トムプロジェクト

2016/05/30
【第822回】

神戸で「神戸芝居カーニバル」を長年主催している中島淳さんに呼ばれ講演してきました。中島さんはトム・プロジェクトの最初の公演、片桐はいりの一人芝居を神戸に呼んでくれた人です。おいらより年長なんだがサムライ然とした佇まいをした粋な関西人です。昨日は第15回中島淳のアジト談義ということでおいらがゲストとして招かれた次第です。おいらの肩書に、理の当然、情を立てるプロデューサーなんて書いてありました。二時間ばかり話をしたのですが皆さん喜んでくれたみたいでほっとしました。スペイン放浪の話、勿論芝居の話、おいらの波乱万丈の人生の引き出しのいくつかを、面白おかしく聞いてくれました。考えてみれば、日曜日の貴重な時間、そしてお金をおいらのために費やしてくれてるんだから、つまらん談義になってしまうと申し訳ありません。そこはおいらも元役者でございます。集まった人たちの顔をしっかりと見つめ、言葉に緩急をつけながら、居眠りさせないように話しました。

評判良かったのか、そのあとの飲み会にもたくさんの人が来てくれました。そして二次会は神戸と来たらジャズですね。中島さん推薦のジャズライブ&レストランソネに連れてってくれました。神戸の素敵な夜をおいらの大好きなジャズで締めてくれた中島さんありがとう。そして楽しい一日を過ごさせてくれた神戸の皆さん又逢いましょうね。

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ライブ中、撮影禁止のためこっそり撮ったソネ

2016/05/27
【第821回】

東京都武蔵野市の井の頭自然文化園で飼育されていたメスのアジア象はな子が亡くなりました...おいらも3年前に挨拶したのが最後でした。果物をひとつひとつ丁寧に長い鼻で取り上げてる様が、まるでお客さんにサービスしている優しい気遣いに感じられました...なんと言っても動物園の花形スターだったので、はな子も気苦労が大変だったのでなかろうか。でも、こんなに長く生きられたのは、飼育員さん達の愛情もさることながら、はな子見たさに集まってくる人達の笑顔が支えだったと思う。同じ生き物として以心伝心、相手次第で気分も良くなり体調も万全となるものだ。3年前も、もうそんなにサービスしないで早く休んだらと心配したのだが、時間延長サービスで、いつまでもいつまでも愛嬌を振りまき象舎に戻ることがなかった...

それにしても、動物園は必要なんだろうか?確かに、子どもたちに動物を知って貰う唯一の施設ではあるのだが、あの動物園にいる生き物の、まるで精気のない死んだような表情を見ていると悲しくなってしまいます。ニンゲンの勝手な欲望で捕らえられ、世界の動物園に売買され見せ物として生きざるを得ない境遇に納得できないモノを感じてしまいます。せめてものアフリカケニアの自然動物園、日本で言えば大分県の高崎山自然動物園くらいにして欲しいと思います。監獄同然の檻に入れられた動物と対面したって、何話したらいいのか戸惑ってしまう年齢になっちゃいましたおいらです。

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はな子

おつかれさまでした

2016/05/25
【第820回】

今年も咲きました...2009年に、トム・プロジェクトが第43回紀伊國屋演劇賞 団体賞を受賞した時に貰ったお祝いの花です。事務所のベランダに何気なく、肥料、栄養剤を与えることなくエアコンの室外機の上にちょこんと乗せているのだが、毎年5月に約束したように清楚で綺麗な花びらを見せてくれます。これを見るたびにまだまだガンバランバと思えてきます。この季節の新緑を含め、自然界の息吹に触れるたびに新たなエネルギーを頂きます。もう十分やってきたから、そろそろ身を引こうかなと...なんて気になったときに、目に染み入る若葉を見るにつけ、好きな仕事させていただいてるのに、申し訳ない気持ちになってきます。雨の日も風の日も、全力で命を全うしてる自然界の生き物に叱咤激励されてるのかな...おいらが住んでるマンションの庭の樹木も、あっという間に森に変貌してしまいました。3月頃に庭師が樹木の枝をバッサバッサと切り落としていくもんだから、今年は葉が少なくなるのではと心配していたのだが、なんのなんの、若くて活きのいい葉っぱちゃんがニョキニョキと顔を出してくるじゃありませんか!おいら嬉しくなって思わず「ありがとう!」なんて声かけちゃいました。木々たちも声をかけてもらうと嬉しいみたいですよ...

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今年もありがとう!

2016/05/23
【第819回】

この良い季節に、世の中は舛添疑惑と、沖縄、東京での二人の娘さんの殺人事件で沈痛な気持ちと怒りで心が晴れません...猪瀬、舛添とよくまあこんな人を選んだ東京都民のセンスの無さ、石原だって然り。人材が居ないと言っても、この三人に共通する目立ちたがり屋精神、顔見みれば判るでしょうが...男の顔は履歴書ですぞ、どう見たって庶民の味方には見えんと思うんですが、こんな世の中ですからついつい期待しちゃって一見強そうな男を選んでしまうんですね。男のほんまもんの強さはこんなもんじゃございませんことよ...それにしても舛添の税金泥棒にも匹敵する金銭感覚には呆れてしまいます。政界にいたときの風見鶏風情からして怪しいのに、すっかりまたしても東京都民騙されてしまいました。辞任した後、誰がなるんかね...橋下?蓮舫?東国原?...???にならざるを得ない日本国の政治家不在には、本当に嘆かわしい限りです。

沖縄...いつまで沖縄にアメリカ基地の負担を丸投げさせるんでしょうかね。沖縄が日本に復帰して、本土が肩代わりしようなんて議論を真剣になされたことがあるだろうか?いつもないがしろにして逃げてきた国家、国民大いに反省しなければいかんと思います。今回の事件、このままの状態では無くなることはないでしょう。日本を他国の脅威から守るために日本全土の0.6%にすぎない沖縄県に在日米軍基地の75%が集中しているという現実は、まさしく異常である。ほんなごつ日本の皆々様、沖縄の人達の身になって智恵しぼらんと、いつまでたっても変わりませんぞ!隣に基地が来ることもあります。そのときは気持ちよく受け入れましょう...他人の痛みが分からん生き物はニンゲンじゃございません。

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平穏な日々

2016/05/20
【第818回】

からっとした気持ちがよい日が続いていますね...昨日はKAKUTAの「アンコールの夜」を観てきました。工藤直子「ねこはしる」を基に桑原祐子さんが構成・演出・脚本を担当した作品です。会場にはいがぐり頭の少年20人、一歳未満の子供を抱えたお母さんたちが8組座席に座っていました。芝居が始まると、当然泣き出す赤ちゃんも居るのだが途中退席も可能。自由な雰囲気の中で芝居は進行していったのだが...おいらがどうしても気になるのは、幼児が観劇しているときの表情...舞台よりもそちらの方に、ついつい目がいってしまうんです。つぶらな瞳が真剣になったり、笑ったり、声だしたり、しかめ面になったりと百面相。勿論、言語の意味は判らないのだが、この子達の何ら手垢がついていない純真無垢なる魂は何を観、何を感じているのか...大いに興味があるところだ。この子達が受信している中身を分析すると演劇の本質に肉薄できるのではなかろうか?なんて思っちゃいました。

残念ながら、この社会では無垢なる魂も、競争社会の中で知恵をつけ、生きるために手に入れざるを得ない日々の中で手垢がつき、モノの本質が見えなくなり、苦しみ悶えながら死んでいくのでございます...とすれば、いくらかでも、あの日、あの時のピカピカの魂を取り戻す生き方を求め、少しでも綺麗な心身で死んでいきたいもんでございます。

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川面

2016/05/18
【第817回】

一昨日、埼玉県志木市で今年の風間杜夫一人芝居「正義の味方」がスタートしました。再々演になるのですが、この日の公演を観て、なるほど芝居は歳月を重ねて熟成するものであることを再認識した次第です。勿論、風間杜夫という役者が人間として過ごした時間、俳優としてこなした仕事の両者を含めての積み重ねが、舞台上に見事に結実しているさまを見るにつけ、まさしく役者の仕事は生き方そのものだと、改めて思った次第でございます。一人芝居は確かに難しいジャンルです。下手すれば退屈極まりない演目になってしまいます。つまらん役者を一時間半観せられてごらんなさい、そりゃ苦痛、拷問以外の何ものでもありませんことよ...この一人芝居の面白さは、当然のことながら登場しない相手役を観客が想像する楽しみにあると思いますね、風間杜夫の絶妙の間と、愛嬌と、色気と、エネルギーあってこそ成立する世界であることは確かなことなんですがね...

終演後、いつものように一杯やったのだが、酒がすすむ中「来年もやろうか!」という言葉が飛び出す始末。この辺の乗りの良さ、意欲、とても67歳になった人とは思えません。死するまで、芸に対する飽くなき闘志が衰えることなく舞台人として突っ走っていくんでしょうね...

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志木市にあった古い蔵

2016/05/16
【第816回】

唐組のテント芝居観てきました...蜷川さんが亡くなり、アングラなるものが昭和と共に遠くなってきている今日この頃、半世紀の長きにわたり変わらず新宿花園神社でテント芝居を興行している唐十郎さんには頭が下がります。新宿の新緑の中で聳え立つ紅テントを見ると何故かほっこりいたします。おいらにとっての演劇の原点かも知れません...テントの中で繰り広がる荒ぶる魂に何度打ち震えたことか...芸術、文化を超越してニンゲンの存在の凄さを魅せつけてくれました。亡くなった蜷川さんも、唐さんに影響され負けたくない一心で数々の傑作を創っていったに違いありません。

今回の演目は「秘密の花園」この作品は1982年に下北沢本多劇場のこけら落とし公演として、緑魔子、柄本明、清水紘治のトリオで上演され、その後劇団唐組が98年と99年に紅テントで上演している。聖と俗がクロスする唐十郎の傑作の一つだが、今回のヒロイン藤井由紀さんが素晴らしい。美人女優だけに、唐十郎の文体を身体化していく作業は並大抵のことではないのだが、唐さんとの長年の創作現場の中から遂に掴み取ったという感じがして嬉しくなりました。ラストに舞台後方の装置が取り払われ、花園神社の赤い鳥居に佇む由紀さん素敵でした。美しいスタイル、ルックスについつい魅とれてしまいましたよ...

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紅テント

2016/05/13
【第815回】

蜷川幸雄さんが亡くなった...おいらの観劇体験のなかでも、1969年新宿文化シアターで上演された現代人劇場『真情あふるる軽薄さ』は鮮烈な記憶に残る作品であった。劇団青俳を岡田英次、石橋蓮司、蟹江敬三と共に退団し新たな集団を結成し演出家としてスタートした蜷川幸雄の才気が一気に花開いた瞬間でもあった。芝居が終わり扉を開けると、機動隊が盾を手にして帰りの客を阻止する演出には一瞬恐怖さえ感じました。まさに時代の空気を演劇の中に取り込む手法は、世界のニナガワを十分に予見されるものであった。芝居をやってないときは新劇反戦なるヘルメットを被り新宿東口広場に立つ姿を度々目にすることもありました。小劇場から商業演劇への変身にはバッシングはありましたが、以降優れた作品を生み出したことは紛れもない事実です。絵描き志望だけあって、舞台美術、音響、照明、どれをとっても資本の力を余すところなく活用して自分の美学を貫き通したところはさすがです。旬の役者を起用して演劇観客の動員に弾みをつけたことも功績のひとつかな...

いずれにしても、こんな演出家はそうそう出現するものではございません。天国で、先に旅立った盟友蟹江敬三さんと共にお疲れ様会をやってくださいね。

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合掌

2016/05/11
【第814回】

昨日、錦糸町の稽古場に顔を出しました...風間杜夫ちゃん絶好調。6本目になる一人芝居「正義の味方」も今年で三年目、67歳になるのに相変わらず元気印。好きな芝居をして好物の焼酎嗜んで、隙間の時間に麻雀三昧。こりゃ丈夫なはずですわ、ストレスたまらんもんね...といっても役者という生業も複雑怪奇で他人には言えない苦労もあると思いますよ、でも仕事が途切れることなく現役で役者稼業を続けられてることが、ストレスを引き起こさない最大の要因なんでしょうね。稽古が終わるといつものように稽古場飲み会が始まります。時には稽古時間よりも飲み時間が長い時もしばしばありますよ。芝居は役者だけで出来るもんでございません、スタッフの大きな力があってこそのことでございます。そのことを一番わかってる杜夫ちゃん、自ら宴会部長をかってでて宴会を盛り上げます。こんなところも人に愛される役者さんなんでしょうね。彼と出会って43年、再会し一人芝居を渋ってた彼を口説いて始めた一人芝居も19年になります。一人芝居でたくさんの賞も頂いて、海外公演もたくさんしておいらも嬉しかですよ。勿論、一人芝居という難敵に敢然と立ち向かい挑戦していった杜夫ちゃんの役者魂に乾杯です。

いよいよ、来週の16日、埼玉県の志木市の公開舞台稽古から、再々演の一人芝居「正義の味方」が東京、地方を含めて25ステージ、7月5日まで上演されます。これが最後でございます。この芝居見逃しちゃいますと、一生後悔しますよ!皆の衆。

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シャクナゲ

2016/05/09
【第813回】

GWも終わりまたまた仕事でございます...おいらは妹の娘の結婚式で博多に行っとりました。この子、結婚するんかしら?と心配してましたが、なかなかいい旦那をゲットいたしました。おっとりしててもやるときは勝負するんやな、いや可愛い顔してるんで旦那はんが猛アタックしたのかな...博多の教会で式をあげ素敵なレストランで披露宴。おいらが乾杯の挨拶、なんで俺なんやと思いながらも心温まるメッセージを伝えましたよ。おいら正直言って結婚式あんまり好きでございません。美辞麗句を飾り立て、別れるのかもしれんのにと思うと何だかしらけてしまいますな。その点、葬式は亡くなったんだから思い切り褒め称え気持ちよく送ることができますな...

博多の街は「博多どんたく」で大賑わい。久しぶりに観ることが出来ました。子供の頃は花電車なんかが行き交い、そりゃ夢みたいな世界でした。西鉄ライオンズも強くて、平和台球場にどんたくシリーズ観に行ったな...相手チームは南海ホークス、なんと今のソフトバンクホークスでございます。世の中、ほんまに何があるかわかりませんな。

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博多どんたく港まつり