トムプロジェクト

2022/10/31
【第1679回】

今年のプロ野球、セパ両リーグの息詰まる大熱戦で無事終了いたしました。昨日の試合も勢いに乗るオリックスのワンサイドで終わると思いきや、なんと8回の裏にヤクルトが1点差まで詰め寄る試合展開。こんな試合をされると今まで野球に興味が無かった人まで野球ファンになっちゃうんじゃないかしら...この両チーム、監督そしてコーチ陣が素晴らしい。この一、二年で今まで見なかった若手の選手を登場させ活躍させるんですから、指導だけではなく人としての教育もきっちりやってるんだろうなと思います。特にオリックスの中嶋監督、地味だけど地に足がついた采配が光ります。試合の後半に出てくるリリーフ投手陣の投げっぷりが観ていて気持ちがいい。しかもイケメンと来てるから、女性ファンが増えるに違いない。それに反してヤクルトのリリーフ陣は、吉本のお笑い芸人さんとか庶民的な演歌歌手のそっくりさんが出てくるのでなんともほんわかしちゃいます。今回の日本シリーズはいろんな楽しさ満載の7試合でした。

この7連戦でおいらが印象に残った選手は、オリックスの宇田川優希投手、2020年のドラフト育成3位で入団、今年7月に支配下選手となり9月の西武戦でデビューしたばかりの選手である。今回の選手権、ヤクルト選手を完璧に抑えあっぱれである。しかも年棒は450万円ときたもんだからたいしたもんでございます

一方、ヤクルトでは丸山和郁外野手、2021年ドラフト2位で入団した新人選手、巧みなバッティングコントロールで広角に安打を放ち50メートル5.8秒の俊足。青木選手の後釜が出て来たなと思った次第です。

この両チームを観ながら、我がライオンズ来シーズンは大丈夫かいなと正直不安が過りました。松井監督以下コーチ陣に期待するしかありませんな...それにしても来年こそ日本シリーズで戦う獅子を観たいもんでございます。燕と牛ちゃんに負けちゃいられませんぞ!

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先週末のスカイツリー

2022/10/28
【第1678回】

おいらが大好きな作家のひとり安西水丸さんの本が久しぶりに出版されたので早速購入しました。「一本の水平線」、本の帯には...いずれにしても、ぼくの心の中にはいつも絵がある。それが心の支えだなどというのもちょっと気恥ずかしいけれど、口に出しては言えないけれど、きっとそれが支えだろう。

決してうまい絵だとは思わないけど、水丸さんの優しい感性が鮮やかな色づかいとともに遊び心で満たされている。何気なく心の印象風景を構えずに自由なタッチで描かれているので、こちらの気持ちも思わずなごんでしまう。疲れた時に手を伸ばし眺めるにはもってこいの本である。亡くなる2年ほど前に、渋谷のシアターコクーンで見かけたのだが飄々とした佇まいは水丸さんの絵と文章そのものでありました。

この本の中の文と絵をふたつ

 

こんな風に生きたいと思っていることがある。

絶景ではなく、車窓の風景のような人間でいたいということだ。

 

人間は、どのように生きるかよりも、これだけはしたくない

というものを持って生きる方が格好いいですね。

 

さりげなく生きたいと思ってはいるもののこれがなかなか難しい...このさりげなさの本質を思考させてくれるヒントがさりげなく描かれているのが安西水丸の世界。秋の夜長に静かな音でも聴きながら手にするのにはピッタリの本でございます。

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さりげなく

2022/10/26
【第1677回】

久しぶりの青空、やはり心身共々晴れ晴れとしますね。道行く人も、公園でランチしてる人の表情も、昨日の寒さで縮こまった様子とは一変しておりました。これも昨日の寒さがあるから感じられることで物事全て表裏一体でございます。

公園で飛び跳ねる子どもたちを見ながら、ふとこの子どもたちに明るい未来は訪れるのか?とても心配しちゃいます。今年のロシアのウクライナ侵略に始まり、度重なる北朝鮮のミサイル発射、そして先日に決定された中国の習近平による一党独裁、島国日本の周囲にはきな臭い匂いがプンプン。間違って核でも打ち込まれれば、この国は一瞬にしてなくなってしまいます。今国会では防衛も含めていろんな議論がなされていますが、開会そうそう瀬戸際大臣が辞職、あんな人がいけしゃあしゃあと政治家やってるんですから開いた口が塞がりません。国の発展も止まったまま、なのに何の手も打てない政治の貧弱さ、何度やっても自民党の圧勝続き。おいらほぼ政治には期待しておりまっせん!ならば、この子供たちに何を残すために何をせねばならないのか...やはり一番大切なのは自立心を育むことです。今までの日本のシステムに添ったしつけ教育ではまったくもって駄目でございます。

何をやりたいか、それには好きなことに夢中になれる環境を作ってあげることが大切ですね。夢中この言葉がすべてです。夢を持っている限り人間には無限のチカラが沸々と沸き上がってきます。生きることに己が楽しくなければ他人も楽しくさせてあげられないのは自明の理でございます。

そんなことのたまわってる貴方、政治家なりゃいいじゃん!なんてこともよく言われますが、信じられないあの烏合の衆のなかに入っていったとたんおいら死んでしまいますがな...

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My Blue Heaven

2022/10/24
【第1676回】

これぞプロ野球...今年の日本シリーズもワクワクドキドキ満載シリーズでスタートしました。さすがセリーグ、パリーグを代表するチーム、クライマックスシリーズなんかやる必要なかったんじゃないのかな。このシステム、おいらいまだに納得できません。1年間必死こいて戦った日々は一体全体何だったんだろうなと思ちゃいます。1位になったのにリーグの代表として日本選手権に出場できないなんてこともあるんですからなんとも不可解であり、プロ野球機構の金儲け主義が透けて見えてきます...でも中には二度楽しめるなんて人もいるのも確かなのでおいらが頑張っても仕方がありませんことよ。

昨日の試合、9回表までオリックスが3対0で勝っていたのに、ヤクルトは9回裏、無死1、2塁から代打・内山壮真(高卒2年目20歳)が起死回生の3ランで同点。ホンマに野球は下駄をはくまでわかりませんな。まさかですよ、ひよっこみたいな選手にレフトスタンドに高々に運ばれるなんて、ほとんどの人が思いもしないことが起こるんですからね。延長戦に入っても一進一退、5時間過ぎに及ぶ熱戦の末引き分け。選手も大変だけど観客も大変ですな。終電に間に合うかしら?なんて心配しちゃいます。でも、こんな試合をしてるんだったらどちらのファンも大満足に違いありません。

来年こそは我がライオンズ、この時期にグランドに立ってプレーしていただきたいものです。頑張れがんばれライオンズ!

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仲良しコガモ

2022/10/21
【第1675回】

昨日、東京福岡県人会の懇親会に初めて出席しました。きっかけは先月上演した「エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ」の公演を知った方からの一本の電話です。見ず知らずの人ながら同郷であることだけでチラシの配布の手配、福岡県出身の方々をたくさん紹介して頂きました。昨日の懇親会の会場でも「芝居良かったよ!」と数人の方々からお褒めの言葉を頂きました。中に、今回出演した藤吉久美子さんの家庭教師をやったという方も居ました。それにしても福岡県人は明るくて元気よかですばい!よく飲み、よく食べ、よく喋る、こりゃおいらが住んでたスペインアンダルシアの人達と同じじゃん。そうです、福岡県人はラテン系のジャンルに属します。一方、ノリはいいんだが冷めるのも早い。芸能人もたくさん輩出してるんだが、いまだ博多にちゃんとした芝居小屋がないのも分かるような気がします。じっくり若い人たちを育てようなんて気がないのかな?お祭り気質なんで、わっしょいわっしょいとお祭り気分で騒いだ後は、それで終わりでございます。切り替えが早いと言えば聞こえはいいのだが、やはりコツコツと地ならししながら後輩のために道筋をつくる作業も必要なことではないでしょうか...

昨日の懇親会の会場である赤坂有薫は1985年開業で37年の歴史を持つお店だ。玄界灘を中心とした魚や、熊本の馬刺し、大長なすびなど、九州料理のテンコ盛り。郷土料理と郷土の尽きない話で、ついつい酒も進んでしまいいつもより早く酩酊気分になっちゃうのでご用心。

このところ秋晴れが続いています。散歩もよし、秋の夜長の読書もよし、勿論食欲の秋、五感が喜ぶアクションを一つでも起こせば、疲れた心身も緩んで、心晴れになりまっせ!

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どんぐり会議

2022/10/19
【第1674回】

遂に完走!9月2日からスタートした東北、中部・北陸ブロック演劇鑑賞会「風を打つ」の39ステージ。昨日、富山県となみ演劇鑑賞会で無事、大千秋楽を迎えることが出来ました。キャスト、スタッフの皆さん、そして呼んで頂いた演劇鑑賞会の皆様のおかげで、コロナをはじめあらゆる困難をはね除け上演できたこと本当に嬉しいの一言です。公演中、現場から電話が掛かる度に「もしやコロナ感染者が出たのでは...」ヒヤヒヤドキドキの日々でありました。勿論、旅の途上での皆それぞれが「自分が感染したら...」なんて不安を抱えながらの道中は厳しいものがあったと思います。感染した時点で公演中止になるんですから、そりゃ相当のプレッシャー、それを乗り越えての千秋楽。この公演にかかわったすべての人が感じた感無量の千秋楽の瞬間であったに違いない。芝居の神さんはちゃんとお見通しでございます。こんな素敵な芝居は多くの人達に観てもらわんといかんですばい!実はそんな神さんの声が聞こえ無事完走できるとは信じてはいたんですが...なにが起こっても不思議ではない今の世の中そりゃ心配しますがな。

それにしても今回の「風を打つ」どの会場でも大好評でございました。キャストのチームワークの良さ、スタッフの厳しい条件の中での踏ん張りが、より密度の濃い芝居を生み出したと思います。

さて、次なるものは?芝居創りには終わりがありません。来年、そして再来年、高い頂上を目指して一歩、また一歩、困難な山道を踏みしめる登山者と同じかも知れませんね...

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彩られ色づく秋

2022/10/17
【第1673回】

今日の東京は曇り空で時折小雨が降ってます。街行く人もやがて来る冬の季節に備えての服装が目立ちます。本来であれば、秋に相応しいファッションで目の保養をしたいところですが、なんともこの気候変動で季節の楽しみが奪われつつあります。

週末の吉祥寺はちょっとしたバザールでにぎわってました。傷んだ服無料で修理しますというお店があったので覗いたらパタゴニアでした。パタゴニアの目的「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をキャッチフレーズに展開している会社です。これからはただ利益を追求するだけの会社は消費者に受け入れられないんじゃないかしら?この不確実極まりない時代に何らかの付加価値をつけないと生き残れないと思います。

それにして諸々の値上げラッシュには悲鳴を上げています。以前までは美味しくて安くコロナ対策万全の行きつけの焼き鳥店もとうとう値上げしちゃいました。お客は敏感なんですね、開店早々席が埋まってた頃に比べて客足が鈍くなったのではと心配しちゃいます。店を出ると、すぐ近くにある破格の値段で勝負しているお店にはたくさんの客で埋まってました。給料は上がらないのに物価、外食の値段が上がるとなると、そりゃ庶民の財布の紐が堅くなるのは当然です。街にはたくさんのコーヒ店があるのだが、ここが閉店に追い込まれると世の中かなりやばい状態だと思います。昔からコーヒ店は、安らぎ、交流の場であり、淹れたてのコーヒーを味わいながら唯一緩んでいられる憩いの場であるからです。

どんなに苦境に陥いっても、心身の片隅に余裕のココロが失せないよう日々チェックしたいもんでございます。

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秋の井の頭公園

2022/10/13
【第1672回】

連日にわたるプーチンのウクライナに対する無差別ミサイル攻撃は、嘗て第二次世界大戦でナチスドイツがスペインバスク地方にあるゲルニカの村を攻撃したことを彷彿させる出来事だ。おいらも45年前にこの村を訪れたのだが、村の一角には、ピカソによる絵画『ゲルニカ』と同寸のレプリカが飾られていました。バスクでとれた新鮮な魚介を村の食堂で食した記憶があります。この静かな村にいきなり無差別に爆弾が投下された光景はピカソが描いた絵の如く阿鼻叫喚の様であったと思います。テレビで流れるウクライナの状況を見るにつけプーチンの残虐性にただただ怒りを覚えます。そして又、このあとのロシアの国が苦難の道を歩まねばならないとするならば、ロシアの民衆が反戦の大きな声をあげなければと思うのだが、これも命懸けの行為です。要するに世界の安定を保つためには、独裁者を生み出さない土壌を日頃その土地で暮らす人達が養うしかありません。

20代の頃に読んだ夏目漱石の「こころ」を再読。若い頃に読んだ印象と、この年齢この時代の読後感はさすがに違いましたね。当たり前のことですが、己の人生経験と作者が描いた世界とのバトルを堪能させていただきました。それにしても漱石はさすがです。登場人物の心理描写、話の展開、ミステリアスな味付け、文学でありながらエンターテインメントの要素を盛り込みながら今なお燦然と輝く文学者でございます。

今日も肌寒い一日、新宿にもぼちぼちながら海外からの旅行者がマスクしないで散策しておりました。これからが冬本番、インフルエンザとコロナでまたまたてんやわんやの大騒ぎにならぬことを祈るのみでございます。

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雨に濡れるアンネのバラ

2022/10/11
【第1671回】

今年のライオンズの試合終了しました。昨年の最下位から今年は3位ですからなかなかよくやったというべきでしょうね。辻監督も今年で退任、6年間でリーグ優勝2回、Aクラス5度なんですから名監督であったと思います。いろいろ言われますが、気さくで明るい自由奔放なチームを形成し皆のびのびと野球を楽しんでいました。管理野球が野球をつまらなくした過去があるんで、このスタイルこそが本来のライオンズのチームカラーです。

それにしてもパリーグ・クライマックスシリーズ・ファーストステージ、ソフトバンクとの2試合、同じ選手に決定的なホームランを2度打たれるシーンを見ながら、森捕手のリードを疑いました。前日打たれたコースと同じところに投げさすんですからあちゃ~、森の野球センスはバッターとしては認めますがキャッチャーとしてはいかがなものかと改めて感じた次第です。FAの権利を取得したので他のチームに移籍する可能性十分にあります。セカンドを守っていた外崎然り、この権利は選手として長いことプレーしてきた選手の権利ですから他人がとやかく言うものではございません。他のチームの契約条件がよければどうぞ!ライオンズはあまりお金がないので、他のチームに比べても流出が多いチームですが、次から次に若い選手が出現する楽しみなチームです。おいらはこちら方が好きだな...ぐだぐだ言うなら、お金が欲しけりゃ、他のチームで頑張ってくださいな。今でも楽天に移籍したA選手、登場するたびにむにゅむにゅしますがな。

ロシアのウクライナへの報復ミサイル攻撃。プーチンの狂気の沙汰がますますエスカレートしてるみたいで無気味でございます。なにもできないけど、ただひたすら平和を願う気持ちだけは持ち続けたい!この願いの数がこの現況を変えてくれるに違いない...

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秋バラ
(花言葉~情熱)

2022/10/07
【第1670回】

昨日は久しぶりに銀座に行きました。日比谷にあるシアタークリエでの公演「アルキメデスの大戦」を観劇。映画にもなった作品で、舞台にするのはちょいと難しいのでは?と思ったんですが、そこは歴史物、特に第二次世界大戦にまつわる作品を数多く上演してきた劇団チョコレートケーキの作・古川健、演出・日澤雄介コンビが上手くまとめておりました。舞台は台詞が命、若い役者さんたちが想像力を駆使して懸命に表現しておりました。惜しいかなヒロインの女優さんがまだまだ舞台でお金取れるレベルではございませんでした。

この手の芝居でいつも感じることは、客層の90%以上が女性であること。そのお客様のほとんどが一部の男優さんの追っかけであること。おいらは前から7列真ん中の席だったんですが、両脇の女性客二人とも、お目当ての男優が登場するとオペラグラスをしっかりと手にして観劇しとりました。そんなことしなくてもハッキリ、クッキリと男前のお顔拝顔できるのにと思うのだが、そこはファン心理でござりまする。おいらがとやかく言うべきことではございませんが...でも、追っかけさんであっても、この芝居を観終わって平和の有難さ、戦争に対する不条理を今一度考えるきっかけになればいいなと思いました。更に言うならば、芝居の面白さにはまり、小劇場も含めて様々なジャンルの芝居に足を運んでいただければいうことなしでございます。

いやいや、急にブルブル寒い季節になっちゃいました。そのうちに春と秋がなくなるんじゃないかしら...春と秋があっての夏と冬。世相の味気なさと季節の移り変わりがなんだか似通ってきた嫌な予感がいたします今日この頃。

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秋の風物詩

2022/10/05
【第1669回】

新宿西口の象徴的な存在であった小田急百貨店新宿店本館が10月2日、55年にわたる現館での営業を終了しました。おいらは22歳の頃、百貨店というよりすぐ近くの思い出横丁(その当時はしょんべん横丁)を徘徊し安酒飲んだり、地下の西口広場の反戦フォーク集会を覗いたり、百貨店前で詩集を売ってた人と仲良くなったりと、この建物を軸にして行動してました。ちょいとお金が入ると、めったに買わないお洒落な衣服を購入した記憶もございます。貧乏青年にとって百貨店なんぞは高嶺の花、でも何事も感性をアップするためには高級な品々を見て廻ることも大切なことでした。なかでも海外の家具、照明器具、日本の伝統工芸品をじっくりと眺める時間は贅沢なひとときでもありました。この雄大な建物、大規模再開発に伴って解体されることになり、2029年度をめどに地上48階建ての超高層ビルになるそうです。東京の街の変貌はすさまじいほどのスピードで進んでいます。別に昔を懐かしんでいるわけではないのだが、おしなべて無機質な街になってることは確かだし、おいらとしては寂しい気がします。あの猥雑でエネルギッシュな街の佇まいから時代を変える文化が誕生していった経緯を体験しただけに尚更です。

あのサイドと後ろを刈り上げたオッサン、ついに日本上空に長距離ロケット砲を飛ばしました。このオッサンとプーチンには困ったもんでございます。まさか核攻撃?でも一寸先は闇、日本にも召集令状なんて時代くるかも...この世紀、何が起きても不思議でなくなった様相を呈しています。ゴシゴシ自分磨きをしないと大変なことになっちまいますぜ皆の衆。

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おつかれさまでした

2022/10/03
【第1668回】

久しぶりの舞踏、堪能いたしました。10月1日に行われた「天狼星堂舞踏公演10月~つづれ織り~」中野のテルプシコール。この小屋はおいらが20代の頃、演劇群走狗の打ち合わせで通ったところです。その後、舞踏の聖地として数々のダンサーがこの地で修練を重ねてきました。この舞踏においらが出逢ったのも20代です。今は亡き土方巽の公演ですっかりはまってしまいました。これこそあらゆる踊りの中で日本人が勝負できる表現だと確信しました。蟹股、重心を低くして空間を模索していく様は、まさしく宇宙であり肉体が氾濫しながら哲学の世界に誘っていく感覚がたまらなく愛おしくなった記憶があります。

早速、当時目黒にあった土方さんが主宰するアスベスト館に遊びに行きました。類まれなる天才、土方巽の一挙手一投足をつぶさに鑑賞させていただきました。このカリスマ性は誰も真似ができないほどの一世一代の話術、肉体表現でした。でもなぜかおいらはこの門を叩こうとは思いませんでした...そりゃそうだ生来の気質、組織の群れの一員になるのが嫌だったんですね。しかし土方さんから受けた影響は、おいらがスペインでの大道芸で稼ぐ日々の大きな財産になりました。45年前、白塗りに着流しふんどし姿で舞い踊る姿を異国の人たちは驚きの表情で観ておりました。お陰で1時間の踊りで1週間充分に生活出来る投げ銭を頂きました。その後、当然の如く舞踏は世界の舞踏へと拡大していきました。

この日の天狼星堂の主宰者である大森政秀さんとも長い付き合いです。彼特有の身のこなしはなんぞや?彼の出自、生まれ育った北海道三笠市で少年期、アンモナイト採集の日々に夢中になった少年を手繰り寄せる舞でもあり、いまだ正解のないこの世の不条理に心身を投げ出し模索する佇まいにも視えました。言葉がないだけに観る側の想像力を無尽蔵に掻き立ててくれます。4人のお弟子さんもなかなか個性的で素敵でした。なかでもワタルさん、大倉摩矢子さんまた拝見したいなと思いました。

この世の中、まだまだおもろい代物がたくさんありまっせ!ぼけっとしとったら損しますがな。

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摩訶不思議な世界