トムプロジェクト

2020/06/29
【第1357回】

今日は久しぶりにお日さまがキラキラと輝いている...昨日、東京都で新たに60人の新型コロナウイルス感染者が確認されたのに今までと違ってピリピリ感がありません。もうコロナは日常生活に織り込み済み、それとも7月5日の東京都知事選挙日までだんまり作戦。いずれにしても、究極は自分の身は自分で守りなさいってことですな。

外出が今までの様にいかない昨今、家にいる時間が多いと映画観たり、本を読んだり、音楽を聴いたりする日が多くなりますね。そんな時ふと知性なんてことを考えてました...教養があり、知識があるからといって、知性があるなんてことはありませんよね。いくら饒舌に知識の品評会やられても下品な人は沢山いますね。テレビのコメンターによく見かけます。やたら批判ばかりして、新しい価値観を生み出せない人は真の批評家ではないし品格を感じません。只単なる野次馬。たまに知性を感じさせる人も居ますね...そんな人に共通してることは孤独を知っているなと思わせる人...自分の道、信ずるものを貫けば孤独という壁にぶち当たります。その孤独の壁を前にして呻吟、苦闘した末に獲得した寂寥感のなかから孤独の核心に触れることが出来るんじゃないかと...おいらも若い頃、それを確かめたく異国の地に一人旅立ちました。果てしない知の深い森と、人種のルツボの中を旅し悪戦苦闘していました。その経験は、言葉では表現できないとてつもないものを得ることが出来たと思っています。

知性って、美しく、そして優しさだと思います。これを目指して今日から又、ゴシゴシ自分磨きをしてみませんか皆の衆。勿論、おいらもやりまっせ!

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梅雨に咲く花

2020/06/26
【第1356回】

1998年にユネスコの世界遺産に登録されたスペインのガリシア地方にあるサンチアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路は、フランスとスペインを貫く長いルート。この巡礼地を体験するために世界から集まった人達の様をドキュメントにした番組を観ました。1700㎞を二カ月ちょいかけて歩くんですから壮大な旅です。老若男女、様々な人生を抱えながら、ただひたすら歩く旅は、まさしく人生ドラマです。下手なドラマもぶっ飛ぶくらいの味わいがありました。おいらも40年前に、この巡礼路を訪ねました。スペインの中でも地味なガリシア、バスク、ナバーラ地方は素朴な美しさがありました。時にはインチキ大道芸で投げ銭もいただきました。北スペインの聖地サンチャゴ・デ・ コンポステーラの大聖堂にたどり着いたときは感動モノでした。勿論、おいらは歩きではなく投げ銭を頂き安宿と、鈍行列車とバスを乗り継いでの貧乏旅行でありました。でも、今回のドキュメント同様、各地でいろんな人達との交流は、今でも鮮明に覚えています。こちらは守るものもなく、あるがままの姿で接したのでより深く相手の懐に入っていけたと思っています。人生、虚飾が一番邪魔ですな、身に付けたものを惜しげもなく脱ぎ捨ててこそ得るものは大きいと思います。

こんなドキュメントを観ながら、いやいや、おいらもさすがに年をとったなと再確認した次第です。そして今年はコロナ、まだまだこれから先どんなお化けが出てくるかわかりませんが、ここまで来たらなんでも来やしゃんせ!なんでも楽しんで見せますから...

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スペインの田舎

2020/06/24
【第1355回】

昨日は、沖縄戦終結から75年、節目の日であった。沖縄の人たちの4人に1人が亡くなった悲惨な沖縄戦。沖縄タイムス社と朝日新聞社が実施した沖縄戦体験者アンケートで、沖縄戦の体験が次世代に「あまり伝わっていない」「まったく伝わっていない」と答えた人が全回答者216人の62・5%(135人)を占めた。「ある程度伝わっている」は25%、「大いに伝わっている」は7・4%にとどまった。75年の歳月は、この忌まわしい出来事すら風化の道を辿ってしまうのか...新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を秋田、山口で断念したのだから、沖縄の辺野古だって見直すべきだと思う。いつまで沖縄におんぶに抱っこしてるんだい!と言いたい。

1945年4月に米軍が上陸した読谷の海岸を訪れたのは5年前、静かで穏やかな海上に無数の米軍を目にしたときの住民の恐怖はいかばかりであったか、その後の数多くの悲劇は、あるゆる媒体で伝えられている。がしかし、今年のコロナの出現により75年前の出来事も小さく扱われている。沖縄のおばあが何度も何度も口にしていた言葉「戦争だけは絶対にしてはいけない」そして沖縄戦に何もしてくれなかった日本兵のことを思いながら「一生にひとつぐらい良いことをやろうと思っていますが、難しいです。私ができることは、基地建設を止めることぐらい。それができたら、今すぐにでも天国に行ってもいいです。思い残すことはありません。でも、この海を埋めるなら、海に入ってでも止めるよ」

沖縄は美しい海を眺めながらの観光地だけではありません。今なお日本の米軍基地の7割を占める沖縄。その厳しい現実を、いつも心に留めておかねばと思います。

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孤鳥

2020/06/22
【第1354回】

先週の週末は良い天気で、全国各地の行楽地では大変な賑わいでしたね。誰しもが長い自粛の呪縛から逃れ、嬉しそうな表情をしていたのが印象的でした。笑顔がある日常が最良であることは誰しもが望むところです...昨日も都内35人の感染者が出たのに、以前ほど騒がなくなったのも何だか不思議ですね。もうコロナと共生していかねばという覚悟が出来たのか?それとも知事選の影響なのか?専門家会議も含めて急に沈黙が始まったのもなんだか不気味ですね...仕方がないか、どの時代でも、権力は目に見えぬチカラが水面下で巧みに暗躍し、庶民をコントロールするのが世の常でありますから。

無観客でのプロ野球始まりました。キャッチャーのミットに収まる球音がたまらんですな。普段観客の声援で聞こえなかった様々な音がとても新鮮です。選手の掛け声が素晴らしい応援になっています。打てなくてションボリ、打たれてガックシなんてしないでその分声出してベンチを盛り上げんかい!ライオンズ昨日はボロ負け。まだまだ始まったばかり、今はこのプロ野球の選手たちが、この国を励ます役割だからしっかりと熱いプレーしてくださいね。

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可憐なヤマアジサイ

2020/06/19
【第1353回】

今日から待ちに待ったプロ野球開幕...なんだか世の中ぱっとしないご時世、ここはスカッと一投一打に酔いしれたいですな。我がライオンズ、今年も山賊打線(おいらこの呼び方気に入ってませんな。獅子脅し打線なんてのはどうでしょう)が話題になってます。秋山が抜けた影響なんてどこ吹く風、次から次に活きの良い選手が現れるのがライオンズの伝統です。ホームランバッターの山川の弟子である川越(丸坊主でひげを蓄えているのでこの選手こそ山賊に相応しいが)がお線香の青雲のテーマ曲をバックに登場する様は笑えます。2年前まで投手だった選手がスラッガーにまで成長するんですから、ライオンズのスカウト陣の目のつけどころ、コーチの指導の良さがあってからのことでしょう。あとは投手が順調に育ってくれれば言うこと無しなんだが、そうは上手くいかないのがこれまたおもしろいところですな。芝居もそうなんですが、ハラハラ、ドキドキがあってこその感動だと思います。

おいらが博多の少年時代のヒーローだった西鉄ライオンズから68年、いまだにライオンズが残ってるだけで嬉しい限りです。この歳まで諦めず応援してるおいらも野球馬鹿かもしれません。年間シートを買おうかななんて考えたこともあるくらい。

いよいよ芝居も再開されるみたいです。トムも9月の公演に向けて少しずつ準備を始めています。コロナコロナなんてばかりじゃ埒があきませんがな。

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間借りしてます

2020/06/17
【第1352回】

今日の東京も暑いですが、湿度が低い分少しは爽やかです...遅まきながら「全裸監督」観てます。伝説のAV映画監督、村西とおるの自伝を描いたドラマです。何年か前に書かれたドキュメンタリー小説も面白かったので、どうテレビ映画にするのか興味がありました。いやいや、完全に今のテレビの在り方をぶっ飛ばしていますね。当然、過激なSEXシーンはありなので地上波では無理なのはわかっているんだが、生き物にとってのエロスに対する志は高いんじゃありませんかな...俳優の演技は勿論、セットにもお金かけてるし、なによりも脚本、演出が素晴らしい。こんな作品を、子供と一緒に観る家庭なんてないとは思いますが、もしやあるとすれば子供の感想を聞いてみたいなとも思いました。性なるものに対する考え方様々だとは思いますが、どんな時代になろうとも基本的に変わらないのでは...唯一言えることは、この作品に満ち溢れる創り手の凄まじいエネルギーに比して、昨今のテレビドラマの何と希薄なことか。これじゃ、お茶の間の皆様、ぼけっとぼんやりと時間を過ごし、遂には物言えぬ民になっちまいますぜご用心。

それにしても、こんな非常事態なのに本日におきまして国会閉幕。こんな時こそ、時間を惜しんで国民のために働くのが国会議員じゃありません!このままだとまさしく税金泥棒、森友・加計・桜の会そして相次ぐ大臣の不祥事、こんな内閣を倒せない野党の泥弱さもつくづく情けない...いつになったら成熟し任されるお国の体制になるんでしょうか?あの世に行くまでには見てみたいと思いますが、所詮無理な話でございませんかね...

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新宿無宿

2020/06/15
【第1351回】

今日の東京は夏真っ盛り...またまた東京はコロナ感染者が増え出しています。新宿区が集団検査を実施したホストクラブの従業員から18人感染者が出たとのこと。皆、無症状というから困ったもんでございます。新宿だけじゃなく東京都内には無数のコロナ患者が徘徊してることが十分予想されます。こうなったら、もはやコロナありきで生活しないと社会も成り立ちません。マスクもファッションの一部、ソーシャルディスタンスも意識しながらの普段の行為などなど、いまでも人の体温が遠くなりつつあるのに更に拍車を掛ける人間関係になっちまいますな。悪者扱いにされてる夜の社交の場であるクラブのお姉さん達が、フェイスシールドを付けながら、間を置いて接客してる写真を見る度に、そんなことまでして行くお客居るのかなと正直心配さえしてしまいます。ものの見方、考え方が変化せざるをえない世界が見えてきました。勿論様々な価値観も含めて...敗戦、二つの震災のときにもその兆しはあったにも関わらず、このコロナはなんだか無気味です。目に見えない敵(いや、愚かなニンゲンに再考を促すために神様が遣わした使者かもしれませんぞ)を前にして世界はてんやわんやの大騒ぎ。このコロナの対応いかんで、その人となりが見えるときもあります。まさしく試されてるんですね。

今日も東京都48人の感染者...すべてにおいて相当緩くなってるので、またまた緊急事態宣言なんてことにもなりかねない週の始まりです。

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毎日すみませんです

2020/06/12
【第1350回】

いやいや、又もや給付金を巡って揉めてますな...おいらも中小企業コロナ助成金の申請会場に行ってまいりました。たくさんの搔き集めたであろう人たちが、それこそ汗を掻き掻き応対していました。急なことなので仕方がないとはいえ、なんだか頼りないなという印象を受けました。おいらにあたったおばさんは丁寧な応対だったんですが、こちらが間違いを指摘したぐらいですから、やはり付け焼き刃の印象を拭えませんな。それは仕方ないとはいえ、やはり不透明なお金のたらいまわしはいけませんことよ。しかも、血税ですから尚更のことです。このコロナ騒ぎで、どれほどの人たちが戦々恐々たる思いで過ごしているか...先日も、覚醒剤に溺れた25歳の女性が、夜間中学の存在を知り学ぶ喜びに浸ってる最中にコロナのために学校の閉鎖。絶望し、またもや覚醒剤の世界に戻り自死。日々、報道される老舗飲食店の閉店記事。自宅で飲食することに慣れた人たちを店に呼び戻すことは並大抵なことではない気がします。これから再開される劇場にしたって定員の半分のキャパ。様々な制限の中での苦心惨憺な商いは明日の展望を見通せない状況になっています。そんななか、税金に守られて生活している政治家、役人が疑惑紛れのことをしてるとしたら打ち首もんでございます。

そんなこんなのなか、都知事選は来月5日が投票日。あのおばさん、さすがに風を読むのはさすがです。本日、東京アラート解除、そして午後には出馬宣言。オリンピックが中止になった途端に感染者増大..."小池"にはまって、さあ大変!みたいなことにならないように、よくよく見極めて投票しましょうね都民の皆の衆。

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どっしりしなきぁ

2020/06/10
【第1349回】

横田滋さんが亡くなりました...妻の早紀江さんが、参列者へのあいさつの中で『天国で待っていて。私も行くから、忘れないで』と耳元で大きな声で叫んでいたとのこと...このご夫婦の思い言葉になりません。それにしても、北朝鮮の指導者の卑劣な行為断じて許すことが出来ないどころか、抹殺ものだと思います。しかしながら冷静に考えてみれば、この朝鮮半島の人たちも犠牲者なんですね。大国アメリカとソ連(ロシア)の代理戦争で国を引き裂かれ、今なお北朝鮮は、中国とロシアの間でうまく利用され泳がされてる事実。こんな理不尽な国、誰が見ても怒りを禁じえないのだが、残念ながら時代は常に時の権力者の思惑で動いていく。横田滋さんは、亡き川島なお美さんとの交友関係があり、いつもあの笑顔でトムの芝居に来ていただきました。挨拶もしたのですが、さすがに拉致されためぐみさんの話はできませんでした。13歳で拉致された恐怖、その後の北朝鮮での生活を想像しただけで胸が詰まる思いです。そして43年間、早紀江さんと帰国を願っての運動。どうにもできない世界の不条理を改めて痛感する次第です。

そんな愚かな人間が織りなす不当なゲームとは無関係に、自然はいつものように色鮮やかに魅せてくれます。日々濃さを増す紫陽花の色に、梅雨入りの予感を感じさせる今日この頃です。

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関東もそろそろ...

2020/06/08
【第1348回】

週明けの東京は初夏の感じですが、来週から本格的な梅雨入りらしいです...家にいる時間が多いとついついテレビを観てしまいますね。昨日はYouTubeを覗いてみました。いやいや感動しましたな。81歳のJazz好きのおばあちゃんが、死ぬまでにJazz発祥の地アメリカニューオーリンズに行きたいということで孫と一緒に行く事になった。街を散策中に黒人のトロンボーン奏者と出会い、自分が出演している1750年に建てられたという老舗のプリザベーションホールにぜひ来てほしいと誘われるが、孫が発熱してしまい行けなくなる。旅行も終わりに近づき、おばあちゃんはどうしても行きたいということで誘われたホールに行く事となる。演奏中にリクエストを訊かれたのをきっかけに、このおばあちゃんがライブのセッションに加わることと相成る。おばあちゃんがやっていた楽器がなんとドラム、実は戦時中に亡くなった旦那さんとバンドを組んでたそうだ...ここからのおばあちゃんのドラム捌きに加え、若々しく楽しく嬉しそうな表情が実にいいのだ。曲はデューク・エリントンの名曲「A列車で行こう」81年間生きてきたおばあちゃんの大切な宝物が、この異国のあこがれの地で一気に昇華した感がある。ドラムの側には亡くなった旦那さんの遺影が見守っていた。そして共演者である年老いた黒人プレーヤーがこれまた実にいい!

宿に戻り、おばあちゃんが孫に語る言葉「これからは、あなたたちの時代なんだよ...」

人生初めての海外の旅で、こんなことが起こるなんて...諦めちゃならんのよ。思えば叶う!いや、「しあわせは いつもじぶんのこころが きめる」が相応しいかな。

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雨が待ち遠しい

2020/06/05
【第1347回】

いよいよ6月19日、待ちに待ったプロ野球が開幕します...と思ってたら巨人の選手二人がコロナに感染、そして次の日には陰性。それにしても、コロナは人騒がせな生き物です。今のところ、この世のすべてのスケジュールはコロナ君に聞いた方がいいのかもしれませんな。このコロナの幻影がよぎるとついつい行動が鈍ってきます。昨日は久しぶりに外で食事したのですが、どのお店も閑古鳥状態でございました。しかも警戒地区の新宿ですから尚更かもしれませんね。それにしても、すべてを解除しておきながら大阪が感染者ゼロなんてのも不思議ですな。今や人気ナンバーワンの吉村マジックが効いたのかな?それとも何かあるのかな...あれやこれや考えすぎるのも良くありません。勿論、警戒しながらもポジティブに思考、行動しなければ息が詰まってしまいますがな。今日から我がライオンズもホームグランドで練習試合、公式戦がスタートします。パリーグテレビでじっくり観戦できるのがちょいとした息抜きでございます。無観客で寂しいなんて人もいるとは思いますが、ここはあのうるさい宗教まがいの応援から逃れられ、じっくりと選手のプレーを観れるいい機会と思ってプロ野球を楽しみましょう。プロ野球テレビ観戦の持ち味は、選手の表情、球筋などなど事細かに観察できるので、より一層野球の奥深さを味わえるということです。まさしくグランドは人生劇場でございます。

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水無月の野の花

2020/06/03
【第1346回】

昨日、東京アラートが発令...なんだか戦時下にある首都ってな感じですね。あのオバサン深刻な顔して新宿の飲食街を名指しで警告しておりました。中でも、ホストクラブ、ガールズバーなんかを挙げてましたが、もちろんキャバクラ、ゲイバー、新宿ゴールデン街なんかも入ってるんでしょうね。テレビに映し出される歌舞伎町のネオン。いつの時代にも、この歌舞伎町は、良妻賢母の方々には日本で最悪なデンジャラスゾーンとして忌み嫌われてました。確かに歌舞伎町、危険な匂いがプンプン匂います。おいらは学生時代に歌舞伎町のど真ん中に下宿したこともあります。いかがわしいニンゲンを観察するには最適の場所でありました。考えてみれば、この世は聖と俗で成り立ってると思います。長い人生の中で、聖なるもの俗なるものの間を、ゆやーんゆよーんと行ったり来たりするからこそ面白いんじゃございません。清く正しくなんて標語はあくまで建前でしかありません。俗なるものの中にこそ生きるヒントがびっしりと詰まっているんでございます。

この怪しい新宿の街から、おいらは半世紀にわたってたくさんのことを学んできました。若い頃にも、世界の危険で怪しい街に敢えて侵入し、危うく命を奪われそうにもなりましたが、それに比べれば歌舞伎町なんて可愛いもんでございます。この街でしか生きていけない人達が存在するのも確かだし、この街に行くことによって救われた者も数多く居たはずです。

街はまさしく劇場。目の敵にしないで、それなりにそれぞれに楽しもうではありませんか皆の衆。

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プリンセスミチコ

2020/06/01
【第1345回】

東京は朝から雨が降っています。そろそろ本格的な梅雨入りですね...小暮夕紀子著「タイガー理髪店心中」読了。2年前に芥川賞受賞した若竹千佐子著「おらおらでひとりいぐも」も面白かったのだが、こちらの作品も老夫婦が主役の高齢老境小説。まず文体が面白い。言葉がいきなりジャンプする様は痛快そのものである。一人息子を亡くした老夫婦の感情の揺れが繊細かつダイナミックに描かれる表題作の他、もう1編「残暑のゆくえ」は満州から引き揚げてくる苦渋の過去を引きずりながら、現在と過去を行き来しながら、日常の奥に潜む殺意、狂気を見事に描ききっている。この感覚こそが文学の持つ醍醐味ではなかろうか...

飲みにも行けない日々、好きなJazz聴きながら読書三昧の日々もなかなか贅沢なものである。

先日、稲盛財団がこの期にアート活動が出来なかった団体に3億5千万円を助成するというプラン今日発表されました。トム・プロジェクトも500万円頂きました。この苦しい時期、本当にありがたいです。民間企業でありながら、真っ先に手を挙げこれだけの事業を敢行する稲盛財団に敬意を表したい。頂いたお金、そっくりそのまま舞台を待ち望んでる全国の演劇愛好者のみなさんに、素敵な芝居でお返ししたいと思ってます。

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水無月