トムプロジェクト

2020/01/30
【第1302回】

一昨日、第54回紀伊国屋演劇賞の授賞式が紀伊国屋ホールでありました。トム・プロジェクトでも作、演出、出演をしていただいている劇団桟敷童子が団体賞。これまでに3度、トムの舞台に出演の村井國夫さんが個人賞を受賞。おいらにとっても嬉しい一日になりました。劇団桟敷童子は創立20周年での受賞。劇団員全員で大道具、小道具、衣装を創り上げ、地道に名もなき人たちを軸に据えドラマを紡ぎ、最後の大掛かりな屋台崩し的な仕掛けで観客の心を鷲掴みする稀有な劇団。おいらはすっかりファンになりました。まさしく、演劇の原点を思わせてくれる作り方に魅せられ、応援したくなっちゃいます。主宰者の東憲司さんが「劇団員全員、歳を重ね心身とも疲労困憊...いつまでやれるかなと思ってる矢先の受賞、これを励みになんとか頑張ります!」と受賞の挨拶で述べていました。確かに劇団を維持することは困難を極めますが、この劇団の芝居はいつまでも見続けたいという多くのファンがいるのでなんとか頑張って欲しいと思います。

村井國夫さんは芝居を始めて54年、勿論、ほかの受賞はあるのですがこの歴史ある紀伊国屋演劇賞は本当に嬉しいとのこと。舞台人にとってのこの賞の重みを感じます。今回の受賞は奇しくも劇団桟敷童子「獣唄」出演での受賞。しかも心筋梗塞に襲われ途中降板での受賞だけに本人もびっくりされたのではないかと思います。大ベテランの村井さんも桟敷童子のファンであり初めての参加。ピュアな劇団員に刺激され、新たな役者魂がめらめらと沸き上がったに違いない。

何も賞を目指して芝居やってるわけじゃございませんが、何かの弾みになることは間違いないようです。振り返れば2008年に第43回紀伊国屋演劇賞団体賞を受賞したトム・プロジェクト、よしゃ!もうちょっとやってやろうじゃないか...と思い直して、12年が経ちましたとさ。

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おめでとう

2020/01/27
【第1301回】

「沖縄世」幕が開きました。水俣に続いて沖縄、社会派劇が続いています。演劇はまさしく生き物、今だからこそやらなければいけないという思いから創っています。25日の初日には、博多でペシャワールの会主催による中村哲さんのお別れ会がありました。中村哲さんがまいた種が残された人達によって実を結ぶことを誰もが願っての一日だったと思います。このあとも日本全国で、哲さんを偲ぶ会が開催される予定です。行動を起こさない限り何も変わることはありません。今回の芝居も、沖縄の先人が命を賭けて戦った不屈の精神を芝居にすることによって継承したい!こうやって粘り強く行動しても、沖縄の現状は相変わらず民意とは真逆の方向に進んでいます。この困難な時代だからこそ、粘りとしつこさでなんとかしなきゃならんでしょう。

昨日の二日目、初日の固さもほぐれ客席から随所に笑いが起きていました。お堅い芝居に笑いを誘うことによって芝居をより奥深くする。日々変化する芝居の面白いところですね。今日は東京にも夕方辺りから雪が舞い散るという予報。雪に弱い都心の交通網、終演後のお客さんに影響がなければと祈るのみです。

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新しくなった東京芸術劇場前の公園

2020/01/23
【第1300回】

明後日から始まる「沖縄世うちなーゆ」の稽古場での最終稽古を観てきました。沖縄の芝居は過去にもたくさん上演されてきましたが、今回の作品は新しい沖縄劇の誕生を予感させてくれるんではないかと...先ずは、沖縄の混乱の歴史の中で強大なアメリカと戦った不屈の男が居たこと。そして、沖縄の女性史の中で沖縄独立論を唱え続けた逞しい女達。この芝居で、人としての尊厳を失わず誇り高く生きていった人たちの群像劇が、明日の沖縄の道標になるに違いないと強く感じました。いつまでたっても変わらないことは、あの大戦で日本の楯となり住民の4人のうちの1人が亡くなった後も、沖縄には、多くの米軍基地があり、特に、米軍だけが使っている基地(米軍専用施設)は、日本にあるもののうち、その面積の約70%が沖縄に集中しているということ。なんですかこれは?この異常な状況でも他県の人たちは見て見ぬふりしています。見て見ぬふり?これほど卑劣で無責任なことはないと思います。日本に復帰して48年も経ているのに何ら変わらないというこの事実に、さして驚かないのも不思議な気がしてなりません。他人の痛みを感じない人たちが存在する国の未来はないと断言できます。今回の芝居が、今の沖縄の現状を少しでも変えてくれるきっかけになればと思います。

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明日を夢見て

2020/01/20
【第1299回】

新年始まり、はや半ば、いたって日常の感覚が板についた感じです。そんな折、博多の方から訃報が届きました。博多六本松の名物スナック「ひろ」の経営者のママの旦那さんが80歳で亡くなったとのこと。今年で開店50周年、名物ママも病に伏しどうやって50周年記念を迎えるかと店の常連客も案を練ってた矢先の出来事であった。この店においらが訪れたのは47年前、貧乏な演劇青年を優しく迎えてくれた想い出の場所である。上京して一度も帰博することなく、いきなり護国神社でテント芝居を打ち高校の同級生が連れて行ってくれた店でもある。威勢が良く辛口で江戸っ子訛りで速射砲のように客を罵倒する様が何とも小気味よかった。そんなママだがなぜかおいらには優しかった。これを機に博多に帰る機会も増え、この店には必ず寄らせて頂いた。旦那さんとはめったに顔を合わせることも無かったが、一度見て、この方がこの無頼なママを支えて居るんだなと微笑ましく思った。年下の旦那さんとの都落ちの話も聴かせて頂いた。90歳近くになるママを支え、店を切り盛りしていた旦那さんが亡くなれば、この歴史と数々のエピソードを残した「ひろ」も閉店するに違いない。又、博多の昭和が消えていく。こうやっておいらが再び演劇の世界に戻り活動しているのも、この店があったからだと思っている。ママに励まされ、常連のお客さんの応援が芝居を創る活力になってきたのも紛れもない事実だ。人の出逢いの大切さを教えてくれた「ひろ」本当にありがとうございました。パパさんゆっくりやすんでくださいね。

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睦月の夕景

2020/01/17
【第1298回】

今日は阪神大震災から25年、あの日の早朝の記憶は今でもはっきりと覚えています。まさしくこの世の出来事では無い光景がテレビの画像に流れてきました。朝の眠りの中で起きた地震に対応できるはずが無く多くの犠牲者が出てしまいました。もうそんなことが起こるはずがないと思いきや、2011年の東日本大震災、そしてここ数年続いている自然災害、そして現在も森林火災が止むことのないオーストラリア。果たして、この地球という惑星は大丈夫だろうか?おいらは正直言って危ないと思います。人間の果てしない欲望に歯止めがかからない現状、本当に環境問題に向き合ってる人達が圧倒的に少ないと言うことです。

自分さえ良ければいいと言う考え方が、じわりじわりと世界を蔓延しつつあるからです。要するに他人には無関心と言うこと、関わることが面倒で自らの殻に閉じこもって出ようとしない輩があまりにも多いことに絶望すら感じてしまいます。こんな状況なら、とことんダメになって絶滅からしかやり直せないなんて乱暴な意見もありますが、そりゃ生まれてきたばかりの人達が哀れでございます。なんとか災害を食い止める方策を皆で考え行動に移さねばえらいことになっちゃいます。戦争然り、起きた日ばかり大きく報道しないで日々地道に取り上げて、アホな番組で脳みそいかれてる人達を覚醒させてくださいなメディアの面々。芸能人のあれこれどうでもええやんか...

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いい世の中になりますように...

2020/01/14
【第1297回】

昨日から「男の純情」の稽古が始まりました。「沖縄世」の稽古も佳境に入っており他の稽古場を借りてのスタートです。最近は少子化の波を受けて廃校になる学校が増えています。廃校になった空間を稽古場にするケースが多々あります。昨日から始まった水天宮ピットもそのひとつです。稽古場に困っている創造団体も恩恵を受けています。勿論、お金は払っていますよ。アマチュア劇団なんぞは、無料で借りられる区の施設を転々としながらジプシーさながらの稽古をしてますが、おいらの所はそうはいきません。嘗ての教室での稽古も何だか懐かしさも感じられ、背筋がピーンと伸び新鮮な雰囲気。今回は、前回出演した市川猿弥さんが歌舞伎興行のため出演が不可能になり朝倉伸二さんが出演することになりました。朝倉さんは独特の顔を持つユニークな俳優さんです。トムの芝居にも過去一度出て頂いたのですが芝居の正確さに感心しました。チカラがある役者は普段の佇まいもあたふたしておりません。昨日の本読みも的確でありました。これは又、新しい「男の純情」が誕生しそうで楽しみですな。中年の男三人が繰り広げる哀感に満ちたこのドラマ、出演者の一人である山崎銀之丞さんも、最近若い俳優さんとの競演が多く、この現場に来ると何故かホッとするなんてことを言ってました。大きな強面な宇梶剛士さんは勿論、この芝居観ると何故かオヤジが好きになりますぞ!

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JAZZ&読書の空間

2020/01/10
【第1296回】

今年も多くの年賀状が来ました。この時代、年賀状よりもメールで簡単に新年の挨拶を済ます人も多い。今風といえばそうかもしれないけど、やはり葉書の手触りは捨てがたい。なかでも手書きで書いたものは、その人となりが見えてほっこりとする。手書きの絵なんぞ描いてあるとしばし見惚れてしまう。そこには相手の身体からほとばしる感情、温もりが手に取る様に伝わっておいらの頬も緩んでしまう。日頃、なかなか会えない人の家族写真も、その成長ぶりが見れて嬉しいものですね...と、おいらは思ってしまうので当然、今年も年賀状は出しました。勿論、相手が年賀状自体をやめた人には出しておりません。年々、減少状態が続く年賀はがき将来はどうなってるんでしょうかね?

今年の年賀状な中で、昔の芝居仲間の賢ちゃんからこんなことが書いてありました。昨年、演劇群「走狗」のメンバーが3人亡くなりました。義理と人情に厚い賢ちゃんの悲しみはいかばかりであっただろう...そんな賢ちゃんが「あいつらのところへ行くまで夢をみましょう...」。そうだね賢ちゃん、今年も一つでも多く、夢とロマンと冒険を追い求めましょうね!

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会社ベランダからの夕景

2020/01/08
【第1295回】

年末年始はラグビー観戦してました。大学ラグビーは早稲田と明治が勝ち残り、1月11日に新国立競技場で決勝戦。なんと23年振りと言うから盛り上がり方が半端じゃない。前の国立競技場に6万人を集客したラグビー界での人気カード。この新しい会場も満員になるに違いない。前に前にと愚直なくらいにFWに拘る縦の明治と、華麗なパスワークで横に展開する早稲田、このチームカラーも試合の展開を面白くしてくれる。昨年のラグビーワールド杯で日本中を沸かせた勢いそのままに、今年も年頭からラグビー人気の勢いが続いている。昨日の高校ラグビーの決勝戦も好試合であった。高校生の肉弾戦も初々しくあっぱれであった。年末年始、皆が浮かれている中、泥まみれになりながら楕円のボールを追いかけタックルする姿を想像しただけで青春を感じてしまいます。青春とは無垢なる心身でひとつのことに夢中になることでございます。

先ほどのニュースで、イランがアメリカの軍事施設を攻撃したしたとのこと。トランプのおっさんの頭冷やしてあげないとえらいことになっちゃいます。分断されたアメリカでそれが可能かとても心配です。2016年7月、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人を殺害した裁判が今日始まったのですが、冒頭、被告が暴れだし被告が居ないまま裁判は進められているようだ...この被告とトランプが重ならないことを願う。

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にゃんとかして...

2020/01/06
【第1294回】

明けましておめでとうございます。

今日から仕事です。今年も4日から25日に初日を迎える「沖縄世 うちなーゆ」の稽古が始まっています。13日には「男の純情」再演の稽古が始まります。てなわけで今年も芝居漬けの日々になりそうです。これって嬉しい悲鳴っていうんですかね?確かに需要があるから公演するんですからありがたいことには違いありません。今年も待ってるお客さんの期待を裏切らないように張り切っていきまっせ!

そんな矢先に、トランプの狂気、いやはや2020年の幕開きは予断を許せない状況になってきました。ゴルフやりながら暗殺を指令する大統領って狂ってますわ。今度はワインでも飲みながら核のボタンを押しかねない...まさしく世界は混沌としています。誰しもが冷静に思考し感情を上手くコントロールしないと取り返しのつかないことになってしまいます。オリンピックイヤーなんてマスコミの煽りに乗っかってる場合じゃございません事よ。第一次世界大戦もひょんな事から始まったことを思えば不穏な感じがいたします。レバノンに逃亡したゴーンの件も不穏な空気に拍車をかけてますね...

なにはともあれ、こんなスタートをきった2020年、足下をしっかりと見つめ浮かれることなく日々大切に過ごしたいものです。

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仕事始めの空