トムプロジェクト

2020/09/30
【第1392回】

街のあちこちで大きなビルの解体が進んでいます...渋谷の街の変貌ぶりもすごいんですが、新宿の街の見慣れたビルも一気に解体が始まっています。半世紀前に通っていた喫茶店が入っていたビルも無くなってしまいました。日替わりのサイフォンで入れたコーヒーを飲みながら様々な新聞に目を通すのが楽しみでした。スポーツ新聞でライオンズのゲームの試合の詳細を読みながら一喜一憂した日々が懐かしいです。勝った日のコーヒーの味は格別でした。思わずお替りしてし、店を出てから財布の中身を見たらあちゃー!なんて日もありました。スタバ、ドトールもいいいのだが、やはりコーヒーなんぞはゆったりしたところで飲みたいもんでございます。

そして、新宿の街でも飲食店の閉店が続出しています。いつも満員で繁盛していた店の前に「45年間、本当にありがとうございました...」なんて張り紙を見ると切なくなってきました。コロナは社会の風景さえも変えていく勢いです。人と街を蝕んでいるのか?それとも新しい社会の在り方を提示しているのか?それぞれがそれぞれな思考、行動しなければ自然の脅威に逡巡するだけではなかろうか...

明日から10月、秋の匂いがします...春とは違う秋のさわやかな風にゆれるコスモス、ススキ、コロナを忘れさせてくれる秋の劇場が始まります。

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解体する街

2020/09/28
【第1391回】

今日は久しぶり青空を見上げることが出来る東京です...「百枚めの写真」四国公演無事終えることが出来ました。四国の市民劇場の方々の温かい支援のお陰で、コロナも吹き飛ばす上々の芝居を行うことが出来嬉しい限りです。四国の人達にとっては東京から大挙押し寄せて来るなんてことは、少なからずとも戦々恐々たる思いではなかったんではなかろうか?でも、こんな時期だからこそ何か後押ししてくれるチカラが欲しいと言うことで我々を呼んでくれたと思います。「百枚めの写真」という芝居をその期待に十分応える作品。ご覧頂いた方々から嬉しい感想がたくさん来ています。改めてこの大変な状況下、四国の市民劇場の皆さん本当にありがとうございました。

おいらも先週の週末は、久しぶりに下北沢本多劇場に2日連続足を運びました。本多劇場が独自に企画した「グッドディスタンスー風吹く街の短編集第三章―」金曜日は、「島田歌穂&島健Duoコンサート」歌穂さん歌声と島健さんの見事なピアノがマッチして素敵な舞台でした。夫婦であり、共に音楽に対する厳しさと愛情に溢れた時間を感じさせてくれました。

土曜日は落語二人会、風間杜夫と柳家花緑の見事な話術を堪能しました。劇場側も完全なる体制でお客を迎えてくれたので安心して観ることが出来ました。

終演後、杜夫ちゃんと久しぶりに一杯。言っておりました「役者なんてこんな状況になると役立たず...」なんてことポツリとつぶやいてました。

ここ二カ月で4人の役者さんが自殺に追い込まれました。目に見えぬコロナの脅威をつくづく思い知らされています...なんとか人間の叡智でこの危機を乗り越えたいものです。

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久し振りの本多劇場

2020/09/25
【第1390回】

「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)」観てきました。岩手県一関市に50年続いているジャズ喫茶のドキュメンタリー映画です。この店の経営者、菅原正二さんが何とも素敵である。この人の拘りが多くの人を惹き付け世界中から、この店に集まって来るってんだからまさしく文化遺産である。一日も休むことなく音の世界を追求し、人との関係を大事にしながら店を切り盛りした結果、伝説的な店になったのも納得できる。名だたる演奏家がこの地でライブを行い語り継いでいった歴史の重みを感じさせるのだが、嫌みがない。色気溢れる菅原正二の78年の人生は、その容貌に鮮明に現れている。そう言えば、レコードをかけながらお店をやるなんて所は、世界広しといえど日本だけらしい。おいらは今でも時間があればレコードを回してる巷のジャズ喫茶に飛び込んでいくのだが、アナログ感たっぷりの音を聴きながらの時間は実に幸せである...若い頃、今の年になったらレコード回しながら昼は珈琲、夜はウイスキーを飲みながら、小さなお店を開きのんびり生活を夢見ていたんだが...デジタルでは味わえない生に近い音を聴きながら読書するも良し、ぼんやりと音に身体を委ね心身をほぐしていくも良し、この何気ない時間を忘れるからストレス社会になっちゃうんじゃないかしらと思う次第です。

 

「ジャズというジャンルはない ジャズという人がいるだけだ」

 

「百枚めの写真」今日と明日、高知公演2ステージ残すのみです。どうやら台風も避けられ、無事上演できそうです。

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会社のベランダから見上げると...

2020/09/23
【第1389回】

4連休後の仕事始め、東京は台風の影響のためか、どんよりと曇り涼しい一日になりそうです。映画「パヴァロッティ 太陽のテノール」を観てきました。神の声を持つと言われたイタリアのオペラ歌手ルチアーノ・パバロッティの生涯を、名匠ロン・ハワードが追ったドキュメンタリー。いやはや人間の声がどんな楽器より素晴らしいものであるかと言うことを再認識させられた映画でした。数々の名曲を、あの声で歌われると、そりゃどんな女性もいちころですな...愛人問題もイタリア人らしく隠すことなく、より高みを目指すためのステップにしていました。勿論ファンの女性は怒っていましたが...彼の歌には一貫して愛があるのがよく分かります。理不尽な社会に対しても全身全霊で立ち向かいチャリティコンサートも数多くこなしてきました。とにかく聞き惚れてしまいます。そしてステージでの彼の表情には、慈愛に満ちたオーラに包まれています。ドミンゴ、カレーラスというスペインの歌手と共に世界三大テノール歌手と称されてますが、おいらはパヴァロッティが好きです。なんと言っても人間そのものの匂いがプンプンしてきます。家に帰り早速、30年前の1990年7月7日、イタリア、ローマでのサッカー・ワールドカップ決勝前夜祭で、当代最高の3人のテノール歌手(ホセ・カレーラス、プラシド・ドミンゴ、ルチアーノ・パヴァロッティ)が、ズービン・メータ指揮する200人を超える演奏者たちとともにローマのカラカラ浴場で世界で初めて競演したCDを聴きました。このCDは何度聴いても惚れ惚れいたします。

「百枚めの写真」四国公演、香川、徳島で4ステージを無事終えることが出来ました。今日から愛媛、高知での残り4ステージが始まります。なんとか最後まで無事公演が出来ることを願うばかりです。

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どんぐりころころ

2020/09/17
【第1388回】

やっと再スタートを切ることが出来ました...昨日、埼玉県志木市民会館パルシティで「百枚めの写真」の公開舞台稽古を上演しました。今年4月3日「Sing a Song」が奈良で中止になって以来の舞台です。キャスト、スタッフ全員がコロナの危機を乗り越えて、この日を迎えることが出来ました。やはり生の舞台はいいもんですね...改めて舞台芸術の持つ魅力、とてつもないチカラを感じることが出来ました。3密が叫ばれてる昨今、芝居を鑑賞することに拠って密の大切さをより強く認識させられるのもなんとも皮肉なもんです。演劇こそ、人との繋がり、他人との関わりの中から何かを発見し形にしていくものです。この営みこそが演劇そのものだと思っています。

そして「百枚めの写真」には市井の人達の強い平和への祈りが込められた作品です。舞台から発せられる言霊、写真が何気ない極当たり前の平和の大切さを声高でなく伝えてくれます...気高い理想、理詰めの論法なんかではなく、極々普通の人達が交わす言葉だからこそ説得力があります。平和ボケした日本人、現況の学校教育制度では、このボケの速度はますます加速していくこと間違いないと思います。多くの青少年にも是非観て欲しい作品のひとつです。

明日から、四国の演劇鑑賞会の皆さんにこの作品を届けることが出来ます。この作品が、全国津々浦々多くの人達に観て頂けると嬉しいです...何故ならば、この作品の中には心豊かに生きるヒントがいくつも隠されています。

今日の新宿、トンボが心地よく飛び回っていました...秋ですね。

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しあわせに

2020/09/14
【第1387回】

週明けの今日は、なんとなく秋の風情がします...災害、猛暑、そしてコロナの日々が続くと、どんなに元気な人でもダークな気分になってしまいます。そんな時に触れるジョークはしばし安息のひとときです。

新幹線の切符を買いに行きました...のぞみを注文したのですが「のぞみはありませんが、ひかりはあります」と駅員に言われました。瞬間、この言葉の深い含蓄に感動し、同じ言葉を大声で返すと、駅員は「あっ、『こだま』がかえってきた」とつぶやいたとさ。

希望をなくしても、どこかでだれかが光をあてようとしていることが、生かされているということではなかろうか...そして、生きてるだけでももうけもんですがな。

ケセラセラ、スペイン語で「なんとかなるさ」という意味です。スペインに住んでた時に何度も実感された言葉です。ラテン特有の彼らの生き方は一見いい加減に見えますが、実は人間関係といい自然環境とも程よく調和してバランスが取れてます。あたかも、お風呂に入ったときのいい湯加減の状態です。心配するにしてもどこかで折り合いをつけないと、いつのまにかストレスに転じます。じたばたしても始まらない、この世はなるようにしかならないと覚悟して生きましょう!

大坂なおみさん、やりましたね...最初から亡くなった7人の黒人の名前が入ったマスクを用意した時点でラストのシーンを思い描いていたんでしょうね...想いの強さが何事をも成し得ることを実践した見事なお手本ですね。

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花屋さんのディスプレイ

2020/09/11
【第1386回】

来週から始まる「百枚めの写真」四国公演のためにキャスト・スタッフ20人、9月9日にコロナPCR検査を受けました。その結果が今日出ました...全員陰性、先ずは第一関門をクリアしました。4月3日に「Sing a Song」が公演中止になって以来、やっと芝居が出来る喜びで感無量と言いたいところだが、ここで油断してはいけません。16日の埼玉県志木市での公開舞台稽古、18日から26日までの四国公演、どこで何が起こるかわからない予測不可能な世の中だけに、気を引き締めてかからないとえらいことになっちゃいます。東京都内の飲食店営業自粛時間も解除され、イベントも緩和された途端に、またもや感染者増大なんてシナリオも十分考えられます。そりゃ旅に行けば、地元の食材と酒で旅公演を満喫したいところですが、今回ばかりは自粛モードも致し方ありませんね...旅先での一杯は、それはそれは、たまらんくらい楽しいもんでございます。芝居やる人間にとっても、地方の人たちの人情の機微に触れ、芝居と旅のセットがより味深いものになり病みつきになってしまう例をたくさんみてきました...東京だけの公演なんてもったいない!地方の人達の芝居に対する愛を一身に頂いたときの喜びは、ほんまに芝居やってきて良かった!と思います。

再開公演が無事千秋楽を迎え、いい報告が出来ますよう...心を鬼にして(笑)

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9月の空

2020/09/09
【第1385回】

自民党の総裁選、野党新党の党首選びのことでメディアは連日報道してるんですが、どうも盛り上がりが欠けますな...どちらも勝負は決まったようなものですから。驚いたのは総理退陣と共に支持率が上がったこと。なんとも日本人の体質がもろに出た感じですね。安倍ちゃんかわいそう!あんな身体でよく頑張った!なんてもんでしょうね。考えてみれば、普通の神経をしている人であるならば、あんな訳の分からんことしているのに、よくいけしゃあしゃあとしていられるなと呆れてしまいます。心身がボロボロになるのは当たり前。でも、辞めたんで一応お疲れ様を込めての支持率上昇でしょうね。そこんところが甘いのよ日本人はと言いたいところですが、これがこの国のセールスポイントなんでしょうかね。おいらも世界のいろんなところ旅しましたが総合点をつければ、やはり日本が一番だと思いますね。一時はスペインに住みたいとも思いましたが、あの乾いた感じは湿度に慣れた日本人には、やはり違和感がありますな。何といっても食文化の素晴らしさはどの国も敵わないのではなかろうか...スペインで住んでる時の魚料理には唖然としました。なんでんかんでんフライにしちゃうんだからもったいないといったらありゃしない。市場で並んでるマグロ、赤身もトロも同じ値段。フライにしちゃえばたいして味も変わらないのでそうなっちゃうんですね。素材を如何様にも変えていく日本の食に対する探究心は目を見張るものがありますね。日本に居れば世界のすべての極上の食にありつけます。温泉に浸かりその土地の美味なるものに舌鼓を打つなんてことは他の国ではできませんがな...そんな素敵な国にする政治家が出て来て欲しんですがね。

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新宿西口

2020/09/07
【第1384回】

何とか台風も過ぎ去りました...今後も世界的に自然災害が起きうることは十分に予想できます。過去に学ぶ、歴史に学ぶことがより一層大事になってきます、今回も早めに避難する様子がテレビで映し出されていましたが、なんだか戦時中の空襲警報につられて避難する様を彷彿させます。いや、これはコロナも含めて戦争状態ではないかと思います。具体的に予測不能のウイルス、災害だけに厄介です。世界の指導者の皆さん、この手強い相手に立ち向かうには軍拡競争を止めて、この新たな脅威に対してお金をつぎ込み安心できる世界を創生しなきゃいけないのではありませんかな。

昨日も雨が降っていたのでライオンズの試合をテレビで観てました。今年のライオンズの優勝は無理ですな、ライオンズが育て活躍して選手は、いまや楽天イーグルスに移籍するルートが確立しつつあります。かたや金満ソフトバンクはお金の力で選手を掻き集め首位を驀進中なんですが、伏兵ロッテが頑張ってますな。この球団、応援も独特だし選手も個性的で面白い球団です。おいらは個人的に荻野貴司外野手が好きですな。34歳のベテランですが小柄でしぶとく食らい付いていく姿に拍手を送りたくなっちゃいます。体格に恵まれない選手が何とかしようと気迫は、この大変な社会状況の中、粉骨砕身、切磋琢磨している市井の人達に相通じるものがあります。昨日、一軍に昇格したライオンズの水口大地が3シーズン振りにヒットを打ち盗塁まで決めたシーンは嬉しかったな。2012年に育成で入団し31歳、もうあとがない選手だと思います。163㎝、70㎏での身体を張ってのグランドでのプレー、応援したくなりますよ。それに比して、立派な身体をしてるのにパットしない選手、まさしく宝の持ち腐れですな...昨日対戦した日ハム期待の清宮幸太郎選手、早稲田実業高校時代111本の本塁打(史上最多)の打ち鳴り物入りで球界入りしたのに、現状では、あの立派な身体が泣いてます...

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犬仲間集合

2020/09/04
【第1383回】

今日も東京は35度の猛暑日、昔なんぞは初秋の香り、音色が感じられたのに、今や地球は悲鳴をあげざるを得ない様相を呈しています。大型の台風10号も週末には日本列島に襲い掛かってきます。そして今朝は、福井県で1963年以来の震度5弱の地震発生。この地には原子力発電所があるので心配です。コロナと熱中症と台風そして地震、いやはや大変な時代になったもんでございます。この先、もっともっと大変な災害が起きると予想されてるんで、今のコロナ騒ぎも懐かしいな...なんてことになるかもしれませんな。

この暑さで、草木もアッチッチ状態が続いています。おいらの散歩の楽しみは道端にさりげなく咲いている草花、樹木、そして大空というキャンパスに様々な表情を見せる雲の形象、刻々と変貌する自然の生き物はとってもスリリングでございます。勿論、道行く人々の生態も面白可笑しく、拝観料無料で楽しませて頂いています。今日も、いつも新宿で見るホームレスのオッさんが見違えるような頭髪と服装をしてるんでびっくりしました。どうしたんだろう?ちょいと聞きたくなりましたが、こんな時期ですから止めときました。以前、手を差し出し「腹減った...」といわれたので、僅かですがお金を渡したオッさんです。新宿を根城にしぶとく生きとります。この困難な時代、とにかく、しぶとく粘り強く、己を信じて生きていく以外にないと思います...「生きてるうちが花なのよ、死んだらそれまでよ党宣言」先日亡くなった森崎東監督の作品です。

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涼を呼ぶ葉

2020/09/02
【第1382回】

又しても、新宿の老舗の店がコロナのために閉店になりました。店名はタブラオ・フラメンコ「ガルロチ」。1967年の開店以来49年間という長い歴史のあるタブラオ「エル・フラメンコ」が2016年7月に閉店した後、フラメンコの魂を引継ぎ良質の料理とフラメンコを提供しながら新宿で頑張ってきましたが8月末日で幕をおろしました。エル・フラメンコ以来、この店にも何度か足を運びました。おいらもスペイン滞在中には何度もフラメンコを観たのだが、本場のものよりもここのタブラオで観る方が数段優れているという印象を持っていました。だって本場の一流のダンサー、歌い手、ギタリストを招聘してるんですから当たり前なんですが...間近で観る踊りは、それはそれは迫力があるというより命懸けの舞を感じます。喜怒哀楽が混然一体となって、まさしく己の生き方を晒す姿に感動しちゃいます。今ここで、ぶっ倒れても悔いなし!という気概を感じます。フラメンコを通して自分の生き方を提示してるんだと思います。そして踊りに欠かせない歌(カンテ)これが又、しびれちゃうんでございます。しゃがれ声の中に、これまた人生を思い起こさせてくれます。おいらが大好きなスペインの歌い手にカマロンという人が居るんですが、疲れた時なんぞにカマロンのCDを聴くと、よしゃ!という元気をもらうと同時に人生って捨てたもんじゃないんだなという気にさせてくれます。ワインと生ハム片手にカマロン、至福のひとときでございます。それにしても、日本で第一級の本場のフラメンコを観れる場所が無くなってしまいました。この状況下、スペインから舞踊団招聘できず残念...あとは、おいらの記憶のなかのフラメンコを蘇生させながら、懐かしいスペインの情景を思い起こしながら...!VIVA!FLAMENCO

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¡VIVA! FLAMENCO