トムプロジェクト

2025/06/25
【第2052回】

昨日は新橋演舞場で「東京喜劇 熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第11弾黄昏のリストランテ ~復讐はラストオーダーのあとで~」を観てきました。笑いと言えばやはり関西、それに対抗するかのように、この一座は江戸の軽演劇を広めようということで伊東四朗さんが2004年に三宅裕司さんと共に『伊東四朗一座』を立ち上げたのが始まりです。その後、伊東さんが抜け、伊東の手前が熱海、四朗の次が五郎ということでこの一座の名前になったそうだ。この軽いノリで、しつこい笑いではなくシンプルな笑いをお届けしたいという趣旨がとてもわかる興行でした。出演者の皆さんも芸達者で笑いのツボをしっかりとおさえて飽きさせない構成になっていました。このスタイルは、東京の軽演劇をリードしてきた由利徹、佐山俊二、南利明に相通じるものがあります。関西がお好み焼きのこてこて感とするならば、関東の笑いはお茶漬けの味かな...どちらが好きかはわかれるところだが、東西が競い合ったからこその笑いの文化だと思います。

今回のゲストである羽田美智子さんがお茶漬けの味をなお一層美味なるものに仕立て上げていましたね。2023年にトムで上演した「沼の中の淑女たち」でも、彼女の天然ボケを思わせる芝居にはおおいに楽しませていただきました。普段でも全くの飾りがない自然体の方です。デビュー以来末永くこの世界で活躍されている理由が良く分かります。会場を後にするお客様も、なんともすっきりしないこの世を暫し忘れさせてくれたんじゃないかしら...

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雨に打たれて

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