トムプロジェクト

2020/01/20
【第1299回】

新年始まり、はや半ば、いたって日常の感覚が板についた感じです。そんな折、博多の方から訃報が届きました。博多六本松の名物スナック「ひろ」の経営者のママの旦那さんが80歳で亡くなったとのこと。今年で開店50周年、名物ママも病に伏しどうやって50周年記念を迎えるかと店の常連客も案を練ってた矢先の出来事であった。この店においらが訪れたのは47年前、貧乏な演劇青年を優しく迎えてくれた想い出の場所である。上京して一度も帰博することなく、いきなり護国神社でテント芝居を打ち高校の同級生が連れて行ってくれた店でもある。威勢が良く辛口で江戸っ子訛りで速射砲のように客を罵倒する様が何とも小気味よかった。そんなママだがなぜかおいらには優しかった。これを機に博多に帰る機会も増え、この店には必ず寄らせて頂いた。旦那さんとはめったに顔を合わせることも無かったが、一度見て、この方がこの無頼なママを支えて居るんだなと微笑ましく思った。年下の旦那さんとの都落ちの話も聴かせて頂いた。90歳近くになるママを支え、店を切り盛りしていた旦那さんが亡くなれば、この歴史と数々のエピソードを残した「ひろ」も閉店するに違いない。又、博多の昭和が消えていく。こうやっておいらが再び演劇の世界に戻り活動しているのも、この店があったからだと思っている。ママに励まされ、常連のお客さんの応援が芝居を創る活力になってきたのも紛れもない事実だ。人の出逢いの大切さを教えてくれた「ひろ」本当にありがとうございました。パパさんゆっくりやすんでくださいね。

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睦月の夕景

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