トムプロジェクト

2018/10/24
【第1151回】

先日、練馬にあるブレヒトの芝居小屋に行ってきました...ここは1977年に東京練馬区・武蔵関の辺境に on the corner をこころざして劇場を建設し、演出家・広渡常敏を中心とした約70名の劇団員が、常にアクチュアルな演劇を求めつづけた東京演劇アンサンブルの拠点であったが、来年の春には諸事情で閉めるという。芝居創りには拠点なるものがどうしても必要になってくる。じっくりと想を練り、何日もかけて形にしていく作業場に相応しい場を持ちえることは理想だ。しかし、東京の地で維持していくには相当の負担になるので、おのずから辺境の地に構えざるを得ない。でも、共に汗をかき良質なる作品を完成させるためにも、このブレヒトの芝居小屋はベストなのかもしれない。

今回は、温泉ドラゴンの「THE DARK CITY」を観てきました。天井が高い自由な空間を作品に合わせて作り上げた舞台、客席がとても心地良い。芝居の内容とこの空間がなくなることも含めての想いを込めての作・演出のシライケイタの着眼点が素晴らしい。ここ数日報道されてるジャーナリストの怪死、解放など、現代に繋がるジャーナリズムの問いに十分答えうる作品に仕上がっていた。

終演後、今一度芝居小屋を見上げると、都心ではなく辺境の地に掲げられてる演目看板と秋の空が見事に調和していた。こころざしさえあれば芝居はどこだって出来るのだ...

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こころざし

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