トムプロジェクト

2020/12/28
【第1428回】

昨日、無事「砦」東京公演の千秋楽を迎えることが出来ました。本当に嬉しいです!9月にやっと再開できた「百枚めの写真」以降、コロナの感染状況を見極めながら、いつ中止になるかハラハラドキドキの日々でございました。トムの社員、キャスト、スタッフも同じ心境だったと思います。もしや自分が感染してしまったら公演中止?なんて考えると自ずから日々の行動に制限が掛かってしまいます。その至難を乗り越え事故もなく全公演を成し得たことに感謝です。勿論、トムの芝居を呼んで頂いた演劇鑑賞会、市民劇場の方々のチカラがあってこその4ヶ月でした。改めて、芝居の神様が私達を見守ってくれたんだなとも思います。芝居の神様は厳しい神さんですが、ひたむきに芝居に向けて全身全霊を傾けている輩には必ず手を差し伸べてくれます。その反面、いい加減な輩には、かなり手厳しいと聞いております。

昨日のラストステージ、5人の役者の人間に対する愛しいほどの愛情が溢れていました。

今年は、コロナに尽きます。これも人間の所業から生まれたウイルスだと思います。人間ほど傲慢な生き物はいない...己がやってきたことには己で解決しかありません。もう一度、今の世界の現状に厳しいメスを入れ、人が人としてまっとうに生きられる世の中に戻さないと取り返しのつかないことになってしまうに違いない。一人一人が心してこのことに真摯に向き合い、新しい年を迎えて欲しい!自戒の念も込めてでございます。

今日が仕事納め...一年間本当にありがとうございました。

2021年は良い年にしたいですね!

では、皆さん安全で楽しい年末、年始をお過ごしください。

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2020年
ありがとう~さようなら

2020/12/25
【第1427回】

昨日、無事に「砦」東京公演の初日を迎えることが出来ました...東京で過去最高888人のコロナ感染者が出たとのニュースが流れ、あちゃ!と思ったのだがキャンセルも1人で済み、逆に当日券も出ましてほっといたしました。久しぶりに観る「砦」なかなかいい仕上がりになっていました。中国地区の市民劇場の方々の温かい激励と支援が大きな励みとなり、キャストの皆さんの演技の質が更に向上したと感じました。まさしく芝居は観客に育てられ成長するものだと再認識した次第です。高齢者である、村井さん藤田さんの年齢を感じさせない気迫に満ちた立ち姿に役者魂を見せつけられる思いです。人間歳なんて関係ありません。

あの幻の詩人サムエル・ウルマンの言葉を思い出します。

 

青春とは、人生の一時期のことではなく、心のあり方のことだ。
若くあるためには、創造力・強い意志・情熱・勇気が必要であり、
安易に就こうとする心を、叱咤する冒険への希求がなければならない。

人間は年齢を重ねた時老いるのではない。
理想をなくした時老いるのである。

 

原口、浅井、滝沢、三人の役者さんもベテランの二人を見事にサポートしています。この芝居の意図を見事に理解し、この芝居の伴奏者の役割を十分に果たしていると思います。主旋律と副旋律が見事に調和して、この芝居のテーマである気骨と優しさを生み出してる。

あと3ステージ、無事に終えることを祈るのみです。

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Merry Christmas

2020/12/22
【第1426回】

昨日、来月上演する「モンテンルパ」の稽古が始まりました...大和田獏さん、島田歌穂さん、はじめ出演者全員が元気な姿で稽古場に来ました。シライケイタさんはトムでは初めての作・演出です。膨大な資料の中からどこにフォーカスを当てるか、どのように構成し、限られた時間の中でいかに人間ドラマにしていくかなどなど、劇作家の作業は試行錯誤の中から生み出されて行きます。台詞だけで文字を埋めていく作業は、他のジャンルの作品と比べても格段に難しい分野だと思います。ただ書き込めばいいというものではなく、台詞の中に秘められたニュアンスこそが命です。あーでした、こーでしたでは説明台詞になってしまい、本読めばいいじゃん!なんてことになりますから劇作家の苦労は並大抵のものではありません。その命を削って書かれた台詞に、血肉を付けていく作業が役者の仕事です。言葉をまっさらなまな板に載せ、いかに調理していくか?ここが役者の感性、力量が問われるところであります。昨日の初めての本読みとても新鮮でした...ここからの一歩から、初日に向かう過程は、赤子が一人前の人間に成長するもう一つの物語です。

そして、今週24日から「砦」東京公演の幕が開きます。感染が止まらないコロナとの戦いでもあります。先日、キャスト、スタッフ、トムの社員で受けたPCR検査、全員陰性でした。さあやるぞ!と気勢は上がってはいるんですが、なんとかコロナちゃん収まってくんろ...と祈るばかりでございます。

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冬至

2020/12/18
【第1425回】

不要不急の外出自粛の中『1917 命をかけた伝令』を鑑賞。本年度アカデミー賞にて撮影賞など3部門で受賞した名匠サム・メンデス監督の作品。第一次世界大戦のなかドイツ軍と戦うイギリス、フランス連合軍が、陣地を撤退したドイツ軍を追撃する部隊に重要な伝令を伝えに行くイギリス兵士の話。いやはや危険な戦争地帯を兵士と一緒に歩いている緊張感がたまりませんでした。シンプルなストーリーなんだが、全場面ワンカットのような撮影が効果を発揮し、主人公の心理に同化していく展開に感服した次第。主人公の目線がそのままカメラになりきっており、しかも情景を巧みに変化させる手法は、監督サム・メンデスが優れた映画監督であると同時に、トニー賞受賞の名舞台演出家であることでわかりました。演劇的な映画であるからこそリアリティがあるんですね。芝居も嘘はすぐわかります...丁寧に一つ一つを積み重ねてこその表現であることは映画も芝居も変わりません。おいらとしては韓国映画「パラサイト」よりもこの作品の方が作品賞に相応しいと思いました。

それにしても、昨日の東京のコロナ感染者822人、全国3207人いずれも過去の感染者数を更新、なのにモグモグ幹事長、昨日も今日も忘年会を予定してたんだって...医療関係者、様々な民間業者大変な思いをしてるのに、これら政治家の皆さんはじめ、公務員の方々は給料が下がるわけでもなし、とりあえず生活基盤は保証されてるんですね。しかも国民の血税で...こんな責任感、使命感のない政治家に呆れ、怒りを通り越して絶望に近い思いを抱いている人たちが沢山いるんじゃないかしら...こんな非常識極まりない有体でも暴動が起こらない起こさない日本国民、あらためて本当に優しいですね。

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冬の青空

2020/12/16
【第1424回】

今日も寒いです...今飛び込んだニュース、東京都によると、16日に都が確認した新型コロナウイルスの感染者は678人、1日の感染者としては過去最多を更新しました。来週に「砦」の公演を控えているトムとしてはひやひやもんでございます。がしかし、劇場の観客席は安全なところです。普段の席を半分にして、検温、消毒も完璧にしてますし、マスク着用で会話をすることもないし感染率は低いと思っています。勿論、キャスト・スタッフはPCR検査で陰性を確認して舞台に臨んでいます。

様々な分野で国の援助を受けてますが、やはりアート分野への助成は非常に薄いと思っています...まずは衣食住を重視するのは当然ですが、アートがのびやかに羽を伸ばしてる社会には希望があります。こんな時こそ、コロナで疲弊した心身を癒やそうではありませんか!と提言したい。確かに不要不急の外出を控えるに越したことはありませんが、生の舞台には、困難な状況に一筋の光明を見いだすことがあります。と言っても、この状況、どうしてもと言えないところがもどかしい。

それにしても、ガースーちゃんの忘年会は驚きましたな。Go Toトラベル キャンペーン一時停止発表直後に飲み会やるんですから、大した度胸してますな...肝心なところで、その度胸を発揮せんと最後は笑いものになっちゃいますがな。

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井の頭公園

2020/12/14
【第1423回】

いよいよ寒波がやってきました...寒さはまだしも、やはりコロナが心配です。それにしても菅義偉首相が11日のインターネット番組で「ガースーです。よろしくお願い申し上げます」と自己紹介したことにはアチャー。コロナで失業した人、お店を廃業した人、医療従事者や介護従事者等感染のリスクを負いながらも懸命に働いている人達はどんな気持で聞いたんでしょう...この人、陰で上手く立ち振る舞うのは巧みなんだろうけどトップは無理だね。

今日、割烹中嶋でいつもの鰯の刺身を食べて後、隣のビルにある新宿ビームスジャパンの1階を覗くと「新宿ゴールデン街」なんて看板が掛かってるではないか...なんだろうと思って入ってみると、なんと「桂」「まえだ」のネオンがキラキラしている。このお店のオーナーは既になくなっている。ゴールデン街の名物ママとマスターの店であった。半世紀前の「まえだ」には当時名だたる作家、映画監督、俳優が夜毎来店していた。業界では先生とちやほやされていたのだが、まえだのママの前では罵声と怒号でおとなしくしていた。佐賀出身のママの「なんばえらそうにしとうとか!」の威勢のいい声が今でも耳に焼き附いている。四国出身の中島ちゃんがやっていた「桂」も美空ひばりをはじめ、大物芸能人が出入りしてた店であった。食べ物は乾きもんだけ、野球帽をちょいとずらして被ったマスターは映画、演劇をこよなく愛しているのだが毒舌のあまり客との諍いが絶えなかった。ご機嫌の時は雑然と積まれたEPレコードのなかから、石川セリ「八月の濡れた砂」を良く掛けていた。当然の如く針飛び、擦れ音も味の内、場末の飲み屋によく似合っていました。

コロナ禍で苦戦している新宿ゴールデン街、二人の先輩は心配のあまり天国でも安心して飲めない日が続いているんではなかろうかと心配しとります...

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なつかしか...

2020/12/11
【第1422回】

11月6日の相模原演劇鑑賞会から始まった「砦」の公演、今日、広島市民劇場で無事終えることが出来ました。このコロナ禍のなか25ステージ、感慨深いものがあります...連日感染者数の数が更新される度に、もしや?なんて不安がよぎり緊張を強いられる日々でございました。今回の旅「砦」に関わった人達に唯々感謝あるのみです。おいらも最後の広島公演に行く予定だったんですが中止することにしました。出来るだけリスクを避けることを考え行動することしか手が打てない状態です...ほんなごつ市井の人達は努力してるのに、あの小池のおばちゃんにはまいりましたね。「ひきしめよう」の6文字を使った標語で警戒を呼びかけ得意げに説明しとりました。言葉遊びしてる余裕なんかありませんよ!以前にも「5つの小(こ)」なんてこと言ってました。あんたこそ、ひきしめなさいよ!と言いたい。首相は相変わらず、全国旅行業協会会長(Go To キャンペーン推進者)2F幹事長に忖度してキャンペーンを止めることが出来ず、お目々が死んどりますがな。

本当に困ったもんでございます。いつの世も、国家なんぞは頼りにしちゃなりません...自分の身は自分で守るしかないということですな。

さて、今年最後の公演「砦」、12月24日~27日まで「すみだパークシアター」で上演します。コロナコロナで振り回された一年、なんとか有終の美を飾りたいものでございます。

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今年も見事なメタセコイア

2020/12/09
【第1421回】

昨日から「砦」の公演、広島に入り呉市市民劇場を無事終えることが出来ました。今日から広島市民劇場の3ステージを残すのみ...全国で感染が拡がる中、毎日ハラハラ、ドキドキ、まさしく針のむしろ状態でございます。芝居に限らず、こんな心境で皆さん過ごしているんではなかろうか...大阪、旭川なんぞは自衛隊看護師派遣を要請、えらいことになっています。策士幹事長の睨みが怖くて、日々与えられた文書を読み上げるトップで大丈夫なんでしょうかね?なんだかこの重荷から一刻も早く逃れたいなんて気持に見えますぞ。

それに比べて、一昨日の新庄剛志選手のプロ野球トライアウトは見事でございました。現役を引退して15年振りにプロ野球選手をやりたいという志にあっぱれ!トライアウトに臨んだ新庄選手の体つき表情、とても48歳には見えません。「自身自身がしっかりとした野球のスタイルを見せたいと、自然とこうなった」男やると決めたらこうじゃないといけませんな。はつらつとしてプレーもまるで高校球児みたいに見えましたし、プロで活躍しただけあって華がありました。最終打席にヒットも打ち「楽しいね。打席に立ったとき野球をやっているという気になれた。小学校の時、空き地で野球をやっている気持ちやったね」男はいつだって少年の気持ちを持ち続けたいもんでございます。

おいらも少年時代に、博多のガラの広っぱで白球を追いかけた必死豆炭なトキメキ、いまでもハッキリ、クッキリ覚えていますよ。

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まだまだ燃えとりますばい!

2020/12/07
【第1420回】

先週の週末、劇団桟敷童子の今年初めての公演に行ってきました...今回の芝居は「花トナレ」いつもながらの東ワールド満載です。スカイツリーのすぐ近くにあるこの小屋は、鈴木興産という会社が持っていた倉庫の一部を劇場にしたものです。旧劇場から場所を移し、「すみだパークシアター倉(そう)」と改め、今回はこけら落とし公演というわけです。少し小ぶりになった分、この劇団の見せ場である大仕掛けも縮小せざるをえなかったかなと思いました。でも、劇団員全員による手作りの装置、衣装、小道具からこの劇団の心意気、芝居に対する真摯な愛を感じました。会場もコロナ対策として一席をあけての対応でした。これは制作する側にとっては経済的に大きな痛手です。生活を切り詰めながらも芝居に命を掛ける!なんだか、おいらの若い頃の小劇場命みたいな生き方を彷彿とさせる姿なんですが、器用に無難に生きる若者が多数を占める現代においては、とっても貴重な気がします。人生、出世、お金には代え難い大切なことがあるんでございますよ...

昨日は、関東大学ラグビー対抗戦の優勝を決める早稲田と明治の試合をテレビ観戦しました。おいらのスポーツ年間スケジュールは、野球が終わればラグビーに移行します。このラグビーという競技はなかなか味わい深いものがあります。基本は格闘技に近いものだと思うのだが、ゲームの展開は幾何学的な面白さを感じます。コロナの現況において、これほど3密な試合が開催されてるのも興味深い。試合は明治の総合力が勝り快勝。今年で96回目の対抗戦、100年近くライバルとして切磋琢磨してきた歴史が、この早明戦を年末の楽しみなイベントにしていると思います。

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夕暮れのスカイツリー

2020/12/04
【第1419回】

長い間お疲れ様でした...ばっさり切られた桜の切り株を眺めながら桜の一生を考えてしまいました。一年に一度見事な花を咲かせ、春の喜びを感じさせるサクラ君。君のお陰で寒い冬の間、縮こまった心身を一気に解放させてくれましたね。サクラの開花を待つ期間の高揚感もたまりません...蕾を日々観察する様は、まるで子供の成長を見る思いと一緒の気持でございます。咲き始め、周りを徐々にピンク色で染め上げていく様もなかなかドラマチックで、下手な芝居なんかより見応えがございます。大見得を切るが如くの満開はまさに千両役者、よう日本一!と掛け声をかけたいくらいです。そして散りゆく姿も、ほんまに美しゅうございます。チラチラと、虚空を舞う姿は、まるで能舞台を観てるような見事な艶者を演じています。そして、その後、葉を付け緑の館を形成していきます。

おいらの大好きな絵本、シェル・シルヴァスタイン「おおきな木」リンゴの木と、成長し変わっていく少年。それでも木は、少年に惜しみない愛を与え続ける...無償の愛を描いた絵本です。

自然が黙々と無償の愛を与え続けていることにニンゲンはどれほど気がついているのかな?切られたばかりの切り株に手を置き、思わずありがとう!

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おつかれさま...ありがとう!

2020/12/02
【第1418回】

今日は1月並みの寒さ、冬は確実に訪れています。前回は乱読の話を書きましたが、音の世界でも同じ楽しみができますね。大好きなJAZZから始まり、クラシック、ボサノバ、ロック、フラメンコ、ファドと世界一周旅行がいとも簡単にできちゃいます...昨日なんぞはラストはフォークソング加川良で締めました。スタートはJAZZのビージー・アデール、大人の年輪を重ねたピアノの音色がワインにとっても合います。何でもそうなんですが奏者の人生が垣間見える音って何とも味わい深い気がします。そこに身をゆだねることの幸せを感じてしまいますね。この女性に並ぶのがエディ・ ヒギンズ、このお洒落な音を醸し出すCD数え切れないほど聴きました。思わず酒が進んじゃいます...同じピアノの音でも男性と女性では微妙に違うところも面白いところです。さて、次にスペインに行ってみるか!とフラメンコの世界に飛び立ちカマロンの渋い声を耳にした途端、おいらの気分はビバ!フラメンコ。思わず手足が動き出し、心はアンダルシア・グラナダのサクラモンテの丘(ジプシーが洞窟の中でフラメンコショーをやっているところ)でございます。

こうやって日々ステイホームを楽しんでいます。

今日は乱読ならぬ乱聴の話でございました。

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師走