トムプロジェクト

2021/06/30
【第1500回】

昨日、「Sing a Song」のラストステージを神奈川県相模原演劇鑑賞会主催の公演に行ってきました。4月の稽古から3カ月、なんとか千秋楽を迎えることが出来たことに感無量。緊急事態宣言下のなかでの旅公演、スタッフ・キャストの強い意志と結束で乗り越えることが出来ました。そして何度も言いますが演劇を生活の一部としてとらえ呼んでくださった演劇鑑賞会の皆さんには本当に感謝です。こんな時に芝居なんぞやりやがってではなく、こんな時こそ演劇をやることによってコロナの閉塞感を打破していこうとする鑑賞会の方々に意義ある演劇を届けることが出来たことはとても嬉しいです。今回の公演の評判すこぶるよろしいとの報告を受け、当然ながら次なる芝居に向けての励みにもなることは間違いありません。カーテンコールの時に、相模原演劇鑑賞会の皆さんが作ってくれた手作りの「千秋楽おめでとう!」の飾り、プラカード、ラストステージを大いに盛り上げてくれました。

この3カ月、おいらも含めて関係者すべて安眠できる日はなかったのではなかろうか...誰か一人でもコロナ感染者が出ればその場で芝居は中止になってしまうのだから、まさしく戦々恐々たる日々であったに違いない。電話が鳴るとドキッ、メールを開く時にもハラハラ、こんな体験、これまでの人生でもそう体験できることではありません。いや、こんなこと体験したくありませんです...なのにオリンピック開催で又再びなんてことになっちゃう不安が残されています。開幕まで、あと24日だというのに未だてんやわんやしとります...どこが安心安全や!差別じゃないけれどこの時期、海外から来た人たちが都内ぶらぶらしたり飲食したりする姿に接近するのはやはり躊躇しまいますがな。中止という選択はどこにいったやら?

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新宿新南口

2021/06/28
【第1499回】

昨日、「Sing a Song」富山演劇鑑賞会の公演無事終えキャスト・スタッフの皆さん東京に戻ってきました。4月27日の愛知県豊橋演劇鑑賞会で初日を迎え、途中、緊急事態宣言が発令され東京公演は残念ながら中止になりましたが何とかやり切りました、明日、神奈川県相模原演劇鑑賞会がラストステージになります。今回の旅公演、毎日ドキドキハラハラの日々でした。まるでコロナの戦いに細心の注意を払いながら挑む戦士のようでもありました。各地の演劇鑑賞会の人たちの懸命な姿も本当に感謝しかありません。こんな状況の中でこそ伝えることが出来る演劇のチカラ改めて再認識した次第です。演劇の神様がちゃんと見守ってくれたんですね!それは、間違いなく演劇がこの世界に必要だからこそだと思います。

コロナちゃんのせいで、人と会う機会がめっきり少なくなってきたというより会わないのが当たり前の日常になってきました。おいらはあまり過去に拘りを持たない主義で生きてきましたが、さすがに人の出会いが少なくなってくると、最近彼岸に旅立った友を想いだしてしまいます。アングラ芝居時代の同志、島、田島、伊深、皆コロナ騒ぎを経験せず逝っちゃいました。酒が大好きだった田島くんなんぞは「ざまぁみろ...こちらはコロナなんかは関係ねえから朝から飲んでるぜ!」なんて声が聞こえてきます。そして、酒が入れば陽気になり過ぎ、最後は道路にへたり込み、おいらも痛い目にあった日々が懐かしゅうございます。早く、気にせず飲める日が来ればと思うのだが、おそらくオリンピックのお陰でこれも儘ならない気がしてなりません...今日もほろ酔い加減の田島くん、おいらはまだそっちには行きませんことよ。

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梅雨に咲くバラ

2021/06/25
【第1498回】

今日の東京は梅雨の晴れ間、新宿の街を歩いているとジワリ汗ばんできます。今日もいつものように定番の位置にいるホームレスのおじさんがうつろな目でおいらを見つめていました。かれこれ1年になりますかね...最初はまだ眼付も力があったのですが、日毎に諦めの境地の視線に変化するのが手に取るように分かります。まあいろいろ事情はあるとは思いますが、ここはひとつ再スタートする気持ちになってもらいたいなと願います。生きているんだから、人のため世のためによしゃ!と踏み出さんかい...同じ人間として生まれながら自らのチカラではどうすることもできない人たちが世界にワンサカ居る中、この国は己の気持ち次第でいかようにもできる可能性がまだ残されているんだから実にもったいない...

東京のコロナ感染者、又じわりと増え始めています。オリンピックが開催されれば一番怖い街が東京になりそうです。入国管理の甘さ、相変わらずの有事の際に対するシュミレーションのなさ、科学的な根拠も示さずやみくもにオリンピック開催に突き進む姿は、あの第二次大戦に竹槍で敵に突っ込んでいく姿を彷彿とさせてしまいます。でも悲しいかな、そんな政治を選択したのもこの国の人達なんですね...都議会選挙がきょう告示されました。秋には国政選挙、いい加減まともな投票をしてくれといいたいです。と言っても半分の人は棄権するんですから、文句言うんだったら投票所に足運ばんかい!と言いたいのでございます。まあ、おいらも無党派層の一人で頼りになる人物もなかなか居ないのだが、消去法でもいいので、せめてもの弱者の側に立った人に一票投じねばと思っとります。

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事務所ベランダから

2021/06/23
【第1497回】

犬に纏わる2冊の本を読了...一冊目は第163回直木賞受賞作、馳星周作「少年と犬」さすが何年もエンタメ文学を世に出してきた作家だけに、簡潔に書かれた文章なのだが情景が浮かんで、まるで映画を見ている感覚にさせてくれる。6編に登場する人物は誰もが不幸を背負っているのだが、どんな言葉よりも優しい肌触りと温もりで寄り添ってくれるワンちゃん。犬好きな人にとっては涙がちょちょぎれるんではなかろうか...6編の中でおいらは『泥棒と犬』が最も印象に残った。発展途上国出身の犯罪者が示す愛情が切なく胸に迫る思いだ。人間不信に陥った者にとっては、犬は唯一の裏切らない友達だったに違いない。

もう一冊は2019年第17回 開高健ノンフィクション賞受賞作、濱野ちひろ作『聖なるズー』犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」の話である。この本では著者がドイツの動物性愛の人々の家で何日も一緒に暮らし、自ら胸襟を開き相手と深く観察し会話をしている。今、社会でも問われてるLGBTしかり愛の形は様々であり、真の愛とはなんぞや?生き物の在り方に一石を投じる本であるに違いない。

今日6月23日は沖縄戦で旧日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日から76年にあたる「慰霊の日」である。この日のことを知らない人が全国に75%居るという。確かに戦争そのものが風化しつつあることは間違いない。沖縄戦で人口の4人に1人が戦死した事実、そして今なおアメリカ軍基地が存在し沖縄の人たちに負担を強いていることを忘れてはならない。沖縄の透き通るような空と海、そして朴訥で飾らない人たち、沖縄が他県と同等の幸せな暮らしができることを強く願う。

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燃える夕景

2021/06/21
【第1496回】

先週の週末、久しぶりに新宿花園神社でテント芝居を観てきました。演目は新宿梁山泊「ベンガルの虎」唐十郎の作品の中でも大好きな作品の一つです。なんとこの芝居に今年御年72歳になり、第46回菊田一夫演劇大賞を受賞したばかりの風間杜夫ちゃんが出演しているんでございます。思えば1973年の状況劇場の強烈な初演が甦ってきます...当時のアングラ演劇を牽引していた唐十郎、寺山修司、鈴木忠志、佐藤信などのなかでもおいらは何といっても特権的肉体論を旗印に、日本のみならず海外にまで紅テントを繰り広げていった状況劇場が大好きでした...この芝居の内容はビルマ(現在のミャンマー)、ベンガル(今ではインドとバングラデシュに分断された地域)、バッタンバン(カンボジアの州)、そして日本の下町を縦横無尽に駆け巡る壮大なロマンに満ち溢れているドラマです。芝居の冒頭に風間杜夫扮する隊長、兵士が口ずさむ埴生の宿からビルマの竪琴の主人公水島を想起させる着眼点が素晴らしい。初演には観られなかった新しい試みを仕掛ける演出家・金守珍の唐作品の愛おしいほどの愛情が随所に感じられる。名作は何年経っても名作であり、その名作に新しい息吹を吹き込み新たな作品に仕立て上げる新宿梁山泊の意欲と志に拍手を送りたい。

杜夫ちゃん、貴男のいくつになってもチャレンジしていく役者魂にも勿論拍手を送りたい。ラストにテントが開けられ、ステージ奥から本物のショベルカーが登場しそのバケットにずぶ濡れになりながら乗り込むヒロイン...これがテント芝居の醍醐味、テントなかで繰り広げられた虚構の劇が一瞬にして現実の世界に晒される。唐十郎がテントに拘り続けたことを知らされるときめきの瞬間でもある...だから芝居はやめられませんことよ。

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テントが似合う新宿花園神社

2021/06/18
【第1495回】

昨日、渋谷東急文化村オーチャードホールに島田歌穂さんのコンサートに行ってきました。会場に行く前に、まず渋谷の人の多さにビックリ、しかも若い人がマスクもしないで路上でワイワイガヤガヤしておりました。コンサートの帰り21時過ぎの渋谷の街は一段とヒートアップ、アルコールを出している店には若い人達の大声が外にまで響き渡っておりましたし、なかには早々と満席の張り紙が入り口に...これじゃ間違いなく又もやコロナの大きな波が来る予感がしました。ましてやオリンピックの開催、ああ恐ろしや首都東京!一体全体誰が責任取るんじゃ!責任の所在を明らかにしないまま突き進んでいくこの有様は、まさしく日本が戦争に突入していった過去の苦い経緯と相通じるものがあります。当時との違いは、今は言論の自由があるので約7割の人がオリンピック反対・再延期を表明しているにもかかわらず突き進もうとしている輩にはただただ驚くばかりです。こんな状態のなか出場する選手の気持ちを考えると何だかいたたまれない気持ちにもなってしまいます。国民には散々自粛を強いていながら何故オリンピックだけ特別扱いにするのか?その仕組みと開催しようとする上級国民の魂胆がわかるだけにみんな呆れ怒っているんでございます。

さて、島田歌穂さんのコンサート、誠実な歌穂さんの人柄がよく出ていたライブでした。超満員の聴衆を前に数々のミュージカルの名曲を披露する歌穂さんは、まさしく歌姫でした。ゲスト出演の山崎育三郎さんとのデュエットは絶品でした。さすが、長年日本のミュージカル界で活躍されたプロのステージでありました。

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まだまだ頑張ってます!

2021/06/16
【第1494回】

なんだかオリンピックが既成事実として開幕に向けて着々と進行している状況が恐ろしい気がします。感染者が爆発的に増えても誰一人として責任の所在を明らかにしていないのには呆れてしまう。これまでの経緯から言ってもとても信用できない人たちが、兎に角オリンピックをやりたいがために突き進んでいる。なのに、国会は明日から9月まで閉会、今月末には減給もなく予定通りボーナスまでもらって解散総選挙後の運動に奔走する始末。コロナで困ってる人たちを置いてきぼりするこの輩を徹底的に糾弾しないお人好しなニッポン人。上級国民は庶民を完全に見下しなめてかかっているんでございます。新宿の街でも、阿保らしいと昼間から酒を飲ませている店があります。緊急事態宣言もまん延防止も、ただの言葉遊びにしか感じられないくらいの体たらくな対策にしびれを切らして楽しそうにお酒を飲んでる人達...あちゃ!

「Sing a Song」は昨日から北陸地方に入りました。いよいよラストスパートです。「狸の里帰り」は北海道の2公演を終え今日は網走湖のすぐ側の大空町公演。この季節の北海道は梅雨もなく快適極まりない環境です。北の大地の方々もそうそう芝居を観る機会はないと思いますが、この芝居を観て頂いて少しでもコロナによる閉塞感を晴らして頂ければと思っています。20代前半リュックを背負って道内一周した日々が懐かしい...知床の浜辺でドラム缶の風呂に入り地元の漁師の番屋の泊めて貰ったこと、駒ヶ岳の麓で野宿しているときにオオカミに襲われそうになったこと、礼文島の民宿に住み込み毎日ウニ漁に出かけその場で食べた事などなど...おいら昔から風来坊でありました。

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カルガモさんも考えています

2021/06/14
【第1493回】

ここ10年で最も遅い梅雨入りした今日の東京、ここ数日に比べ涼しい感じがします...昨日、南青山にあるブルーノート東京で桑原あいさんのライブを聴いてきました。1991年生まれのピアニスト、今年出したCD「Opera」の彼女に感性に惹かれ生で聴きたくなった次第です。初めの3曲はソロ、そのあとはベース、ドラムが加わったトリオの演奏でした。次々と繰り出される変拍子リズムに対し、これを心地よく受け止めながら躍動する彼女のピアノは、緩急を織り交ぜ、時には抑制を効かせたプレイで、なおかつエレガントな魅力をひきだしてくれる素敵な演奏の連続でした。ジャズのジャンルを超え、音楽そのものの魅力を伝える若き音の伝道師ではなかろうか...エンニオ・モリコーネの名曲「ニュー・シネマ・パラダイス」のベース、ドラムに見事に絡んでくる彼女のピアノを弾く、いや叩く音色は、あの名画のシーンを想起させおいらの感情を狂おしく揺さぶってくれました。彼女があの曲、あの映画に思いを寄せたそのパッションの強度を強く感じました。演劇然り、やはりライブはなにものにも代え難い魅力をもっているんでございますね。

G7の会議、海辺近くの写真撮影後にひとり取り残され最後尾を寂しく歩く我が国のトップの姿を見るにつけ、なんだか可哀想になりました。人には身分相応と言う言葉があります。番頭さんで終わっていれば良かったのに...うつろな眼差しで安心安全を呪文のように言い続けている貴方、国民のだれにも信用されてないのも又、哀れです。東京トップのおばちゃんのふてぶさしさも怪しいもんでございますがね。

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Blue ♪ Note TOKYO

2021/06/11
【第1492回】

先日TVで渡辺麻恵さんのことが紹介されていました。麻恵さんは過去にトムの作品に3公演参加された方です。結婚する前は大塚麻恵という名前で活動してました。明るく前向きで好感が持てる女優さんでしたが、世界一周旅行を経験しバングラデシュに移住を決意。今は素敵な旦那さんとバングラデシュの貧困にあえぐ子供、女性たちが自立できる手助けをされています。先日アフガニスタンで亡くなった中村哲さんもそうですが、こんな人たちが存在してこその日本だと思います。ひとのために尽くすことが生きてることの証明、いやそのために命を授かったという感謝の気持ちがある人は尊敬します。3年前に帰国した時に麻恵さんからもらったバングラデシュの人たちが作ったキラキラペンはとっても素敵なペンでした。手作りのキラキラ輝いたデザインと書き心地の良い逸品です。TVで観る麻恵さんは一段と美しくキラキラペンのように輝いていました。この世に奇跡的に命を頂いたならばいつまでも輝いていないとバチがあたりますね!バングラデシュ、アフガニスタンに比べりゃなんでんかんでん出来る日本じゃありませんか、愚痴なんてこぼしている場合じゃありませんことよ。人生はアクションでございます、ごちゃごちゃ考えないでまずは行動に移すことです。動いて初めて見えてくるものが沢山あるはずです...おいらも75年間ハチャメチャ生々流転の人生でしたが、がむしゃらに動いたからこそ失うものより得るものの方がはるかに多かったと断言できます。

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何のお願いごとかな?

2021/06/09
【第1491回】

先日、地方の片隅で新宿ゴールデン街の小型版みたいな店が集まった飲み屋街のドキュメントをTV放映していた。店を経営しているママさんも訳ありの人生、集まるお客もそれに輪をかけたような波瀾万丈の生き方を経験してきた強者ども揃い。時には罵倒し、時にはいたわり合いながら今ある生を懸命に生きている。下手な芝居も顔負けの壮絶なドラマを見せつけられる思いだ。人間やっぱり苦労せないかんのかな?いや苦労しなくともすいすいと楽しく過ごしている輩もいるやんけ...なるほど人の人生人さまざまでございますが、なんだか訳あり人生を過ごした人達って、根が純粋で正直のあまり不器用にしか生きられないのかなと思います。調子のいい奴ほど出世もし、ほどほどの生活をしてるのだが、果たして本当に満足しているのかどうかは他人には判断できないのは当たり前でございます。

今読んでいる桜木紫乃「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」も社会の底辺で愛おしく生きている人たちの話です。人の道から外れた人生に何故か惹かれるのは、普通に過ごしている人たちに比べて、はぐれ者のストレートで愚直ではあるのだが、情がてんこ盛りされているからではなかろうか。時代はクールが主流の時代だからこそ情に懐かしさを覚える。しかし情は大切なもんでございます。昭和に生きたニンゲンの戯言ではございませんことよ。

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ガクアジサイ

2021/06/07
【第1490回】

6月もあっという間に2週目を迎えることになりました...この時期、井の頭線にはたくさんの紫陽花が咲き誇っています。車窓から眺める紫陽花は、しばしコロナのことを忘れさせてくれます。ふと、近未来、ウイルス、戦争などにより花々すら見られない世界が訪れたら?なんて考えちゃいます。先日まで続いていたイスラエルとパレスチナの小競り合いで廃墟と化したガザ地区には緑の痕跡すらありませんでした。ガザ地区に住む画家が破壊されたアトリエで画材がなくなりカレー粉などを使って絵を描いていました。権力者、武器産業が一体となって無意味な争いによって無毛な光景を生み出しているのに、いまだストップをかけられないニンゲンの愚かさを日々知らされる世界ってなんなんでしょうかね...

「狸の里帰り」東京公演を終え地方公演がスタートしました。昨日、千葉県市川市行徳文化ホールI&Iで無事公演を終えることが出来ました。12日から北海道をはじめ全国各地で公演します。「Sing a Song」は昨日まで愛知県を終え明日から三重、岐阜を巡演します。どちらも感染予防対策をしっかりと心掛けての公演です。

それにしても東京五輪開催を巡る政府対策分科会の尾身会長の発言について、田村厚生労働相が「自主的な研究の成果の発表」などと発言。この方、眼を充血させながら他の閣僚に比べてよくやってるんじゃないかしらと思っていたのだが、やはり権力のチカラには頭を下げざるをえなかったんですね。政治家になりゃ誰だって総理の座に着きたいのは当たり前。何が国民のため?所詮、政治家なんぞは権力亡者の烏合の衆でございます。

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井の頭のアジサイは地味に都内No1

2021/06/04
【第1489回】

昨日、スカイツリー近くにあるすみだパークシアター倉で劇団桟敷童子「獣唄」を観劇しました。昨年上演された作品なんですが、出演していた村井國夫さんが心筋梗塞で倒れ途中降板となりました。この年の紀伊國屋演劇賞団体賞を劇団桟敷童子、個人賞を村井さんが受賞した作品だけに再度上演するに相応しい作品だったと思います。おいらは初演も観てるんですが村井さんが完全復活し、より密度の濃い舞台に仕上がっていました。何度も書いてきましたが、この劇団の演劇に対する志の高さ、純粋さに頭が下がる思いです。ハイテクとは真逆の人間の体温に一番近いところを信じての芝居作りは演劇の原点でもあると思います。

少年の時に見聞きし心震えた現象を見事な人間ドラマにしていく東憲司さんの変わらぬスタイルは多くの観客の心を鷲掴みして当然ではなかろうか...

さて、オリンピック本当にやるんでしょうかね?宙に浮いたオリンピックをどう調理したらよいのか、コロナも含めて、更には政治がらみときたもんで右往左往しているんでございますね。上級国民のやることは今やほとんどの国民が疑心暗鬼になったおりますんで、どちらに転ぼうが諦めの境地でございます。ただ言えることは、開催されれば他国からのコロナが拡散されることは間違いないし、収束は不可能ではないかということは覚悟せねばならないのでは...この国のトップの眼がますますうつろになり哀れに思う今日この頃でございます。

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下町の太陽

2021/06/02
【第1488回】

1964年にオープンした紀伊國屋ホールの改修竣工記念式典に昨日出席しました。本屋さんの中に劇場があるのは世界でも珍しいそうです。パリから来た芝居関係者もびっくり、しかも演劇賞まで設けて新宿文化を牽引していった功績は大だと思います。小劇場の人達には憧れの劇場で「新劇の甲子園」とまで言われました。双六の上りみたいなもんですね。おいらも役者で一度だけ立ったことはありますが、劇場に漂う雰囲気が文化そのものという感じがしました。トム・プロジェクトを立ち上げたあとも公演で何度か使わせていただいてはいるんですが、観客の方々の劇場に向かう気持ちの高まりが尋常でない感じがします。確かに多くの書物をすり抜けて行くだけで、すでに言葉のシャワーを浴び、いやが上にも想像力を喚起せてくれる気がしてしまうんですから稀有なる劇場かもしれません。

式典はいろんな方々の祝辞の言葉がありましたが、最後にゲストで演奏されたジャズピアニスト小曽根真さんのステージが最高でした。1曲目は「リボーン」、彼の自作であるこの美しい旋律は、新しく出発する紀伊國屋ホールへのエールとなって優しく語り掛けているかのようでした。2曲目は「誰かのために」この曲は昨年アフガニスタンで亡くなった医師中村哲さんに捧げる新作でした。この2曲を聴きながら、小曽根さんがアーテイスト以前に一人の人間としてとっても魅力のある方だと思いました。改めて、人は人を幸せにするために生まれてきたんでございますね。

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水無月