2018/10/09
【第1145回】
連休も終え季節は秋に向かっています...渥美清さんの俳句を集めた「風天 渥美清のうた」読了。若い頃、寅さん映画は盆と正月と2本観てました。おいらも風天みたいな生き方してたんで、大いに共感し同志愛みたいなものを感じてました。多くの観客も、高度成長経済の真っただ中にいて、寅さん的な生き方に憧れを感じながら観てたんでしょうね。その寅さんが、こんなにたくさんの俳句を作ってたなんて正直びっくりしました。この俳句の中から見えてくるのは、映画に出てくる車寅次郎、俳優・渥美清、本名である田所康夫、そして俳号である風天。言葉の端々、情景、心情からこの四者が見え隠れする...あの厳しい芸能の世界で、あれほどの芸を披瀝しながら心中は自然界、人間界の細やかな形象に心していたんでしょうね。力なき小動物、弱者に対する眼差しは句にくっきりと刻まれています。
僕の好きな俳句は以下の句です。
だーれもいない虫籠のなかの胡瓜
ゆうべの台風どこに居たちょうちょ
好きだからつよくぶつけた雪合戦
赤とんぼじつとしたまま明日どうする
お遍路が一列に行く虹の中
ひぐらしは坊さんの生まれかわりか
貸ぶとん運ぶ踊り子悲しい
おふくろ見にきてるビリになりたくない白い靴
おいらも一句
風天の思いの丈は無常かな
そろそろ色づき始めました