を潤わせるための手立てとしかみえません。そうやって疑いたくなることの連続でしか見れないこの国の貧困なシステム。と、ボヤいていても前には進みません。ここは心ある人たちが、無償の行為で被災地に出向き心のケアをしています。そして、忘れてならないことは、この震災の記憶をいつも留め置き、次なる災難に備える想像力を働かせることが肝心なことだと思います。こんなことを体験していながら、いまだに原発再稼働なんてこと言ってるやつはホンマにアホですな!

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2019年3月11日 穏やかな新宿

2019/03/07
【第1196回】

一昨日、「芸人と兵隊」兵庫県立芸術文化センターでの公演に行ってきました。この劇場は指揮者で有名な佐渡裕芸術監督のもと「劇場はみんなの広場」という言葉を合言葉に素敵な演目を並べ、年間、主催・貸館事業あわせて600公演を実施し、毎年約50万人の観客を集め、我々舞台人にとっても頼りになる劇場です。トムの公演も数多く呼んでいただいています。おいらも久しぶりに芝居観たのだが、この劇場に集まる質の良いお客様にも後押しされ上々の出来でございました。村井さんが冒頭の漫才シーンで飛び上がったり、髙橋洋介が乗りの良い観客についつい台詞が止まったりと、相変わらず生の芝居だからこそ起きるハプニングはありましたが、お客様の終演後の拍手の熱さが十分に芝居の出来を証明していました。

終演後は北新地にある隠れ家的なイタリアレストランでお疲れ会をしました。ワインも上々、料理もとても手が込んだもので、役者の皆さんにはとても喜んでいただいておいらもほっこり。

翌日は、大阪でおいらが一番好きなディープな街新世界に行ってまいりました。大阪からこの地が無くなるときは大阪らしさが消える時だとは思っているのですが、この地も明らかに中国、韓国観光客に占領されつつありますな...じゃんじゃん横丁に数軒あった将棋会館も今では一軒だけ。ちょいと覗いてみましたが坂田三吉らしきおっちゃんは居ませんでした。でも、昔ながらゆったりと一日将棋に興じる姿はほっとしますな...ここ来て串カツ、どて焼き、お好み焼き食べへんかったら、ええ加減にしぃや!と言われること間違いなし...勿論、食べて帰京しましたがな。

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ディープな街

2019/03/04
【第1195回】

先週の週末にはトラッシュマスターズ「オルタリティ」を観劇...この劇団も来年で20周年目を迎えるとのこと。主宰者である中津留章仁君と出会ったのが1998年だから21年になるんだな。感慨深いものがあります。スタジオで勉強してないで演劇界に殴り込みを掛けるくらいの気概で打って出なさい!と中津留君にけしかけたことをよく覚えています。その言葉通りに若き演劇人を代表する劇団、作・演出家になりました。がしかし、この芝居の世界ここからが大変なのであります。一度認知されると、周囲はより以上の成果を求めるし、劇団内でもマンネリにならないようにあらゆる手立てをしながら創作活動に勤しまなければなりません。加齢と共に周辺にも様々な変化がおこり、なかなか事はスムーズには運びません事よ...今回のトラッシュマスターズの公演、今までで一番少ない6名の出演者でした。この日も2時間半の芝居を2ステージこなし飲み会では、さすがにお疲れのようでした。でも、芝居が好きだからやるんです!意地でも自分たちのスタイルの演劇を公演し続けるんです!歳喰ったといっても、まだまだ40歳代じゃございませんか...おいらなんかは40歳前半まではふらふらしてたんですから、人生も演劇もこれからでございますよ。

仕事もプライベートもちょいとした変化で気分が変わります。この気分って奴がネガをポジに変えちゃうんですな。おいらはJAZZが流れる喫茶店で、深煎りの珈琲を飲みながらぼんやりしたり本読んだり過ごすことで、気分のチェンジを図ってます。この日も下北沢の素敵なJAZZ喫茶で囃子ライスと珈琲を頂きました。

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Jazzと喫茶 囃子

2019/03/01
【第1194回】

昨日は第26回読売演劇大賞の授賞式に、投票委員の一人として会場である帝国ホテルに行って来ました...今回の優秀作品賞の中に劇団チョコレートケーキ「遺産」が受賞したことは大変喜ばしいことでありました。いつものように作、演出家、出演者が顔をそろえ宴席に設けられた出前寿司なんぞを飲食する姿が微笑ましい。寝食を忘れ経済的にも決して恵まれない中、芝居に命を注いだ青春を思うと、おいらも何とかしてあげたいと思いますがな。芝居やるなんて親に話したら「そんな河原乞食みたいなもん許せん!」と鬼のような顔をして怒られたもんでございます。ましてや、親がせっせっと働いて大学まで入れてあげたのに、なんで見世物芸人になるんやなんて話です。おいらは子供のころから風来坊ですからそんな経験はありませんがね。普通の家庭のシステムであれば当たり前の話、昨日の受賞者の一人岡本健一さんが話してました。初めて芝居の世界に入った時に周囲の役者が皆キチガイに見えたとのことでした。そして、今回、芸術栄誉賞受賞者である87歳の演出家・木村光一さんも、唯々貧乏の連続でした。演劇に関わる人達がお金持ちになれれば嬉しいな~なんて本音の話をしていました。そんな世界の人達が表彰される会、この世知辛い世の中で26年も続けてる讀賣グループも粋じゃありませんか...あのなんとかツネさんはなんとかなりませんかなとは思っていますがね。

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おめでとう!劇団チョコレートケーキ

2019/02/27
【第1193回】

この国に民意なんてあるのかしら...沖縄で辺野古移設に関しての県民投票が実施され72パーセントの人達が反対と言ってるのに、政府は耳を貸さず辺野古の海に土砂を放り続ける始末。アメリカに対して対等にもの申せない人達に、この国を統治させていいものだろううか?多くの国民がそう思ってるはずなのに、口ごもってしまう日米の防衛問題はすべてアメリカ任せ、敗戦後アメリカがこの国を占領して以来、この構図は変わることがない。今日は米朝の会談、韓国との関係も悪化、ロシアとの北方領土問題も進展なし...一体全体、この国の外交はどうなっとるんじゃ!もしロシアが2島返還に応じたとしても、この基地にアメリカ軍が駐留するなんてことになったらてんやわんやの大騒ぎ。あっちもこっちも八方ふさがりのお手上げ状態が長いこと続いているのに手の打ちようがないニッポン。

そうなんです...この国は選挙しても民意が正確に伝わらない不条理な国と思えば納得がいくのかな?建前の民主主義クソ喰らえ!と言い放ちアナキストになりたい気分ですな。アナキズムなんて言うとテロリストみたいに勘違いされがちなんだが、アナキズムは、語源的にはギリシア語のアナルコス、つまり支配者がいないということばに由来し、権力的支配や国家、政府のような権力機関の存在を極端に嫌い、人間の自由に最高の価値を置く思想として位置づけられているんですよ。今の政治屋さんの集まりで、日毎税金無駄遣いの議会なんぞであれば要らんですバイ!と、愚痴零していてもしよんなかですばい...芝居創って形にして、この国に真の民意を届けねばと思っとります。

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如月の公園

2019/02/25
【第1192回】

「芸人と兵隊」東京公演無事終了しました...土曜日のマチネーの回、芝居が始まるやいなや照明のトラブルで舞台監督が登場し「トラブル発生、申し訳ありません、しばらくお待ちください。」との挨拶がありました。おいらとしては最悪のケースも考え、その後の対応におつむが回転し始めたときに、村井、柴田の夫婦漫才コンビが登場し即興の漫才を始めました。さすがベテランのお二人、この緊急事態にお客の不安を解消するどころか、このピンチをお笑いに変え拍手喝采。この日の観客は、夫婦漫才をプラスワン楽しめて大満足ではなかったかと思います。これが、まさしくライブですね...なにが起こるか分からないのが面白く怖いところです。本番中に役者が倒れ、そのまま救急車に運ばれ亡くなったこともあり、今回みたいに舞台機構の不備により中止になったことも当然あります。生身の人間が織りなす舞台であるからして、いろんなことを予測し想像しながら日々創っているのでございます。

東京公演が終わる間もなく、今日は横浜で公演し3月10日まで地方公演が続きます。何事もないようにと芝居の神さんに祈るのみ。

そして、今日から、3月20日から上演する「黄色い叫び」の稽古が始まります。今日の会社でのミーティング、皆さすがに疲れは見えるのだが元気でありました。こうやって日々演劇に夢中になれることに感謝です...そして、公演を楽しみにしているお客様の顔が見えるからこそのことですな。

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東京芸術劇場前の広場

2019/02/21
【第1191回】

「芸人と兵隊」の休演中に2本の芝居を観てきました...1本目は、こまつ座「イーハトーボの劇列車」井上ひさしさんの名作です。松田龍平の初舞台ということもあって満員の盛況。休憩入れて3時間半の大作。「世界ぜんたいが幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」と述べた宮沢賢治に対する作家の傾倒ぶりが良くわかる作品です。賢治のいろんな作品に登場する人物を配し、いろんな手を駆使しながら飽きさせないように創り上げた作品でした。トムの作品に何本も出演した宇梶剛士さんとってもぴったりの役で存在感ありました。

2本目はシアターコクーンで上演している「唐版 風の又三郎」奇しくも、こちらも宮沢賢治に関わる作品。唐十郎さんの世界、何年たっても何回観ても飽きませんね。溢れ出るポエムを振り絞る熱情を込めて語られると、そこはまさしく幻想の世界...テントで何度感動したことか。今は亡き蜷川幸雄さんが大きな劇場で上演してからも唐十郎がいかに演劇を変革したか、その意義を改めて確認した次第です。今回も宝塚出身の柚希礼音、若手人気俳優の窪田正孝をキャスティングし、リピーターらしき観客で盛り上がっていました。アングラ芝居に無縁であった人たちを劇場に集める功績は大だと思います。ましてや唐ワールド、この芝居観て今なお紅テントで上演し続けている本家唐組の芝居も観て頂戴な!と願いたいですな。この芝居、杜夫ちゃんの菊の御紋をつけながら奮闘しとりました...6月WOWOWで舞台中継放映が決定しているのだが大丈夫かいな?

「芸人と兵隊」は今週24日(日)まで東京芸術劇場シアターウエストで上演中です。日々進化しとります。お見逃し無きように!

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絶賛上演中

2019/02/18
【第1190回】

こだま著「ここは、おしまいの地」読了...作者の故郷の暗い話を諧謔調で綴った文章。なかなか上手いと言うより、故郷に住む人達の行動を客観的に捉えてる視点が面白い。しかもおしまいの地が、文章の中からより鮮明にイメージされてくるのが作家の筆力。こんな恥部さらけ出したくないのが普通の感覚なのだが、このSNS流行の時代出版会社は目を皿のようにして売れそうな作家を捜している昨今、売れると思ったんでしょう...読者の好みも様々、触れたくない、隠したい、そんなことは誰しもが抱えている秘所であり、そこにスポットを当てれば共感するだろうなんてことは当然。この作家の最初のヒット作が「夫のちんぽが入らない」なんですかいな?このタイトル付けるのも勇気があるというのか、人目を惹くのに付けたんじゃないのと勘ぐりたくなりますね。おいらはこの本は未読なんだが、今回の本で大体の予想はつきますな。私小説は誰しもが一作、二作目までは書けるとは思いますが、プロの作家になれるかどうかは私小説から距離を置いたときが勝負だと思います。

「芸人と兵隊」東京のステージも5ステージを終えました。日々、芝居が弾んできましたね。観客の笑いが、ギャグではなく役者の関係性の中から生まれてきてるのが何よりの証拠。芝居は本当に難しいし奥が深いですな...何年やっても闇は深まるばかりでございます。

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東京の梅

2019/02/15
【第1189回】

えらいこっちゃ!忙しすぎて...一昨日なんぞは「萩咲く頃に」の今季最終公演を神奈川県海老名市で、「芸人と兵隊」の東京公演を池袋芸術劇場で初日を迎えました。少数精鋭部隊であるトムの皆々はあちこちを飛び回り大変でございました。芝居は呼ばれてなんぼの世界でございます。需要がなきゃただのマスターベーションに終わってしまいます。一日に異なる芝居を同時にやれる喜びをしみじみと感じております。「芸人と兵隊」東京初日、確かに地方のお客様に比べると、東京の観客の目は厳しいものがございます...なかには、ただただあら捜しを見つけるのが楽しみで来る天の邪鬼も居てござる。まあ、お金払って来て頂いているんだから見方は人それぞれ、こちらがあれこれと言える立場ではございませんが、おいらにしてみれば素直に観ればもっともっと楽しめるのにもったいないという気持ちが正直なところかな...そんな観客の中で演じる役者さんも大変でしょうが、ある面鍛えられますな。今回も村井國夫さん、柴田理恵さんというベテランに混じって若手4人が奮闘しています。あれこれと壁にぶち当たりながら、飯がノドに通らないなんて日々を過ごしながら舞台に立っている姿を見るにつけ、幸せな人達だと思います。だってこの世の中、なんとなく霞がかかった手応えのない現状です。成すべきことが目の前にある喜びをしかと感じながらこれからの舞台楽しんでほしいな若手衆。

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曇天の新宿

2019/02/12
【第1188回】

昨日、「萩咲く頃に」を観に仙台に行って来ました...東京よりも暖かい杜の都でした。仙台演劇鑑賞会の皆さんが呼んでくれた公演です。この芝居は、東日本大震災が起きて3年半後に創られた作品です。あの震災後は、全ての人達が思考停止状態に陥り何事も手に付かなかった記憶があります...そして創られた今回の作品、いつの日か被災地に届けたいという思いが常にありました。被災された人達にどんな形で舞台を捉えて頂けるのだろうか?昨日の舞台は、そんな諸々の思いを抱きながら観劇しました。それは、舞台に立つ役者さんも同じ、まさしく魂が込められた素晴らしい芝居でした。昨日で95ステージになるこの芝居、なんだか新作を観ているような時間でした。終演後の拍手が、この日のステージの質の高さを実証していました。

終演後、鑑賞会の皆さんと交流会。未だ行方不明の家族を捜しながらも笑顔でお話しされる老婦人。その方に「いい芝居だったよ!」なんて言葉を掛けられおいらもホロリです。そうなんです...生き残った人間が、何とかしようとアクションを起こさない限り何も変わりません。漫然と生きてると「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに喝を入れられますぞ皆の衆。

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仙台のこの酒はうまかった!

2019/02/08
【第1187回】

宿野かほるの「ルビンの壺が割れた」読了...いやはや、SNS時代にぴったりの読み物ですな。結婚するはずだった男女のメールのやり取りを羅列したものが果たして小説と言えるかどうかは分かりませんが、1時間ほどで読めるミステリー、しかも結末のビックリマークで売れてるんでしょう。なんだか、今の世相を反映したような、この軽さが感覚を言葉を安っぽくしてる気がしてなりません。でも、活字離れしている若者に、本に対する興味を持たせるのには絶好の読み物かも知れません。日本あちこちで古本市なるものを開催してるのだが、物色している年齢を見るにつけ先々の出版業界の将来に不安を感じます。今回、芥川賞を受賞した作家もスマホで執筆してるそうな(執筆ではなく打筆がぴったりかな?)新聞不要は若年層に定着し、次なるターゲットが紙の本。電子ブックに出版業界が次なる手を打ったのだが思うようには伸びていないらしい...そりゃそうだよね。あの本を手にした感覚こそが、人の想像という羽翼を羽ばたかせながら未知なる世界に誘ってくれる第一歩ではなかろうか。本なるものがなくなったときは世界の終わりですぞ皆の衆。

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一昨日、機内から

2019/02/06
【第1186回】

2月4日(月)九州博多で「芸人と兵隊」地方公演スタートしました。ここ、ももちパレスで上演するのは久しぶりです。以前は中心街天神にあるエルガーラホール、西鉄ホールで公演できたのですが、何故かおいらの故郷博多はアートに優しくない街のようです。全国の市で5番目の人口(158万人)でありながら行政管轄の芝居向けの小屋がないのでございます。他の市に行けば500人規模の、芝居にはうってつけのホールが必ず存在してるのに、我が故郷には皆無です。山笠、どんたく、そして海の幸山の幸に恵まれた食材は豊富なんですが、心の食材であるアートにはなかなか理解してもらえないようですな...以前、物申すつもりで市長室の乗り込んだこともありますが、のらりくらりの応対でござりました。

そんな博多での公演。来ていただいてるお客様は、さすが芸どころの土地柄でございます。出だしから反応も良く、今回の芝居の勘所をしっかりと把握して最後までしっかりと観てていただきました。その空気を感じ取り役者も気を引き締め演じてくれました。

終演後は、博多の食材と美酒に酔いしれ歓談...いいスタートがきれました!

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博多の梅

2019/02/04
【第1185回】

先週の土曜日、埼玉県志木市民会館パルシティで「芸人と兵隊」公開舞台稽古をやってきました...地方公演に出る前に、本番通りに上演し最終チェックを兼ねる意味もあります。自由席ということもあって、3時間前からお客様が並ぶ大盛況。600人の観客が入り当日券はなし。こりゃ気合入りますな。本番前は、さすが初めてお客様の前で芝居するんで、役者さん緊張感漂ってました。スタッフも同じく何度もチェックしていました。勿論、おいらも果たして上手くいくかどうか緊張しますがな...出だしのお客の笑いから、これはいける!少々の硬さがありましたが、満員のお客様のハートを鷲掴み、食い入る様に役者の演技に魅入っていました。終演後の拍手の質で、その日の芝居の出来がわかるんですが、この日の拍手は上々でした。会館を後にするお客様の表情は皆、「貴重な土曜日の昼間、本当に来て良かった...」そんな顔を見させて頂くたびに、苦労が報われるおいらでございます。終演後は、反省会も含めて志木駅の近くで一杯。上々の滑り出しでお酒もぐいぐいいけました。
さて、今日から地方公演スタートです。最初の公演地は、おいらの故郷博多でございます。博多の皆さんに、よか芝居魅せますばい!

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満員御礼

2019/02/01
【第1184回】

葉室鱗「曙光を旅する」読了...一昨年12月に66歳で亡くなったおいらが好きだった作家の一人である。歴史の大きな部分ではなく、小さな部分を見つめることで、日本と日本人を知りたい。そんな思いに突き動かされ、九州から京都を中心にした旅エッセイ本である。この本の中に登場する松下竜一さん、上野英信さんなど、九州の片隅で名も無き民衆の息遣いを語り継いできた人達も登場する。上野英信さんの絶筆「筑豊よ 日本を根底から 変革するエネルギーの ルツボであれ 火床であれ」。松下竜一さんが生涯唱え続けた「誰かの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活こそ問い直さねばならぬと。」彼らの生き方に共鳴し、葉室さんも多くの小説を書いてきた。歴史小説は、自分に似た人を歴史の中に探して書きますと本人が吐露している。直木賞を受賞した「蜩ノ記」は、まさしく上野英信さんがモデルである。

歴史上に燦然と輝く武将ではなく、路地裏でひっそりと暮らす庶民に光をあて人間を見つめ直してきた葉室鱗さんには、まだまだ書きたいものがあったに違いない。この作家の目線が限りなく低く、温かい感覚が読後にいつまでも残るのが読書の喜びでもある。

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暗闇の思想

2019/01/30
【第1183回】

元民主党細野豪志衆議院議員が、あの自民党の夜明けのガス灯みたいな幹事長のところに行くんだって...この人、頭おかしくなったんじゃないかしら?男前で頭がきれきれで結構人気があり期待された政治家だったのに、何だか哀れですな。今思えば、民主党を解散させ、あの何だか策士みたいな緑のおばさんと希望の党を作り、排除の論理で結局は与党を助ける結果になったということは...ありゃ、自民党のスパイじゃなかったんじゃないかしら。正常な神経してるならば、今後人前で政治信条なんぞ話せないはずですがね。いやいや、政治の世界は、まともな理想と希望に満ち溢れた人間を異常な世界へと誘う魔界の世界です。

森友、加計問題いまだ未解決。今度は厚労省不適切検査、なんなんでしょうね?韓国、ロシアとの外交問題もさっぱり、なのに与党内からも声が上がらず。野党もばらばら、今年も相も変わらず税金の無駄遣い国会でございます。

そんな折、東北巡演を開始した「萩咲く頃に」のチームからいい知らせが舞い込みました。福島公演、被災地の方々に大変喜んでいただいたとのこと。震災から8年を迎える人たちに、少しでもチカラになれればプロデューサーとして嬉しい限りでございます。国がやれないならば、誰かがやらねばこの国の未来はありませんことよ。

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静寂

2019/01/28
【第1182回】

いやいや、まいりました...週末の午後2時~3時頃になると、吉祥寺のあの「いぶきうどん」の麵とだし汁といりこ揚げが、ちらほらと目の前に浮かんでくるのでございます。こりゃ完全にいぶき中毒に違いありません。矢も盾もたまらず3週間続けて「いぶきうどん」の発券売り場に立っているおいらに呆然としました。でも、昨日は無料配布の揚げいりこが終了。やばいやばい、これは口コミの猛威で確実に全国のあちらこちらからいぶき参りが始まっているかも知れません。大阪十三にあったお店が、東京出店第1号店に選んだのが吉祥寺。なかなか目の付け所がよろしゅうおますな。うどんを食べた後、散策してると、なんとなんとパリ10区のサンマルタン運河近くにある人気パン屋が日本1号店として出店した「リベルテ」にも多くの人だかり。早速、食パンを購入したのだがモチモチ感満載、花の都のパリの香りがしましたことよ。吉祥寺人気止まるところがありません...

先週の週末は、テニスで大坂なおみ。マラソンでは小原さん福士さんが頑張ってましたな。

福士さん転んじゃって、膝と口から出血してしまい途中棄権。いやいや、スポーツは何が起こるか分かりません。只ひたすら走り続けることの苦悩と快感、おいらにはわかりませんが、多くの人を惹き付けるこの競技には、人生と相通じるものがあるんでしょうな。

夕方には、嵐ニュースがあちこちに駆け巡っていましたな。そりゃそうでしょう、人間40歳近くなったら考えますがな...人は何のために生まれ、何のために生きるのか?

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夕暮れの井の頭公園

2019/01/25
【第1181回】

マスクの季節である...インフルエンザに対する予防が一番だが、これってたいした効果はないらしい。自分がかかっていて人に移さないための効果が一番。それとマスクしてると防寒対策にもなるし、乾燥してるときなんぞはノドを潤すにはもってこいの小道具だ。しかし、皆が皆マスクをしてこちらに向かって来る様は何とも異様だ。秘密警察の一団か、もっと言えば環境汚染で地球滅亡のシナリオが着々と進んでる気さえする。最近は白いマスクではなく黒いマスク集団をよく見かける。これは不気味ですな...おそらく中国から来た観光客だと思うが、北京辺りの汚染された塵芥を吸い込み、そのまま持ってきてるんじゃないかしら?なんて思うくらい、見た目あまり清潔な感じがしませんな。いや、単なるファッションかもしれません。こうなったらカラフルに色とりどりなマスクが闊歩すれば、これはこれで面白いかもね。白マスク集団の威圧感から少しは解放されるかも...おいらもマスクをしたときはなんだかスパイもどきの気分でワクワクします。他人を観察するにはなくてはならない必需品です。これにサングラス、帽子があれば完璧。徹底的に人物ウオッチングを楽しめますよ。電車の中で、前の席に座ってる人達のアナザーストーリーを想起し書き上げることも可能です。街のあちらこちらには、思いもよらないドラマが転がってますんで楽しんでくださいませ...お金もかからんことだしね。

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今日の新宿アルタ前の空

2019/01/23
【第1180回】

戻ってきました...南米ペルーのケーナが復活しました。もう何年経つだろうか?新宿の街からペルーの音楽集団が消えてから。4,5人のチームが民族衣裳に身を固め、新宿のあちこちの路上で「コンドルは飛んでいく」などなど哀愁たっぷりの音色を聴かせて道行く人達のオアシスの場になっていたのだが、さすがに取り締まりが厳しくなったんでしょうな。不法滞在、路上での演舞禁止、やたらとこの国のお上は厳しいのでなかなか異国の人達の音色は聴けなくなってしまいました。昨日は一人で演奏していました。あまり立ち止まる人も居なかったのだが、この竹で作られた素朴な楽器はアンデスの風景を呼び覚ましてくれます(おいら南米大陸だけは行っておりません)だからこそ余計に想像が膨らみます。多くの謎に包まれた空中都市マチュピチュ。チリの本土から太平洋へ西に約3700km沖に浮かぶ、孤島イースター島に並ぶモアイの像、ナスカの地上絵などなどアンデスの曲が流れる度に、この地に行った気になるんでございます。

新宿は昔から自由人が往来した街。だからこそ、日本のアートをリードし続けてきたんです。この街から吟遊詩人が消えちまったときは、新宿が新宿でなくなるときでしょうね...

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待ってました!

2019/01/21
【第1179回】

住みたい街ナンバーワンである吉祥寺には週末によく行きます...井の頭恩賜公園有り、こじゃれた店数々、美味しいレストランあちこち、老若男女誰しもが楽しめるところがミソなんですね。先ずは井の頭公園駅を降り、公園に居並ぶ手作りアート品を眺めながらちょいと冷やかすのが楽しいですね。勿論、気にいれば購入しますよ...手書きの立体パノラマ葉書、ユーモアたっぷりの「ちょんまげ課長」の葉書なんぞは嬉々として手に入れました。ちょんまげ課長の作者、さぞかし有名になったんでしょう?このところ見かけませんがいいことじゃないですか。この寒さの中、終日突っ立てるのも辛いもんがあると思います。売れりゃ懐が暖かくなり自ずから体温も上昇するとは思いますが、おいらが見てもこりゃ厳しいなと思うお店もありますな。その中で思い切りボランティアに徹しているおじちゃんおばちゃんコンビの「顔面紙芝居」。子どもたちを筵に座らせて、おじさんが仮面を被っていろんなクイズを出し、当てた子供に手作りのお土産をあげるんだから、たいしたもんでございます。資金はどうしてるんだろう?年金切り崩しながらやってるんだったら...ふたりに想像絶する何かがあり、それをきっかけに子供への奉仕に人生を賭けたんじゃないかしら...とか、想像をいろいろと膨らませて見ておりました。池にはスワンのボートが行き交い若いカップルが甘い恋のひとときを楽しんで居るんでしょう。

街中も色とりどりのショップが並び、飽きることなく散策できます。最近のお気に入りは、立ち食い「いぶきうどん」。こちらは伊吹いりこ出汁で頂く讃岐うどん。出汁に香川県伊吹島で水揚げされたいりこを使用しており、うどんにかける揚げいりこも無料。こりゃ、いけますばい!¥300のかけうどんで十分満足。ほんまにいろんな店がごちゃ混ぜになったおもちゃ箱の街ですな。

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憩いの場

2019/01/18
【第1178回】

「萩咲く頃に」東京公演2ステージ無事終えることが出来ました...場所は両国、大相撲初場所開催中で、大銀杏に付けるびん付け油の匂いがなんとも色っぽい。この地には多くの相撲部屋があり、関取の歩く姿だけでレトロな町に一変しちゃいます。あのゆったりとした存在感も、この世知辛い世の中を和らげてくれる感じがしてホッとしちゃいます。稀勢の里の引退もあり、寂しいかなと思いきや、多くの人達が国技館の周辺集っています。このスポーツ、いや国技はモンゴルだろうがどこだろうが関係ありませんな。あの小さな丸い土俵上での肉弾戦は、他のどんな競技より特殊性を秘めており、飽きさせない魅力を持っているんでしょう。力士の鍛えられた肉体と大銀杏、まわし、異国の人が初めて目にしたときはなんじゃこれ?なんて思ったことでしょう。おいらが初めて子供の頃に博多で見た力士は、巨人の国から来た異人さんに見えました。12月の寒い季節なのに裸であることも驚きでした。新聞配達の後、櫛田神社近くの万行寺で見学した二所一門の激しいぶつかり稽古には身震いしまともに凝視することが出来ませんでした。そして改めて、こりゃやっぱり異人さんに間違いないと確信した次第です。

ところで、芝居は上々の出来でキャストの皆さんと、ちゃんこを食べに行きました。両国に来てちゃんこを食べないで帰るなんて失礼な気がします。これからの東北の旅の無事を祈ってちゃんこちゃんこした次第でございます。

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睦月の空

2019/01/15
【第1177回】

昨日の昼間は、明日から始まる「萩咲く頃に」の最終稽古に行ってきました。稽古を観て感心したのは、キャストの皆さんがシーン毎、時には繊細に、時には大胆に過去の表現とは違う方法で役に対する新たな挑戦をしていたこと。これは、新たな芝居を創ろうという意欲が並々ならないものだと嬉しくなっちゃいました。役者はこうじゃなきゃいけませんな!同じ事なぞってやるなんてもはや死に体でございます。なんとか役に新たな命を吹き込み、相手役に刺激を与え、より高いレベルで競い合う。プロデューサーにとっては願ったり叶ったりであります。今回は8年目を迎える東日本大震災の被災地で公演することも俳優陣も期するものがあると思います。12日、93歳で亡くなった哲学者梅原猛さんもおっしゃっていましたよ。東日本大震災については「文明災の面もある」と持論を展開、脱原発の文明論を掲げていました。脱原発社会の実現を主張し、「技術が進歩すれば自然は奴隷のごとく利用できるという近代哲学が問われている」「和の文明、利他の文明に変わらなければならない」と訴えておられました。誰かが言い続けねば、すんなりと風化してしまいこの時代。だからこそ、この芝居もやり続けます!

夜は錦糸町に「芸人と兵隊」の稽古場を覗いてみました。こちらも来月、博多での初日に向けて熱が入っていました。稽古終了後、この日誕生日でもあり還暦を迎えた柴田理恵さんのお祝いを近くのイタリアレストランでやりました。60歳とは思えない柴田さんのパワーに圧倒されながらキャスト、スタッフの和気あいあいの祝福に柴田さん本当に嬉しそうでした。

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昨日のスカイツリー

2019/01/10
【第1176回】

新しい年も始まったばかりというのに、今日、井の頭線で不満爆発のおばちゃんに遭遇しちゃいました。「若い娘に偉そうに言いやがって...あの親父」「ネチネチしてるんじゃないよ...言いたいことあったらはっきり言えよ」「孫にでれっとして...そんな気持ちあったら私にも優しくして」いやいや、ブツブツおいらの隣で喋っておりました。前の席、隣の席の人も席を移動したので仕方なくおいらは聞き役になっちゃいました。おいらも席替えすると、このおばちゃん喋るのやめるのかしら?いや、きっと寂しいんだね。おいらが受け止めてあげないと、このおばちゃん発狂しちゃうんじゃないかしらと思ってしまいました。ふと、おいらがなだめたり質問ぶつけたら、このおばちゃんどんな反応するのかしら?なんてこと考えながら7、8分は聞いていたかな。この時代、老若男女、年齢に関係なく悩み苦しんでいるんですな。おいらなんて経済的にも物質的にも決して豊かではなかったけれど、昭和平成と心豊かに活かさせていただきました。ことに戦後の昭和は面白おかしく過ごしました。そうなんですね、ものを持たない、ものがないからこそ、人は想像力をバネにして自分なりの創造物を創り出すんじゃないかしら。悩んでる暇なんてございませんことよ...その貴重な体験があったからこそ、今なお好奇心キンキラしながら日々楽しく生きてます。時代が勝手に向かって来ようと、要は己の思索に基づいて、己の心身に揺るぎ無いなにものかを持ち得ないと、この時代を乗り越えていくのは厳しいかなと思う次第でございます。

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寒い今日の空

2019/01/08
【第1175回】

「芸人と兵隊」も本格的に始動...年初から事務所フル回転でございます。稽古場は一つしかないので他の稽古場を借りて二か所での稽古。どちらもベストな芝居を創ろう!と気合十分です。まさしく人力に拠る細かく積み上げていく手法なので、役者の心身の強靭さが頼り。貰った役に如何に憑依していくか?この憑依こそが役者のレベルそのものだと思います。

ということで、「アリー/スター誕生」に続いて、「ボヘミアン・ラプソディ」を鑑賞。クイーンのボーカルだったフレディ・マーキュリーにどこまで肉薄できるか...演じたラミ・マレック見事でした。エジプト系の顔つきと目の表情が伝説のフレディを彷彿とさせてくれました。IMAXという画像、音響をアップした劇場システムで観てるとライブのシーンでは、さながら会場にいる気分にさせてくれます。これは映画館に誘い込む大きな武器になりますな。家のテレビでは味わえない臨場感は、お金を払うに十分な満足感を得ることができます。

椅子も立派だし、昔の小便臭い映画館も懐かしいけど、今の時代は残念だが付加価値を感じさせてくれないと映画館、劇場には来てくれないのかもね...それにしてもハリウッドの役者の裾野は計り知れない。探せばいくらでも居るんでしょうな実力、魅力兼ね備えた憑依者どもが...それに比べるとこの国はいかがなものかと、つい考えてしまう。でも、嘆いている場合じゃございませんことよ。おいらが信じた役者が魂込めた芝居やってくれると期待してまっせ!

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初春の新宿

2019/01/04
【第1174回】

あけましておめでとうございます。

 

今日から仕事始めです...早速、今日から「萩咲く頃に」の稽古が始まり、明日は「芸人と兵隊」の稽古が開始されます。新年早々、大忙しのトム・プロジェクトでございます。それだけ多くのお客様が期待して待ってると言うことだから、年明け早々嬉しい悲鳴でございます。とにかく3月まで3本立て続けに公演を控えているので、キャスト、スタッフ何事もなく乗り切って欲しいと願うのみです。

おいらは、年末年始のんびりと過ごしました、大晦日には近場の高井戸天然温泉(井の頭線高井戸駅にある美しの湯)でのんびり、酒を飲みながらサスケと格闘技観てました。紅白はもういいでしょう?なぜって?おいらに響く唄がないってことかな...元日は大宮八幡宮にご挨拶、2日は近くに住む妹夫婦の家でご馳走になりました。3日は「アリー/スター誕生」鑑賞。レディ・ガガの存在感に圧倒されました。話はよくある話でどうってことないのだが、ガガの魂込めた歌と演技に唯々スクリーンに釘付け状態。おいらこの映画観て確信しました。現在の世界の歌手のナンバーワンであることを...表現者としてではなく一人の人間として社会に対峙している姿、そして行動、その哲学・美学が彼女の身体を通して感じられる凄さは半端じゃありません。全てが過酷な状況の中で、彼女が手にしたものと思えます...やはり表現は生き方そのものです。新年早々、ガガの凄さに魅せられ、改めて気を引き締めて芝居創らんといかんなと思った次第でございます。

 

今年も何卒よろしくお願いいたします。

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元旦の夕暮れ