トムプロジェクト

2019/02/27
【第1193回】

この国に民意なんてあるのかしら...沖縄で辺野古移設に関しての県民投票が実施され72パーセントの人達が反対と言ってるのに、政府は耳を貸さず辺野古の海に土砂を放り続ける始末。アメリカに対して対等にもの申せない人達に、この国を統治させていいものだろううか?多くの国民がそう思ってるはずなのに、口ごもってしまう日米の防衛問題はすべてアメリカ任せ、敗戦後アメリカがこの国を占領して以来、この構図は変わることがない。今日は米朝の会談、韓国との関係も悪化、ロシアとの北方領土問題も進展なし...一体全体、この国の外交はどうなっとるんじゃ!もしロシアが2島返還に応じたとしても、この基地にアメリカ軍が駐留するなんてことになったらてんやわんやの大騒ぎ。あっちもこっちも八方ふさがりのお手上げ状態が長いこと続いているのに手の打ちようがないニッポン。

そうなんです...この国は選挙しても民意が正確に伝わらない不条理な国と思えば納得がいくのかな?建前の民主主義クソ喰らえ!と言い放ちアナキストになりたい気分ですな。アナキズムなんて言うとテロリストみたいに勘違いされがちなんだが、アナキズムは、語源的にはギリシア語のアナルコス、つまり支配者がいないということばに由来し、権力的支配や国家、政府のような権力機関の存在を極端に嫌い、人間の自由に最高の価値を置く思想として位置づけられているんですよ。今の政治屋さんの集まりで、日毎税金無駄遣いの議会なんぞであれば要らんですバイ!と、愚痴零していてもしよんなかですばい...芝居創って形にして、この国に真の民意を届けねばと思っとります。

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如月の公園

2019/02/25
【第1192回】

「芸人と兵隊」東京公演無事終了しました...土曜日のマチネーの回、芝居が始まるやいなや照明のトラブルで舞台監督が登場し「トラブル発生、申し訳ありません、しばらくお待ちください。」との挨拶がありました。おいらとしては最悪のケースも考え、その後の対応におつむが回転し始めたときに、村井、柴田の夫婦漫才コンビが登場し即興の漫才を始めました。さすがベテランのお二人、この緊急事態にお客の不安を解消するどころか、このピンチをお笑いに変え拍手喝采。この日の観客は、夫婦漫才をプラスワン楽しめて大満足ではなかったかと思います。これが、まさしくライブですね...なにが起こるか分からないのが面白く怖いところです。本番中に役者が倒れ、そのまま救急車に運ばれ亡くなったこともあり、今回みたいに舞台機構の不備により中止になったことも当然あります。生身の人間が織りなす舞台であるからして、いろんなことを予測し想像しながら日々創っているのでございます。

東京公演が終わる間もなく、今日は横浜で公演し3月10日まで地方公演が続きます。何事もないようにと芝居の神さんに祈るのみ。

そして、今日から、3月20日から上演する「黄色い叫び」の稽古が始まります。今日の会社でのミーティング、皆さすがに疲れは見えるのだが元気でありました。こうやって日々演劇に夢中になれることに感謝です...そして、公演を楽しみにしているお客様の顔が見えるからこそのことですな。

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東京芸術劇場前の広場

2019/02/21
【第1191回】

「芸人と兵隊」の休演中に2本の芝居を観てきました...1本目は、こまつ座「イーハトーボの劇列車」井上ひさしさんの名作です。松田龍平の初舞台ということもあって満員の盛況。休憩入れて3時間半の大作。「世界ぜんたいが幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」と述べた宮沢賢治に対する作家の傾倒ぶりが良くわかる作品です。賢治のいろんな作品に登場する人物を配し、いろんな手を駆使しながら飽きさせないように創り上げた作品でした。トムの作品に何本も出演した宇梶剛士さんとってもぴったりの役で存在感ありました。

2本目はシアターコクーンで上演している「唐版 風の又三郎」奇しくも、こちらも宮沢賢治に関わる作品。唐十郎さんの世界、何年たっても何回観ても飽きませんね。溢れ出るポエムを振り絞る熱情を込めて語られると、そこはまさしく幻想の世界...テントで何度感動したことか。今は亡き蜷川幸雄さんが大きな劇場で上演してからも唐十郎がいかに演劇を変革したか、その意義を改めて確認した次第です。今回も宝塚出身の柚希礼音、若手人気俳優の窪田正孝をキャスティングし、リピーターらしき観客で盛り上がっていました。アングラ芝居に無縁であった人たちを劇場に集める功績は大だと思います。ましてや唐ワールド、この芝居観て今なお紅テントで上演し続けている本家唐組の芝居も観て頂戴な!と願いたいですな。この芝居、杜夫ちゃんの菊の御紋をつけながら奮闘しとりました...6月WOWOWで舞台中継放映が決定しているのだが大丈夫かいな?

「芸人と兵隊」は今週24日(日)まで東京芸術劇場シアターウエストで上演中です。日々進化しとります。お見逃し無きように!

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絶賛上演中

2019/02/18
【第1190回】

こだま著「ここは、おしまいの地」読了...作者の故郷の暗い話を諧謔調で綴った文章。なかなか上手いと言うより、故郷に住む人達の行動を客観的に捉えてる視点が面白い。しかもおしまいの地が、文章の中からより鮮明にイメージされてくるのが作家の筆力。こんな恥部さらけ出したくないのが普通の感覚なのだが、このSNS流行の時代出版会社は目を皿のようにして売れそうな作家を捜している昨今、売れると思ったんでしょう...読者の好みも様々、触れたくない、隠したい、そんなことは誰しもが抱えている秘所であり、そこにスポットを当てれば共感するだろうなんてことは当然。この作家の最初のヒット作が「夫のちんぽが入らない」なんですかいな?このタイトル付けるのも勇気があるというのか、人目を惹くのに付けたんじゃないのと勘ぐりたくなりますね。おいらはこの本は未読なんだが、今回の本で大体の予想はつきますな。私小説は誰しもが一作、二作目までは書けるとは思いますが、プロの作家になれるかどうかは私小説から距離を置いたときが勝負だと思います。

「芸人と兵隊」東京のステージも5ステージを終えました。日々、芝居が弾んできましたね。観客の笑いが、ギャグではなく役者の関係性の中から生まれてきてるのが何よりの証拠。芝居は本当に難しいし奥が深いですな...何年やっても闇は深まるばかりでございます。

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東京の梅

2019/02/15
【第1189回】

えらいこっちゃ!忙しすぎて...一昨日なんぞは「萩咲く頃に」の今季最終公演を神奈川県海老名市で、「芸人と兵隊」の東京公演を池袋芸術劇場で初日を迎えました。少数精鋭部隊であるトムの皆々はあちこちを飛び回り大変でございました。芝居は呼ばれてなんぼの世界でございます。需要がなきゃただのマスターベーションに終わってしまいます。一日に異なる芝居を同時にやれる喜びをしみじみと感じております。「芸人と兵隊」東京初日、確かに地方のお客様に比べると、東京の観客の目は厳しいものがございます...なかには、ただただあら捜しを見つけるのが楽しみで来る天の邪鬼も居てござる。まあ、お金払って来て頂いているんだから見方は人それぞれ、こちらがあれこれと言える立場ではございませんが、おいらにしてみれば素直に観ればもっともっと楽しめるのにもったいないという気持ちが正直なところかな...そんな観客の中で演じる役者さんも大変でしょうが、ある面鍛えられますな。今回も村井國夫さん、柴田理恵さんというベテランに混じって若手4人が奮闘しています。あれこれと壁にぶち当たりながら、飯がノドに通らないなんて日々を過ごしながら舞台に立っている姿を見るにつけ、幸せな人達だと思います。だってこの世の中、なんとなく霞がかかった手応えのない現状です。成すべきことが目の前にある喜びをしかと感じながらこれからの舞台楽しんでほしいな若手衆。

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曇天の新宿

2019/02/12
【第1188回】

昨日、「萩咲く頃に」を観に仙台に行って来ました...東京よりも暖かい杜の都でした。仙台演劇鑑賞会の皆さんが呼んでくれた公演です。この芝居は、東日本大震災が起きて3年半後に創られた作品です。あの震災後は、全ての人達が思考停止状態に陥り何事も手に付かなかった記憶があります...そして創られた今回の作品、いつの日か被災地に届けたいという思いが常にありました。被災された人達にどんな形で舞台を捉えて頂けるのだろうか?昨日の舞台は、そんな諸々の思いを抱きながら観劇しました。それは、舞台に立つ役者さんも同じ、まさしく魂が込められた素晴らしい芝居でした。昨日で95ステージになるこの芝居、なんだか新作を観ているような時間でした。終演後の拍手が、この日のステージの質の高さを実証していました。

終演後、鑑賞会の皆さんと交流会。未だ行方不明の家族を捜しながらも笑顔でお話しされる老婦人。その方に「いい芝居だったよ!」なんて言葉を掛けられおいらもホロリです。そうなんです...生き残った人間が、何とかしようとアクションを起こさない限り何も変わりません。漫然と生きてると「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに喝を入れられますぞ皆の衆。

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仙台のこの酒はうまかった!

2019/02/08
【第1187回】

宿野かほるの「ルビンの壺が割れた」読了...いやはや、SNS時代にぴったりの読み物ですな。結婚するはずだった男女のメールのやり取りを羅列したものが果たして小説と言えるかどうかは分かりませんが、1時間ほどで読めるミステリー、しかも結末のビックリマークで売れてるんでしょう。なんだか、今の世相を反映したような、この軽さが感覚を言葉を安っぽくしてる気がしてなりません。でも、活字離れしている若者に、本に対する興味を持たせるのには絶好の読み物かも知れません。日本あちこちで古本市なるものを開催してるのだが、物色している年齢を見るにつけ先々の出版業界の将来に不安を感じます。今回、芥川賞を受賞した作家もスマホで執筆してるそうな(執筆ではなく打筆がぴったりかな?)新聞不要は若年層に定着し、次なるターゲットが紙の本。電子ブックに出版業界が次なる手を打ったのだが思うようには伸びていないらしい...そりゃそうだよね。あの本を手にした感覚こそが、人の想像という羽翼を羽ばたかせながら未知なる世界に誘ってくれる第一歩ではなかろうか。本なるものがなくなったときは世界の終わりですぞ皆の衆。

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一昨日、機内から

2019/02/06
【第1186回】

2月4日(月)九州博多で「芸人と兵隊」地方公演スタートしました。ここ、ももちパレスで上演するのは久しぶりです。以前は中心街天神にあるエルガーラホール、西鉄ホールで公演できたのですが、何故かおいらの故郷博多はアートに優しくない街のようです。全国の市で5番目の人口(158万人)でありながら行政管轄の芝居向けの小屋がないのでございます。他の市に行けば500人規模の、芝居にはうってつけのホールが必ず存在してるのに、我が故郷には皆無です。山笠、どんたく、そして海の幸山の幸に恵まれた食材は豊富なんですが、心の食材であるアートにはなかなか理解してもらえないようですな...以前、物申すつもりで市長室の乗り込んだこともありますが、のらりくらりの応対でござりました。

そんな博多での公演。来ていただいてるお客様は、さすが芸どころの土地柄でございます。出だしから反応も良く、今回の芝居の勘所をしっかりと把握して最後までしっかりと観てていただきました。その空気を感じ取り役者も気を引き締め演じてくれました。

終演後は、博多の食材と美酒に酔いしれ歓談...いいスタートがきれました!

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博多の梅

2019/02/04
【第1185回】

先週の土曜日、埼玉県志木市民会館パルシティで「芸人と兵隊」公開舞台稽古をやってきました...地方公演に出る前に、本番通りに上演し最終チェックを兼ねる意味もあります。自由席ということもあって、3時間前からお客様が並ぶ大盛況。600人の観客が入り当日券はなし。こりゃ気合入りますな。本番前は、さすが初めてお客様の前で芝居するんで、役者さん緊張感漂ってました。スタッフも同じく何度もチェックしていました。勿論、おいらも果たして上手くいくかどうか緊張しますがな...出だしのお客の笑いから、これはいける!少々の硬さがありましたが、満員のお客様のハートを鷲掴み、食い入る様に役者の演技に魅入っていました。終演後の拍手の質で、その日の芝居の出来がわかるんですが、この日の拍手は上々でした。会館を後にするお客様の表情は皆、「貴重な土曜日の昼間、本当に来て良かった...」そんな顔を見させて頂くたびに、苦労が報われるおいらでございます。終演後は、反省会も含めて志木駅の近くで一杯。上々の滑り出しでお酒もぐいぐいいけました。
さて、今日から地方公演スタートです。最初の公演地は、おいらの故郷博多でございます。博多の皆さんに、よか芝居魅せますばい!

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満員御礼

2019/02/01
【第1184回】

葉室鱗「曙光を旅する」読了...一昨年12月に66歳で亡くなったおいらが好きだった作家の一人である。歴史の大きな部分ではなく、小さな部分を見つめることで、日本と日本人を知りたい。そんな思いに突き動かされ、九州から京都を中心にした旅エッセイ本である。この本の中に登場する松下竜一さん、上野英信さんなど、九州の片隅で名も無き民衆の息遣いを語り継いできた人達も登場する。上野英信さんの絶筆「筑豊よ 日本を根底から 変革するエネルギーの ルツボであれ 火床であれ」。松下竜一さんが生涯唱え続けた「誰かの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活こそ問い直さねばならぬと。」彼らの生き方に共鳴し、葉室さんも多くの小説を書いてきた。歴史小説は、自分に似た人を歴史の中に探して書きますと本人が吐露している。直木賞を受賞した「蜩ノ記」は、まさしく上野英信さんがモデルである。

歴史上に燦然と輝く武将ではなく、路地裏でひっそりと暮らす庶民に光をあて人間を見つめ直してきた葉室鱗さんには、まだまだ書きたいものがあったに違いない。この作家の目線が限りなく低く、温かい感覚が読後にいつまでも残るのが読書の喜びでもある。

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暗闇の思想