トムプロジェクト

2023/04/28
【第1747回】

明日から大型GWが始まります。いつものように高速道路の渋滞ぶりをメディアで報じていました。普段30分で行くところが2時間半かかるなんて当たり前のようです。おいらの思考では、この情報だけで遠方への行楽を止めますが、日本の社会の頑として変わらない体制の中、仕方なく皆出かけるんですね。何十年も前から、休日分散案が唱えられてきましたがいまだに実行の機運は熟さない状態です。おいらも過去に何度か車中でのイライラ体験は経験済みだが、あのなんとも虚しい感覚はたまらなく嫌ですね。左右前後の他の車中の人たちの諦めきった表情を見てるだけで、こちらの気分も一気に萎えてきます。

そんなGWのなかでの楽しみ方の一つに近場散策。普段見慣れた通りは勿論、ちょいと横道に入ると意外な光景に遭遇することがあります。こんな所に小粋な飲み屋があったりとか、レトロな佇まいの民家に心和んだりとか...最近も可愛いノラ猫を発見し、しばし観察させて頂きました。なにもお金を掛けて人混みの多いところに行くことないんじゃない。疲れるだけです。お互いに疲れた顔つき合わせてどうすんの?GW、お盆、正月、宿泊がいつもの倍の値段、この延々と続く悪しきしきたり、いい加減どうにかしてくんろ!

おいら、お日さまに照らされキラキラ輝く葉っぱちゃん見てるだけで十分にGWでございます。

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アンネのバラも咲きました

2023/04/26
【第1746回】

先月の末だったか、新宿西口近くの「思い出横丁」付近あたりを歩いていると女性から「岡田さんじゃないですか?」なんて声を掛けられました。今の時期、皆マスクを着けているので誰だかよくわかりません。よく見ると新宿ゴールデン街にある居酒屋「ポニー」でお見かけした女性じゃありませんか...おいらに声をかけた理由は、この店のママが亡くなったことを知らせたかったとのこと。勿論、おいらはびっくりしました。この「ポニー」は大好きな店でした。ママの人となりが店一杯溢れていましたね...店の中央には囲炉裏がでんと構え、炭火で沸かした南部鉄器のお湯で飲む焼酎がなんとも言えない味でした。そしてママの手作りの料理、お客に媚びない気質でありながら困った人にはとことん相談に乗ってあげる優しさ。新宿ゴールデン街には250店舗が存在するのだが、この店は他を圧倒する気品さを持ち合わせた店でもありました。時には三味線で都都逸も聴かせてくれました。艶のある声で一瞬、花柳界の席に迷い込んだ気にもさせてくれました...手回し蓄音機で聴いた広沢虎造の浪曲「清水次郎長伝」に感動し、早速CDを買い込み自宅で何度も聴きました。昔気質のママさんが粋な雰囲気で繰り広げる時空間は本当に素敵でした。

昨日、声をかけてくれた女性の案内で新宿にあるお墓に行ってきました。ママが眠るに相応しいお寺にあるお墓に手を合わせ、これまでの感謝の気持ちを伝えました。

この年になると別れも多くなります。無念な思いで亡くなった人達も含め、しっかりと生きねばと改めて感じた一日でもありました。

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満開のつつじ

2023/04/24
【第1745回】

今日はまた寒さがぶり返しています。昨日、おいらが住んでる杉並区でも区議会選挙が実施されました。今回は選挙公報などじっくり見ながら投票しました。おいらが投票した人のこれまでの実績に大いに賛同。先ずは、過去の選挙も含めて一切、宣伝カーを持たない、名前の連呼もしないということ。選挙が始まるとうるさいよね、本人が乗ってなくてウグイス嬢に名前を連呼させるなんて愚の骨頂。こんなことを未だにやってること自体でアウトですな。二つ目にこれまで、政策本位の活動に徹するため、ボス政治家とは一線を画し、一身独立し無所属を通してること。こんなことは当たり前だと思うのだが、企業・団体献金を受けない、有権者に私的な口利き(施設入居や就職のあっせん、その他入札・契約の斡旋)を行わない。なかでも画期的なのは、いままで馴れ合いの関係で運営されてた会館をオープンにしたこと。この国の最も顕著な馴れ合い談合にくさびを打てたことに拍手を送りたい。

今回の選挙も昨年、区長選挙で初めて選出された女性区長からの政策協定、応援演説の提案に異論はないのだが、貸し借りを作りたくないと言う理由で断ったとのこと。まさしく忖度なしのクリーンな区議さんだと思いますよ。

そのほかの地方選挙、相変わらず日本の国民は大きな変化は求めていないようですな...投票率も低いし、世界のあちらこちらで不穏な動きがあるのに、なんだかこの国の鈍感力にはいつもながら危機感を覚えます。

ところでさっき、杉並区議会選挙の結果が出ました。おいらが投票した人は当選。今まで通りがんがんやってくださいね!

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藤の花言葉
~君の愛に酔う~

2023/04/21
【第1744回】

久しぶりに新宿でチンドン屋さんに遭遇しました。この姿を見るとおいらの記憶は少年時代に戻ってしまいます。昔は新しいお店がオープンするとチンドン屋さんの登場です。かつらを被り太鼓にサックスでの賑やかな光景を目のあたりにするとおいらのテンションは一気に上がります。後ろに付いたお姉さんがチラシと一緒にお菓子を振る舞うと、お菓子が欲しい子供たちはぞろぞろとついていきます。ある時、なかなかお菓子の配布が始まらず、はたと気づいた時には見知らぬ街に迷い込んだことがありました。もしや、このチンドン屋人さらいかも?なんて不安になったもんでございます。

今や新宿の宣伝手段は、大型車に派手な広告を掲載し大音量で新宿の街を徘徊することが多くなりました。ホストクラブ、新作映画、新製品などなど目にしますがなんとも味気ない気がします。それに比べてこのチンドン屋さんのアナログ宣伝はほっとします。人間の血の通った訴えが郷愁を誘います。アスファルトジャングルのなかで、人は呼吸困難に陥り心身が疲弊しております。この日のチンドン屋さんの姿を見て、一服の清涼剤と感じた人は何人いたんでしょうかね?中にはなんだこりゃなんて人もいたんでしょうね...

今日も夏のような暑さ、世界はこの異常気象の中、地球の生態体系にも狂いを生じ不穏な空気が蔓延しております...こんな時こそ、ゆっくり焦らず大地に足をつけてチンドン屋さんの佇まいの如く生きていきたいもんでございます。

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郷愁

2023/04/19
【第1743回】

昨日の夜はほんとにええ日やったな...ライオンズが5年振りに東京ドームで試合をやるというので足を運びました。相手は金満球団ソフトバンクホークス、金欠ライオンズがどんな試合を観せてくれるのか興味津々。相手チームは80億かけて補強しまくり、こちらは打てる捕手が他チームに移籍するわ、WBCに参加した選手が骨折するわ、4番バッターが開幕早々怪我するわ、踏んだり蹴ったり状態でございます。でも、こんなときに不思議なチカラを発揮するのがライオンズの伝統。この日も先発した平良投手の調子がいまいち、こりゃあかんかなと思っていたら、なんと外崎が2本、中村が1本、おまけに助っ人ペイントンが1本、計4本のホームランが飛び出し勝利しました。8本のヒットのなかの4本がホームラン、なんと効率的なことか...中でも今年40歳になるベテランおかわり君こと中村選手の芸術的なホームランは見事でした。ライオンズの有力選手のほとんどが流出していくなか、ライオンズ一筋を通してきた中村、栗山選手はライオンズの宝です。やはり、こんな選手をいつまでも応援したいですね。

この日は贅沢なセレモニーがありました。試合前には郷ひろみの国歌斉唱、始球式は松坂大輔、試合後には郷ひろみのショー。大勝した試合後に居残った4万人の観客は大喜びでございました。昔、ある劇団の代表者が球場の多くの観客を見ながらこんなことを言ってました

「劇場にもこれだけの人が来てくれたら嬉しいな...」その気持ち、よーく分かりますがな。

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盛りだくさんな一日

2023/04/17
【第1742回】

先週の15日(土曜日)「風を打つ」の稽古が始まりました。昨年は東北ブロック、中部・北陸ブロックの演劇鑑賞会で大変な好評を頂いての再々演となります。公害病の一つである水俣病をテーマにしながらも、家族の強い絆を描いたこの作品で杉坂栄美子役を演じた音無美紀子さんが、初演で頂いた文化庁芸術祭優秀賞に続き、再演で読売演劇大賞優秀女優賞を受賞しました。今回の音無さんの受賞も、この困難な状況の中、頑張ってくれたキャスト、スタッフ全員での受賞だと思っています。芝居は、まさしく関わったすべての人たちの思い行動が一つにならないと成立しないし、観客に伝わらないものだと常日頃考えています。このことを逆算してキャスト、スタッフを選択しています。芝居の創り方も日常の人間関係と同じです。オレ我オレ我の我を出す人が一人でも居ると芝居は歪みを生じます...この芝居はどこに向かって成立させようとしているのか?これまで創ってきた作品がすべてパーフェクトだとはいきませんでしたが、こうやって30年近く継続できたことは、こうした思いを常に忘れずに企画制作したからだと思っています。

今回は、前回まで功一役を演じた高橋洋介に代わり、これまで2回トムの芝居で出演してもらった生津徹さんに出演していただくことになりました。稽古初日から気合十分、生津さんのこの作品に賭ける思いがヒシヒシと伝わってきました。5月18日の東京公演初日が楽しみでございます。

稽古終了後、音無さんの受賞のお祝いを兼ねて、久しぶり17人という大人数でのささやかな宴を催しました。久しぶりの歓談、皆ほろ酔い加減でございましたよ。

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週明けの空

2023/04/14
【第1741回】

星野博美著「世界は五反田から始まった」読了。著者の実家の町工場を舞台に、祖父、父を中心とした家族の歴史が描かれる。戦時中の東京大空襲、当時の国家の誤った指示で悲惨を極め人災でほぼ全滅したような満蒙開拓団の話。いつの世も、戦争は一部の権力者の手によって始められ、最終的には無辜の民が犠牲者になるというお決まりのコースに対し、星野さんは、浅はかな有力者や権力者と距離を置き、孤立しながらも生き延びる方法。重大な局面に立たされた時の、判断力。頼る人も組織もない場所にたった一人取り残された時、しなければならない交渉術。豊かさとも感動とも程遠い、ずる賢さ。この点を強調しながら話を進めていく。考えてみれば、誰しもが己の日常の基盤からこそ戦争を問い直すことが必要かもしれない。そうしないと、突然悲劇が訪れ対処の仕様が無いなんてことになっちゃいますぞ!と示唆してくれてる本でもありました。

この作家の本、何冊か読み、文体の軽妙さ大胆さには面白さを感じていました。でも今回の著作が第49回大佛次郎賞を受賞するとはちょいと意外でした。

この本を手にしたのも芝居にできる素材になるのではとの思いからでした。勿論、芝居とは関係なく読書の楽しみから本を手にはするんですが、仕事柄どうしてもついつい芝居にならんかな?と考えちゃうのも一種の職業病ですかね...

そんなこんなしているうちに明日から「風を打つ」の稽古が始まります。いやいや、月日が流れるのがこんなに早いとは...歳のせいかな?

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野に咲くシャクヤク

2023/04/12
【第1740回】

昨日、つい先日トム・プロジェクト所属が決まった村井國夫さん、大和田獏さん、そしてオーデションでの選考の結果、トムに入りたいと言ってくださった今年玉川大学を卒業したばかりの長野優華さんの写真撮りの現場に行ってきました。村井國夫さんはさすがに渋さと色気を兼ね備え貫禄十分、演者としての長い経歴と人生経験が適度にブレンドされて絵になりますね。大和田獏さんは、その人となりが全身から溢れています。誠実、可愛さ、優しさのオーラが醸し出されていました。撮影の間、獏さんの舞台を底支えする姿が目に浮かびました。長野優華さん、初々しさは勿論、健康美そのもの、トム最年少の役者となりました。どこまで成長していくかおおいに楽しみです。

これまでたくさんの俳優さんと出会い素敵な芝居を創ってきましたが、そのなかで実績十分な役者さんがトムに入ってもらえることは大変うれしいことであり心強いことです。ベテランのお二人、選択肢は沢山あったはずなんですが...いやいや、こうなればおいらもプロデューサーとして、このお二人のためにベストな舞台を企画せねばと気が引き締まる思いでございます。芝居は志を一つにしないといいものはできません。仲良しクラブでも駄目だし芝居の根っこの部分を共有できる人が居てこその舞台です。

昨日今日と夏日を感じさせる日が続いています。そんななかハナミズキが色鮮やかに咲き誇っていました。

 

薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと
終わりますように
君と好きな人が
百年続きますように

 

こんな歌をつい口ずさんでいました。

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平穏な日々が百年続きますように

2023/04/10
【第1739回】

新緑が美しい季節がやってきました。おいらが一年で一番好きな季節であり、命の尊さを痛感する日々でもあります。サクラが散り、新芽から芽生えるようにニョッキリと顔を覗かし、待ちわびたかのように樹々に色鮮やかな色彩を見せつけてくれる時間は、おいらの心身を開放してくれます。そして、日々成長していく葉の色も形も、まるで人間の性格、容貌がそれぞれに違うように樹木によってさまざまであり、その一枚一枚を眺めながら、あっ!この葉は、あの人、いやこの人なのかな?なんて楽しみ方もしております。誰が指図したわけでもなく、この季節に決まったように同じ風景を魅せてくれる自然界の大きなチカラ、そして遠い昔から争いと、破壊を繰り返してきたニンゲンに罰を与えるどころか、こんな素敵なプレゼントを飽きもせず与えてくれるなんて...ただただ感謝でございます。

地方選挙の前半の結果も出ましたね。いつもながら投票率も伸びず、もう誰でもいいんじゃない?なんて雰囲気になっていますね。要するに、立候補する人も投票する人もなんだか投げやりな気分じゃないかしら...そんななか、維新が野党第一党になるような状況が形成されそうな流れになっています。維新?まだまだ正体が見えない政党のような気がしますが、大阪から始めた、リーダー自らの給料を減らした分かりやすい手法が受けたんじゃないかしら...魑魅魍魎の政治の世界だけに、確かにシンプルさはアピール度が高いですね。

どうしようもない政治家の皆さん、この新緑をどう見てますかね?

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目にも鮮やか

2023/04/06
【第1738回】

加藤健一事務所の公演「グッドラック、ハリウッド」を観劇。1980年に一人芝居『審判』を上演するため加藤健一事務所を設立。以降現在に至るまで年間3、4本のペースで創り続け今回で114回目の公演である。今年73歳、歳は取っても、滑舌、凛とした立ち姿は日頃から体調管理が万全だと思う。一人の俳優が事務所を立ち上げ43年間舞台を継続できたことに頭が下がる思いだ。俳優として、経営者としての二束のわらじは並大抵のことではないはずだ。この事務所の芝居創りの特徴は、海外の埋もれた戯曲をチョイスし日本の観客にも抵抗感なくアレンジして舞台化させてきたことに尽きる。

今回の芝居も、アメリカのよくあるウエルメイド・コメディ。すっかり売れなくなった監督、脚本家(加藤健一)と新人脚本家(関口アナン)との世代間バトルに、老監督に優しく寄り添う助手(加藤忍)があと一歩新しい世界に踏み出せない老監督にそっと背中を押し続けていく2時間の芝居。3人の登場人物でありながら飽きさせないのは、何といっても戯曲のチカラだ。1938年生まれのリー・カルチェイムという劇作家なのだが、おいらも初めて知る作家である。一人の俳優として日頃から海外の作品を探し続けていること自体、芝居は台本が命だということは熟知している証拠でもある。

トム・プロジェクトも、来年で芝居創りを始めて30年。手前みそかもしれませんが、ここまで日本の劇作家に拘り、しかも100本全てが創作劇。こんな演劇制作会社ありませんことよ。

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スイセンとカルガモ

2023/04/03
【第1737回】

日本のプロ野球も開幕しました。WBCの熱冷めやらぬなかでのプレーボール、各チームの意気込みも半端じゃなかったと思います。我がライオンズも、昨年の覇者オリックスとの対戦で所沢の球場もすべてチケット完売の盛況。初戦は9回ツーアウトまでいきましたが、昨年までライオンズに所属していた森捕手に同点ホームランを打たれ、結局延長で負けてしまいました。移籍した途端に手荒い洗礼を受けましたね。このやんちゃな森、打撃はいいんだがピッチャーのリード、そして肝心な守備がいまいちなのでライオンズにとってもおいらはそんなに損失だとは思っていませんでした。移籍した人はライオンズとは既に関係ないのでどうでもええやんけ!好きだった秋山(広島)、そして去り際がスッキリしなかった浅村(楽天)などなど、まあ適当にやって下さいというのが本音です。

オリックス3連戦で見えてきたのが、トップバッターを任された助っ人マーク・ペイトン。なんじゃい?助っ人どころか、はやお荷物になった感じ。そして4番バッターの山川のふがいなさ。この方、来年はソフトバンクに行く噂が持ちきりなんだが、こんな無様な姿では契約金相当にたたかれてしまいますぞ...この選手のホームランは魅力的なんだが、なんともムラがあり来年他チームに行ってもおいらはそんなにショックではありません。

ライオンズの良いところは主力が出て行っても若い選手が次々と現れるところです。この3連戦でも新人守護神、青山選手など躍動感あふれる選手が登場し、松井新監督に初勝利をプレゼントしました。ライオンズ嫌だったらどんどん出て行ってくださいな。ライオンズファンは何の未練もありまっせん!

東京の桜もいよいよ終わりですね...3年ぶりに桜の樹の下で宴会を楽しんでいる人たちの姿を見るにつけ、あらためて平和の有難さを感じた週末でした。

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善福寺緑地公園