トムプロジェクト

2023/04/21
【第1744回】

久しぶりに新宿でチンドン屋さんに遭遇しました。この姿を見るとおいらの記憶は少年時代に戻ってしまいます。昔は新しいお店がオープンするとチンドン屋さんの登場です。かつらを被り太鼓にサックスでの賑やかな光景を目のあたりにするとおいらのテンションは一気に上がります。後ろに付いたお姉さんがチラシと一緒にお菓子を振る舞うと、お菓子が欲しい子供たちはぞろぞろとついていきます。ある時、なかなかお菓子の配布が始まらず、はたと気づいた時には見知らぬ街に迷い込んだことがありました。もしや、このチンドン屋人さらいかも?なんて不安になったもんでございます。

今や新宿の宣伝手段は、大型車に派手な広告を掲載し大音量で新宿の街を徘徊することが多くなりました。ホストクラブ、新作映画、新製品などなど目にしますがなんとも味気ない気がします。それに比べてこのチンドン屋さんのアナログ宣伝はほっとします。人間の血の通った訴えが郷愁を誘います。アスファルトジャングルのなかで、人は呼吸困難に陥り心身が疲弊しております。この日のチンドン屋さんの姿を見て、一服の清涼剤と感じた人は何人いたんでしょうかね?中にはなんだこりゃなんて人もいたんでしょうね...

今日も夏のような暑さ、世界はこの異常気象の中、地球の生態体系にも狂いを生じ不穏な空気が蔓延しております...こんな時こそ、ゆっくり焦らず大地に足をつけてチンドン屋さんの佇まいの如く生きていきたいもんでございます。

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郷愁

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