トムプロジェクト

2019/07/31
【第1244回】

久しぶりにLPレコードに針を落としました...いいですね!このアナログ感はたまらんですばい。ジャズ、シャンソンそれぞれのジャンルの歌姫の歌声が、まるでその場に居るみたいで幸せな感じです。ビリー・ホリディ、エディット・ピアフと言えば半端じゃない生き方をしてきた歌手。目の前でクルクル回るレコード盤に刻み込まれる針の動きが、まるで彼女たちの壮絶な人生を想像させてくれます。両レコードとも半世紀以上前に吹き込まれたライブ盤。ピアフはパリのオランピア劇場、ビリー・ホリディはカーネギー・ホール、その熱気がレトロな雰囲気で味わうことが出来るのがレコードのいいところです。この感触を知ってしまうと、又再びレコードの世界に回帰してしまいそう...断捨離の世界に差し掛かったおいらとしては、これは苦渋の決断をせざるを得ないですな。今ある貴重なレコードで我慢し、あとはコンパクトなCDで音の世界を楽しむしかありませんな。幸いにして都内にはレコードを掛けているJAZZ喫茶がありますので、ふらりと出かけ珈琲飲みながら読書を兼ねての喫茶店巡りをすれば良し。レコードの素敵なジャケット、レコードを取り出し盤に乗せ、針を落とす、この一連の流れが至福の時間です...なんでんかんでん便利になればいいってことじゃありません。ひとつひとつ手間暇掛けてこそ、そのさきに至上の喜びが待っているってことですな。

1244.jpg

至上の歌声

2019/07/29
【第1243回】

「A列車に乗っていこう」東京公演、昨日無事千秋楽を迎えることが出来ました。この不思議な台本を舞台化してくれたキャスト、スタッフの皆さんに感謝です。勿論、この芝居を観た人たちの感想は様々だと思います。芝居の楽しみ方も又、十人十色。おいらはこの手の作品正直言って好きです。わからないものに対して、とことんのめりこんでいくチャレンジ精神がなくなったらモノを創る人間として失格だと思います。この芝居で好きなセリフがあります。登場人物のそらさんが幕切れ近くに言うこの言葉こそがこの芝居のすべてを語っているのでは...

 

ええ、彼がこんなことをいったんです。自分は星占いは信じないけれど、よく、占星術を否定する人の中に、地球から観ると星座だが、あの星々の一つ一つは、何千光年も離れているんだから、何の結びつきもナイって、そういうひとがいる。でも、ボクは、その意見には反対だ。むしろ、何千光年も離れている星々が、地球から観ると星座になるという、神秘性でではなく、人間の想像力が好きだ。

 

そうなんです。想像力を刺激、喚起させるものに触れた時の喜びはなにものにも代えることが出来ません。知的冒険、感性の錬磨、心身が踊りだす瞬間こそ、極上の快楽ではなかろうか。

この芝居、今日の横浜から始まって9月1日の三重公演まで15ステージの公演があります。地方の皆様、この夏の想い出に是非、A列車に乗ってみませんか?まさしく銀河鉄道の世界が拡がって行くことでしょう...

1243.jpg

夏だ!

2019/07/25
【第1242回】

選挙終わりました...投票率は50%を切り、相変わらず自公政権安泰、既成の政治に嫌気がさすのも分かる気がします。何年経っても変わらない政治屋さんのパフォーマンスに辟易してるのに、一石投じたのがれいわ新撰組の山本太郎。比例区で10%取ったんだから大したもんでございます。ひも付きなし、身体張って辻説法してる姿に庶民は飛びつきますがな。こんなやり方でしかこの国の政治に風穴を開けられないなんて、何とも寂しい限りです。おいらも彼の話を聴き納得できる部分多々あります。しかしながら、政治も数の世界、この現状においてひっくり返すのは並大抵の事じゃございません。でも、本気になってる人間を国会に送り込み、腐敗と馴れ合いに満ち溢れた仕組みをぶっこわすことでしかこの国の未来はないのかもしれませんな...世間の人、山本太郎はただのパフォーマンスだとせせら笑いしてる人が居るのも事実です。でもね、笑ってるうちに、いつのまにかとんでもない国になってるかもしれませんぞ。

今日、新宿の伊勢丹前でイタリア人旅行者家族が大喧嘩していました。母親らしいおばはんに、若い夫婦が泣きながら叫んでおりました。嫁さんが大声でゼスチャーたっぷり振る舞ってるんで、通行人は芝居でもやってるのかと立ち止まり観てました。それにしてもお国柄、ラテンの人は所かまわず己の主張を貫き通すんですね。政治を変えるのもこのエネルギーが必要なんだなと思った次第です。

1242.jpg

梅雨明け

2019/07/22
【第1241回】

「A列車に乗っていこう」先週の土曜日から始まりました...初日は、作家の北村想さんも名古屋から来ていただきました。自分が頭の中で空想した世界がどんな形になるんだろう?書いた人間でしかその気持ちはわかりません。しかし、自分が思い描いたものと違っていても、これは仕方がないことであります。この難攻不落の想作劇、どこから手を付けていったらいいのか本当に至難の業であったと思います。演出の日澤君以下スタッフの総力戦で素敵な舞台に仕上がったと思います。勿論、言葉を舞台で表現する二人の女優さんも大変だったと思います。おいらも久しぶりにドキドキいたしました...そういえば、芝居をやり始めた時は、すべてがアバンギャルドの精神で立ち向かい腹をくくってやったもんでございます。誰しもが経験したことがない、感じたことがない領域を模索しながら、やみくもに突っ走る...なんだか、久しぶりに、こんなことを体験させてくれた今回の芝居でした。

初日の舞台を観ながら、半世紀前に観た唐十郎の状況劇場、早稲田小劇場、ベケット、イヨネスコなんて芝居を思い出してしまいました。モノを創るものはとどまってはいけない!創っては壊し、そしてより新しい刺激的なモノを創る。心身ともに少しは老いを感じ、バタバタと鬼畜に入っていく芝居の戦友を見送っているおいらに「まだまだくたばるわけにはいかんぞなもし...」なんてはっぱをかけられた今回の芝居。

自分の道は、自分しか歩けないし、この果てしない宇宙を、如何様に生きていくのか、そして何が心理なのか...ほんまに芝居は奥が深かくておもろいもんでございます。

1241.jpg

今日もどんより

2019/07/19
【第1240回】

いや、今日は久しぶりに青空を拝むことが出来ましたな...そんな新宿西口歩いていると、向こうから元F1ドライバーという参議院候補者がおいらの顔見てニコニコしながらやって来るではないか。こりゃ困りましたな、おいらこの人、別に応援してるわけじゃないし逃げようと思ったんですが、無理やり握手をしようとするもんですから、またまた困り果ててしまいました。おいら握手したくなかったんで、丁重に断り難を逃れました。一難去ってまた一難。今度は、あの小池東京都知事に反旗を翻し都議会議員を辞し、東京北区の区長選に立候補するも落選、今度は維新から参議院東京地方区から今回立候補したとっちゃん坊やみたいな人が、選挙カーからおいらに向かって猛烈に手を振るではないか...おいら興味ないから無視すると、隣に座ったウグイス嬢がカン高い声で「頑張ってます!温かい応援励みになります!」おいら何も応援した仕草してないのに勝手に言ってんじゃないよ...とほほです。困ったんもんですな。こんな人たちが立候補してるんですから政治良くなるわけないじゃん!と久しぶりの青空の下での心地良さに水を差された気持ちになりました。

それにしても昨日の京都の無差別殺人...世界全体がささくれた感情を生み出す流れになっているのがなんとも絶望的です。何かに急き立てられ心身が歪になるシステムが問題だとわかりながら、人は富を名誉を求め只ひた走る...青空眺めながら、何が本当の幸せなのか?

もう一度考えてほしいなと思います。

1240.jpg

久し振り!

2019/07/17
【第1239回】

小雨続く連休、久しぶりに、ちあきなおみの最後の一曲「紅い花」を聴きました。いや、いいですな...あの独特の声に、語りかけるような歌唱スタイル。まさしくシャンソンですな。本物の歌手は決して歌い上げません。自然な姿で言葉を大切に優しく伝えてくれます。昨今、歌の世界はメロディ中心で進んでいるので、言葉を聴かせてくれる歌は貴重です。

 

紅い花 想いを込めて ささげた恋唄

あの日あの頃は 今どこに いつか消えた 夢ひとつ

 

なんてことのない歌詞なんですが、ちあきなおみが歌いだすと人生、時間が視えてくるんですね。歌はまさしく3分間のドラマ。芝居なんぞは、2時間かけてドラマを創り上げるんだから3分間というのは凄い。歌い手本人の中にも聴き手の人生を凌駕するものがなければ商いになりません。いずれにしても壮絶な人生です...要は、生半可な生き方では人の前には立てないということですな。

 

今日も曇天。東京では7月の日照時間が5.4時間と記録的に少なく、一昨日の海の日も海岸、プールともども閑古鳥状態。この後、一気に猛暑なんてのもたまらんですな...年々、体力落ちてるおいらにとっては体内調整が難しい地球になってしまいました。

1239.jpg

曇天の中での連呼

2019/07/12
【第1238回】

いやいや、お天道様なかなか顔出してくれないな...これは深刻ですぞ!まず野菜類が高騰しています。せんべい屋さんも天日干し出来なくて困っていますし、魚の干物屋さんも大変です。そして、ニンゲンたちもどことなく憂鬱でさえない表情で街を歩いています。サマーセールで盛り上がるはずの衣料品売り場も閑散としています。やはり夏と言えば太陽、キラキラ輝く太陽が主役でございます。去年の異常な暑さもまいりますが、汗が出てこない夏なんて夏じゃございません。青い空、青い海、蝉の声、蚊取り線香の煙と匂い...年々、季節の風物詩がこの国から消えていってる気がします。生き物は人間だけじゃないんだぞ!自然界の生き物の抗議の声が聞こえてきます。昨日もカラスが会議しとりました「人間どもの残飯あさって食べたんだけど、なんだか薬品ぽい味がして腹の調子がおかしくなりやした。ならば虫の方がまだましなんて思ったんだが、虫も栄養失調なんだか、あんまりうまくないな...」てなこと、ぶつぶつかかあかあ囁いておりました。トカゲなんか見つけると頑張れよ!と声を掛けたくなっちゃいます。この地球に生きるすべての生き物に思いを馳せ、四季折々の恵まれた環境の中、すべての生物が平穏無事に過ごせたらいいな...その主役がお天道様です。早く顔出してちょうだいな。

1238.jpg

恋しい太陽

2019/07/10
【第1237回】

昨日、「A列車に乗っていこう」の稽古場を覗いてきました...石田さんと松風さんの自然体の演技が印象的でした。今回の北村想さんの戯曲、とっても不思議です。この不思議な世界を舞台化するには、俳優の透明感が必要であると思いました。手垢が付いた演技術ではとても適わない、いや想さんの世界がどんどん遠くなる...その心配は、昨日の稽古場で完全に払拭されました。透明感なんて、月並みな言葉ではあるんですが表現に携わる者にとっては、この言葉を体現することは至難の業でございます。場数を踏めば踏むほど、思考すればするほど手垢演技の泥沼に陥ってしまうのが俳優業の恐ろしいところ。素人の芝居に、目から鱗なんてことも耳にします。身に付けたものをいかにそぎ落としていくか?と言って下手じゃしょうもないし、とっても難しい修行の過程かもしれませんね。

ハンセン病提訴断念。当たり前のことです...誤ったことをやったんだからできる限りのことを国がするのは当然ですが、お金で今までの虐げられた時間が戻るわけがありません。冤罪も含めて間違った判断でどれだけの人たちが苦難を強いられたか、過去の歴史を紐解けば闇に葬られた案件が多々あります。新聞の片隅の情報から知らされることも多々あります。これらを見逃さず、地道に記事にする記者こそ本物のジャーナリスト。新聞が消える時こそ世界の終わりだ!決してオーバーじゃありませんことよ。

1237.jpg

又、咲きましたアンネのバラ

2019/07/08
【第1236回】

先週の週末は、成瀬己喜男監督の映画を2本鑑賞...1本目は1962年制作の「放浪記」は作家、林芙美子の物語である。菊田一夫の舞台で有名になったが、こちらは高峰秀子が見事な目線演技でドラマを盛り立てている。上目遣いの視線一つで主人公の感情がすべてわかるくらいの演技である。仲谷昇も宝田明も若々しくいい男。そして相変わらずきっちりと脇を固めている加東大介が素晴らしい。この俳優にはずれがない。どんな役をやらしてもハマる。芸人一家で育った血筋と彼の人生観が役者として見事にマッチしているとしか言いようがない。2本目は1943年制作の「歌行燈」泉鏡花の原作である。戦時中、国家総動員体制により、映画界においても当局による統制が図られる中、制作されたものである。芸道ものが国威高揚になったかどうかは定かではないが、国の狙いはわかるような気がする。親から勘当を受ける能楽師を演じる新派の名優、花柳章太郎は色っぽい。そして相手役の山田五十鈴がこれまた奇麗でございます。早朝、松林の中で章太郎が五十鈴に舞を伝授するシーは、これこそ成瀬巳喜男が映像作家と言わしめた名シーンではなかろうか。屋外シーンの光線の美しさ、役者の表情と衣裳に映る木漏れ日の影などは絶品。カラー映画では決して体験できない、まさしく光と影の芸術。
嗚呼、やはり映画が娯楽の王者であった時代の映画は素晴らしい!時間をかけじっくりと創り上げ、役者に余計な演技をさせない演出。映画にかける時間と情熱が湯水のようにあったのだ。残された時間、日本の名作をまだまだ観なきゃと思った週末でした。

1236.jpg

京王線高井戸駅ホームから

2019/07/05
【第1235回】

またまた選挙...この選挙だけでいくらお金がかかると思います?大体600億近いお金が吹っ飛んでしまいます。名前を連呼するだけの選挙カー、党が掻き集めた聴衆の前で絶叫する弁者、おいしい文を並べ街路に張られたポスター、昔ながらの選挙お祭りが今月から17日間繰り広げられます。いいかげんにしなさい!と怒ってる人、もはや諦めに近い心境で傍観してる人、誰に入れても変われへんと棄権を決め込んでる人、昔ながら利益誘導に執心する人などなど、この国の選挙の在り方はこの国に似つかわしい構図で何年もの続いています。香港のような激しいデモなんて、もはや日本では懐かしい昔話です。間違ったことがあれば、若者は声を大にして起ち上がり命を賭けて戦ったもんですが、今の若もんにそんなこと言っちゃったら、なにとち狂ってんこのオッさんなんて嘲笑もんでございます。でも、この国を維持し変革するにも選挙という手段しかないんですから1票を投じなきゃなりません事よ。でも、投票すればいいってもんじゃございませんよ...政治家は嘘つきが多いから、よくよく人相、言動、立ち振る舞いを観察し、己の想像力を駆使しながら選ばなければなりません...と言っても、おいら政治の世界に関してはほぼ絶望の境地だから、結局は消去法でしか選ぶことが出来ませんな。身を捨ててお国のために、弱者のために奉仕しようなんて人が少しでもいればなんて希望的観測ではいるんですがね...

1235.jpg

新宿のウツボ

2019/07/03
【第1234回】

いやいや、今週やっと今日会社に来れました...元気一杯なんて能天気なこと言い続けながらも、やはり体力は確実に落ちていますな。特にこの時期、季節が梅雨と重なり、湿気と何処に行っても容赦なく吹き付けるクーラーの冷気で、おいらのナイーブな身体を痛めつけてしまいます。ことに居酒屋のクーラーはいけませんな。みるからに古そうで汚そうで、出てくる冷気も汚染されてんじゃないかと戦々恐々でございます。電車に乗ると、西瓜冷やしてんじゃないぞ!と怒りたくなるような冷房車。抵抗力がなくなりつつある高齢者にとっては、とっても生きづらい環境になってしまいました。

最近、次々と友人が黄泉の国に旅立ってますんで、おいらも体調崩してしまいますと、ついつい弱気になってしまいます。ついつい、黄泉の国からお使いが来るんじゃないかしらなんて...正直、好きなことやってきた人生だから未練はないんだが、折角この世に貴重な生を受けたんだから少しでも健康で長生きしながら残り少ない人生楽しまなきゃと思います。そして、少しでも社会に恩返ししないと罰が当たりますがな...

1234.jpg

自然に優るものなし