トムプロジェクト

2023/11/29
【第1828回】

風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン~最後のロマンス~」東京公演、昨日俳優座劇場で無事初日を迎えることが出来ました。北海道、関西、九州を巡演しての公演です。地方公演とまた違って東京という演劇激戦区での初日というのもなかなかと緊張するものでございます。劇場には演劇評論家の方々を始め芝居に対して厳しい目で観劇される方も多々いらっしゃるので、もう一度褌を締めてかからねばなりません。勿論、風間さんを愛するファンの皆さんは、杜夫ちゃんの一挙手一投足、なにをやっても楽しいなんて見方をされているかとは思いますが油断禁物、どこに落とし穴が潜んでいるのか分からないのがナマの舞台の恐さでございます。百戦錬磨の風間杜夫も、その辺のところは当然熟知していて手探り状態で芝居しているのが良くわかりました。これがナマの面白さでありスリリングな舞台の魅力です。

石川県の知事、アホですな。いや正直もんですな。こんな人が国会議員になり知事になるんですから、選んでる人もアホですなと言われないようにせにゃアカンですな。

今回の芝居の中にも、時事ネタで今の世界、日本の現状を憂えています。日々変化する世相を上手く切り取り芝居に取り込むことが出来るのも現代劇の良さだと思っています。

今日は東京公演2日目。杜夫ちゃんどんな芝居みせてくれるのかな...楽しみです。

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場外でも熱演中

2023/11/27
【第1827回】

いきなり寒くなり人も樹木もおたおたしております...一足早く紅葉した葉もひらひらと地上に落ち始め思わず枯葉♪を口ずさんでしまいました。勿論、シャンソンの名曲ですがジャズでのマイルス・デイヴィス、ビル・エバンスの演奏も極上です。

それにしてもこの季節、黄や紅で多くの人を魅了する樹々に拍手を送りたい。そんな光景を見ながら、人間もこれほど見事に変身できれば楽しいに違いないと思ってしまう。新緑の鮮やかな緑に始まり燃えるような色に変化し、風に吹かれながら舞い踊る。枝で美しさを誇り、落ちて惜しまれるなんて最高の生きざまじゃございません。

 

「昨日より今日はまされるもみじ葉の明日の色をば見でや止みなん」 恵慶法師

 

ガザ地区での停戦、人質解放、取り敢えずほっとしています。この時代に相も変わらず殺戮が日常化し、なかなか止められない世界の現状悲しい限りです。でも、これこそ人間が背負わなければならなかった業なんですかね。見渡せば、他の生き物が良いお手本を見せてくれてるはずなんですが...困ったもんでございます。

余計なことには手を出さず、自然界の法則に則って命を全うすることが困難な環境であることは分かっちゃいるけど、すべて原点回帰でいかんと大変なことになりますぞ...

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まだまだ魅せます

2023/11/24
【第1826回】

福間健二は生きていました...昨日、東中野にある粋な映画館ポレポレ東中野で福間健二監督の新作で遺作になった「きのう生まれたわけじゃない」を観てきました。今年4月に健二さんが74歳で亡くなったのを知り即、伴侶でありプロデューサーである恵子さんに連絡し自宅に伺いました。知り合って40年、こんな別れがあるなんてとても信じられない一日でした。その時、恵子さんはすでに前を向き今回の新作上映の準備を進めていました。

心の通わない母と二人で暮らし、中学校に通わず、希望を抱けない14歳の七海(ななみ)。妻を亡くし、過去にとらわれた元船乗りの77歳・寺田。ふとしたきっかけで心を通わせた二人は、友人かつ家族のような日々を過ごす。そんな中で、新たな人生の歯車が動き出すというストーリー。なんと寺田の役を健二さん自身が演じていました。いい顔してました!遺作に監督自身が主要な役を務め、詩人に相応しい透明感のある言葉を散りばめ、日常を説得力のある映像で見せられると、あたかも自らの死を予感していたとしか思えませんでした。

そして健二さんの7作目になる今回の作品が、今までの作品の集大成に匹敵する作品ではないかと...健二さん、恵子さんとの交流を通じ二人が生きてきた志、思考、人間としての在り方においらも共感しお互いに切磋琢磨することが出来たと...様々な表現方法はあるのは当然のことながら、確かなことは福間健二でしか表現できない言葉、映像を新鮮な感覚で作品として観れることがおいらにとっては秘かな楽しみでした。

今回が遺作となったのだが、この新作の健二さんの全身から発する表情は、まさしく「きのう生まれたわけじゃない」彼が信じた世界が彼の中に存在する限り、未来永劫生きてることを証明している映画だと思いました。福間健二は生きています!

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福間ワールド

2023/11/22
【第1825回】

作家、堀田善衛さんが1997年7月、60歳になった日からスペインに住み始めて430日に渡る日々を記した「スペイン430日~オリーブの樹の陰~」を読み始める。読んでいるうちに、おいらがアンダルシアの小村サロブレーニャに住み始めたことを懐かしく想い出しました。 

最初にスペインに行き、次に来る機会があれば必ず住もうと決めた村がサロブレーニャでした。グラナダ県サロブレーニャ村。グラナダからコスタ・デ・ソル(太陽の海岸)に山越えバスで一時間半南下すると海を眺めるような白い鯨の形をした巨大な塊が見える。この塊がサロブレーニャだ。砂糖きび畑と海を持つこの村は、ほぼ自給自足で生活している。

この村に着き先ずは家探し。最初に借りたマンションは家財道具付の2DK、もちろん目の前は地中海を前にしたベランダ付。家賃は日本円にして1万5千円で言うことなし。喜び勇んで住み始めたが、日本人にとって生活の一部である浴槽に問題が発生。電気でタンクの水を温めるため、大きな浴槽の三分の一溜まれば、タンクが空になってしまう始末。浴槽に身を沈めても精々身体の半分しか浸かれない。そりゃそうだ、スペイン人には湯船にゆったりと身を横たえる習慣がない。ここはスペイン流に妥協も考えたが、長く住むことを考えると、ここはどうしても譲れないところだ。管理人に契約解除を申し出る。すると、善良そうな管理人ぺぺおじさん「何とかしてみる!」この善意を無碍にも出来ず、様子を見ることになった。次の日から修理道具一式を持ち込み必死の修理を試み、シャワーのお湯を出し「ほら、こんなに熱いお湯が出るでしょう」と自慢げにのたまう。僕もしっかりと言い返す。「熱いお湯はいい。問題はこの浴槽にたっぷりお湯が溜まらんといかんのよ...」と日本人の習慣を話すのだが、ぺぺおじさん不思議そうな顔をして納得がいかず、みずから上半身裸になり、石鹸をつけてシャワーを浴び「こんなに綺麗になるのに、なんの問題があるの?」洗えば綺麗になるのは当たり前、問題はねえ...僕もすかさず反撃を取るべく浴槽の中に入り横になり身振り手振りで説明するのだが、ぺぺおじさん「なんで浴槽の中でこんな格好しなきゃならんのよ...」まるで埒が明かない様子。自分が納得いかない以上、前家賃を返すわけにはいかないと渋い答え。そりゃそうだ!ここはスペイン。異質の文化の違いを目の当たりにしてサロブレーニャの生活が始まった。

今日みたいな青空と、紅葉を眺めていると第二の故郷スペインで生活していた日々が眼前に果てしなく拡がってくる。

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今日の紅葉

2023/11/20
【第1824回】

先週の週末は歌声を鑑賞してきました。金曜日には大和田獏さんと娘さんの大和田美帆さんによる「BAKUMIHO」。獏さんが芸能生活50年、美帆さんが20年を期にこのようなユニットを結成し今回の公演が実現しました。めちゃ明るい美帆さんのキャラクターと温厚な人柄獏さんによるとっても温かい雰囲気に包まれたひとときでした。この時間を過ごして感じていたことは、コロナで亡くなられた母であり妻であった岡江久美子さんがこの二人を見守りながら最後はみんなと一緒に大きな拍手をしているなと...

土曜日は、「コットンクラブ東京」での村井國夫さんの渋い唄を堪能しました。若い後輩の俳優さんとのコラボでしたが、さすが79歳の年輪とダンディズムに拘ってきた村井さんの表現は群を抜いておりました。この年齢になっても己に厳しく鞭打って表現者としての高みを目指しているところがたまらんですばい。

急に寒くなり、東京のあちこちの樹木もかなり色づいてきました。でも道行く人の服装も様々、冬物を着た人が居るかと思えば、半そで短パンで平気な顔で散歩している人も居る有様。この情景だけでも気候変動の異常さが理解できます。新宿で歩いている外国から来た旅行者の中には、ランニングシャツで汗拭きながら闊歩している輩がいるんですから驚いてしまいます。これは明らかに食べ物の違いでしょうね...おいらもいろんな国に行きましたが日本食がやはりベスト1です。最後の食事は、白いご飯に梅干、ちりめんじゃこ、着色なしの明太子で十分でございます。

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善福寺緑地公園

2023/11/17
【第1823回】

最近、芝居関係で地方に度々行っています。おいらは生来旅人、流れ者性分で生きてきましたので、地方に行くだけでワクワクしたもんでございます。この世界にはまだまだ隠されているものがある...その隠されたものが存在するのが地方だという気がします。自分の知らない未知なるものとの出逢いで、自分自身も成長出来たのではないかと...そんな期待も持ちながら出かける地方、最近は何処に行っても同じ顔をしています。地方都市の商店街はシャッターが閉まった店が軒を貫いていて、少し郊外に行くと大きな駐車場付のショッピングセンターがあるのが普通になってきました。昔は地方色豊かな個性的な店が点在し、耳を傾けると訛り言葉で話す言葉が聞こえてきました。お店も生活と深く繋がり人の営みがまともであることを嬉しく感じられました。この国の大切な序列が、お金と所有欲へと舵を切ったところからこうなることは十分予測されたことだと思います。

その後、村おこしとか町おこしなんて動きも出てきてはいますが、これもどうやら結局は特定企業が力を持ち、その企業に寄り添わないとなかなか本来のプロジェクトと縁遠い方向に向かうことが多々あります。

でも、まだまだ地方の魅力は必ずあると思っています。それを確かめるには自分の足で、町や村のなんでもない路地に迷い込み、知覚をピクピクさせながら何かを感じようとする好奇心があれば大丈夫です。この国にはまだまだ見知らぬ魅力があちらこちらに散りばめられているはずです。ひょっとしたら鈍感になりすぎたこの国の人より、異国の人がその魅力を楽しんでいるのかも知れませんね。

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新宿西口

2023/11/15
【第1822回】

あちゃ~プロ野球史上最悪のFA宣言の選手が誕生しました。西武ライオンズに所属しながら女性問題で不祥事を起こし、自ら事の顛末をひた隠し、今年の3月実施されたWBCにいけしゃあしゃあと出場し、そのまま今年のシーズンに入り1本のホームランも打てない有様。そりゃそうだわ、いつばれるかわからない爆弾抱えて心中穏やかではないのは当たり前。その後、週刊誌で報道され、無期限出場停止。その後、持論を展開しあたかも自分が被害者であるかのような態度。西武ライオンズもさすがにクビにせず練習場を与える温情を見せていたのだが、ほかの球団の意見も聞いて見たいとFA宣言。要は不祥事のことは水に流し、高いギャラで契約してくれるところに行きたいのでライオンズ以外の球団さん検討してくださいなと言うことですな。実績、そして成績さえよければ少々のことは目をつぶってくれるし、時間が経てばほとぼりが冷めるであろうプロ野球界の悪しき風潮を巧みに利用しようとしてるんだね。

冗談じゃございませんことよ!球場に来るお客さんは、そうは簡単に許してくれないどころかブーイングが鳴りやまないでしょう。多くの野球少年に今回のことをどう説明したらよいのかホトホト困っている親御さんも居るでしょう。今回のFAの届け出もギリギリ、しかも代理人を通しての届け出、迷惑かけたライオンズの選手たちにも謝罪もせず。人間として如何なものかと思える行動ばかり。

そんな選手を、4年間20億円で迎え入れようとしている球団が、又もやソフトバンク。博多のファンの皆さんこれでいいんですかね?大金注ぎ込んでも優勝できないわけを根本的に考え直さないとそのうちファンからもそっぽを向かれますよ。

この選手の名前?どすこいの山川穂高選手です。ほんまに男を下げましたな...

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新宿南口

2023/11/13
【第1821回】

ガザへのイスラエルの無差別攻撃、ロシアのウクライナへの侵略が止まらない。ほくそ笑んでいるのは武器商人である。過去の歴史からアメリカが世界の大国に成り得た一因が武器産業であることは明らかである。今回のアメリカの立ち位置が、ダブルスタンダードである訳は必然。そんな中、世界の若者がSNSを通じて停戦への訴えの輪を広げようとしている。日本でもその運動が芽生えているのが嬉しい。おいらの時代は学生が立ち上がり、権力に対峙し激しく行動に転じたものだが、最近の学生は何故かおとなしい...そりゃ、わかる気もします。おいらの世代が政治、経済、環境含めて諸々、今の社会を形成したんのですから責任があると思います。そんな経緯を知った若者たちはほとんどが白けてしまったのかもしれませんね。

でも、誰かがストップをかけないと世界の終わりが見えてきます。これからも戦争がない世界なんぞは夢のまた夢、いかに最小単位の紛争で留まらせるかが大きなポイントだと思います。日本の若い人たちがSNSを駆使しながら平和な世界を希求する姿を見るにつけおいらも少しは希望を持てました。スポーツを楽しみ、アートの世界に酔いしれることが出来るのも平和があってのことです。

平和ボケしたニッポンの皆様、平和は勝手にどこからかやって来るものではございません。一人一人が自分の可能な範囲で平和を手繰り寄せる意識、行動を怠ってはなりません。今、目の前で見せられている悲惨な光景をしかと記憶に刻みつけ、次なるアクションに繋げようではありませんか...

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アンネも願ってます!

2023/11/10
【第1820回】

風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン~最後のロマンス~」昨日、北海道苫小牧市文化会館で無事初日を迎えることが出来ました。苫小牧はこの作品の作・演出家である水谷龍二さんの故郷である。水谷さんの同級生の方々の尽力で実現できた公演です。何年経ってもこうやってともに思いやる気持ちが素晴らしい。人の繋がりが稀薄になっている昨今、聞きなれた友情なんて言葉を超越した絆を強く感じる。水谷さんも幸せもんである。

芝居は見事な仕上がり、苫小牧の観客の温かい反応をしっかりと受け止め1時間25分、隙もなく観客の思いを鷲掴みにしてしまうところが千両役者たる所以かな。

ひとり芝居をやり始めての26年間の蓄積を感じます。間の取り方、観客に対する問いかけ、どれ一つとってもドンピシャ!ひとり芝居をやるために生まれてきた男です。

昨日は本番まで時間があったので苫小牧の街をぶらり散歩。レトロな喫茶店を見つけコーヒを一杯。なぜかBGMにJAZZが流れている1975年開業の老舗喫茶店。店内には重厚感のある木目の食器棚がカウンター席の正面にあり、中には色んな形のコーヒーカップが並んでいるまさにザ・昭和の店。こんな喫茶店が生き残っているだけでも苫小牧の人たちが信じられる気がしてきます。王子製紙の城下町でありながら北海道の大地を踏みしめ、しっかりと生きている苫小牧の皆さんありがとうございました。

又、来年も新作を持って再会できることを楽しみにしています。

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苫小牧にて

2023/11/08
【第1819回】

山本顕一著「寒い国のラーゲリーで父は死んだ」読了。この本は、2005年にトム・プロジェクトで公演した「ダモイ~収容所から来た遺書~」に登場する亡き父山本幡男さんの長男が、お父さんの遺した言葉を抱きしめて書かれた本です。山本幡男さんは第二次世界大戦後、旧満州で降伏した日本人兵士等約60万人がソ連シベリア領内に連行され、極度の寒さや飢えの中で過酷な強制労働をさせられた一人です。多くの人が帰国する中、9年間もの長い収容所生活の末、帰国の願いも空しくハバロフスクの収容所で病死しました。

収容所仲間に信頼が篤かった山本幡男さんの遺書を仲間が口移しで覚え、帰国した際に遺族に伝える感動的な話を、是非舞台化したいと思ったときに逢いに行ったのが顕一さんでした。大学教授を退職されていた時期で、大変穏やかな方で即上演の許可を頂きました。上演中にも何度も観に来てくださって感謝の言葉を述べられていました。そんな顕一さんの両親への思い、兄弟に対する責任感、この本を読んで改めて顕一さんの苦悩と強い信念を思い知らされた次第です。

4人の子供たちへの遺書には万感の思いが込められています。

 

君たちに会えずに死ぬることが一番悲しい。さて、君たちは、之から人生の荒波と闘って生きてゆくのだが、君たちはどんな辛い日があろうとも光輝ある日本民族の一人として生まれたことに感謝することを忘れてはならぬ、日本民族こそは将来、東洋、西洋の文化を融合する唯一の媒介者、東洋のすぐれたる道義の文化、人道主義を以て世界文化再建設に寄与し得る唯一の民族である。この歴史的な使命を片時も忘れてはならぬ。また君たちはどんなに辛い日があろうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するといふ進歩的な理想を忘れてはならぬ。偏狭で驕慢な思想に迷ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基く自由、博愛、幸福、正義の道を進んで呉れ。最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである。

 

未だ戦争が止まない今、この遺書の言葉の持つ意味は重い。

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獲物は見つかったのかな?

2023/11/06
【第1818回】

昨日、風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン~最後のロマンス~」の最終稽古を観てきました。

74歳の杜夫ちゃん、すっかり牛山明になりきって躍動しとりました。一人で1時間半近く喋って歌って飛び跳ねて、そりゃ観てるこちらが大丈夫かいな?と思いきや、エンジン掛かるといつものペースで楽しそうにやってるところがすごかですたい!彼に果たして老いなるものが訪れるのだろうかと逆に心配さえしてしまいます。

なにせ26年という長い年月に渡りひとり芝居を続けているんですから、たいしたたまげたもんでございます。勿論、ひとり芝居だけじゃございません。舞台、映画、テレビ、そして落語もプロ並みの腕。役者をやるために生まれてきた人なんでしょうね。普段は努力してる風は一切見せないんですが、おいらが思うに彼独自の日常と役者との切り替えがとても上手いんだと思います。稽古終わりに旨そうに飲む酒と、ダジャレを発するその瞬間にも役者、風間杜夫のチャーミングさと色気を垣間見せるところもさすがです。

11月9日、北海道苫小牧でスタートする今回の芝居、東京は勿論全国各地でも公演しますので是非とも劇場に足を運んでくださいね...

昨日は阪神タイガース38年ぶりの日本一。タイガースファンの皆さんの喜び痛いほど分かります。今年はWBCから始まって昨日の日本シリーズの激闘。野球ファンにとっては充実した1年だったと思います。来年こそ、我がライオンズの有終の美を観たいもんでございます。

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井の頭公園

2023/11/01
【第1817回】

昨日、神奈川県藤沢市湘南台文化センターでの「沼の中の淑女たち」を観に行ってきました。10月3日の東京公演以来、久しぶりの観劇でした。全国各地を巡演してこの日が20ステージ目の公演。まだまだ、コロナ、インフルエンザで油断できないこの時期にキャスト、スタッフの皆さんが一丸となってここまで無事に公演できたことにまずは感謝です。なにせ演劇はナマモノですから何か一つでも事故があれば中止に追い込まれる危機にいつも晒されています。旅中に起こる体調不良、移動中の事故、不意に訪れる台風の心配などなど、主宰してるこちらとしては、昼夜問わず心落ち着くことなんぞはございません。「今日も無事に公演できますように!」とただただ祈るというより信じるのみです。

昨日の公演、見事でした。芝居の良し悪しは、やはり座組の良さで決まるんだなということを実感した次第です。出演者の5人の女優さんの自由闊達な演技、間の良さ、おのおののキャラクターが上手く活かされ1時間35分があっという間に過ぎていきました。

芝居を支えるスタッフのチームワークも見事です。地方公演はほぼ1ステージですから当日セットを仕込み、当日ばらしも当然あります。限られた時間内でセット、照明、音響の数々を手際よく処理しなければならないので大変な作業です。

こうやって、みんなの思いが一つになって日本全国に芝居を届けられるこの仕事が、未来永劫続けられる世の中であって欲しいと願いながら劇場を後にしました。

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霜月