トムプロジェクト

2018/10/29
【第1153回】

先週土曜日、中部・北陸ブロック演劇鑑賞会第28回総会出席のため三重県津市に行って来ました。演劇が大好きだけではなく、人との繋がりを大切により良い社会を目指すことを主旨とする会です。おいらも久しぶりに参加させて頂きました。演劇は観客が居なければ成立しません。1年に6本の作品を観ている演劇通の人達なので、こちらもよりクオリティの高い作品を持って行かないと二度と呼んでもらえない緊張感があります。午後2時~6時まで真剣な討論が続いたあとの交流会。おいらのテーブルには富山、金沢、いなざわ、豊橋、岡崎、尾北、津の事務局の方々と一緒に話をすることが出来ました。会員を維持し増やしていくことがいかに大変かということをじっくりと聞くことが出来ました。ここで又、身が引き締まる思い...二次会は劇団1980の代表であり俳優である柴田氏と談笑。同じ福岡の出身でなにかと話が合うので、ついついお酒飲みすぎたかなと思ったのだが、柴田氏はおいら以上に呑んどりました、戸畑の出身で川筋気質、言いたいことはズバリと言うので人気もんじゃないかしら...この日は全国の各ブロックの総会が重なりトム・プロジェクトのスタッフも各地を飛び回っていました。東京では「男の純情」の本番中、いやいや多忙なことはいいことです。暇でどこからも呼ばれず、芝居もしてないんじゃ、とっくにトムも吐無になってますからね...改めて、気合い入れ直してよか芝居創らんといかんですばい!

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津のホテルからの眺め

2018/10/26
【第1152回】

昨日、「男の純情」無事初日を迎えることが出来ました...冒頭からラストまで笑いが絶えない舞台に仕上がりました。こんな舞台もなかなか珍しいんじゃないかしら?とにかく本が良くできてます。アメリカ、フランスにはこんな喜劇がたくさんあるんですが、こちら島国、湿度が高い日本ではなかなか生れにくい。勤勉、義理人情、とかくべたついた心情がお好きな国に育つと遊び心が無くなってくるのかしら...抱腹絶倒劇でありながら男の哀感がじんわりと滲み出てくるんですから堪りませんな。演劇も多種多様、こんなシチュエーションコメディーを書ける作家はほんまに希少価値です。長年、一緒にやってきた水谷龍二さんにはまだまだ頑張ってもらいたいですね。来年も風間杜夫ひとり芝居の新作を依頼してるんですが、やはり魅力ある役者をイメージするといい本が書けるそうです。

今回も三人三様の魅力ある役者が揃ったこその出来です。まるで当て書きしたかのような設定。芝居を観ながら、そうそうこんな人周りにいるなんて想像を膨らませながら観れるところも楽しみの一つ。笑いってあらためて難しいもんだと思います...ギャグで笑いを取るのではなく、人間の関係性、内面から零れ落ちる笑いこそ観客の心を鷲掴みするんじゃないのかな。おいらがやってるのは演劇ですからね...劇場を出て、男っていくつになっても可愛いね!なんて思ってくれると嬉しいな...なんて感じた初日でした。

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秋の空

2018/10/24
【第1151回】

先日、練馬にあるブレヒトの芝居小屋に行ってきました...ここは1977年に東京練馬区・武蔵関の辺境に on the corner をこころざして劇場を建設し、演出家・広渡常敏を中心とした約70名の劇団員が、常にアクチュアルな演劇を求めつづけた東京演劇アンサンブルの拠点であったが、来年の春には諸事情で閉めるという。芝居創りには拠点なるものがどうしても必要になってくる。じっくりと想を練り、何日もかけて形にしていく作業場に相応しい場を持ちえることは理想だ。しかし、東京の地で維持していくには相当の負担になるので、おのずから辺境の地に構えざるを得ない。でも、共に汗をかき良質なる作品を完成させるためにも、このブレヒトの芝居小屋はベストなのかもしれない。

今回は、温泉ドラゴンの「THE DARK CITY」を観てきました。天井が高い自由な空間を作品に合わせて作り上げた舞台、客席がとても心地良い。芝居の内容とこの空間がなくなることも含めての想いを込めての作・演出のシライケイタの着眼点が素晴らしい。ここ数日報道されてるジャーナリストの怪死、解放など、現代に繋がるジャーナリズムの問いに十分答えうる作品に仕上がっていた。

終演後、今一度芝居小屋を見上げると、都心ではなく辺境の地に掲げられてる演目看板と秋の空が見事に調和していた。こころざしさえあれば芝居はどこだって出来るのだ...

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こころざし

2018/10/22
【第1150回】

今年のライオンズ終わりました...よくやりました辻監督。お金のない球団に、能なしフロントを相手に辻監督の人柄、センスが選手に浸透し、のびのびプレーで開幕から一度も首位を明け渡すことなくリーグ優勝に導きました。源田、山川、秋山、浅村など若い選手が躍動する姿に何度感動したことか。今年程、数多く所沢の球場に足を運んだことはありませんことよ。都心から遠いのによくまあ、あれほどの観客が集まるのかと不思議に思ったこともありましたが、魅力溢れるプレーを魅せてくれれば観に行きたくなるのは当然ですね。おいらが好きな秋山選手のファインプレーを観る度に、これがプロ、銭が取れる選手だと思いました。

反面、今年の投手陣はほんまに情けなかったですバイ・クライマックスでのホークースとの試合、5試合で失点44点なんて、そりゃ勝てませんがな。ペナントレースでも打力で勝てたようなもの...なかでも菊池、これじゃ大リーグに行っても通用しませんよ。メンタルが弱いし、あんな球じゃあきまへん。十亀もひどかったね、この人同じ過ちを何回も繰り返す子供みたいな人ですね。守りは野球の要、ここを補強しないと来年の日本一も無理ですな。残すところ、野球も日本シリーズのみ。ここは、地道に球団を経営し育ててきた広島カープに日本一になってもらいたいですね。いまだにドーム無しの青空球場、広島市民と共に歩んできた姿、どこかの金満球団と違い好感持てますがな...嘗ての西鉄ライオンズみたいです。

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おつかれさまライオンズ

2018/10/19
【第1149回】

「音無美紀子の歌声喫茶」行って来ました...2011年の東日本大震災の一日も早い復興を願い、復興支援活動として、また、人と人との触れ合いが減っていくこの時代、コミュニケーションの場を広げ、もっと日本を元気にしたいという願いを込めて、2011年12月に仲間と立ち上げた音無さん。それ以来100回以上開催、皆さん勿論ボランティア、収益金で被災地を訪問、なんと素敵な人達でしょう。しかも夫である村井國夫さん、長女の麻友美さん、長男の健太郎さん、家族みんなでやってることがいいですね。おいら、昔から歌声喫茶には抵抗感があったのだが、この日ばかりは気持ちよく歌わせて頂きました。これも会場の雰囲気がなせる業でしょうね。本当に温かい会でした...ゲストで来ていた尾藤イサオさん、中尾ミエさんも活き活き歌い語っていました。これも無償の行為だからこそ無心になれるのではないかと思いました。誰かが誰かを思い、アクションを起こす人達が居る限り地球はまだまだ大丈夫じゃないかしら。

次回は12月18日(火)昼開演13時30分、夜開演19時、料金3500円(1ドリンク付き)恵比寿駅西口より徒歩1分、アート・カフェ・フレンズにて。予約・問い合わせ070―5549―1094です。7周年&クリスマスという催しです。

おいらがこんな告知をするのは珍しいことでございます。一緒に舞台を創ってきた、村井國夫さん、音無美紀子さんご家族の息の長い活動に大いに共感したからです。生きていれば嫌なこともたくさんありますが、こんな会に接するとほんまにほっこりいたします。

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継続はチカラなり

2018/10/17
【第1148回】

会社の近くに、ちょいと風変わりなファッションをした若者が実に楽しそうに闊歩しております。そうなんです、すぐ近くにあの有名なデザイナー、コシノ姉妹、山本耀司、高田賢三を輩出した文化服装学院があるんです。いやいや、随分とお目目を楽しまさせてもらってますがな。こんな光景、日本広しといえども新宿JR南口から学校がある約1㎞の区間だけです。まさか、おいらはあんなスタイルは無理としても、ヒントにはなりますな。常に既成の概念を打ち破り新しいものを産み出そうとする精神と行動力に拍手を送りたいですな。

その学院でショーの準備をしてたので、ちょいと覗いてました。多くの若者が集まり、試行錯誤を繰り返している様を見ていてとっても刺激になりました。芝居も同じですね、現状に甘んじていては停滞してしまいますね。それにしても、日本人の体型も随分と変わってきました。手足は長いし、顔はちっちゃいし、西洋人に見劣りしなくなってきてますね。でも、ポッコリ小柄の日本人も可愛いですよ...何から何まで、西洋崇拝、コンプレックスなんて思考はやめにしましょう。日本、そして日本人の魅力はまだまだ捨てたもんじゃございませんことよ。

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前を向いて歩こう!

2018/10/15
【第1147回】

ふとした時間、何の予定もない空白のひととき...そんな不意をつかれた脳に暫しの刺激を与えるのも楽しいものだ。現代ブラジル作家、ジョアン・ギマランイス・ホーザ著「最初の物語」を読む。南米大陸からは、あの奇才ガルシアマルケスを輩出している。我々、東洋の人間にとって計り知れない人々、出来事が日々跋扈しているに違いない。おいらにとっても南米大陸はいまだ摩訶不思議な世界である。この本に出てくる登場人物も、ずば抜けた才能をもつ子供や青年、聖人、ならず者、吸血鬼などなど多種多様だ。なんだか日本昔話を聞かされてる文体も面白い。まるで地を這う人達が、地の底から掘り起こした蠢きを天に差し出してるようでもある。まさしく、文学は面白すぎまっせ!

そんな本を読んだ後の散歩時の空も、日毎、様々な顔を魅せてくれる。なんだか空に、こちらの気分を見透かされてるなと感じるときもある。空の色、雲の形、動き、一瞬で変わる空の表情にドラマを見ているようでもある。健康な頭脳、心身あってこそのひとときだ...そんなおいらを産んでくれた亡き両親に、こんな時間を持たせてくれる周囲の人達に感謝。

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ソラミタカ

2018/10/11
【第1146回】

昨今の若者の、ある志向を反映したお店が増えてますな...先日も、ぶらり散歩してたらおもろそうなお店があったので入ってみました。店の名前が「珈琲杖」素朴な看板がいいじゃありませんか。アパートの入り口を開けるとヤギみたいな髭をはやした兄さんが仏頂面で出てきまして「席は二階です...」急な階段を上がるとレトロな空間があり8席ある席に4人の先客が座っていました。うち一組のアベックは申し訳なさそうなか細い声で会話をしとりました。わざわざ、こんな窮屈なところに来なくてもとも思ったんですが、このヒソヒソ話がまたスペシャルな快感なのかも知れませんな...残りの二人の女性は、心地よく流れるjazzを聴きながらの読書。ここは、まさしく日常から逃れひとり静かに過ごす時空間なんですね。

先日にも紹介しました井の頭公園にある「トムネコゴ」と発想は一緒なんです。自分の拘りを徹底しお客を選んでるんですね。それは良しとしても、おいらが心配したのは、こんなやり方で商売なるのかしら?少ない客席に一杯¥520の珈琲、どう計算しても儲けまでは到達しないんじゃありませんがな...そうなんです!彼らは商売でやってるんじゃありません!彼らの生きる哲学から始めた店なんです。その哲学に共鳴した人達が来るだけで、生きてる実感を確かめたいんです。まあ、それだけ人とのコミュニケーションが難儀になったってことですかね...この時代、一体何を心の糧にしていいのか分からない心の難民が漂流してる気がします。その意味では、こんな主張の仕方での表現、おいらは歓迎しますのことよ。

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独立独行

2018/10/09
【第1145回】

連休も終え季節は秋に向かっています...渥美清さんの俳句を集めた「風天 渥美清のうた」読了。若い頃、寅さん映画は盆と正月と2本観てました。おいらも風天みたいな生き方してたんで、大いに共感し同志愛みたいなものを感じてました。多くの観客も、高度成長経済の真っただ中にいて、寅さん的な生き方に憧れを感じながら観てたんでしょうね。その寅さんが、こんなにたくさんの俳句を作ってたなんて正直びっくりしました。この俳句の中から見えてくるのは、映画に出てくる車寅次郎、俳優・渥美清、本名である田所康夫、そして俳号である風天。言葉の端々、情景、心情からこの四者が見え隠れする...あの厳しい芸能の世界で、あれほどの芸を披瀝しながら心中は自然界、人間界の細やかな形象に心していたんでしょうね。力なき小動物、弱者に対する眼差しは句にくっきりと刻まれています。

僕の好きな俳句は以下の句です。

 

だーれもいない虫籠のなかの胡瓜

ゆうべの台風どこに居たちょうちょ

好きだからつよくぶつけた雪合戦

赤とんぼじつとしたまま明日どうする

お遍路が一列に行く虹の中

ひぐらしは坊さんの生まれかわりか

貸ぶとん運ぶ踊り子悲しい

おふくろ見にきてるビリになりたくない白い靴

 

おいらも一句

風天の思いの丈は無常かな

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そろそろ色づき始めました

2018/10/04
【第1144回】

我が家の月下美人10年振りに咲きました...そりゃそうだ。水だけ与えて他は知らん顔、そうは簡単に咲きませんがな。この月下美人とは、サボテン科・クジャクサボテン属に分類される着生サボテンの1種です。自生地のジャングルでは、老樹の幹や朽ちた木、腐葉土の上などに根を張り育ちます。数日前から、蕾が現れいつなのか?今年も駄目なのか?とやきもきしたんですが、時間は8時、一瞬の間で開きました。この時間はまさしくドラマ、感動もんでございます。なんと言っても一晩限りのご開帳、なんともったいぶった植物でございましょう。しかも香りが良いときたもんで幸せな気分にさせてくれます。月下美人の花は、強い香りを放つことで知られています。「甘く気持ちのよい香り」「上品な香り」「優雅で心地良い香り」と表現される、ジャスミンに似たやわらかい香りで、香水のように鼻をさすような刺激がないことが特徴です。ここでjazzなんぞを聴きながらワインなんぞのシュチュエーションならば、我が家は天国でございます。

ベランダの前の木々も秋の気配を感じます...こうやって周りの自然と共に時の移ろいを堪能できる環境に感謝です。世界から樹木がなくなり、青い空が見えなくなったら...日々、目にする何気ない風景こそ人間にとってかけがえのないものですぞ。

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やっとだね...

2018/10/01
【第1143回】

いやいや、10年ぶりに我がライオンズが優勝しました。毎年毎年、寂しい思いをしたのでとっても嬉しいです。今年は所沢の球場にも良く通いました、終盤にホームランで逆転するたびに狂喜乱舞いたしました。周りのファンとともにおいらには珍しくハイタッチ、こんなことするおいらに驚くほどの喜びようでございました。この神がかった奇跡の逆転劇で手を叩きすぎ腫れちゃいました。なんだか昭和30年前後、西鉄ライオンズに夢中になったキヨシ少年が舞い戻った感じです。なんでこんなに、たかが野球に舞い上がってしまうんだろう...ライオンズが勝利したからって何か得があるのかしら?そうなんです、少年は損得で生きてるんじゃございません。憧れのチーム、選手が活躍するだけでウキウキしちゃうんです。大人になると、このウキウキ感が減少し夢を見なくなっちゃうんですね。野球少年だったおいらは大人になっても、ライオンズを忘れることなく心の宝物としていつもピカピカと磨き続けました。ライオンズと共に生きてきたといっても過言ではないでしょう...こんなものを持ち続けた幸せを痛感いたします。

今年の優勝は辻監督の功績が大です。西武ライオンズ時代に名二塁手であり地味な選手であったのだが、このチームを率いて2年、個性あふれる選手を見事に使いこなす頭脳、人柄があったからこそだと思ってます。監督が目立つチームはいずれ駄目になります...いまはそんな時代ではありません。多種多様な選手をいかに活かすか!それがピタリとあたりました。暫くは辻監督で行きましょう...と、おいらが思ってもフロント次第、あまりお金がない親会社西武だから、あまり期待はしておりませんが、選手がのびのびと楽しくやってる限りファンは応援しますから大丈夫でございます。出来るなら日本一になってくださいね!フレフレライオンズ!

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やった!ライオンズ