トムプロジェクト

2022/10/28
【第1678回】

おいらが大好きな作家のひとり安西水丸さんの本が久しぶりに出版されたので早速購入しました。「一本の水平線」、本の帯には...いずれにしても、ぼくの心の中にはいつも絵がある。それが心の支えだなどというのもちょっと気恥ずかしいけれど、口に出しては言えないけれど、きっとそれが支えだろう。

決してうまい絵だとは思わないけど、水丸さんの優しい感性が鮮やかな色づかいとともに遊び心で満たされている。何気なく心の印象風景を構えずに自由なタッチで描かれているので、こちらの気持ちも思わずなごんでしまう。疲れた時に手を伸ばし眺めるにはもってこいの本である。亡くなる2年ほど前に、渋谷のシアターコクーンで見かけたのだが飄々とした佇まいは水丸さんの絵と文章そのものでありました。

この本の中の文と絵をふたつ

 

こんな風に生きたいと思っていることがある。

絶景ではなく、車窓の風景のような人間でいたいということだ。

 

人間は、どのように生きるかよりも、これだけはしたくない

というものを持って生きる方が格好いいですね。

 

さりげなく生きたいと思ってはいるもののこれがなかなか難しい...このさりげなさの本質を思考させてくれるヒントがさりげなく描かれているのが安西水丸の世界。秋の夜長に静かな音でも聴きながら手にするのにはピッタリの本でございます。

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さりげなく

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