トムプロジェクト

2017/12/27
【第1039回】

会社は今日が仕事納めでございます...今年もいろいろありました。芝居は5本上演しました。その中でも「萩咲く頃に」は春と秋の2シーズン、たくさんのお客さんの前で上演することが出来ました。こうやって東日本大震災のことを忘れないためにも、演劇はなくてはならないものと改めて思います。風間杜夫一人芝居新作「ピース」の旅公演で、大分県津久見市での公演が台風のために中止になったことがとても残念でした。自然災害、世界状況の不穏、勿論国内のいびつな形などなど、未来に対する展望は決して明るいものではないと思ってます...が、生きて居る限りなんとかせねば生かされてる意味がありません。先日、パーキンソン病で入院中の石牟礼道子さんの凛とした姿に勇気を頂きました。「土と水と緑を自らの手で殺し続けて来て日本人はその罪にまだ気づかない。水の地獄がすぐ目の前にやって来ようとしているのに...」肉体が衰えようと強靱な精神力と、利便主義が蔓延る世界に楔を打ち込む信念を持続している人が存在する限り、この世界はまだまだ捨てたもんじゃございません。

今年もなんとか微力ながら、芝居を続け多くの人たちとの繋がりを持たせて頂きました。感謝感謝です...憎しみを感謝に変えれば世界はもっと平穏になるのにと思いつつも、そうならないのが人間の愚かなところです。生かされてることに感謝しながら、来年も良い芝居創ることは勿論、きな臭くなるこの国に苦言を呈しながら元気溌剌なおいらでありたい思っとります。皆さんも、良い新年をお迎え下さいね!

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師走の風物詩

2017/12/25
【第1038回】

週末は年賀状を書いていました...こんなご時世、メールで新年の挨拶してる人たちも沢山居るとは思いますが、やはり一年に一度、何年も何十年も逢ってない人を想い出しながら筆を進めていると、あの日、あの時の情景がつい昨日のことのように蘇ってくるのが不思議ですね。年賀ハガキ52円の持つ意味はとてつもない価値がありますね。普段、思いもしなかったことがこの年賀状をしたためる一瞬にドラマを再現してくれるんですから、まさしく魔法のハガキです。そんな貴重な機会を頂いてるんですから、なるだけアナログに近い手作りの年賀状にしたいのがおいらの遊び心です。クレパスで、あーでもないこーでもないと落書きしながら来年の干支であるワンちゃんを書きあげました。なんとおいらの年なんです...自画像みたいなワンちゃんになっちゃいました。まるでおいらを見てるみたいなんて、なんだか自分で書きながら嬉しくなっちゃいました。ほんまにおいらは幸せな人でございます...そりゃそうでしょう、義理で出す年賀状だったら、おいら出しませんことよ。何事も楽しみながらわくわくしながら書いてこそ、相手にその心が伝わるもんってことですよ...ましてや新しい年、もらって笑顔になるお便りにしないとね!

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今日はクリスマス

2017/12/22
【第1037回】

連日、大相撲の話題で持ちきりでございます...こうなったら白鵬以下、モンゴル一派に賛同する人たちは別組織で興行相撲を立ち上げたらどうだろうか?八百長もあり、プロレスみたいなショーでいいんじゃないかしら...モンゴルの人たちに日本の相撲道を押し付けても無理があるでしょう。それにしても、力士になる日本人が少なくなり、異国の人たちに力を借りなければ成立しなくなっちゃった相撲界も哀れですな。そんな危機を救ってくれたのもモンゴル力士。水と油じゃ、こういう流れになるのもいたしかたありませんな。公益社団法人という優遇された立場でありながら知恵者がいないということが最大の悩み。それにしても貴乃花親方のだんまりも異様な感じもしますね。確かに弟子が傷つけられ、傷害事件であることが一番の問題であるのだが、そろそろ喋るなり、己の相撲界の改革の指針を示さねばならんのではなかろうか?それにしても根っこが深いというより、やはり特殊な世界ですよね。あんな身体にすること自体が普通じゃありません...普通の世界じゃないのに世間常識を当てはめようってのが所詮無理な話。おいらも少年時代に新聞配達の帰りに、九州場所中、博多万行寺に居を構えていた二所ノ関部屋の稽古場を覗きに行ったのですが、それはそれは恐ろしい光景でした。下っ端の力士を竹刀でミミズばれができるくらい先輩力士が殴ってました。いたいけなキヨシ少年は思わず「やめんしゃい!」と声が出そうになったのだが、ノドちんこが縮み上がり発することが出来ませんでした。その稽古場にすらりとした力士、後の名横綱大鵬がいました。ひとりキラキラと輝いていました...そんな時代から何も変わっていないんだから、しょうがなかんべさ。

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ホントかな?

2017/12/20
【第1036回】

今村朝子の「あひる」読了...平易な文章の中に人の思いがずっしりと感じられる小説だ。読みやすいので1時間ぐらいで読めるかな?でも、行間に詰められている想像せざるを得ない空白が、文学の深さを思い知らせてくれる。日常会話で綴られる文体で、不思議な寓話を生み出す作家の人間を凝視する優しさ、怖さがなんとも心地よい。

新宿も師走の足音とともに賑やかしい...この時期になると、道のあちこちにお恵みを乞う人達が出現する。40代の働き盛りの男性が「助けてください!」という紙を持って立っている。思わず、おいらも「何を助ければいいのかな?」なんて声をかけようと思ったのだがやめときました。一方、80代のおじいちゃんがカンカンを前において手を合わせている。百円でも入れようかなと思ったのだが、こちらもやめときました。この人たち喜捨した人たちの気持ちを正しく理解し感謝し、今ある状態からプラスに転化できるかどうかは、誰にも分らない...一方、喜捨することに自己満足している人も確かだ。師走に見る風景は、その言葉のごとくせわしさに溢れている。

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師走・新宿の空

2017/12/18
【第1035回】

先週土曜日は錦糸町に劇団桟敷童子「標」を観劇...いつもながら劇団員全員の手作り舞台を堪能させて頂きました。丸太で組まれたセット、ラスト壁一面に飾られた千本を越える赤い風車、セット、小道具、衣裳など全てが共演者に見えるところが感動しますね。再来年で劇団旗揚げから20年になるそうです。芝居が好きで好きで青春を芝居に賭ける人達の熱い思いがストレートに客席に伝わってきます。時代と共にお洒落になっていきがちな演劇の世界で、人間の一番確かなアナログの感覚を忘れずに芝居を生み出してるこの劇団、おいらはいつまでも応援したくなりますな。

昨日は、昭和56年12月にオリエントレコードより「死ぬまでだまして」で歌手デビューした紀藤ヒロシのファンの集いに行って参りました。彼とは今から42年前に三國連太郎さん主演の舞台、戦後30年記念作品「カラフトの詩」で一緒になり全国を巡演しました。そのときに、まだ無名だった風間杜夫とも知り合いました。芝居そのものよりも、旅先で夜毎地元の居酒屋で飲みまくった記憶が鮮烈です。北海道での破天荒な夜遊びは、それはそれは想い出してもわっはっはでござんす。そのときの紀藤君、背丈と相反して随分と背伸びしたあんちゃんでした...そんな彼が歌手として活動を続けて居られるのも、彼のマメさと人間としての優しさではなかろうか。長年の付き合いになった杜夫ちゃんも、この日彼のために3曲絶唱してました。どんな職業であれ、人に好かれるのは最大の武器ですな...

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タワービュー通り

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そりの足音が聞こえてきます...

2017/12/14
【第1034回】

一昨日、久しぶりに名古屋に行ってきました...名古屋在住の劇作家北村想さんと会うのが目的です。想さんには、1997年に戸川純ひとり芝居「マリィヴォロン」で作・演出をして頂きました。それは、それは、本当に素敵な芝居でした。純ちゃんの魅力を存分に引き出した夢のような純文学作品ではなかったかと今でも思ってます。想さん、最近も精力的に新作を世に送り出しています。体調も良く、食事とお茶しながら昔話も含めて楽しい時間を過ごす事が出来ました。帰京するまで少し時間があったので、懐かしい大須観音に向かいました。名古屋の中でもレトロ感溢れるおいらが好きなところです。まず向かったのは七ツ寺共同スタジオ、ここは若かりし頃「走狗」「燐光群」で芝居をやったところです。宿泊も兼ね備えたところで、芝居がはねると飲み会が始まり、ほろ酔い加減ですぐさま寝れるのがよかところです。今は地元の劇団が常時公演をしてるみたい。商店街を歩いて感じたことは、昔のようにがらくた市をやってる店が少なくなり、若者向けの古着屋が多くなっていました。この街の魅力は、メインストリートからひょいと小路に入れば、粋な店が見付けられると言うこと。ありました!文殊小路を入ったところに11時~21時まで営業している日本酒バーがありました。その名は「木花咲耶」京都出身の24歳の爽やかな青年が店長、お客は2日前に結婚したばかりの24歳の女性と、友人である20歳の女性。ついつい話が弾み店長おすすめの辛口日本酒2杯飲んじゃいました。暫し、新宿ゴールデン街で飲んでる錯覚に陥ってしまいました...見知らぬ街で、見知らぬ店と、見知らぬ人と出会うのが旅の楽しみであり醍醐味であります。この日も、その思い出をおいらの引き出しに仕舞い、夕刻の新幹線に飛び乗った次第でございます。

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大須観音

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七ツ寺共同スタジオ

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文殊小路

2017/12/12
【第1033回】

先週の金曜日から昨日までなんと5本の芝居を観ました...金曜日は風琴工房「ちゅらと修羅」沖縄の苦難の歴史を、あの手この手で表現しているのであるが今ひとつこちらに上手く伝わらなかったのでは?土曜日は劇団チョコレートケーキ「熱狂」「あの記憶の記録」の2本立て、5年前に上演された作品で、今回が再々演。この2本の作品は、ヒトラー率いるナチスとユダヤの民との対をなす作品なのだが、何度見ても観客の心に十分訴えかける内容を持っている。異国のことであり過去のことであるのだが、今の日本の状況に呼応しているところが演劇的である。芝居の魅力は今まさにリアルに、生身の人間が演じるところに魅力がある。若い役者がひるまず精神と肉体をぎりぎりまで追い込んで表現する様は実に清々しい。日曜日は、水戸芸術館ACM劇場プロデュース「斜光」戦後最大の誘拐事件と言われる「吉展ちゃん誘拐事件」(昭和38年発生)を題材に刑事と犯人との取調室でのやりとりを緊迫感溢れる手法で描いた作品。作家は劇団チョコレートケーキの古川健...いやいや今年はたくさん書きました。と言うより執筆依頼が山のようにきて大変な年だったと思います。もはや人気劇作家。多忙で作品が荒れないかと心配さえしてしまいます。昨日は青年座の「断罪」中津留章仁が老舗の新劇団に書き下ろした作品。芸能事務所を舞台にしているのだが、そこは中津留作品、日本の闇の部分を織り交ぜながら社会派作品に仕上げています。

4日間でこれだけの作品見ると、さすがに疲れますな。お尻を何回もずらしながらも、何とか堪え忍び怒濤の観劇会を終えることが出来ました。それにしても東京は凄い!日々、あらゆるジャンルの芝居が果てしなく上演されてるんです、が、くれぐれも嗚呼来るんじゃなかった!時間とお金返して欲しい!なんて事だけは避けてくださいな。衰えていく心身が加速度的にガタガタになりますばい...怨劇だけは許してくんろ。

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師走の公園

2017/12/08
【第1032回】

久しぶりに浅草に行って来ました...観光じゃありませんことよ。先日、「東おんなと京おんな」の演出をした田村孝裕さんが主宰しているONEOR8の新作「グレーのこと」を観に行ったんでございます。おきまりの雷門の門をくぐり仲見世通りを歩いたのだが、18時半ともなるとほとんどの店が店仕舞いでお客もまばらでございました。そのほとんどが中国、韓国の人達でした。この商店街今、大変な騒ぎになってるそうな。来年1月から家賃が16倍、仲見世通りにある89店の家賃の平均は月2万3000円それがいきなり16倍の約37万円となれば、ほとんどの店はやっていけませんがな。東京都と浅草寺の揉め事が商店街の人達に波及したというわけだ。小池のおばさんしっかりしてよ!それにしても、浅草すっかり変わってしまいました。古き良き浅草の香りがほとんどなくなってしまったという感じ。新しいビルが建ち並びどこにでもあるようなお店が入った浅草は浅草じゃないでしょう...おいらも40年前、まだかろうじて浅草がまだ健在の頃、テントを張って芝居をしました。芝居が終わりテント内で打ち上げをしているとき、突然テントが燃えだし、おいら咄嗟に火の手が上がったテントの最上部に上がり火を消した途端、落下してしまいました。運良く怪我もなく一件落着。火元は、当時この広場に住んでたホームレスのおっちゃんが、自分の居場所を奪われた腹いせに火をつけたそうな...そんな昔話もあったとさ。

芝居は田村孝裕さんの環境の変化を思わせる内容でした。結婚し子供も授かったことにより作風も変化したような気がします。もともと才能のある作・演出家ですから今後の芝居も期待したいものです。ちょいと一杯ひっかけて帰りたいところでしたが、なにせ開演19時半、終演21時半、おいらの家は杉並区。なんとなくそんな気にはなりませんことよ。やはり歳とっちまったのかな...良いのか悪いのかわかりませんがね。

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夜の浅草

2017/12/06
【第1031回】

昨日、久しぶりにニーナシモンのCDを聴いた...14年前に70歳で亡くなったアメリカを代表するジャズシンガーである。「ソウルフル・アンソロジーRCAイヤーズ」の中のwhy?(キング牧師は死んでしまった)はたまりません...この曲を聴く度に当時学生運動に傾倒し挫折していった友人のことを想い出します。新宿のデモの帰りに倒れ込むようにおいらのアパートにきた彼に、僅かな食事と安ウイスキーを提供し慰め励ました記憶があります。その当時、おいらはLPレコードの蒐集をし始めJAZZのLPも数枚持っていました。心身ともに困憊状態である彼に癒しの一曲と言うことで、このwhy?に針を落とした次第です。その当時、人気と実力の絶頂期に、マーティン・ルーサー・キング・Jr.を中心とする黒人公民権運動、さらにより過激なマルコムXやストークリー・カーマイケルらの運動に傾倒していくと同時に、メインストリームの音楽シーンから忌避されていったニーナシモン。彼女の心境と運動に疲れ壊れていく彼の姿が重なったかもしれません...

曲と人生がオーバーラップするほど、一枚のLP、CDは人生の伴走・伴奏者でもあります。数あるなかから、ふと手にしたアルバムから、過去の記憶がまるで走馬燈のように蘇ってくる音楽のチカラは半端じゃありません。確かに、音楽はいつだって世界のあらゆる人々の心に訴える、最も強力な言語かもしれませんね。

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街はクリスマス一色

2017/12/04
【第1030回】

いやいや、インフルエンザワクチン騒動も収まり週末は久しぶりに劇場に足を運びました。

トム・プロジェクトでもお馴染みの作・演出家ふたくちつよしさんの作品「あした天気になぁれ」。設定は4台のベッドが並ぶ病室でのお話し。患者さんのそれぞれの人生模様を、ふたくちワールドで描いた心温まる作品。確かに病んだ人達が入院している場所はドラマの宝庫。そこにどんなメスを入れるかは作家の腕の見せ所なんだが、ここは常に家族というキーワードを基に、人間に対する心情溢れる愛情を描き続けてきたふたくちさんの真骨頂が溢れんばかりの芝居でした...それだけに演じる役者の抑制力が大切なんですが、何人かは声優を主にしているせいか、声に頼っちゃうんですね...でも、全体的に気持ちの良い芝居でございました。

昨日は、大学ラグビー伝統の一戦、早稲田対明治の一戦をテレビ観戦。今や大学ラグビーは帝京大学が一人勝ちの時代になっちゃいました。嘗ては、この時期の伝統の一戦は旧国立競技場のスタンドを超満員にしてラグビーファンを魅了したものでした。1987年の雪の早明戦は壮絶な試合でした。雪の中どろんこになりながらぶつかりあう30人の肉弾戦は、まさしく鍛え抜かれた男たちのドラマでした。おいらは、野球と共に、このがちんこで闘う男の競技ラクビーが大好きです。サッカーみたいに一喜一憂しない姿も好感を持ちますね。命を賭けた男の荒ぶる姿は感動します!今の大相撲は残念ながら見せ物ですね...それにしても、あれだけ身体をぶつけながら、よくまあぴんぴんしとりますな。ただただ驚くばかりでございます。

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本日、新宿の紅葉

2017/12/01
【第1029回】

この歳で初めてインフルエンザワクチンなるモノに挑戦しました...ところがどっこい水曜日の夜中から吐き気を催し、食欲全くなし2日間寝込んでしまいました。普段、薬を飲まないおいらの純潔な身体に異物が侵入し異変をおこしたんじゃないかしら?とおいらは勝手に想像してるんですが、調べてみると、そんな例は確かにあるそうな。そう言えば、この国は薬漬けでなんとか健康を維持している気がしてなりません。病院はいつも満杯、それに付随してお薬は山ほど出してくれるし病院、薬品会社はほくほくもんですわ。これでは国も医療費対策に頭を抱える状態。こんな社会にしたのも人間様の過剰な欲望が生み出したものでございます。そんな過酷なばい菌だらけの環境の中、おいらはささやかながら自主防衛として心身を鍛えたお陰で薬とは無縁の中で過ごしてきました...そんな身体が、今回はびっくりしたんでしょうね。でも、おいらはここでプラス思考に転じます。2日間もゆっくり寝込んだ日を与えてくれたことに感謝です。酒も飲まず、食事もせず身体を浄化させるいい日だったに違いありません。こんな日は何も考えず、日頃あまり見ることのないテレビを見ますと、大相撲の暴行問題やら国会の予算委員会。どちらもなんだかどーたら、あーたら、いろんな人が出てきて勝手なことを喋っとりました。それにしても予算委員会でのアベカワモチのモチッとした顔、アソウセメントのセメントで固めたニガリ顔、どうみても喰えませんがな。何とかしてちょうだいな横綱と政治家の品格。

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今年も仲良く